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NexusB Research Memo(5):第3四半期までの通期計画に対する進捗率は利益ベースで90%を超える

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/23 15:25
■今後の見通し

1. 2021年12月期の業績見通し
Nexus Bank<4764>の2021年12月期の連結業績は、営業収益で前期比416.2%増の20,000百万円、営業利益で同832.5%増の3,500百万円、経常利益で同875.4%増の3,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で3,100百万円(前期は82百万円の損失)と、2021年8月に上方修正した会社計画を据え置いている。第3四半期までの進捗率を見ると営業収益で81.4%、各利益段階では97%以上と、計画を上回るペースとなっている。好進捗の背景としては、海外Fintechの収益が順調に拡大していることに加えて、為替レートが0.0960円/KRWと当初想定していた0.0907円/KRWから5.8%円安で推移していることが挙げられる。

通期業績計画を据え置いたのは、為替変動リスクや新規の事業投資等によるJカーブ効果を考慮したことが要因となっている。直近の為替レートは0.095円/KRW(2021年11月30日現在)前後と若干円高に進んでいるものの、現状の水準で推移するようであれば会社計画は十分達成できるものと弊社では見ている。

なお、2021年12月期の1株当たり当期純利益予想が19.13円となっているが、これはA種優先株式が普通株式に転換されることを考慮して算出された数値となっており、2021年9月末時点の発行済株式数(59,739千株)を基に算出した1株当たり当期純利益は51.89円となる。


海外Fintechの安定成長と国内キャッシュレスサービス・新規事業の育成により、2023年12月期に営業収益240億円、営業利益50億円を目指す

2. 中期経営計画について
同社は2021年2月に3ヶ年の中期経営計画「Nexus Growth Plan 2023」を策定したが、同年6月に子会社を売却したことに伴い、成長戦略の1つとして掲げていたクラウドファンディングサービスを除外した修正版「事業計画及び成長可能性に関する事項」を10月に発表した。業績目標については、子会社売却の影響により2023年12月期営業収益を240億円(前回発表時250億円)とし、営業利益については50億円を据え置いた。なお、「海外Fintechの安定成長」「国内Fintech基盤の再構築」「グループ経営に向けたコーポレート・ガバナンス強化」の3つの基本戦略を推進していく方針に変わりはない。また新規事業領域として、スタートアップ企業を対象とした資金調達支援サービスや、エンタメ・コンテンツ領域でのサービス、新たなIT技術・プロダクトの創出に向けたM&A・資本業務提携なども検討していくとしている。

2023年12月期の営業収入の内訳としては、海外Fintechで230億円(2021年12月期見込み193億円)、国内Fintechで9.2億円(同6.9億円)とし、国内エリアについては長期的な成長を実現していくうえでの事業基盤を再構築する期間と位置付けている。

海外Fintechについては、今後も商品の拡充や販売チャネルの拡大、利便性向上を図りながら、中金利帯の優良個人向け貸付残高を拡大し、安定成長を目指していく。韓国の金融業界は第1金融圏(普通銀行等)、第2金融圏(貯蓄銀行、信用協同機構、クレジットカード会社、保険・証券会社等)、第3金融圏(貸金業等)と3つに分かれており、JT親愛貯蓄銀行は第2金融圏に属している。貯蓄銀行業界全体の資産規模は2017年から2020年の3年間で1.54倍に拡大しており、この背景には銀行(第1金融圏)の信用貸付に対する規制強化の適用、貸金業者(第3金融圏)の貸出上限金利引き下げ等があった。今後、こうした金融政策が変わる可能性もあるが、JT親愛貯蓄銀行では貸付残高を2020年末の1,694億円から2023年末に2,500億円(年率13.9%増)に拡大することを目標としている。また、自己資本も同様に2020年12月末の202億円から300億円に拡大し、BIS比率に関しては13.1%と12%以上の水準を維持していく計画だ※。

※いずれも韓国現地の会計基準(K-GAAP)に基づく実績・計画値。


一方、Nexus Cardが展開する国内Fintechは、成長基盤の再構築に取り組んでいく。本格的なキャッシュレス社会を迎え、多様なニーズに応えるデポジット型クレジットカードのプロモーションを強化し利用顧客数を増やしていくほか、個別クレジットについても営業体制の強化とグループ連携の推進により取扱加盟店並びに取扱業種を拡大し、事業規模を拡大していく。新たに開始したスタートアップ企業向け投融資も含めた取扱高では、2023年12月期に80億円(2020年12月期実績15億円)に拡大し、安定的なストックビジネスとしての確立を目指す。

なお、2023年12月期の営業利益目標50億円という水準は、JT親愛貯蓄銀行の2020年12月期の営業利益に相当するため、韓国における市場環境が今後悪化しなければ、達成する可能性は高いと弊社では見ている。今後、国内Fintechの進捗状況次第でさらなる成長も見えてくるだけに、新規事業領域の開拓も含めた動向が注目される。

そのほか、中期経営計画を遂行していくため、グループ経営戦略機能の強化と各事業における自律的な専門性の強化を目的に、2021年4月より持株会社体制に移行している。また、東京証券取引所の株式上場において、「合併等による実質的存続性の喪失」にかかる猶予期間からの早期解消と新市場区分への対応や、株主をはじめとしたステークホルダーへの適切な情報開示等にも注力していく。こうした取り組みを推進するため、経営戦略・経営管理・グループ事業推進のための体制強化を図るべく専門人材の採用を進めていくほか、社内における人材育成にも取り組みながらグループ全体の組織力を強化していく方針だ。加えて、事業の特性上、様々な顧客情報を有することから情報セキュリティ強化のための社内教育・研修や、継続的なシステム機能の追加を実施し、情報管理体制も強化していくことにしている。なお、東京証券取引所が今後予定している新市場区分の見直し(2022年4月にプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に再編)では、グロース市場への移行を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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