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日本化学工業のニュース
■要約
日本化学工業<4092>は1893年創業で、無機化学を中心に展開する化学メーカーである。事業区分は、化学品事業(クロム製品、シリカ製品、リン製品、その他)、機能品事業(電子セラミック材料、ホスフィン誘導体、農薬、電池材料、回路材料、その他)、賃貸事業、空調関連事業、その他としている。創業以来の化学品事業と機能品事業が収益の2本柱である。賃貸事業は保有資産を有効活用した安定収益源、空調関連事業は新規事業分野と位置付けている。
1. 120年以上の歴史の中で培った多様な市場・顧客ニーズへの対応力が強み
化学品事業と機能品事業の最終需要先は、自動車、家電、半導体・液晶、鉄鋼、二次電池、塗料、製紙、土木、家庭用品、食品、飼料、医薬・農薬と幅広い。120年以上の歴史の中で培った配合・合成ノウハウをコア技術として、新製品開発力、製造技術力、品質力など、多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さを強みとしている。
2. 2020年3月期は売上期ズレや減価償却費増加で減益
2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の36,243百万円、営業利益が同19.6%減の2,481百万円、経常利益が同16.7%減の2,545百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.8%減の1,857百万円だった。売上高は全体として横ばいにとどまった。電子セラミック材料が大幅伸長したが、メッキ向けクロム製品が米中貿易摩擦長期化に伴う需要低迷などで落ち込み、ホスフィン誘導体と農薬の大口案件の期ずれ、空調関連事業の大口案件の一巡も影響した。利益は成長投資に伴う減価償却費の増加なども影響して減益だった。
3. 2021年3月期予想は未定だが持続的安定収益の実現を目指す
2021年3月期連結業績予想及び配当予想については未定としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を期初時点では合理的に算出することが困難なため、業績への影響を慎重に見極め、開示が可能となった時点で速やかに公表する。なお同社が扱う製品の多くは、いわゆる川上分野に位置するため、川下分野に当たる最終製品の需要変動からおおむね4~5ヶ月程度遅れる形で、同社の生産・販売に影響を与える特性がある。業績予想は未定としたが、引き続き「持続的安定収益の実現」を最重要課題として、既存事業のシェア維持と新規顧客開拓、コア技術を活用した高付加価値製品の開発、国内外グループ会社間の連携を強化する方針だ。
4. 重点施策は順調に進展
重点施策の取り組みは順調に進展している。重点分野への集中投資に関しては、成長分野の電子材料や有機関連製品への投資を継続的に実施している。特にMLCC(積層セラミックコンデンサ)向けに需要拡大基調のパルセラム(チタン酸バリウム=BaTiO3)に関しては、福島第一工場での新ライン増設に続き、2019年11月に徳山工場(山口県)において新生産棟の建設に着手(2021年春竣工予定)した。顧客ニーズに対応して段階的な設備増強を行い、最終的には2019年3月期比で70~80%の生産能力増強を目指す方針だ。生産拠点を分散化することで供給の安定化を図る狙いもある。
5. 中期的に収益拡大・高収益化を期待
新・中期経営計画については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が不透明なため公表を見送ったが、基本的な中長期成長戦略に大きな変化はないとしている。当面は高水準の設備投資に伴って減価償却費が増加するが、前・中期経営計画の期間中においても重点施策への取り組みは順調に進展している。MLCC用パルセラムなど高付加価値製品の需要拡大、新工場の円滑な立ち上げと生産性向上、高付加価値の新製品開発の加速など、強固な事業基盤を構築して中期的に収益拡大、そして一段の高収益化が期待される。
■Key Points
・1893年創業の化学メーカーで多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さが強み
・2021年3月期予想は新型コロナウイルス影響で未定だが持続的安定収益の実現を目指す
・重点分野への集中投資や高付加価値製品の需要拡大で中期的に収益拡大・高収益化期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
日本化学工業<4092>は1893年創業で、無機化学を中心に展開する化学メーカーである。事業区分は、化学品事業(クロム製品、シリカ製品、リン製品、その他)、機能品事業(電子セラミック材料、ホスフィン誘導体、農薬、電池材料、回路材料、その他)、賃貸事業、空調関連事業、その他としている。創業以来の化学品事業と機能品事業が収益の2本柱である。賃貸事業は保有資産を有効活用した安定収益源、空調関連事業は新規事業分野と位置付けている。
1. 120年以上の歴史の中で培った多様な市場・顧客ニーズへの対応力が強み
化学品事業と機能品事業の最終需要先は、自動車、家電、半導体・液晶、鉄鋼、二次電池、塗料、製紙、土木、家庭用品、食品、飼料、医薬・農薬と幅広い。120年以上の歴史の中で培った配合・合成ノウハウをコア技術として、新製品開発力、製造技術力、品質力など、多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さを強みとしている。
2. 2020年3月期は売上期ズレや減価償却費増加で減益
2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の36,243百万円、営業利益が同19.6%減の2,481百万円、経常利益が同16.7%減の2,545百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.8%減の1,857百万円だった。売上高は全体として横ばいにとどまった。電子セラミック材料が大幅伸長したが、メッキ向けクロム製品が米中貿易摩擦長期化に伴う需要低迷などで落ち込み、ホスフィン誘導体と農薬の大口案件の期ずれ、空調関連事業の大口案件の一巡も影響した。利益は成長投資に伴う減価償却費の増加なども影響して減益だった。
3. 2021年3月期予想は未定だが持続的安定収益の実現を目指す
2021年3月期連結業績予想及び配当予想については未定としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を期初時点では合理的に算出することが困難なため、業績への影響を慎重に見極め、開示が可能となった時点で速やかに公表する。なお同社が扱う製品の多くは、いわゆる川上分野に位置するため、川下分野に当たる最終製品の需要変動からおおむね4~5ヶ月程度遅れる形で、同社の生産・販売に影響を与える特性がある。業績予想は未定としたが、引き続き「持続的安定収益の実現」を最重要課題として、既存事業のシェア維持と新規顧客開拓、コア技術を活用した高付加価値製品の開発、国内外グループ会社間の連携を強化する方針だ。
4. 重点施策は順調に進展
重点施策の取り組みは順調に進展している。重点分野への集中投資に関しては、成長分野の電子材料や有機関連製品への投資を継続的に実施している。特にMLCC(積層セラミックコンデンサ)向けに需要拡大基調のパルセラム(チタン酸バリウム=BaTiO3)に関しては、福島第一工場での新ライン増設に続き、2019年11月に徳山工場(山口県)において新生産棟の建設に着手(2021年春竣工予定)した。顧客ニーズに対応して段階的な設備増強を行い、最終的には2019年3月期比で70~80%の生産能力増強を目指す方針だ。生産拠点を分散化することで供給の安定化を図る狙いもある。
5. 中期的に収益拡大・高収益化を期待
新・中期経営計画については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が不透明なため公表を見送ったが、基本的な中長期成長戦略に大きな変化はないとしている。当面は高水準の設備投資に伴って減価償却費が増加するが、前・中期経営計画の期間中においても重点施策への取り組みは順調に進展している。MLCC用パルセラムなど高付加価値製品の需要拡大、新工場の円滑な立ち上げと生産性向上、高付加価値の新製品開発の加速など、強固な事業基盤を構築して中期的に収益拡大、そして一段の高収益化が期待される。
■Key Points
・1893年創業の化学メーカーで多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さが強み
・2021年3月期予想は新型コロナウイルス影響で未定だが持続的安定収益の実現を目指す
・重点分野への集中投資や高付加価値製品の需要拡大で中期的に収益拡大・高収益化期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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