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オンコリスバイオファーマのニュース
■開発パイプラインの動向
3. センサブジン「OBP-601」
核酸系逆転写酵素阻害剤「OBP-601」は2020年6月に、オンコリスバイオファーマ<4588>とトランスポゾン社との間で主に神経変性疾患の治療薬開発に関して、全世界における再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結したことを発表した。ライセンス契約の総額は3億米ドル以上(販売ロイヤリティ収入除く)となり、開発・製造・販売のコストはすべてトランスポゾン社が負担する契約となっている。
「OBP-601」は、米ブラウン大学が実施した動物実験の結果により、神経変性疾患に有効であるとのデータが得られたことにより、トランスポゾン社との契約につながっている。具体的には、「OBP-601」がレトロトランスポゾン※の逆転写と複製を抑制する効果があることと、脳内への高い移行性を示すことが確認された。レトロトランスポゾンが複製されると、遺伝子の突然変異が起こりやすくなり、様々な反応により神経細胞を傷つけることで神経変性疾患が発症し、症状が悪化すると考えられている。「OBP-601」がこうした逆転写や複製を抑制することで、症状の悪化スピードを遅らせる効果が期待されている。「OBP-601」はHIV治療薬として開発されたが、長期服用したHIV患者がアルツハイマー病等の神経変性疾患の発症リスクが低い(=神経変性疾患に有効)というデータがあることから、トランスポゾン社では最終的に患者数の多いアルツハイマー病治療薬としての開発も視野に入れていると考えられる。
※ ヒトのゲノムの約半分は「動く遺伝子」と呼ばれるトランスポゾンで構成されており、その大部分が「逆転写酵素」によってゲノムの他の箇所へと転移するレトロトランスポゾンとなり、ヒトゲノムの約8%を占めている。
トランスポゾン社では、神経変性疾患のなかでも未だ治療法が確立されていない希少疾患を対象に開発をスタートしている。具体的には、「進行性核上性麻痺(以下、PSP)※1」を対象とした前期第2相臨床試験を2021年11月より開始したほか、「前頭側頭型認知症(以下、FTD)※2及び筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)※3」を対象とした前期第2相臨床試験を2022年1月より欧米で開始している。予定症例数は40例で安全性と忍容性を確認し、副次評価項目として有効性を確認する。プラセボを比較対象とした二重盲検試験で中間解析は行わず、最終結果を見て次のステップに進むかどうか判断することになる。治験終了見込みは2023年となっており、2024年にも試験結果が判明する見通しだ。
※1 進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)は、脳の神経細胞が減少することにより、転びやすくなったり、しゃべりにくくなったりするなどの症状が見られる疾患。発症は40歳以降で、高齢者に多く発症する。
※2 前頭側頭型認知症(FTD:Frontotemporal Dementia)は、主として初老期に発症し、大脳の前頭葉や側頭葉を中心とする神経細胞の変性・脱落により、人格変化や行動障害、失語症、認知機能障害、運動障害などが緩徐に進行する神経変性疾患。
※3 筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)は、脳の運動を司る神経が何らかの理由で障害を受け、徐々に機能しなくなることで、四肢や呼吸に必要な筋肉が痩せて力がなくなっていく進行性の疾患。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. センサブジン「OBP-601」
核酸系逆転写酵素阻害剤「OBP-601」は2020年6月に、オンコリスバイオファーマ<4588>とトランスポゾン社との間で主に神経変性疾患の治療薬開発に関して、全世界における再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結したことを発表した。ライセンス契約の総額は3億米ドル以上(販売ロイヤリティ収入除く)となり、開発・製造・販売のコストはすべてトランスポゾン社が負担する契約となっている。
「OBP-601」は、米ブラウン大学が実施した動物実験の結果により、神経変性疾患に有効であるとのデータが得られたことにより、トランスポゾン社との契約につながっている。具体的には、「OBP-601」がレトロトランスポゾン※の逆転写と複製を抑制する効果があることと、脳内への高い移行性を示すことが確認された。レトロトランスポゾンが複製されると、遺伝子の突然変異が起こりやすくなり、様々な反応により神経細胞を傷つけることで神経変性疾患が発症し、症状が悪化すると考えられている。「OBP-601」がこうした逆転写や複製を抑制することで、症状の悪化スピードを遅らせる効果が期待されている。「OBP-601」はHIV治療薬として開発されたが、長期服用したHIV患者がアルツハイマー病等の神経変性疾患の発症リスクが低い(=神経変性疾患に有効)というデータがあることから、トランスポゾン社では最終的に患者数の多いアルツハイマー病治療薬としての開発も視野に入れていると考えられる。
※ ヒトのゲノムの約半分は「動く遺伝子」と呼ばれるトランスポゾンで構成されており、その大部分が「逆転写酵素」によってゲノムの他の箇所へと転移するレトロトランスポゾンとなり、ヒトゲノムの約8%を占めている。
トランスポゾン社では、神経変性疾患のなかでも未だ治療法が確立されていない希少疾患を対象に開発をスタートしている。具体的には、「進行性核上性麻痺(以下、PSP)※1」を対象とした前期第2相臨床試験を2021年11月より開始したほか、「前頭側頭型認知症(以下、FTD)※2及び筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)※3」を対象とした前期第2相臨床試験を2022年1月より欧米で開始している。予定症例数は40例で安全性と忍容性を確認し、副次評価項目として有効性を確認する。プラセボを比較対象とした二重盲検試験で中間解析は行わず、最終結果を見て次のステップに進むかどうか判断することになる。治験終了見込みは2023年となっており、2024年にも試験結果が判明する見通しだ。
※1 進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)は、脳の神経細胞が減少することにより、転びやすくなったり、しゃべりにくくなったりするなどの症状が見られる疾患。発症は40歳以降で、高齢者に多く発症する。
※2 前頭側頭型認知症(FTD:Frontotemporal Dementia)は、主として初老期に発症し、大脳の前頭葉や側頭葉を中心とする神経細胞の変性・脱落により、人格変化や行動障害、失語症、認知機能障害、運動障害などが緩徐に進行する神経変性疾患。
※3 筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)は、脳の運動を司る神経が何らかの理由で障害を受け、徐々に機能しなくなることで、四肢や呼吸に必要な筋肉が痩せて力がなくなっていく進行性の疾患。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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