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アドバネクスのニュース
■要約
アドバネクス<5998>は、精密ばねメーカーの大手企業。市場戦略として自動車、医療、インフラ・住設を重点分野とし、さらに二次電池、航空機などに注力する。同社の最大市場である自動車産業向けは、引き合い、見積り、設計・試作の繰り返しなどの工程を経てから2~3年後に量産開始に入る。自動車関連の新たな顧客向けや製品が本格量産期入りする前に、従来の主要な市場であるOA機器向けが半減してしまった。加えて、自動車に関する品質マネジメント規格の取得が、規格のバージョンアップのために遅れたため進捗状況は計画より遅れがちだ。現在は、土を耕し、種を植え、芽が出て、蕾の段階に至った。今後、花が咲き、実が成り、収穫期が訪れる。
1. 自動車産業の構造的変化に対応する
自動車のエレクトロニクス化の進展やITとの融合などで車載部品の標準化や共有化、汎用品化が進む。パラダイムシフトが起こる時期の技術的進歩は速く、カーメーカーがすべての部品を自社独自仕様で開発しきれない。Tier1の部品メーカーは、複数のカーメーカーに供給するスケールメリットを生かし、開発力とコスト競争力を高め、メガサプライヤー化する。ジャスト・イン・タイム納入を求めるメガサプライヤーからの要求に対応できるのは、同社が目指すグローバルTier2になる。同社の推定によると、国内に7,000社以上あるTier2のうち、海外に10拠点以上持つ企業は極めて少ない。2019年3月期までの8年間で、世界での生産面積は2倍に拡大される。
2. 中期経営計画の見直し
前中期経営計画において目標値と進捗状況の乖離が大きくなったことから、目標値と最終年度が見直された。中期経営計画における2021年3月期のマイルストーンを売上高26,500百万円、営業利益1,200百万円におき、さらに最終年度の2023年3月期に売上高31,500百万円~35,000百万円、営業利益2,500百万円~3,000百万円を目指すとした。2018年3月期予想(売上高20,000百万円、営業利益400億円)をベースとする3ヶ年のCAGRは、それぞれ9.8%増と44.2%増となる。
3. EVシフトによる事業機会の拡大
国際エネルギー機関(IEA)は、EV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッドカー)の世界累計販売台数が2016年に約200万台に達したと発表した。自動車全体に占めるEVのシェアは0.2%に過ぎないが、2020年には累計2,000万台へ増加するとの予想が市場では出てきた。経済産業省は、EVとPHVの新車販売に占める比率を、2016年の1%未満から2030年には20~30%を目標値とした。ノルウェーの比率は既に28.8%に達しており、2番目に高いオランダの比率は6.4%になっている。両国は、2025年からEVとPHVの新車販売を認めるものの、従来車であるガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する。市場規模の大きなドイツは2030年、フランスと英国は2040年から従来車の販売を禁止する方針を出した。世界最大の市場を抱える中国政府は、次世代車へ移行するパラダイムシフトを自国産業育成の好機と捉えて、ガソリン車の販売を規制して、EVへのシフトを加速する。
同社の推定によると、従来車向け同社部品搭載量を100とすると、ハイブリッド車(HV)で120、EVでは125となる。EVへのシフトは、同社にとってフォローの風となる。
■Key Points
・メガサプライヤーに対応するグローバルTier2
・EVシフトによる事業機会の拡大
・2019年3月期からの3ヶ年目標CAGRは2018年3月期予想から売上高で9.8%増、営業利益で44.2%増
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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アドバネクス<5998>は、精密ばねメーカーの大手企業。市場戦略として自動車、医療、インフラ・住設を重点分野とし、さらに二次電池、航空機などに注力する。同社の最大市場である自動車産業向けは、引き合い、見積り、設計・試作の繰り返しなどの工程を経てから2~3年後に量産開始に入る。自動車関連の新たな顧客向けや製品が本格量産期入りする前に、従来の主要な市場であるOA機器向けが半減してしまった。加えて、自動車に関する品質マネジメント規格の取得が、規格のバージョンアップのために遅れたため進捗状況は計画より遅れがちだ。現在は、土を耕し、種を植え、芽が出て、蕾の段階に至った。今後、花が咲き、実が成り、収穫期が訪れる。
1. 自動車産業の構造的変化に対応する
自動車のエレクトロニクス化の進展やITとの融合などで車載部品の標準化や共有化、汎用品化が進む。パラダイムシフトが起こる時期の技術的進歩は速く、カーメーカーがすべての部品を自社独自仕様で開発しきれない。Tier1の部品メーカーは、複数のカーメーカーに供給するスケールメリットを生かし、開発力とコスト競争力を高め、メガサプライヤー化する。ジャスト・イン・タイム納入を求めるメガサプライヤーからの要求に対応できるのは、同社が目指すグローバルTier2になる。同社の推定によると、国内に7,000社以上あるTier2のうち、海外に10拠点以上持つ企業は極めて少ない。2019年3月期までの8年間で、世界での生産面積は2倍に拡大される。
2. 中期経営計画の見直し
前中期経営計画において目標値と進捗状況の乖離が大きくなったことから、目標値と最終年度が見直された。中期経営計画における2021年3月期のマイルストーンを売上高26,500百万円、営業利益1,200百万円におき、さらに最終年度の2023年3月期に売上高31,500百万円~35,000百万円、営業利益2,500百万円~3,000百万円を目指すとした。2018年3月期予想(売上高20,000百万円、営業利益400億円)をベースとする3ヶ年のCAGRは、それぞれ9.8%増と44.2%増となる。
3. EVシフトによる事業機会の拡大
国際エネルギー機関(IEA)は、EV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッドカー)の世界累計販売台数が2016年に約200万台に達したと発表した。自動車全体に占めるEVのシェアは0.2%に過ぎないが、2020年には累計2,000万台へ増加するとの予想が市場では出てきた。経済産業省は、EVとPHVの新車販売に占める比率を、2016年の1%未満から2030年には20~30%を目標値とした。ノルウェーの比率は既に28.8%に達しており、2番目に高いオランダの比率は6.4%になっている。両国は、2025年からEVとPHVの新車販売を認めるものの、従来車であるガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する。市場規模の大きなドイツは2030年、フランスと英国は2040年から従来車の販売を禁止する方針を出した。世界最大の市場を抱える中国政府は、次世代車へ移行するパラダイムシフトを自国産業育成の好機と捉えて、ガソリン車の販売を規制して、EVへのシフトを加速する。
同社の推定によると、従来車向け同社部品搭載量を100とすると、ハイブリッド車(HV)で120、EVでは125となる。EVへのシフトは、同社にとってフォローの風となる。
■Key Points
・メガサプライヤーに対応するグローバルTier2
・EVシフトによる事業機会の拡大
・2019年3月期からの3ヶ年目標CAGRは2018年3月期予想から売上高で9.8%増、営業利益で44.2%増
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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