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―利益成長の源泉であるトップラインが急拡大している成長期待の強い株を選出―
新型コロナウイルスに翻弄された2020年相場も終わりに近づいてきた。今年の株式市場はコロナショックの直撃で、日経平均株価は3月に1万6358円まで急落したが、その後は各国の財政出動を受けて反発に転じた。そして、秋以降はワクチンの開発期待を背景に急騰劇を演じ、12月に29年8ヵ月ぶり高値2万6905円を記録するという激動の一年となった。個別銘柄では、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けた外食や鉄道、空運などの株価が大きく崩れる一方、強烈な逆風下でも業績成長を続ける企業には物色の矛先が向かった。
コロナ禍に負けない成長株の株価は、足もとで上昇基調に一服感が出ているものが多くみられるが、グロース株に注目が集まる局面では再び脚光を浴びる可能性は高く、新年相場に向けて見直しておきたいところだ。そこで今回は、利益成長の源泉であるトップラインの成長度合いにスポットライトを当て、2021年に活躍が期待される有望株を探った。
●2020年値上がり率ランキングはコロナ禍の成長企業が上位に
2020年相場では、新型コロナウイルスがもたらす社会の変化が業績の追い風となった企業の躍進が目立ち、株価の年間上昇率ランキングもその傾向が顕著にみられる。昨年末比の値上がり率トップ(28日現在)のJストリーム <4308> [東証M]は、感染症対策の活発化で動画利用が拡大するなか、主力の医療領域を中心にライブ配信の受注が急増し、21年3月期は売上高119億円(前期比41%増)、営業利益18億円(同3.3倍)に急拡大する見通しを示している。
2位のケアネット <2150> [東証M]はコロナ禍で拡大した製薬会社の営業オンライン化ニーズを取り込み、業績を大きく伸ばした。このほか、すららネット <3998> [東証M]、BASE <4477> [東証M]、AI inside <4488> [東証M]、チェンジ <3962> など成長期待だけでなく収益面の実態が伴う銘柄が上位を占めている。
今回はトップラインの伸びが著しい企業に注目し、(1)時価総額100億円以上500億円未満の中小型株、(2)本決算月にかかわらず、通期の売上高予想が前期比20%超増加する見通し、(3)四半期ベースで2ケタ増収を続けている、といった条件を満たす銘柄の中から、上値余地が期待される6社を紹介していく。
●CRIはオンリーワン技術でスマホゲーム向け需要捉える
CRI・ミドルウェア <3698> [東証M]は映像・音声に特化したミドルウェアで国内唯一の企業。家庭用ゲーム分野で全世界5000を超えるタイトルに採用されるなど、高い技術力に定評がある。足もとの業績は絶好調で、直近3ヵ月の7-9月期(第4四半期)は売上高、営業利益ともに四半期ベースの過去最高をマークした。巣ごもり需要が広がるなか、国内でスマートフォンゲーム向けのライセンス収入が伸びたほか、海外では旺盛なコンテンツ受託ニーズを取り込んだ。また、5月に買収したゲーム開発会社アールフォースで大型案件が進捗したことも収益拡大を後押しした。レンジ形式の21年9月期業績予想は、売上高29億~32億円(前期実績は23億4900万円)、営業利益5億~5億8000万円(同4億5700万円)に拡大を見込む。株価は24日に年初来高値2357円をつけたが、昨年4月には4320円の高値があり上値余地は大きく残っている。また、新規分野として注力するオンライン展示会プラットフォーム「CRI DXExpo」の展開も注目される。
●MSOLはプロジェクト実行支援の旺盛なニーズ続く
マネジメントソリューションズ <7033> は企業が推進するプロジェクトの運営などを支援するコンサルティング会社。大企業中心の優良な顧客基盤を強みとし、直接取引におけるリピート率は9割を超える。前期業績は本社移転費用などがかさみ営業減益となったが、顧客からの引き合いは強くトップラインは30%超の高成長を遂げた。21年10月期はデジタルトランスフォーメーション(DX)関連などの需要増加を背景に、プロジェクトマネジメント支援サービスの案件が引き続き増加し、売上高73億2000万円(前期比40%増)、営業利益8億5000万円(同4.2倍)に拡大する見通しだ。中期経営計画では単価アップなどによる収益力向上を通じ、25年10月期に売上高230億円、営業利益50億円の目標を掲げる。
●EストアーはM&Aで新たな成長ステージへ
Eストアー <4304> [JQ]は中小企業のECサイトを構築するシステムを提供しており、消費者向け自社ECサイトの構築支援で国内トップのシェアを誇る。今年1月に大型EC構築のコマースニジュウイチ、3月にはWebマーケティングを展開するウェブクルーエージェンシーの2社を買収し、グループ経営基盤を大幅に強化している。足もとの21年3月期上期(4-9月)業績はEC市場が拡大するなか、顧客企業のDX投資の高まりを捉えたうえ、M&A効果も寄与し、収益ともに大きな伸びをみせた。上期の営業利益は8月に上方修正した通期計画にほぼ到達し、一段の上振れが濃厚とみられる。中期経営計画では、来期から採用する新会計基準ベースで、25年3月期に売上高101億円(21年3月期の2倍)、営業利益20億円(同4倍)の目標を示しており、新たな成長ステージへの飛躍が期待される。
●ITメディアは新成長軸バーチャル展示会で更なる拡大へ
ITを中心とするオンライン専業メディアのアイティメディア <2148> は、自社メディアのデータを活用して発掘した“見込み顧客”(リード)を企業に紹介するリードジェン事業とメディア広告事業を2本柱とする。21年3月期の上期(4-9月)はリードジェン事業でマーケティングのデジタルシフトを背景に既存サービスの成長が継続したほか、展示会やセミナーをオンライン化するバーチャルイベントが急成長を遂げた。また、メディア広告事業ではコロナ禍で在宅時間が増加するなか、業務システムなどビジネス領域を中心に広告収入が伸び、売上高31億300万円(前年同期比27.2%増)、営業利益8億6900万円(同77.3%増)と業績高変化をみせた。併せて、通期業績予想の大幅上方修正に踏み切り、営業利益は前期比47.6%増の17億3000万円に膨らむ見込みだ。
●アズームはコロナ追い風に駐車場紹介とサブリース伸びる
アズーム <3496> [東証M]は月極駐車場の検索サイト「CarParking」を介した駐車場の紹介を主軸とし、駐車場オーナーから一括借り上げした物件を転貸するサブリースを収益源としている。このほか、コインパーキングの検索サイト、空き駐車場活用サービス、屋外広告検索サイト、月極バイク駐車場サイトなども手掛けており、不動産テック企業として知られる存在だ。20年9月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響でインターネット経由での駐車場問い合わせ件数が増加するなか、駐車場紹介件数やサブリースの稼働台数が伸び、売上高、営業利益ともに過去最高を達成した。21年9月期もこの流れを引き継ぎ、売上高48億円(前期比25.9%増)、営業利益4億5000万円(同2倍)と成長加速を目指す。
●アルファPはマンガ電子書籍が絶好調
アルファポリス <9467> [東証M]は小説投稿サイトを運営し、サイト上で人気のあるコンテンツを書籍化、マンガ化するというビジネスモデルで、出版時の成功率を事前に高められることが強みの次世代型出版社。ライトノベルから市場規模の大きいマンガへ軸足を移しており、両者の売上規模は19年3月期から逆転している。21年3月期上期(4-9月)業績は売上高37億8200万円(前年同期比54.6%増)、営業利益10億4300万円(同66.9%増)と急拡大を示した。巣ごもり需要の高まりに加え、各電子ストアで実施したキャンペーンが奏功し、マンガを中心に電子書籍が絶好調だった。上期営業利益の通期計画に対する進捗率は6割を超えており、業績上振れに含みを持たせている。
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