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Jストリームのニュース
*15:26JST Jストリーム Research Memo(6):5類移行でリアル回帰も、一巡後はオンライン回復へ
■事業戦略
1. 市場環境
動画配信市場といっても、Jストリーム<4308>同様、動画配信にトータルで対応できる専業企業はほとんどないが、部分的に類似する企業は少なくない。動画配信プラットフォームでは米Brightcoveや米Vimeo、CDN事業者では米Akamai TechnologiesやAmazon Cloud Frontを提供するAmazon.comが主に挙げられる。いずれもグローバルな巨大企業である。そのほか、自社会員へのサービスとして配信を行っている大手ISP事業者や、大手コンテンツホルダーと提携して副次的に配信サービスを提供するポータルサイト事業者なども、一部同社と類似した事業を行っている。同社の売上高で大きな割合を占める医薬系のWeb講演会に限ると、木村情報技術(株)やエムスリーデジタルコミュニケーションズ(株)といった企業と事業が重なる。
一方、スマートフォンなど動画視聴可能なデバイスを個人が常時携帯するようになったことに加え、Wi-Fi環境の充実や5Gの普及などもあって、インターネット動画の視聴環境は屋内外で整備が進んだ。また、SNSや社内ポータルなどでの動画利用の増加、動画を利用することによるコストダウンや販促効果に対する認知向上などが、動画配信の環境を一層充実させている。このため、デジタル化とともに育ったZ世代のみならず、全世代がインターネットで動画を視聴するようになり、さらにコロナ禍によるオンライン化ニーズが重なったことで、動画配信市場は急速に拡大した。アフターコロナに向けてもハイブリッドなど動画配信に対するニーズは引き続き強い状態が続くと見られていたが、2023年5月のコロナ5類移行を契機に、特に医薬領域やEVC領域でリアル回帰の動きが強く現れ、業界はいったん短期的な踊り場を迎えたように見える。しかし、動画配信の利便性や利用価値の高さから、リアル回帰が一巡する2024年には、ハイブリッドを含めオンラインが成長力を取り戻すとの見方が強まっている。こうした環境のなかで、パイオニアかつ専業として長年蓄積してきたノウハウを持ち、常に先端技術を取り込んでいる同社は、製薬企業やコンテンツプロバイダ、一般企業など顧客から期待を集めている。
動画配信に必要なすべてをワンストップで提供
2. 同社の強み
動画配信市場における同社の強みは、自社開発の動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」と自社構築のCDNサービス「J-Stream CDNext」、及びライブ配信・オンデマンド配信、動画の企画・制作、動画広告、Webサイト制作・システム開発、Webサイト運用といった、動画を活用する際に必要なすべての機能をワンストップで提供できる体制にある。また多種多様な業界・業種のニーズに応じて、部分的な利用からフルパッケージでの提供まで、幅広いサービスで対応できることに加えて、パイオニアとしての豊富な実績とノウハウ、専任スタッフと営業による柔軟で安心できる対応や、新たな技術や顧客のニーズ・ウオンツを素早く取り込む開発力に裏打ちされたサービス品質も強みである。この結果、年間取引企業は1,200社以上、利益成長を見るための基礎数値である主力商品「J-Stream Equipmedia」の累計導入アカウント数は3,500件を突破した。そのほかの主力商品・サービスの導入実績・開催実績としては、「J-Stream CDNext」が1,300アカウント以上、ライブ配信が年間2,400件以上となっている。
リアル回帰は短期的のため、事業戦略は変わらない
3. 中期経営の方向性
アフターコロナのリアル回帰は短期的な動向で、動画配信市場は依然長期的な成長期にあると言える。このため同社は、「最先端の動画ソリューションを提供し、企業活動の支援を通じて社会の発展に貢献する」という経営方針を基軸に、ビジネスと働き方を「進化」させ、新しい時代にふさわしい、新しいグループへと自らを「変革」していくことを考えている。こうした目標に向け、ビジネスの進化、働き方の進化、グループの変革という進化へ向けた3つの事業戦略を策定しているが、短期的なリアル回帰によってこうした事業戦略が変わるはずもなく、長期的視点ではむしろ、コロナ禍のスポット受注激増で手が回らなかった長期展開に腰を据えて取り組むことができる点でプラスの面もあると思われる。なお、事業戦略の内容は次のとおりである。
ビジネスの進化では、営業戦略、ソリューション戦略、プロダクト戦略、投資・財務戦略、組織・人材戦略を通じて、従来の事業戦略をより一層強力に推進する一方で、蓄積してきたスキルとノウハウによって、顧客の期待を超える、従来の事業戦略の「その先」にあるサービスも提供する方針である。働き方の進化では、フレックスやリモートワーク制度を取り入れた「就業規則の改定」、会社業績と個人業績を適切に評価しフィードバックする「人事制度の改定」、社内プロセスのデジタル化「社内DXの促進」といった働き方の進化を定着させることで環境変化に対応できる経営基盤を構築するとともに、働き方の進化を通じて多様性に富んだ厚みのある人材の育成に注力する考えである。グループの変革では、これまでグループ各社の長所を生かしてきたが、今後は子会社のサービスを同社や子会社他社でも展開するなど一層のシナジー強化を進める計画である。
また、投資・財務戦略も成長に向けた重要な戦略となっている。同社の収益規模はここ数年で大きく成長し、資金調達もあって資金余力が格段に向上したことで、資本効率の強化を進める一方、M&Aや海外進出などよる大型の投資も視野に入るようになった。現在の資金余力からは、従来の2倍以上となる30億円規模のM&Aが可能であり、大型M&Aや海外進出などに積極的に投資することで、同社の成長ポテンシャルはまた一段と向上すると考えられる。今後はESGへの取り組みも本格化することで、こうした事業戦略を背景に持続的な成長へつなげる考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SO>
1. 市場環境
動画配信市場といっても、Jストリーム<4308>同様、動画配信にトータルで対応できる専業企業はほとんどないが、部分的に類似する企業は少なくない。動画配信プラットフォームでは米Brightcove
一方、スマートフォンなど動画視聴可能なデバイスを個人が常時携帯するようになったことに加え、Wi-Fi環境の充実や5Gの普及などもあって、インターネット動画の視聴環境は屋内外で整備が進んだ。また、SNSや社内ポータルなどでの動画利用の増加、動画を利用することによるコストダウンや販促効果に対する認知向上などが、動画配信の環境を一層充実させている。このため、デジタル化とともに育ったZ世代のみならず、全世代がインターネットで動画を視聴するようになり、さらにコロナ禍によるオンライン化ニーズが重なったことで、動画配信市場は急速に拡大した。アフターコロナに向けてもハイブリッドなど動画配信に対するニーズは引き続き強い状態が続くと見られていたが、2023年5月のコロナ5類移行を契機に、特に医薬領域やEVC領域でリアル回帰の動きが強く現れ、業界はいったん短期的な踊り場を迎えたように見える。しかし、動画配信の利便性や利用価値の高さから、リアル回帰が一巡する2024年には、ハイブリッドを含めオンラインが成長力を取り戻すとの見方が強まっている。こうした環境のなかで、パイオニアかつ専業として長年蓄積してきたノウハウを持ち、常に先端技術を取り込んでいる同社は、製薬企業やコンテンツプロバイダ、一般企業など顧客から期待を集めている。
動画配信に必要なすべてをワンストップで提供
2. 同社の強み
動画配信市場における同社の強みは、自社開発の動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」と自社構築のCDNサービス「J-Stream CDNext」、及びライブ配信・オンデマンド配信、動画の企画・制作、動画広告、Webサイト制作・システム開発、Webサイト運用といった、動画を活用する際に必要なすべての機能をワンストップで提供できる体制にある。また多種多様な業界・業種のニーズに応じて、部分的な利用からフルパッケージでの提供まで、幅広いサービスで対応できることに加えて、パイオニアとしての豊富な実績とノウハウ、専任スタッフと営業による柔軟で安心できる対応や、新たな技術や顧客のニーズ・ウオンツを素早く取り込む開発力に裏打ちされたサービス品質も強みである。この結果、年間取引企業は1,200社以上、利益成長を見るための基礎数値である主力商品「J-Stream Equipmedia」の累計導入アカウント数は3,500件を突破した。そのほかの主力商品・サービスの導入実績・開催実績としては、「J-Stream CDNext」が1,300アカウント以上、ライブ配信が年間2,400件以上となっている。
リアル回帰は短期的のため、事業戦略は変わらない
3. 中期経営の方向性
アフターコロナのリアル回帰は短期的な動向で、動画配信市場は依然長期的な成長期にあると言える。このため同社は、「最先端の動画ソリューションを提供し、企業活動の支援を通じて社会の発展に貢献する」という経営方針を基軸に、ビジネスと働き方を「進化」させ、新しい時代にふさわしい、新しいグループへと自らを「変革」していくことを考えている。こうした目標に向け、ビジネスの進化、働き方の進化、グループの変革という進化へ向けた3つの事業戦略を策定しているが、短期的なリアル回帰によってこうした事業戦略が変わるはずもなく、長期的視点ではむしろ、コロナ禍のスポット受注激増で手が回らなかった長期展開に腰を据えて取り組むことができる点でプラスの面もあると思われる。なお、事業戦略の内容は次のとおりである。
ビジネスの進化では、営業戦略、ソリューション戦略、プロダクト戦略、投資・財務戦略、組織・人材戦略を通じて、従来の事業戦略をより一層強力に推進する一方で、蓄積してきたスキルとノウハウによって、顧客の期待を超える、従来の事業戦略の「その先」にあるサービスも提供する方針である。働き方の進化では、フレックスやリモートワーク制度を取り入れた「就業規則の改定」、会社業績と個人業績を適切に評価しフィードバックする「人事制度の改定」、社内プロセスのデジタル化「社内DXの促進」といった働き方の進化を定着させることで環境変化に対応できる経営基盤を構築するとともに、働き方の進化を通じて多様性に富んだ厚みのある人材の育成に注力する考えである。グループの変革では、これまでグループ各社の長所を生かしてきたが、今後は子会社のサービスを同社や子会社他社でも展開するなど一層のシナジー強化を進める計画である。
また、投資・財務戦略も成長に向けた重要な戦略となっている。同社の収益規模はここ数年で大きく成長し、資金調達もあって資金余力が格段に向上したことで、資本効率の強化を進める一方、M&Aや海外進出などよる大型の投資も視野に入るようになった。現在の資金余力からは、従来の2倍以上となる30億円規模のM&Aが可能であり、大型M&Aや海外進出などに積極的に投資することで、同社の成長ポテンシャルはまた一段と向上すると考えられる。今後はESGへの取り組みも本格化することで、こうした事業戦略を背景に持続的な成長へつなげる考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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