562円
東京個別指導学院のニュース
■今後の見通し
2. 中期経営計画
早稲田アカデミー<4718>は2021年1月に4ヶ年の中期経営計画を発表し、「子どもたちの未来を育む 独自の価値を提供し続け 教育企業No.1を目指す」ことを企業目標に、合格実績戦略により成長を目指す方針を掲げた。合格実績戦略とは、「本気でやる子を育てる」という同社の教育理念を徹底実践することを起点に、生徒の本気を引き出す授業によって成績向上と志望校への合格を実現し、その結果、顧客満足度を高めて地域での評判を獲得し、塾生数の増加によって収益を拡大していく戦略で、これまで同社が継続して取り組んできたものだ。
業績目標については2021年以降、小学生を中心に塾生数が想定を上回るペースで拡大を続けていることから、前年5月に続いて2回目の上方修正を発表した。最終年度となる2024年3月期には売上高で331.7億円(前回290.8億円)、経常利益で25.5億円(同17.1億円)を目指す。2023年3月期見込みに対する成長率は売上高で7.0%増、経常利益で17.0%増となり、2023年3月期とほぼ同様のペースでの収益成長を見込んでいることになる。前述した通り主力の小学生部門において低学年層の塾生数が大きく伸びていることもあり、達成する可能性は十分あると弊社では見ている。また、今回ROEについても目標値を新たに発表し、2024年3月期で12.1%を設定した。
今回の中期経営計画においては、既存のコア事業の強化を図りつつ、新領域へも積極的にチャレンジしていく方針を掲げてきた。コア事業の強化についてはおおむね順調に進んでおり、その結果として塾生数の拡大につながっているものと考えられる。一方、新領域についてはオンライン校の設立や、ICTを活用した新規サービスについては予定通り進んでおり、個別指導部門の拡充展開についても事業譲受により同社単独で展開していくことが可能となったことで2023年3月期以降加速していくものと予想される。一方で、英語ブランド校舎や海外直営校の展開についてはコロナ禍ということもあって進んでおらず、今後の課題となる。
(1) DX戦略について
コロナ禍で開始した新規サービス「早稲田アカデミーEAST」や「早稲田アカデミーOnline」は、塾生や保護者からの評価も高く、多く利用されている。このため、これらサービスについては外販の可能性も検討している。また、既存サービスに加えて新たなサービスの開発も推進していくため、2022年4月より情報システム部をデジタルソリューション部に改称し、人員も増強した。現在、複数のプロジェクトを企画しており、外部のIT企業も活用し開発を進めている。同社ではITの活用度合が顧客満足度の向上や学習効率の向上などの面で、競争上の差別化要因になってくるとの考えから、今後もサービスの開発や機能の拡充に注力していく方針である。
(2) 個別進学館の展開について
個別進学館については、難関校合格に向けた個別指導塾としてのNo.1ブランドの確立を目指すべく、今後は積極的に展開していく方針だ。今回、明光ネットワークジャパンとの共同展開から同社単独で事業展開していくこととなり、今まで以上に集団校舎との連携が進むと見ている。直営校舎については校長の育成ペースにもよるが、年間2~3校のペースで展開していく予定にしている。集団校舎と個別指導塾ではマネジメント手法も異なるため、校長として配属するには教務主任として現場で1年以上の経験を積む必要がある。このため、FCシステムも活用しながら事業展開を加速していきたい考えだ。2022年3月現在、FC校も含めて58校体制となっているが、早期に100校体制の実現を目指していく。
難関校志望の塾生は苦手科目について、個別指導塾を併用して利用しているケースも多い。早稲田アカデミー(小学・中学部、大学受験部)の校舎数128校に対して、個別進学館は58校しかなく今までは他の個別指導塾にこうした生徒が一定数流れていた可能性がある。今後、早稲田アカデミーの近隣に個別進学館を開校していくことで、他塾に流出していた塾生を囲い込むことでLTVの最大化を目指す。個別進学館については1校舎当たりの平均塾生数が90名程度と競合塾と比較して規模はまだ小さいものの、難関志望校向け個別指導塾としてのブランドが確立されれば、塾生数の一段の増加と収益力の向上が見込まれる※。なお、早稲田アカデミーが近隣にある個別進学館の塾生のうち、早稲田アカデミーにも通塾している塾生の比率は約35%となっている。
※個別進学館の校舎当たり塾生数は、明光ネットワーク決算短信より(2021年8月末の全校舎数56校(FC含む)に対して塾生数は4,986人)。競合塾としてリソー教育<4714>や東京個別指導学院<4745>があり、校舎当たり生徒数は会社資料から130~180名程度と推定される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
2. 中期経営計画
早稲田アカデミー<4718>は2021年1月に4ヶ年の中期経営計画を発表し、「子どもたちの未来を育む 独自の価値を提供し続け 教育企業No.1を目指す」ことを企業目標に、合格実績戦略により成長を目指す方針を掲げた。合格実績戦略とは、「本気でやる子を育てる」という同社の教育理念を徹底実践することを起点に、生徒の本気を引き出す授業によって成績向上と志望校への合格を実現し、その結果、顧客満足度を高めて地域での評判を獲得し、塾生数の増加によって収益を拡大していく戦略で、これまで同社が継続して取り組んできたものだ。
業績目標については2021年以降、小学生を中心に塾生数が想定を上回るペースで拡大を続けていることから、前年5月に続いて2回目の上方修正を発表した。最終年度となる2024年3月期には売上高で331.7億円(前回290.8億円)、経常利益で25.5億円(同17.1億円)を目指す。2023年3月期見込みに対する成長率は売上高で7.0%増、経常利益で17.0%増となり、2023年3月期とほぼ同様のペースでの収益成長を見込んでいることになる。前述した通り主力の小学生部門において低学年層の塾生数が大きく伸びていることもあり、達成する可能性は十分あると弊社では見ている。また、今回ROEについても目標値を新たに発表し、2024年3月期で12.1%を設定した。
今回の中期経営計画においては、既存のコア事業の強化を図りつつ、新領域へも積極的にチャレンジしていく方針を掲げてきた。コア事業の強化についてはおおむね順調に進んでおり、その結果として塾生数の拡大につながっているものと考えられる。一方、新領域についてはオンライン校の設立や、ICTを活用した新規サービスについては予定通り進んでおり、個別指導部門の拡充展開についても事業譲受により同社単独で展開していくことが可能となったことで2023年3月期以降加速していくものと予想される。一方で、英語ブランド校舎や海外直営校の展開についてはコロナ禍ということもあって進んでおらず、今後の課題となる。
(1) DX戦略について
コロナ禍で開始した新規サービス「早稲田アカデミーEAST」や「早稲田アカデミーOnline」は、塾生や保護者からの評価も高く、多く利用されている。このため、これらサービスについては外販の可能性も検討している。また、既存サービスに加えて新たなサービスの開発も推進していくため、2022年4月より情報システム部をデジタルソリューション部に改称し、人員も増強した。現在、複数のプロジェクトを企画しており、外部のIT企業も活用し開発を進めている。同社ではITの活用度合が顧客満足度の向上や学習効率の向上などの面で、競争上の差別化要因になってくるとの考えから、今後もサービスの開発や機能の拡充に注力していく方針である。
(2) 個別進学館の展開について
個別進学館については、難関校合格に向けた個別指導塾としてのNo.1ブランドの確立を目指すべく、今後は積極的に展開していく方針だ。今回、明光ネットワークジャパンとの共同展開から同社単独で事業展開していくこととなり、今まで以上に集団校舎との連携が進むと見ている。直営校舎については校長の育成ペースにもよるが、年間2~3校のペースで展開していく予定にしている。集団校舎と個別指導塾ではマネジメント手法も異なるため、校長として配属するには教務主任として現場で1年以上の経験を積む必要がある。このため、FCシステムも活用しながら事業展開を加速していきたい考えだ。2022年3月現在、FC校も含めて58校体制となっているが、早期に100校体制の実現を目指していく。
難関校志望の塾生は苦手科目について、個別指導塾を併用して利用しているケースも多い。早稲田アカデミー(小学・中学部、大学受験部)の校舎数128校に対して、個別進学館は58校しかなく今までは他の個別指導塾にこうした生徒が一定数流れていた可能性がある。今後、早稲田アカデミーの近隣に個別進学館を開校していくことで、他塾に流出していた塾生を囲い込むことでLTVの最大化を目指す。個別進学館については1校舎当たりの平均塾生数が90名程度と競合塾と比較して規模はまだ小さいものの、難関志望校向け個別指導塾としてのブランドが確立されれば、塾生数の一段の増加と収益力の向上が見込まれる※。なお、早稲田アカデミーが近隣にある個別進学館の塾生のうち、早稲田アカデミーにも通塾している塾生の比率は約35%となっている。
※個別進学館の校舎当たり塾生数は、明光ネットワーク決算短信より(2021年8月末の全校舎数56校(FC含む)に対して塾生数は4,986人)。競合塾としてリソー教育<4714>や東京個別指導学院<4745>があり、校舎当たり生徒数は会社資料から130~180名程度と推定される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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