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森六ホールディングスのニュース
■事業概要
1. 事業概要
(1) 沿革
森六ホールディングス<4249>は、1663年に阿波徳島で青色染料を流通しやすいように加工した藍玉と、その肥料の商いを始めたのがその始まりである。以後、藩外との行商を開始し、阿波藩の指定問屋として調達の仲介役を担うとともに、藍玉の製造工場を設けたりするなど、代を重ねるたびに発展を遂げる。1853年江戸に進出、1878年には三井物産の協力のもとパリ万博に「阿波藍」を出品している。幕末に安価で色もきれいなインド藍の輸入が開始され阿波藍にとって代わるようになると、森六は、横浜の貿易会社からインド藍の仕入れを開始する。全輸入量のうち相当量を森六が取り扱ったといわれる。1904年にドイツのヘキスト社製の人造藍の独占販売権を獲得する。1916年に「株式会社森六商店」として化学品商社となる。
1949年、三井化学工業製の塩化ビニール製品で市場開拓し、樹脂部門をスタートさせる。塩化ビニール類とともに使われる可塑剤や軟化剤、安定剤、それらを着色するための顔料や特殊染料なども営業品目に加わり、1958年にポリエチレン素材「ハイゼックス」の特約店となる。
「ハイゼックス」が本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の目にとまり、森六は二輪車開発の試作に参加することとなる。低圧法による高密度ポリエチレンを使用し、ホンダと共同にて二輪車用外装部品の樹脂化に成功する。1958年発売のスーパーカブのフロントカバー、ツールボックス、バッテリーボックスに森六の樹脂部品が搭載され、現在まで続くホンダと森六の取引の礎となるとともに、樹脂加工は森六の主幹事業となった。
1962年6月、ホンダの四輪事業進出に伴い、森六は合成樹脂部品の試作を全面的に引き受け、スポーツ車「S360」や、軽トラック「AK360」のフロントピラーやコラムカバーなど複数の樹脂部品の生産を担うこととなった。
(2) 海外進出
ホンダのアメリカでの自動車生産にあわせ、1986年、森六はオハイオ州にGreenville Technology, Inc.(GTI)を設立する。1996年にはカナダにListowel Technology, Inc.、2000年にはアラバマ州に北米3つめの生産拠点Rainsville Technology, Inc.を設立するなど、わずか15年で北米市場における大規模な生産体制を構築する。
1994年フィリピンにMoriroku Philippines, Inc.、1996年インドにMoriroku UT India Pvt., Ltd.を設立し、アジア地域での生産体制を整える。2001年、中国広州に「広州森六塑件有限公司」、2004年武漢に「武漢森六汽車配件有限公司」を設立し、中国への進出も積極的に行う。その後もグローバル展開を加速させ、2009年、北米の開発及び生産の統括機能としてMoriroku Technology North Americaを設置、2012年にはホンダの生産拠点に対応するため、インディアナ州にGTI第二工場も新設。2010年タイにMoriroku Technology (Thailand) Co., Ltd.、2012年インドネシアにPT. Moriroku Technology Indonesiaを設立している。現在では、海外の現地社員を日本に長期滞在させて知識や技術を本国に持ち帰ることで、現地生産の深化を図ると共に現地社員のマネジメント育成も手がける。
(3) 森六グループの現在とこれから
2017年に東証一部上場し、現在は森六ホールディングスとして樹脂加工製品事業とケミカル事業を手掛ける。樹脂加工製品事業では、主に自動車の内装や外装向けの樹脂部品を製造・販売。同事業は、ホンダが主要な取引先だが、VW、日産自動車、SUBARUなど、他の自動車メーカーへの販売も拡大中である。ケミカル事業では、ファインケミカル、コーティング、電気・電子、生活材料、自動車材料、樹脂加工製品の分野で事業を展開するとともに、グローバルネットワークを活かした化学商社としての役割も持ち、商社機能とものづくり機能の総合力を強みとする。
両事業は別会社となっているが、上流である素材の取り扱いからコンパウンド、設計・開発、射出成形、量産に至る下流工程まで、グループ内で手掛けることができるのが森六の強みである。中国では、両社連携による原料調達から部品製造・納品までの一貫体制によって、「コストを抑えつつ薄肉化・軽量化を実現」に成功している。その結果、フロントガラス下部の外装品「カウルトップ」や一部内装部品が採用され、森六オリジナル製品はいまではホンダの複数車種に搭載されている。現在、こうした中国専用車種での成功をタイ・インドネシアで強化、展開している。
環境対応、脱炭素社会の実現に向けて、燃費規制やガソリン車販売禁止の動きが加速する中、森六グループは自動車の車体軽量化及び燃費向上のため、内外装部品の樹脂への置き換えを提案する。EVへのニーズにも対応し、より軽量な部品の供給とともに、石油ではなく自然由来のプラスチックの開発も行う。自動運転の高度化による車内のリビング化も見据えた製品開発も行っている。また、複数の自動車メーカーへの販売拡大にも注力する。森六グループは、製品の軽量化・樹脂化による付加価値向上と新規顧客の開拓により、次の成長分野で業績拡大を目指す。
森六グループは、未来を先取りする創造力と優れた技術で高い価値を共創し、時を超えて、グローバル社会に貢献するという理念とともに、内においては株主だけではなくステークホルダー、とりわけ従業員満足の高い会社を目指している。そのために、CSRや環境問題に積極的に取り組む姿勢をとり続けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川 勇一郎)
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1. 事業概要
(1) 沿革
森六ホールディングス<4249>は、1663年に阿波徳島で青色染料を流通しやすいように加工した藍玉と、その肥料の商いを始めたのがその始まりである。以後、藩外との行商を開始し、阿波藩の指定問屋として調達の仲介役を担うとともに、藍玉の製造工場を設けたりするなど、代を重ねるたびに発展を遂げる。1853年江戸に進出、1878年には三井物産の協力のもとパリ万博に「阿波藍」を出品している。幕末に安価で色もきれいなインド藍の輸入が開始され阿波藍にとって代わるようになると、森六は、横浜の貿易会社からインド藍の仕入れを開始する。全輸入量のうち相当量を森六が取り扱ったといわれる。1904年にドイツのヘキスト社製の人造藍の独占販売権を獲得する。1916年に「株式会社森六商店」として化学品商社となる。
1949年、三井化学工業製の塩化ビニール製品で市場開拓し、樹脂部門をスタートさせる。塩化ビニール類とともに使われる可塑剤や軟化剤、安定剤、それらを着色するための顔料や特殊染料なども営業品目に加わり、1958年にポリエチレン素材「ハイゼックス」の特約店となる。
「ハイゼックス」が本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の目にとまり、森六は二輪車開発の試作に参加することとなる。低圧法による高密度ポリエチレンを使用し、ホンダと共同にて二輪車用外装部品の樹脂化に成功する。1958年発売のスーパーカブのフロントカバー、ツールボックス、バッテリーボックスに森六の樹脂部品が搭載され、現在まで続くホンダと森六の取引の礎となるとともに、樹脂加工は森六の主幹事業となった。
1962年6月、ホンダの四輪事業進出に伴い、森六は合成樹脂部品の試作を全面的に引き受け、スポーツ車「S360」や、軽トラック「AK360」のフロントピラーやコラムカバーなど複数の樹脂部品の生産を担うこととなった。
(2) 海外進出
ホンダのアメリカでの自動車生産にあわせ、1986年、森六はオハイオ州にGreenville Technology, Inc.(GTI)を設立する。1996年にはカナダにListowel Technology, Inc.、2000年にはアラバマ州に北米3つめの生産拠点Rainsville Technology, Inc.を設立するなど、わずか15年で北米市場における大規模な生産体制を構築する。
1994年フィリピンにMoriroku Philippines, Inc.、1996年インドにMoriroku UT India Pvt., Ltd.を設立し、アジア地域での生産体制を整える。2001年、中国広州に「広州森六塑件有限公司」、2004年武漢に「武漢森六汽車配件有限公司」を設立し、中国への進出も積極的に行う。その後もグローバル展開を加速させ、2009年、北米の開発及び生産の統括機能としてMoriroku Technology North Americaを設置、2012年にはホンダの生産拠点に対応するため、インディアナ州にGTI第二工場も新設。2010年タイにMoriroku Technology (Thailand) Co., Ltd.、2012年インドネシアにPT. Moriroku Technology Indonesiaを設立している。現在では、海外の現地社員を日本に長期滞在させて知識や技術を本国に持ち帰ることで、現地生産の深化を図ると共に現地社員のマネジメント育成も手がける。
(3) 森六グループの現在とこれから
2017年に東証一部上場し、現在は森六ホールディングスとして樹脂加工製品事業とケミカル事業を手掛ける。樹脂加工製品事業では、主に自動車の内装や外装向けの樹脂部品を製造・販売。同事業は、ホンダが主要な取引先だが、VW、日産自動車、SUBARUなど、他の自動車メーカーへの販売も拡大中である。ケミカル事業では、ファインケミカル、コーティング、電気・電子、生活材料、自動車材料、樹脂加工製品の分野で事業を展開するとともに、グローバルネットワークを活かした化学商社としての役割も持ち、商社機能とものづくり機能の総合力を強みとする。
両事業は別会社となっているが、上流である素材の取り扱いからコンパウンド、設計・開発、射出成形、量産に至る下流工程まで、グループ内で手掛けることができるのが森六の強みである。中国では、両社連携による原料調達から部品製造・納品までの一貫体制によって、「コストを抑えつつ薄肉化・軽量化を実現」に成功している。その結果、フロントガラス下部の外装品「カウルトップ」や一部内装部品が採用され、森六オリジナル製品はいまではホンダの複数車種に搭載されている。現在、こうした中国専用車種での成功をタイ・インドネシアで強化、展開している。
環境対応、脱炭素社会の実現に向けて、燃費規制やガソリン車販売禁止の動きが加速する中、森六グループは自動車の車体軽量化及び燃費向上のため、内外装部品の樹脂への置き換えを提案する。EVへのニーズにも対応し、より軽量な部品の供給とともに、石油ではなく自然由来のプラスチックの開発も行う。自動運転の高度化による車内のリビング化も見据えた製品開発も行っている。また、複数の自動車メーカーへの販売拡大にも注力する。森六グループは、製品の軽量化・樹脂化による付加価値向上と新規顧客の開拓により、次の成長分野で業績拡大を目指す。
森六グループは、未来を先取りする創造力と優れた技術で高い価値を共創し、時を超えて、グローバル社会に貢献するという理念とともに、内においては株主だけではなくステークホルダー、とりわけ従業員満足の高い会社を目指している。そのために、CSRや環境問題に積極的に取り組む姿勢をとり続けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川 勇一郎)
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