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ダイキアクシス Research Memo(9):デリー政府から複数プロジェクトを受注

配信元:フィスコ
投稿:2021/05/19 15:09
■中長期の成長戦略

2020年には、インドで大きな展開があった。10月にインド子会社が、インド製浄化槽のエコ認証「Green Product Certification(グリーンプロダクト認証)」を取得した。汚水処理部門におけるエコ認証第1号となる。認証取得は、インド市場におけるダイキアクシス<4245>の認知向上のみならず、省エネルギー仕様の政府関連建物や一般の環境配慮型の建物において採用につながることが期待される。

11月に、インドの水環境省よりインド製浄化槽に対する推奨認可を得た。インド中央政府による分散型汚水処理に関する推奨認可第1号となった。インドでは汚水処理に関する考え方や処理手法に地域差があることから、他の地域で評価されている浄化槽であっても地域毎のアプローチが必要であった。同社は、インド中央政府及び中央研究機関に働きかけ、実機デモ機での水質検査などを継続的に提出することで推奨認可の取得に至った。

同推奨認可の効果が早くも現われ、翌月には州に属さない政府直轄地であるデリー政府から複数プロジェクトへの提案依頼があり、受注に結びついた。今回のデリー開発公社からのプロジェクト総受注額は約1億円で、同社は公園内のトイレや手洗いからの排水、公共下水の原水を処理し再利用するための浄化槽(10m3:11台、25m3:5台、50m3:7台)を供給した。同公社の管理下には同様の計画対象の公園が1,100ヶ所あり、新たな提案をしている。また、インド全土では、潜在市場規模がその100倍と報告されている。今回の受注と運用開始後の結果を通じ、より多くの受注が獲得できるようにする。同推奨認可の取得により、地方政府入札案件でも分散型汚水処理において浄化槽を全面に押し出した提案が可能になるとともに、民間向けにもアピールできる。

水環境省より推奨認可を得た同月に、インド工科大学からオファーを受け、実証試験及び共同研究の契約を締結した。インドでは分散型汚水処理方法が確立されていないことから、インド工場製品に窒素処理を付加したものと、日本でも使用されている高度処理の2モデルを対象に実証試験を行う。インドの使用環境により適した改良を共同研究する。インド工科大学は、国家的な重要性を有した研究機関と位置付けられており、研究水準の高さは国際的にも認められている。実証実験及び共同研究は、インド国内はもとより、中東、アジア諸国、欧米等における同社グループの今後の事業展開に大きなアドバンテージになると考えられる。

同社は、2019年9月に、インドでWater-KIOSK事業に参入した。Water-KIOSKとは、水道水の水質が飲用に不適切な都市部において、公共施設や駅等に飲料水精製装置を設置し、有償で飲料水を販売する事業を言う。同社は、日本において地下水を飲料化する事業を行っている。インドの代理店でもあるEarth Water Limitedと合弁会社DAIKI EARTH WATER PRIVATE LIMITED(同社出資比率74%)を設立した。インド国内において排水処理事業及びWater-KIOSKによる飲料水販売事業をBOT※1及びBOO※2により展開している。

※1 BOT(Build Operate Transfer)とは、民間が施設を建設・維持管理・運営し契約期間終了後に公共へ所有権を移転する方式。
※2 BOO(Build Own Operate)は、民間が施設を建設・維持管理・運営。契約期間終了後も民間が施設を所有し続ける、あるいは、施設を解体・撤去して事業を終了させる方式。


2021年2月に、首都デリーから北東にあるウッタラーカンド州の高原都市デヘラードゥーン市においてスマートシティ構想を推進する公社とBOT方式によるWater-KIOSK事業の契約を締結した。24ヶ所(24台)の設置で、5年間で110百万円の売上高を見込んでいる。5年間の契約満了後は、2年更新の運用契約により、引き続き同社子会社が運営を受託する予定だ。インドのスマートシティ構想は、100都市を持続可能型の質の高い再開発をする国家プロジェクトになる。Water-KIOSK事業の市場規模について、同社はスマートシティのみで1万台以上、その他都市への展開も含めると50万台以上を見込んでいる。

また同月、同社は、インド商工会議所連合会から第8回Water AwardにてInnovation in Water Technology部門でFirst Prize(金賞)を受賞した。全7部門のうち5部門は地域自治体が、残り2部門において同社と他の一般企業が受賞した。同Awardは、インド全土の連合会の評議員及び会員から推薦された数百社のなかから、インド水環境への貢献度や技術的完成度の高さなどをもとに、各部門1社のみが選ばれる賞である。日本企業による金賞受賞は、これが初となる。

インド以外では、2021年3月にイラク向けJICA支援プロジェクトに関わる浄化槽及び海水淡水化装置を受注した。発注者は、元請けの日揮ホールディングス<1963>である。浄化槽と海水淡水化装置は、いずれも1日当たり3,600m3の処理能力を持つ。受注額は非公開だが、同社にとって大型案件となる。納期は、2021年12月を予定している。日本政府の認証製品である“浄化槽”は、中東の過酷な環境下でも能力発揮することが確認されている。


環境省「低圧風力発電機に関する技術開発・実証事業」に子会社シルフィードが参画
(2) 再生可能エネルギー関連事業
再生可能エネルギー関連事業の強化を目的に、子会社に事業を統合する。同社は、2012年に小形風力発電機の開発・製造・販売を営む(株)シルフィードの株式を取得し、子会社化した。2019年より風力発電及び太陽光発電設備の開発・管理を同子会社に集約することで、業務の効率化と収益の安定化を図った。2021年7月に、バイオディーゼル燃料事業を本体より同子会社に移管する予定だ。2021年7月に、同子会社の社名を(株)ダイキアクシス・サスティナブル・パワーに変更する。

同社は2019年12月期に小形風力発電事業に参入した。2017年度までに申請済みの20kW未満の小形風力発電は、FITの買取価格が55円/kWhと高い。2018年度に、同区分の買い取り価格は20kWh以上と同等の20円/kWhに改定された。高買取価格での申請済みIDは約8,000件あるが、有効期限があるため2022年7月までに事業を開始する必要がある。同社は、まず鹿児島県においてID取得済み事業者からIDを譲受して事業を始め、2021年3月までに北海道に7サイト、青森県に5サイトで稼働を開始した。風況の良い北日本を中心に、全国70サイトでの稼働を目指す。1サイト当たりの売電収入は、2~2.5百万円、営業利益率25~30%程度を見込む。

小形風力発電機の開発では、環境省による令和2年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業において、ゼファー(株)、リコージャパン(株)(リコー<7752>子会社)と子会社のシルフィードが、「低圧風力発電機に関する技術開発・実証事業」に共同実施者として参画する。ゼファーが、風車の全体設計、翼の設計、自動車部品の転用、フィールド試験、風車制御のアルゴリズムの構築を担当する。リコージャパンがAIを活用したメンテナンス支援ツールの開発、同社子会社は翼の設計補助及び生産を担う。地域の防災対策や、自営線・既存配電網を活用した独立系グリッドを作る動き、事業所内で再生可能エネルギーを自家消費する動きが顕在化してきたことを踏まえ、社会受容性の高い定格出力50kWの風力発電機を新たに開発する。太陽光発電と並ぶ電源として普及させることに共同で取り組む。本事業は2021年1月より開始し、2023年4月頃までに上記ニーズに合致させた風力発電機を開発し、電力の安定供給や静粛性、経済合理性などを検証する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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配信元: フィスコ
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