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品川リフラクトリーズのニュース
■事業概要
1. 事業概要
品川リフラクトリーズ<5351>の事業は、耐火物及び関連製品、エンジニアリング、不動産に分かれる。2022年3月期における各事業セグメントの状況は、連結売上高構成比、セグメント利益構成比(調整額控除前)、売上高セグメント利益率の順で、耐火物及び関連製品事業が76.6%、80.7%、11.1%であった。同様に、エンジニアリング事業が22.5%、15.6%、7.3%、不動産事業が0.9%、3.7%、44.6%となった。耐火物及び関連製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、セラミックファイバー、ファインセラミックス、特殊製品の製造・販売である。エンジニアリングは、高炉・転炉・焼却炉等の築炉工事、工業窯炉の設計・施工などである。不動産は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用になる。
2. グループ企業
同社グループは、同社、連結子会社21社及び関連会社6社(うち2社が持分法適用)で構成される(2022年3月末時点)。海外には、中国、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、インド及び米国に子会社を有し、いずれも耐火物の製造・販売をしている。また、近年粗鋼生産量の増加が著しいインドでは、2021年4月に製造子会社が耐火物の生産・出荷を開始した。
3. 事業内容
(1) 耐火物及び関連製品
2021年3月期の単体の売上高の顧客業種別売上高構成比は、鉄鋼業向けが8割超を占め、依存度が高い。その他焼却炉、セメントと続く。JFEスチールと神戸製鋼所<5406>への売上依存度はそれぞれ43.7%と9.7%になり2社合算すると5割を超える。
高炉メーカーへの売上依存度が高いため、同社は主要顧客の製鉄所内に営業所やエンジニアリング事業部の拠点を置くなど顧客密着型の体制を取っている。装置産業である鉄鋼メーカーのニーズは、設備稼働率の維持、高い歩留り、高品質である。同社は、主要顧客に対して緊密な営業と迅速なサポート体制を取っている。JFEスチールに対して、東日本製鉄所の千葉地区と京浜地区で、西日本製鉄所では倉敷地区と福山地区のいずれにも営業所とエンジニアリング事業部事業所を配置している。神戸製鋼所には、神戸及び加古川の拠点に対応する営業所を置いている。また、日本製鉄では、同社の鹿島営業所が東日本製鉄所(鹿島地区)内で、和歌山営業所が関西製鉄所(和歌山地区)内で活動している。他の営業所(北海道室蘭市、東京都、愛知県東海市、兵庫県姫路市、福岡県北九州市)も日本製鉄向けにネットワークを築いている。
a) 国内生産体制
2009年の合併以降、第2次中期3ヶ年経営計画まで統合効果と競争力強化のため生産集約による最適生産体制への再編を行った。2014年4月に、生産部門を湯本・赤穂・岡山の3工場体制から、東日本・西日本の2工場体制に再編した。第5次中期経営計画では、2022年3月期の上期から西日本地区の不定形耐火物の生産拠点の集約に取りかかり、2024年3月期末の稼働開始を計画している。
主要国内煉瓦プラントの多くは、高度に自動化されており、省力化・自動化のために工業用ロボットが導入されている。製造工程は、秤量・混練・成形・台車積載・乾燥・焼成・検査・梱包となる。最新のコンピュータ統合生産システムによる生産管理方式を取り入れ、すべての製造工程の管理と自動全数検査システムの導入により、徹底した品質管理体制を実現している。成形には、最大5,000トンの油圧真空プレス機を使用し、焼成の最高温度は1,850℃、トンネルキルンで約1週間かけて焼き上げる。
b) 主要製品
耐火物及び関連製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、セラミックファイバー、ファインセラミックス、特殊製品で構成される。
定形耐火物では、用途に応じて塩基性煉瓦、カーボン含有煉瓦、粘土質煉瓦、高アルミナ質煉瓦、炭化珪素質煉瓦、珪石煉瓦をそろえている。
不定形耐火物には、キャスタブル、吹付材、プレキャスト、プラスチック、ラミングミックス、モルタルがある。緻密性、断熱性、耐酸性など各種要求、施工方法や工期に応じて最適の製品を提供する。キャスタブルは、流し込み、吹付け、こて塗りなど、施工方法に合わせた製品が数多くある。吹付材は、施工枠が不要で、大量の施工が短時間に行え、緊急時の熱間補修にも最適である。プレキャストは、現場での流し込み施工が困難な場合に、キャスタブルを所定の形状に最適条件で流し込み成形した製品で、工期の短縮になる。欧州の鉄鋼メーカーは、製造設備に標準化された製品を使用してコストダウンを図る経営スタイルをとっている。日本の鉄鋼メーカーは、継続的な改善活動により、炉の設計や炉材を常に進化させている。耐火物の需要は、海外では定形品7:不定形品3の割合だが、日本では定形品3:不定形品7となる。
連続鋳造用モールドパウダーは、耐火物業界では同社だけが手掛けている競争力が高い製品で、高品質な鋼材生産に不可欠な製品である。鋳型内に添加される粉末状潤滑剤で、溶鋼表面の保温と酸化防止、鋳型と鋼塊間の潤滑などの重要な機能を持つ。連続鋳造とは、溶融した鋼を連続的に冷却・凝固させて、板状や棒状の鋼塊にする工程である。その工程で使用されるスライドゲートプレート、浸漬ノズルなどの機能性耐火物とともに、モールドパウダーは戦略品種に位置付けられている。
浸漬ノズルは、連続鋳造工程において溶鋼の酸化防止やモールド内の流動の制御等重要な役割を果たす。同社は、浸漬ノズルの販売だけでなく浸漬ノズル迅速交換装置を提供し、顧客の作業負荷を低減し、連続鋳造の稼働率向上に貢献している。
セラミックファイバーは、軽量で低熱伝導率、高断熱性で省エネルギーには欠かせない素材になる。施工性に優れた各種モジュール、成形品、断熱ボード、シート、ガスケットなど、様々な製品でニーズに対応している。
ファインセラミックスは、高度に微細組織を制御したセラミック素材である。アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、サイアロンなど、様々な機能や特性を備えた素材で、各種ローラー、ダイス、ポンプ部品から液晶・半導体製造装置用セラミックスまで、多様なエンジニアリングセラミックスを提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 事業概要
品川リフラクトリーズ<5351>の事業は、耐火物及び関連製品、エンジニアリング、不動産に分かれる。2022年3月期における各事業セグメントの状況は、連結売上高構成比、セグメント利益構成比(調整額控除前)、売上高セグメント利益率の順で、耐火物及び関連製品事業が76.6%、80.7%、11.1%であった。同様に、エンジニアリング事業が22.5%、15.6%、7.3%、不動産事業が0.9%、3.7%、44.6%となった。耐火物及び関連製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、セラミックファイバー、ファインセラミックス、特殊製品の製造・販売である。エンジニアリングは、高炉・転炉・焼却炉等の築炉工事、工業窯炉の設計・施工などである。不動産は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用になる。
2. グループ企業
同社グループは、同社、連結子会社21社及び関連会社6社(うち2社が持分法適用)で構成される(2022年3月末時点)。海外には、中国、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、インド及び米国に子会社を有し、いずれも耐火物の製造・販売をしている。また、近年粗鋼生産量の増加が著しいインドでは、2021年4月に製造子会社が耐火物の生産・出荷を開始した。
3. 事業内容
(1) 耐火物及び関連製品
2021年3月期の単体の売上高の顧客業種別売上高構成比は、鉄鋼業向けが8割超を占め、依存度が高い。その他焼却炉、セメントと続く。JFEスチールと神戸製鋼所<5406>への売上依存度はそれぞれ43.7%と9.7%になり2社合算すると5割を超える。
高炉メーカーへの売上依存度が高いため、同社は主要顧客の製鉄所内に営業所やエンジニアリング事業部の拠点を置くなど顧客密着型の体制を取っている。装置産業である鉄鋼メーカーのニーズは、設備稼働率の維持、高い歩留り、高品質である。同社は、主要顧客に対して緊密な営業と迅速なサポート体制を取っている。JFEスチールに対して、東日本製鉄所の千葉地区と京浜地区で、西日本製鉄所では倉敷地区と福山地区のいずれにも営業所とエンジニアリング事業部事業所を配置している。神戸製鋼所には、神戸及び加古川の拠点に対応する営業所を置いている。また、日本製鉄では、同社の鹿島営業所が東日本製鉄所(鹿島地区)内で、和歌山営業所が関西製鉄所(和歌山地区)内で活動している。他の営業所(北海道室蘭市、東京都、愛知県東海市、兵庫県姫路市、福岡県北九州市)も日本製鉄向けにネットワークを築いている。
a) 国内生産体制
2009年の合併以降、第2次中期3ヶ年経営計画まで統合効果と競争力強化のため生産集約による最適生産体制への再編を行った。2014年4月に、生産部門を湯本・赤穂・岡山の3工場体制から、東日本・西日本の2工場体制に再編した。第5次中期経営計画では、2022年3月期の上期から西日本地区の不定形耐火物の生産拠点の集約に取りかかり、2024年3月期末の稼働開始を計画している。
主要国内煉瓦プラントの多くは、高度に自動化されており、省力化・自動化のために工業用ロボットが導入されている。製造工程は、秤量・混練・成形・台車積載・乾燥・焼成・検査・梱包となる。最新のコンピュータ統合生産システムによる生産管理方式を取り入れ、すべての製造工程の管理と自動全数検査システムの導入により、徹底した品質管理体制を実現している。成形には、最大5,000トンの油圧真空プレス機を使用し、焼成の最高温度は1,850℃、トンネルキルンで約1週間かけて焼き上げる。
b) 主要製品
耐火物及び関連製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、セラミックファイバー、ファインセラミックス、特殊製品で構成される。
定形耐火物では、用途に応じて塩基性煉瓦、カーボン含有煉瓦、粘土質煉瓦、高アルミナ質煉瓦、炭化珪素質煉瓦、珪石煉瓦をそろえている。
不定形耐火物には、キャスタブル、吹付材、プレキャスト、プラスチック、ラミングミックス、モルタルがある。緻密性、断熱性、耐酸性など各種要求、施工方法や工期に応じて最適の製品を提供する。キャスタブルは、流し込み、吹付け、こて塗りなど、施工方法に合わせた製品が数多くある。吹付材は、施工枠が不要で、大量の施工が短時間に行え、緊急時の熱間補修にも最適である。プレキャストは、現場での流し込み施工が困難な場合に、キャスタブルを所定の形状に最適条件で流し込み成形した製品で、工期の短縮になる。欧州の鉄鋼メーカーは、製造設備に標準化された製品を使用してコストダウンを図る経営スタイルをとっている。日本の鉄鋼メーカーは、継続的な改善活動により、炉の設計や炉材を常に進化させている。耐火物の需要は、海外では定形品7:不定形品3の割合だが、日本では定形品3:不定形品7となる。
連続鋳造用モールドパウダーは、耐火物業界では同社だけが手掛けている競争力が高い製品で、高品質な鋼材生産に不可欠な製品である。鋳型内に添加される粉末状潤滑剤で、溶鋼表面の保温と酸化防止、鋳型と鋼塊間の潤滑などの重要な機能を持つ。連続鋳造とは、溶融した鋼を連続的に冷却・凝固させて、板状や棒状の鋼塊にする工程である。その工程で使用されるスライドゲートプレート、浸漬ノズルなどの機能性耐火物とともに、モールドパウダーは戦略品種に位置付けられている。
浸漬ノズルは、連続鋳造工程において溶鋼の酸化防止やモールド内の流動の制御等重要な役割を果たす。同社は、浸漬ノズルの販売だけでなく浸漬ノズル迅速交換装置を提供し、顧客の作業負荷を低減し、連続鋳造の稼働率向上に貢献している。
セラミックファイバーは、軽量で低熱伝導率、高断熱性で省エネルギーには欠かせない素材になる。施工性に優れた各種モジュール、成形品、断熱ボード、シート、ガスケットなど、様々な製品でニーズに対応している。
ファインセラミックスは、高度に微細組織を制御したセラミック素材である。アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、サイアロンなど、様々な機能や特性を備えた素材で、各種ローラー、ダイス、ポンプ部品から液晶・半導体製造装置用セラミックスまで、多様なエンジニアリングセラミックスを提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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