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科研製薬のニュース
■主要開発パイプラインの動向
ファンペップ<4881>の開発パイプラインとしては、皮膚潰瘍を適応症とする「SR-0379」のほか、抗体誘導ペプチド技術で開発した乾癬及び強直性脊椎炎を適応症とする「FPP003」、花粉症を適応症とする「FPP004」、乾癬を適応症とする「FPP005」の4品目があり、そのほかにも複数の開発候補品を抱えている。
1. SR-0379(皮膚潰瘍)
「SR-0379」は皮膚潰瘍(褥瘡(床ずれ)及び糖尿病性潰瘍)の治療薬として開発が進められている。現在の皮膚潰瘍の治療法では、皮膚組織が欠損した場合、まずは細菌の付着・増殖を抑えるための治療(消毒剤や抗生物質などを使用)を一定期間施してから、組織再生のための治療(細胞増殖因子の投与)を行っており、治療期間が長いことが課題となっていた。「SR-0379」は線維芽細胞増殖作用や血管新生作用に加えて、抗菌作用もあることから、従来よりも治療期間を短縮できる効果が期待される。
2018年から2019年にかけて実施した第2相臨床試験(症例数120例)の結果では、プラセボ群に対して潰瘍面積の縮小率において有意差は得られなかったものの、重症度の評価指標である「DESIGN-R®スコア」では有意に重症度が改善したとの結果が出ている。同結果を受けて、同社は、PMDAと治験プトロコルの協議を終え、「SR-0379」の第3相臨床試験を植皮等が必要な重度な患者を対象に実施することを決定している。主要評価項目については、「植皮等の簡便な外科的処置までの期間」に決定している。第2相臨床試験の結果から見れば、第3相臨床試験において主要評価項目で有意差を得る可能性は高いと弊社では見ている。
皮膚潰瘍は患者や医療現場からも治療期間の短縮に対するニーズは強く、高齢化社会の進展に伴う「寝たきり患者」問題や糖尿病性皮膚潰瘍患者の増加などからも社会ニーズにマッチした製品と言える。「SR-0379」は誰にでも使えるスプレー式で、ベッドサイドに置いておける安定性もあり利便性の面でもメリットがある。開発に成功すれば、既存薬(細胞増殖因子)の市場を代替していくものと予想される。同社では各種統計データから、皮膚潰瘍患者数(褥瘡及び糖尿病性潰瘍)を、国内で約100万人(褥瘡約20万人、糖尿病性潰瘍約80万人)、米国で約230万人(褥瘡約50万人、糖尿病性潰瘍約180万人)と試算している。今回の第3相臨床試験では重度の皮膚潰瘍患者が対象となっているが、その特性から中度や軽度の患者にも適応拡大される可能性がある。
皮膚潰瘍治療薬としては、軟膏タイプのものから湿布、スプレータイプのものまで様々なものがあるが、スプレータイプの治療薬となる「フィブラストスプレー(科研製薬<4521>)」は薬価が約8千円/瓶となっており、売上規模は約30億円となっている。当面はこの代替を狙っていくことになるが、すべての皮膚潰瘍患者で利用されることになれば、国内だけで潜在市場は約100億円程度が見込まれる。
なお、「SR-0379」については2015年に塩野義製薬と全世界を対象としたライセンス契約を締結しており、契約総額(契約一時金、開発マイルストーン、販売マイルストーンの合計)は100億円となっている。国内では2021年12月期第2四半期に第3相臨床試験を開始し、2023年前半に試験を終了させ、2024年の販売承認・上市を弊社では見込んでいる。ただ、症例数など詳細が決まっていないため、流動的ではある。なお、海外市場については第3相臨床試験の結果を見て、塩野義製薬が開発を進めていくか判断していくことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
ファンペップ<4881>の開発パイプラインとしては、皮膚潰瘍を適応症とする「SR-0379」のほか、抗体誘導ペプチド技術で開発した乾癬及び強直性脊椎炎を適応症とする「FPP003」、花粉症を適応症とする「FPP004」、乾癬を適応症とする「FPP005」の4品目があり、そのほかにも複数の開発候補品を抱えている。
1. SR-0379(皮膚潰瘍)
「SR-0379」は皮膚潰瘍(褥瘡(床ずれ)及び糖尿病性潰瘍)の治療薬として開発が進められている。現在の皮膚潰瘍の治療法では、皮膚組織が欠損した場合、まずは細菌の付着・増殖を抑えるための治療(消毒剤や抗生物質などを使用)を一定期間施してから、組織再生のための治療(細胞増殖因子の投与)を行っており、治療期間が長いことが課題となっていた。「SR-0379」は線維芽細胞増殖作用や血管新生作用に加えて、抗菌作用もあることから、従来よりも治療期間を短縮できる効果が期待される。
2018年から2019年にかけて実施した第2相臨床試験(症例数120例)の結果では、プラセボ群に対して潰瘍面積の縮小率において有意差は得られなかったものの、重症度の評価指標である「DESIGN-R®スコア」では有意に重症度が改善したとの結果が出ている。同結果を受けて、同社は、PMDAと治験プトロコルの協議を終え、「SR-0379」の第3相臨床試験を植皮等が必要な重度な患者を対象に実施することを決定している。主要評価項目については、「植皮等の簡便な外科的処置までの期間」に決定している。第2相臨床試験の結果から見れば、第3相臨床試験において主要評価項目で有意差を得る可能性は高いと弊社では見ている。
皮膚潰瘍は患者や医療現場からも治療期間の短縮に対するニーズは強く、高齢化社会の進展に伴う「寝たきり患者」問題や糖尿病性皮膚潰瘍患者の増加などからも社会ニーズにマッチした製品と言える。「SR-0379」は誰にでも使えるスプレー式で、ベッドサイドに置いておける安定性もあり利便性の面でもメリットがある。開発に成功すれば、既存薬(細胞増殖因子)の市場を代替していくものと予想される。同社では各種統計データから、皮膚潰瘍患者数(褥瘡及び糖尿病性潰瘍)を、国内で約100万人(褥瘡約20万人、糖尿病性潰瘍約80万人)、米国で約230万人(褥瘡約50万人、糖尿病性潰瘍約180万人)と試算している。今回の第3相臨床試験では重度の皮膚潰瘍患者が対象となっているが、その特性から中度や軽度の患者にも適応拡大される可能性がある。
皮膚潰瘍治療薬としては、軟膏タイプのものから湿布、スプレータイプのものまで様々なものがあるが、スプレータイプの治療薬となる「フィブラストスプレー(科研製薬<4521>)」は薬価が約8千円/瓶となっており、売上規模は約30億円となっている。当面はこの代替を狙っていくことになるが、すべての皮膚潰瘍患者で利用されることになれば、国内だけで潜在市場は約100億円程度が見込まれる。
なお、「SR-0379」については2015年に塩野義製薬と全世界を対象としたライセンス契約を締結しており、契約総額(契約一時金、開発マイルストーン、販売マイルストーンの合計)は100億円となっている。国内では2021年12月期第2四半期に第3相臨床試験を開始し、2023年前半に試験を終了させ、2024年の販売承認・上市を弊社では見込んでいる。ただ、症例数など詳細が決まっていないため、流動的ではある。なお、海外市場については第3相臨床試験の結果を見て、塩野義製薬が開発を進めていくか判断していくことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
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