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―旺盛な需要取り込み好決算相次ぐ有望セクター、ITシステムやコンサルなど続々―
4-6月期決算発表シーズンが一巡し、このところの株式市場には夏枯れムードが漂う。低位株が突発的に人気化するなど手掛かり材料難の地合いならではの動きが散見される。こうした相場環境下では日々の物色動向を追うのも良いが、それとあわせ決算発表を終えた企業を中心に好業績銘柄の探索をじっくり進めておきたいところ。そのなか注目したいのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連株だ。富士通 <6702> [東証P]やNEC <6701> [東証P]など主力どころを筆頭に業績の好調さが際立っている。
●企業のデジタル化実施は中小30%、大企業でも75%
富士通が先月発表した4-6月期決算は、本業での実質的なもうけを示す調整後営業利益が前年同期比9倍の236億円となった。国内市場を中心にDXやモダナイゼーション(近代化)に関する案件が増えたほか、同社が注力するDX支援事業「ユーバンス」が伸びた。NECも先月に決算発表を行い、4-6月期の実質ベースの営業利益(Non-GAAP)は前年同期比29倍の162億円と急増。ITサービスを中心に売上高が堅調だったことに加え、採算改善の取り組みなどが奏功し大幅増益を達成した。
野村総合研究所 <4307> [東証P]やオービック <4684> [東証P]、日鉄ソリューションズ <2327> [東証P]、日本オラクル <4716> [東証S]といった他のITシステム各社も軒並み好決算だった。いずれも企業の旺盛なデジタル化需要が追い風となった格好だ。ベイカレント・コンサルティング <6532> [東証P]など、ITシステムとほぼ同じ業種カテゴリーにあるITコンサル会社の業績も好調なものが目立つ。
少子高齢化に伴う構造的な人手不足によって社会全体で業務効率化や省人化が急務となるなか、その手段としてデジタル化は必須だ。総務省の今年の調査によると、昨年度までにデジタル化の取り組みを実施している企業は大企業でも約75%にとどまり、中小企業に至ってはわずか30%程度という。ここ数年はコロナ禍もあって取り組みが一気に加速した感もあるが、実際はまだまだ進んでいないのが現状のようだ。ただ、これは裏を返せばデジタル化需要の伸びしろが大きいとも捉えることができる。DXビジネスを展開する企業にとっては大きなチャンスになり得る。今回、ITシステムやコンサルなどDX関連の範疇にある銘柄群の中から、今後の成長が期待される有望株6銘柄をピックアップした。
●最高益や高配当など、株価は上値指向へ
JBCCホールディングス <9889> [東証P]はITインフラ構築大手。今月初めの大波乱相場でチャートが崩れなかった銘柄として注目したい。足もとクラウドサービスが好調で、昨今のサイバー攻撃を巡る報道を追い風にセキュリティーサービスとのクロスセルが奏功している。生成AI活用支援サービスなども手掛け、4-6月期は営業35%増益で着地。通期では前期に続き最高益更新を目指す。同決算を発表した7月31日に株価は13%超高と急伸。その後全体相場にツレ安したが、すぐに立ち直り上値指向を強めつつある。
アバントグループ <3836> [東証P]は企業向けにシステム開発や保守、DXソリューションの提供を行う。今月2日に発表した前24年6月期決算は売上高、営業利益とも過去最高を更新。祖業の連結会計ソフトが堅調だったほか、企業のデータ活用を支援する「デジタルトランスフォーメーション推進事業」が伸長し全体を牽引した。25年6月期も増収増益見通しで増配も計画している。この発表を受けた翌営業日5日の同社株は全体波乱相場のなか逆行高。その後も強調展開を続け、21年の上場来高値が視野に入っている。
ギックス <9219> [東証G]はデータ分析に基づくコンサルを手掛ける。システム系の小型グロース株の中では珍しく配当に手厚い点がポイント。企業のデジタル化需要を取り込み前24年6月期は引き続き高い増収率を実現した一方、利益面では人件費などの先行投資がかさみ大幅減益となった。今期は増収増益を達成する見込みだ。配当予想は前期比大幅増の年53円50銭とした。直近で配当利回りは5%を超える。会社側では成長投資に向けた内部留保を確保するため、社長を含む創業者らは配当受け取りを辞退するという。
SIGグループ <4386> [東証S]は独立系のシステム開発会社。日立製作所 <6501> [東証P]やパナHD系、東電HD系を主要顧客に抱えるほか、官公庁や自治体向けでも豊富な実績を持つ。受注単価アップや高利益率案件へのシフトに注力し、M&A効果もあって4-6月期の営業利益は前年同期比7割近い増益を実現。7月半ばに東京大学発のAIスタートアップと業務提携したと発表し物色人気化したが、全体波乱に巻き込まれ急落するなど荒い値動きをみせた。目先は4-6月期好決算を手掛かりに戻り歩調にある。
クレスコ <4674> [東証P]はソフト開発受託を主力とし、金融や製造業、建設、不動産、情報通信と幅広い分野に向けて展開している。4-6月期は営業85%増益と好決算を叩き出し、通期では最高益を計画。6期連続の実質増配を見込むなど同社も株主還元に手厚い。好業績を背景に株価は先月に1451円をつけ、ITバブル期の水準を上回って約24年ぶりに上場来高値を更新した。その後全体波乱で下落を余儀なくされたが、1000円トビ台に位置する200日移動平均線がサポートになり、急速に切り返す動きをみせている。
タナベコンサルティンググループ <9644> [東証P]は大企業から中堅企業までをカバーする経営コンサルのパイオニア企業。DX戦略の策定やシステム構築といった各種経営支援が好調に推移し、4-6月期の純利益は前年同期比24%増の1億9200万円と第1四半期における過去最高益を更新。通期も最高益となる見通しで、配当は4期連続の増配を見込む。株価は7月高値(1539円)から8月5日安値(997円)まで大きく水準を切り下げた後、200日線が位置する1100円近辺で推移。配当利回りは4%台と高水準だ。
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