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大阪有機化学工業のニュース
―エヌビディア無双化の原動力に刮目、生成AI市場拡大で商機高まる周辺銘柄を追う―
半導体関連株の物色人気が波状的に続いている。 生成AI市場の拡大によってAI用として使われる半導体に爆発的ニーズが発生しており、これに関連する企業や業界には空前の活況が訪れようとしている。東京市場でもAI用半導体に関連する銘柄は、今後短い期間で株価の居どころを大きく変える可能性を内包している。同関連の有力株を探った。
●東京市場でも存在感示す米エヌビディア
3月のメジャーSQ週であった今週(4~8日)の東京株式市場は荒れ模様の展開となった。SQ前日の7日に先物主導の売り仕掛けによって、日経平均株価は一時570円あまりの下げに見舞われ、終値ベースでも500円近い下落でフシ目の4万円大台を下回った。
しかし、週末8日は再びリスクオンに傾き、何事もなかったかのように切り返した。寄り付きSQ直後はいったん下値を試す展開でマイナス圏に沈んだものの、それも束の間、押し目買い需要は旺盛で4万円大台ラインを視野に入れつつ上値を指向。後場は上げ幅を縮小し、結局3万9688円で引け4万円台回復はならなかったが、値上がり銘柄数はプライム市場の7割近くに達し、個別株物色意欲の強さが如実に映し出される1日となった。
その前日7日の米国株市場では半導体関連株が買われ、とりわけテーマ買いの要となっている「生成AI・先端半導体関連」人気のシンボルストックである米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディア
例えば、東京市場が約34年ぶりに史上最高値3万8915円をクリアした2月22日、相場をリードしたのは東京エレクトロン <8035> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]をはじめとする半導体関連の主力株だった。そして、これらの銘柄の株価を強く刺激したのは紛れもなくエヌビディアであった。日本時間その日の早朝に発表された同社の決算は、過剰な期待感を充満させた事前予想の高いハードルを、軽く跳び越えるどころかはるか上を行く驚愕の内容だった。業績変化率は市場関係者や投資家の度肝を抜いたが、当然ながら同社の株価は時間外で急騰。そのサプライズの高波が東京市場にも押し寄せ、半導体関連銘柄の株価を強く刺激し、歴史的な日経平均の最高値更新を演出した。
●生成AI市場拡大でAIサーバーに特需
半導体セクターは昨年の市況低迷が昔話に聞こえるくらい様変わりしている。特に足もとで成長を加速させる生成AI向けで恩恵を享受するAI用半導体については、かつてない強力なフォローウインドが吹いている。AI用半導体は、業績を変貌させたエヌビディアが製造するGPUが代名詞的な存在だが、ディープラーニングの処理に適合したプロセッサーがその範疇で、このほかFPGAやASICなどが挙げられる。また、GPUに搭載するAI向けメモリーで必須とされているのがHBM(広帯域メモリー)で、これはGPUが演算処理している際に膨大な処理情報を一時的に保存する役割を担う。これらの商品群は、今後、生成AIをはじめとするAIの進化と市場規模の拡大を背景に、キーデバイスとして脚光を浴びることになる。
生成AI市場の拡大がデータセンター増設需要を強く喚起していることは知られているが、具体的にはデータセンター内部に設置されている「AIサーバー」を経由することで生成AIを活用する形となる。AIサーバー上で回答を導き出す過程は、データの特徴や形式をディープラーニングによって獲得したパターンをもとに新たなデータを生成する、という手順をたどる。ここで高速並列処理を強みとするGPUが必須となり、エヌビディアが業績を無双化させる背景ともなった。
●日の丸半導体ラピダスも翔び立つ
世界半導体市場統計(WSTS)によると2024年の半導体市場は5883億ドル(日本円で約87兆円)と前年比13%増の2ケタ伸長で過去最高を更新する見通しだ。そして、これからも成長が止まることはない。「30年に半導体市場は1兆ドル台に乗せると試算されており、年平均成長率にしておよそ10%。しかしAI用半導体という区分では、それをはるかに上回る25%前後の成長率が見込まれる」(中堅証券アナリスト)とする。AI用半導体は半導体市場の成長ドライバーとして、今後中期的に存在感を浮き彫りにしていく可能性が高い。
国内では半導体新会社ラピダスが2月27日、カナダの半導体設計会社であるテンストレントとAI用半導体の開発で協業することを発表した。ラピダスは最先端半導体の量産を目指しており、今回の協業によってテンストレントの製造の受け皿となる。実績を作ることで今後の飛躍へとつなげていく構えだが、AI市場の拡大が今後一段と加速していくなか、ラピダスは日の丸半導体の象徴として重要なポジションを担っていくことは間違いない。株式市場においてもAI用半導体分野に絡む高い技術を有する銘柄がスポットライトを浴びる日が近そうだ。今回のトップ特集ではAI用半導体関連の一角を占める銘柄で、株価の上昇余地が大きいと思われる5銘柄を厳選エントリーした。
●AI用半導体周辺で実力開花が期待される5銘柄
◎シキノハイテック <6614> [東証S]
シキノHTは自動車業界用半導体テスターの開発を主力に、半導体設計も手掛けパワーデバイスで優位性を持つ。また、画像処理システムやIPコアなどでも開発力が高い。IPコアは、AI用半導体の一種で製造・出荷後に構成の設定可能なFPGA向け「MIPI IPコア」で実績を有している。業績面では自動車生産の拡大を受けて半導体テスターが好調に推移しており、24年3月期は増収をキープするものの、研究開発コストの影響で営業利益段階では前期比15%減の5億6000万円と減益が見込まれている。しかし、25年3月期の同利益は7億円前後と2ケタ増益で切り返し過去最高を更新する公算が大きい。ROEが25%台と高い点にも注目。
株価は昨年4月に4500円の昨年来高値をつけてからは下降トレンドとなり、時価2500円近辺は45%前後のディスカウントでかなりの深押しを強いられた。しかし、2000円台半ばでの調整が続いたことで、売り物は大分こなれている。早晩、底入れ反転から3000円台活躍を視野に強調展開が見込まれる。
◎大阪有機化学工業 <4187> [東証P]
大有機は独立系化学メーカーで特殊アクリル酸エステルを強みとし、多品種少量生産を特徴としている。化成品や電子材料、機能化学品で高い実績を持つ。液晶や有機EL向け材料のほか、半導体レジスト用原料で商機を捉え、生成AI市場の拡大を背景とした半導体需要復活の恩恵を享受する。特に最先端分野のEUV(極端紫外線)レジスト用原料が急増傾向をたどっており、成長期待が強い。24年11月期は営業利益段階で前期比3%増の37億円予想と小幅な回復にとどまる見通しながら、25年11月期以降は再び利益成長のスピードが加速しそうだ。
株価は今年に入ってから上げ足を強め、今月4日に昨年来高値3420円をつけた後ひと押し入れているがここは買いに分がある局面だ。早晩上値追いを再開し、21年11月以来となる4000円台を目指す動きが見込まれる。株式需給面では信用買い残が枯れた状態で上値は軽く、貸株市場を通じた空売りも溜まっていることから、その買い戻しも株価に浮揚力を与えそうだ。
◎ディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証G]
DMPは研究開発型のファブレス半導体企業だが、3次元画像処理技術に長じ、精細な描画に必要なグラフィックスIPコアの開発・提供で高評価を得ている。AI・ディープラーニングを活用した画像認識技術をキーテクノロジーに製品やサービスの開発を行う。また、エッジAI分野も深耕し、高精度画像認識エッジAIソフトウェア「ZIA SAFE」は安全運転支援システム向けで引き合い旺盛。また、昨年10月にはエッジAIカメラソリューションでザインエレクトロニクス <6769> [東証S]と協業を発表した。24年3月期売上高は前期比27%増の29億5000万円と大幅増収を見込み、連続で過去最高更新となる。また、営業利益は同8.9倍の2億4000万円と急変貌する見通しで、これは単独決算だった12年3月期以来12年ぶりの高水準。
株価は2月16日に3520円まで買われた後に調整を入れたが、足もと出直る動きにある。中勢4000円大台を指向し、昨年5月30日につけた昨年来高値4385円を目指す展開が期待できる。
◎トリケミカル研究所 <4369> [東証P]
トリケミカルは先端半導体の製造に必要な高純度化学薬品の多品種少量生産を行う。特に絶縁膜材料では高い技術力を誇り世界でも屈指の商品シェアを持つ。同社が製造する「High-K」はシリコン酸化物よりも高い誘電率を有し、半導体の性能向上に役立ち、HBM向けなどで需要を獲得しているもようだ。海外売上高比率が7割を占めるグローバルニッチトップだが、近い将来には最先端半導体の量産化を計画するラピダス向けなどでも活躍が期待される。また、東京エレクトロン <8035> [東証P]とは3次元NAND型メモリーのエッチング材料で協業し、来期以降の業績貢献が期待される状況にある。
24年1月期は昨年の半導体不況の影響が反映されて韓国向け中心に不振を強いられ、営業利益段階で前の期比5割減となる17億円を見込む。しかし、これについては株価に織り込み済みだ。25年1月期は再び成長力を取り戻し、V字回復に向かう可能性が高い。株価は21年1月につけた上場来高値5042円50銭(修正後株価)を通過点とするスケールの大きい相場に期待がかかる。
◎ADEKA <4401> [東証P]
ADEKAは自動車向け樹脂添加剤や半導体向け電子材料、食品用加工油脂などを手掛ける化学メーカーだが、半導体では先端商品向けで強みを持ち、高誘電材料で実績が高い。半導体メモリー向け高誘電材料の業界シェアは50%を上回るなど、その実力は群を抜いた存在。また、全体売上高の過半を海外で占めており、世界で16の国と地域に事業展開している。次世代半導体向け新規材料の量産体制を構築するため、その生産スペースの確保を目的に、韓国全州市にある子会社の工場内に製造棟を新設することを2月下旬に発表、次をにらんだ布石を着々と打っている。
トップラインは13年3月期から数えて前期まで11期連続で拡大基調を継続、24年3月期も増収を確保し、営業利益は前期比7%増の345億円を見込む。25年3月期も増収増益基調が続く公算が大きい。株価は2月中旬以降上げ足を強め、最高値近辺での頑強な値動き。PERなどの株価指標面から割高感はなく、戻り売り圧力のない青空圏を突き進む展開が想定される。
株探ニュース
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