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オンコリスバイオファーマのニュース
■要約
オンコリスバイオファーマ<4588>は、腫瘍溶解ウイルスによるがん治療薬(テロメライシン)やがん検査薬(テロメスキャン)の開発を目的に2004年に設立されたバイオベンチャーである。テロメライシンについては2019年4月に中外製薬<4519>と独占的ライセンス契約を締結したが、両社協議のうえ2022年10月に契約を解消することを合意し、新たなライセンス契約交渉を開始している。
1. テロメライシンの開発動向
テロメライシンの開発戦略は、中外製薬との契約解消に伴って見直しを行った。国内では現在進めている食道がんを対象とした第2相臨床試験(放射線併用療法)を2022年10月15日までに中外製薬から引き継ぎ、2024年の国内承認申請を目指すほか、承認申請までに新たな販売パートナーとのライセンス契約締結を目指す。候補企業は、食道がんを適応症とした免疫チェックポイント阻害剤や抗がん剤を販売もしくは開発中の企業で、数十社にコンタクトしている。また、米国で進めている3本の医師主導臨床試験についても、パートナー企業が見つかれば企業治験に切り替えて開発のスピードを加速していきたい考えだ。まずは放射線併用で製造販売承認を取得し、その後は放射線化学療法や、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法へと適応拡大していくことで製品価値の最大化を図る戦略で、国内外で適応拡大が進めば売上高は1,000億円を超える規模に拡大する可能性があると同社では試算している。
2. その他パイプラインの動向
新型コロナウイルス感染症の無症状病原体保有者から軽症患者を対象とした治療薬「OBP-2011」は、2022年内に治験申請を行うとともにライセンス契約交渉も進めていく。既に販売されている治療薬とは作用機序が異なるため、先行品を開発した製薬企業も含めてライセンス契約の可能性があると見ている。候補先企業から求められているデータ(前臨床試験結果や作用機序の解明)を示すことができれば契約締結に大きく前進するものと見られ、同社では2022年内にもこれらデータを纏めて交渉先に提示していく考えだ。また、2020年6月に米Transposon Therapeutics, Inc.(以下、トランスポゾン社)と総額3億米ドル以上の再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結した「OBP-601」については、欧米で神経変性疾患を対象とした前期第2相臨床試験が開始され、2024年以降に結果が判明する見通しとなっている。そのほか、テロメスキャンは国内でAIによるCTC(血中循環がん細胞)※自動検査プラットフォームを2024年に完成させ、その後ライセンス活動を展開していく。次世代テロメライシン「OBP-702」については開発の優先順位を下げ、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)からの助成金の範囲内で開発を進めていくことにした。
※ CTC(血中循環がん細胞)とは、原発腫瘍組織または転移腫瘍組織から血中へ遊離し、血流中を循環する細胞のこと。原発腫瘍部位から遊離した後、CTCは血液内を循環し、その他の臓器を侵襲して転移性腫瘍(転移巣)を形成する。
3. 業績動向
2021年12月期の売上高は前期比328百万円増加の642百万円、営業損失は同220百万円縮小の1,454百万円となった。売上高は中外製薬向け治験薬の販売による収入や提携先の台湾Medigen Biotechnology Corp.(以下、メディジェン社)からのテロメライシンに係る開発協力金収入の増加により増収となった。また、研究開発費の減少等が営業損失の縮小要因となった。2022年12月期の業績は売上高で前期比357百万円増加の1,000百万円、営業損失で同145百万円拡大の1,600百万円を見込んでいる。売上高は中外製薬からの収入が継続するほか、ライセンス契約一時金収入を見込んでいる。一方、研究開発費等が前期比430百万円増の1,700百万円と増加することで、営業損失は拡大する見込みだ。なお、2021年12月末の現金及び預金は3,454百万円となっており、今後2年程度の事業活動資金は確保しているが、2023年以降は新たな資金調達を行う可能性がある。
■Key Points
・テロメライシンは新たなライセンス契約締結と2024年の国内承認申請を最優先に取り組み、将来的に1,000億円以上の製品価値を目指す
・新型コロナウイルス感染症治療薬は早期導出を視野に入れ、前臨床試験、作用機序の解明に取り組む方針
・2022年12月期はライセンス契約の締結により売上高10億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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オンコリスバイオファーマ<4588>は、腫瘍溶解ウイルスによるがん治療薬(テロメライシン)やがん検査薬(テロメスキャン)の開発を目的に2004年に設立されたバイオベンチャーである。テロメライシンについては2019年4月に中外製薬<4519>と独占的ライセンス契約を締結したが、両社協議のうえ2022年10月に契約を解消することを合意し、新たなライセンス契約交渉を開始している。
1. テロメライシンの開発動向
テロメライシンの開発戦略は、中外製薬との契約解消に伴って見直しを行った。国内では現在進めている食道がんを対象とした第2相臨床試験(放射線併用療法)を2022年10月15日までに中外製薬から引き継ぎ、2024年の国内承認申請を目指すほか、承認申請までに新たな販売パートナーとのライセンス契約締結を目指す。候補企業は、食道がんを適応症とした免疫チェックポイント阻害剤や抗がん剤を販売もしくは開発中の企業で、数十社にコンタクトしている。また、米国で進めている3本の医師主導臨床試験についても、パートナー企業が見つかれば企業治験に切り替えて開発のスピードを加速していきたい考えだ。まずは放射線併用で製造販売承認を取得し、その後は放射線化学療法や、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法へと適応拡大していくことで製品価値の最大化を図る戦略で、国内外で適応拡大が進めば売上高は1,000億円を超える規模に拡大する可能性があると同社では試算している。
2. その他パイプラインの動向
新型コロナウイルス感染症の無症状病原体保有者から軽症患者を対象とした治療薬「OBP-2011」は、2022年内に治験申請を行うとともにライセンス契約交渉も進めていく。既に販売されている治療薬とは作用機序が異なるため、先行品を開発した製薬企業も含めてライセンス契約の可能性があると見ている。候補先企業から求められているデータ(前臨床試験結果や作用機序の解明)を示すことができれば契約締結に大きく前進するものと見られ、同社では2022年内にもこれらデータを纏めて交渉先に提示していく考えだ。また、2020年6月に米Transposon Therapeutics, Inc.(以下、トランスポゾン社)と総額3億米ドル以上の再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結した「OBP-601」については、欧米で神経変性疾患を対象とした前期第2相臨床試験が開始され、2024年以降に結果が判明する見通しとなっている。そのほか、テロメスキャンは国内でAIによるCTC(血中循環がん細胞)※自動検査プラットフォームを2024年に完成させ、その後ライセンス活動を展開していく。次世代テロメライシン「OBP-702」については開発の優先順位を下げ、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)からの助成金の範囲内で開発を進めていくことにした。
※ CTC(血中循環がん細胞)とは、原発腫瘍組織または転移腫瘍組織から血中へ遊離し、血流中を循環する細胞のこと。原発腫瘍部位から遊離した後、CTCは血液内を循環し、その他の臓器を侵襲して転移性腫瘍(転移巣)を形成する。
3. 業績動向
2021年12月期の売上高は前期比328百万円増加の642百万円、営業損失は同220百万円縮小の1,454百万円となった。売上高は中外製薬向け治験薬の販売による収入や提携先の台湾Medigen Biotechnology Corp.(以下、メディジェン社)からのテロメライシンに係る開発協力金収入の増加により増収となった。また、研究開発費の減少等が営業損失の縮小要因となった。2022年12月期の業績は売上高で前期比357百万円増加の1,000百万円、営業損失で同145百万円拡大の1,600百万円を見込んでいる。売上高は中外製薬からの収入が継続するほか、ライセンス契約一時金収入を見込んでいる。一方、研究開発費等が前期比430百万円増の1,700百万円と増加することで、営業損失は拡大する見込みだ。なお、2021年12月末の現金及び預金は3,454百万円となっており、今後2年程度の事業活動資金は確保しているが、2023年以降は新たな資金調達を行う可能性がある。
■Key Points
・テロメライシンは新たなライセンス契約締結と2024年の国内承認申請を最優先に取り組み、将来的に1,000億円以上の製品価値を目指す
・新型コロナウイルス感染症治療薬は早期導出を視野に入れ、前臨床試験、作用機序の解明に取り組む方針
・2022年12月期はライセンス契約の締結により売上高10億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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