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森六ホールディングスのニュース
*12:42JST 森六 Research Memo(2):創業360年の歴史を誇るグローバルな化学専門企業。メーカーと商社機能を併せ持つ
■事業概要
1. 沿革
森六ホールディングス<4249>は、2023年に創業360年を迎え、社歴としては東証上場企業の中でもベスト10にランクされる老舗企業である。その起源は、1663年に初代の森安兵衛が阿波徳島で青色染料を流通しやすいように加工した藍玉と、その肥料の商いを目的として設立した「嶋屋」が始まりである。以後、藩外との行商を開始し、阿波藩の指定問屋として調達の仲介役を担うとともに、藍玉の製造工場を設けるなど、代を重ねるたびに発展を遂げてきた。江戸時代末期の1853年には六代目の森六兵衛が江戸に進出し、名前から2字を取って「森六」と名乗るようになったのが、社名の由来である。
その後、1878年には三井物産<8031>の協力のもと、パリ万博に「阿波藍」を出品している。幕末に安価で色もきれいなインド藍の輸入が開始され阿波藍にとって代わるようになると、横浜の貿易会社からインド藍の仕入れを開始し、商社事業に乗り出す。さらに1916年には社名を「株式会社森六商店」として化学品商社となった。戦後に入ってからは、1949年に三井化学工業<4183>製の塩化ビニール製品で市場開拓し、樹脂部門をスタートさせた。塩化ビニール類とともに使われる可塑剤や軟化剤、安定剤、それらを着色するための顔料や特殊染料なども営業品目に加わり、1958年にポリエチレン素材「ハイゼックス」の特約店となった。
この「ハイゼックス」が本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の目にとまり、同社は二輪車用部品の開発・試作に参加することとなった。低圧法による高密度ポリエチレンを使用し、ホンダと共同で二輪車用外装部品の樹脂化に成功する。1958年発売のスーパーカブのフロントカバー、ツールボックス、バッテリーボックスに同社の樹脂部品が搭載され、現在まで続くホンダと同社の取引の礎となるとともに、樹脂加工は同社の主幹事業となった。1962年6月、ホンダの四輪事業進出に伴い、同社は合成樹脂部品の試作を全面的に引き受け、スポーツ車「S360」、軽トラック「AK360」のフロントピラーやコラムカバーなど複数の樹脂部品の生産を担うこととなった。
海外展開では、ホンダのアメリカでの自動車生産に合わせ、1986年、同社はオハイオ州にGreenville Technology, Inc.(GTI)を設立するが、自動車部品メーカーとしてはかなり早いアメリカ進出であった。その後、1996年にはカナダにListowel Technology, Inc.、2000年にはアラバマ州に北米3つめの生産拠点Rainsville Technology, Inc.を設立するなど、わずか15年間で北米市場における大規模な生産体制を構築した。その後も、フィリピン、インド、中国、インドネシア、タイにも進出し、アジア地域での生産体制を整えた。現在では、海外の現地社員を日本に長期滞在させて育成するとともに、知識や技術を本国に持ち帰ってもらうことで、現地生産の深化を図っている。
なお、北米地域における経営資源の有効活用、ならびに業務効率と生産性の向上を目的として、2023年4月、Greenville Technology, Inc.は、Rainsville Technology, Inc.を吸収合併し、Moriroku Technology North America Inc.に商号変更している。
こうしたグループの発展に合わせ、2008年には森六株式会社を「森六ホールディングス株式会社」に商号変更し、持株会社体制※へ移行した。純粋持株会社である森六ホールディングスの下に森六テクノロジーならびに森六ケミカルズを設立し、それぞれが樹脂加工製品事業、ケミカル事業を承継した。連結ベースの社員数は4,342名(2023年3月末時点)で、多様な能力を持つ社員がグローバルに活躍している。2019年6月より栗田尚(くりた たかし)氏が 代表取締役社長執行役員に就任し、グループの発展をけん引している。栗田氏は海外経験が豊富であることから、業績の向上だけでなく、様々なサステナビリティ活動も積極的に推進している。
※2024年4月1日から「事業持株会社」へ移行することを発表済み。
株式については、2017年に東証1部に上場し、2022年4月には東証の市場区分見直しに伴い、東証プライム市場に移行している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 沿革
森六ホールディングス<4249>は、2023年に創業360年を迎え、社歴としては東証上場企業の中でもベスト10にランクされる老舗企業である。その起源は、1663年に初代の森安兵衛が阿波徳島で青色染料を流通しやすいように加工した藍玉と、その肥料の商いを目的として設立した「嶋屋」が始まりである。以後、藩外との行商を開始し、阿波藩の指定問屋として調達の仲介役を担うとともに、藍玉の製造工場を設けるなど、代を重ねるたびに発展を遂げてきた。江戸時代末期の1853年には六代目の森六兵衛が江戸に進出し、名前から2字を取って「森六」と名乗るようになったのが、社名の由来である。
その後、1878年には三井物産<8031>の協力のもと、パリ万博に「阿波藍」を出品している。幕末に安価で色もきれいなインド藍の輸入が開始され阿波藍にとって代わるようになると、横浜の貿易会社からインド藍の仕入れを開始し、商社事業に乗り出す。さらに1916年には社名を「株式会社森六商店」として化学品商社となった。戦後に入ってからは、1949年に三井化学工業<4183>製の塩化ビニール製品で市場開拓し、樹脂部門をスタートさせた。塩化ビニール類とともに使われる可塑剤や軟化剤、安定剤、それらを着色するための顔料や特殊染料なども営業品目に加わり、1958年にポリエチレン素材「ハイゼックス」の特約店となった。
この「ハイゼックス」が本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の目にとまり、同社は二輪車用部品の開発・試作に参加することとなった。低圧法による高密度ポリエチレンを使用し、ホンダと共同で二輪車用外装部品の樹脂化に成功する。1958年発売のスーパーカブのフロントカバー、ツールボックス、バッテリーボックスに同社の樹脂部品が搭載され、現在まで続くホンダと同社の取引の礎となるとともに、樹脂加工は同社の主幹事業となった。1962年6月、ホンダの四輪事業進出に伴い、同社は合成樹脂部品の試作を全面的に引き受け、スポーツ車「S360」、軽トラック「AK360」のフロントピラーやコラムカバーなど複数の樹脂部品の生産を担うこととなった。
海外展開では、ホンダのアメリカでの自動車生産に合わせ、1986年、同社はオハイオ州にGreenville Technology, Inc.(GTI)を設立するが、自動車部品メーカーとしてはかなり早いアメリカ進出であった。その後、1996年にはカナダにListowel Technology, Inc.、2000年にはアラバマ州に北米3つめの生産拠点Rainsville Technology, Inc.を設立するなど、わずか15年間で北米市場における大規模な生産体制を構築した。その後も、フィリピン、インド、中国、インドネシア、タイにも進出し、アジア地域での生産体制を整えた。現在では、海外の現地社員を日本に長期滞在させて育成するとともに、知識や技術を本国に持ち帰ってもらうことで、現地生産の深化を図っている。
なお、北米地域における経営資源の有効活用、ならびに業務効率と生産性の向上を目的として、2023年4月、Greenville Technology, Inc.は、Rainsville Technology, Inc.を吸収合併し、Moriroku Technology North America Inc.に商号変更している。
こうしたグループの発展に合わせ、2008年には森六株式会社を「森六ホールディングス株式会社」に商号変更し、持株会社体制※へ移行した。純粋持株会社である森六ホールディングスの下に森六テクノロジーならびに森六ケミカルズを設立し、それぞれが樹脂加工製品事業、ケミカル事業を承継した。連結ベースの社員数は4,342名(2023年3月末時点)で、多様な能力を持つ社員がグローバルに活躍している。2019年6月より栗田尚(くりた たかし)氏が 代表取締役社長執行役員に就任し、グループの発展をけん引している。栗田氏は海外経験が豊富であることから、業績の向上だけでなく、様々なサステナビリティ活動も積極的に推進している。
※2024年4月1日から「事業持株会社」へ移行することを発表済み。
株式については、2017年に東証1部に上場し、2022年4月には東証の市場区分見直しに伴い、東証プライム市場に移行している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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