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ランドコンピュ Research Memo(3):半世紀近い業歴を持つ独立系システムインテグレータ(2)

配信元:フィスコ
投稿:2020/08/17 15:03
ランドコンピュータ<3924>の会社概要

2. 事業内容
2020年3月期のサービスライン別の売上高構成比は、システムインテグレーション・サービス65.3%、インフラソリューション・サービス16.7%、パッケージベースSI・サービス18.0%であった。システムインテグレーション・サービスの売上高構成比の顧客業種別内訳は、金融向けが30.6%(銀行19.2%、保険・証券3.3%、クレジットカード8.2%)、産業・流通が23.9%、公共が3.3%、医療が7.4%を占めた。

金融機関は、ITサービス業界にとって最大の顧客となる。同社の場合、富士通や日立製作所<6501>などがプライムコントラクターとなり、同社は協力会社の位置付けとなる。

顧客基盤では、富士通を筆頭に、日立製作所や(株)日立ソリューションズを中心とする日立グループ、NTTデータ<9613>を中心とするNTTグループ、日鉄ソリューションズ<2327>などメーカー系を中心とした大手システムインテグレータと長年にわたり良好な取引関係を維持している。加えて、直接取引をしている主要なユーザは三菱総研DCS(株)、三井住友トラスト・システム&サービス(株)、出光興産<5019>、(株)オプテージ、野村ホールディングス<8604>などとなっており、増加傾向にある。これらは、同社の技術力と金融、流通などの業務知識、品質面での実績が顧客から評価された結果と言える。

主要顧客は、大手システムインテグレータになる。特に、富士通グループとは設立直後の取引関係から親密で、富士通のコアパートナーとなっている。同社は、富士通の2019年度PQI(パートナー品質改善活動)のスキルレベル認定において、1stステップ(品質記録)、2ndステップ(品質評価)及び3rdステップ(品質計画)の全3ステップにてスキルレベル「ゴールド」認定を取得した。2020年3月期における主要顧客への売上依存度は、富士通向けが25.9%、富士通グループ向けの依存度は約4割であった。なお、富士通との良好な関係を維持しながら、他のシステムインテグレータとの取引量拡大を図っている。具体的には、日立グループをはじめ150社強のエンドユーザとも直接取引しており、そのウエイトは4分の1程度となっている。

(1) システムインテグレーション・サービス
主力のシステムインテグレーション・サービスは、金融業、産業・流通業、公共分野、医療分野等の幅広い分野において、顧客であるエンドユーザや国内メーカー、大手システムインテグレータからの受託開発を中心に行う。企画立案、システム構築、システム運用の工程をすべて手掛けており、トータルサービスを提供できる体制を整えている。

銀行は、省力・省人化のためIT投資を進めているため、中長期的に高水準な需要が期待される。また、ネットバンクや流通系の金融子会社の案件も多い。なお、同社が金融業界と並んでターゲットとする公共部門は、電子政府など行政部門における生産性改革や利便性の向上並びにセキュリティ強化など、IT投資案件は多い。

(2) インフラソリューション・サービス
インフラソリューション・サービスは、顧客のITシステム基盤となるサーバ等ハードウェアの導入やネットワークの構築、データベース、アプリケーション基盤等のシステムインフラを構築するとともに、その後の運用や保守までの一連のサービスをカバーしている。一般企業、大学等の教育機関、病院、官公庁など様々な顧客のITシステムインフラ環境を調査・分析したうえで、顧客のニーズに適したインフラソリューション・サービスを提供する。具体的には、ネットワーク構築等のインフラソリューション・サービスに加えて、システムインテグレーション・サービスを組み合わせたトータルサービスをワンストップで提供する。

(3) パッケージベースSI・サービス
成長分野の柱としてシステム・パッケージベンダとアライアンスを組み、場合によってはパッケージの提供を受け、顧客へソフトウェアパッケージ製品(Salesforce、COMPANY、SuperStream等)の導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守、運用までを行い、トータルサービスを提供する。同サービスラインの売上高構成比は2015年3月期の7.5%から2020年3月期では18.0%に高まった。

同社は、2010年4月よりSalesforceとのビジネスを開始し、2016年11月には販売パートナー契約を締結した。現在は、Salesforce Goldコンサルティングパートナー、アプリケーションパートナー/ライセンス販売代理店となっている。これまで500社を超える導入と1,800件を超えるプロジェクト実績がある。多業種に多業務に及ぶ業務知見と、幅広い製品知識(Sales Cloud、Service Cloud、Community Cloud、Lightning Platform、Einstein Analytics、Field Service Lightning、Heroku、Pardot)で最適なソリューションを提案する。業種としては、損保、保険代理店、大学、専門学校、塾・予備校、製造業(食品、機器、部品、ソフトウェア等)、飲食、卸売業、小売業、専門商社、アパレル、印刷・出版業、不動産、人材派遣、インターネットサービス、法律事務所、施設運営などの実績がある。

ちなみに、2019年1月期に1兆4,900億円の売上高を計上した米Salesforceは、次の4年間でそれを倍増させる計画を発表している。設立翌年の2000年に最初の国際拠点として日本へ進出しており、国内企業のデジタル変革を支援するため、日本における従業員数を現在の1,500人から2024年までの5年間で3,500人に増員する計画でいる。

3. IT系及び業務系資格
(1) 資格保有者数
エンジニアには、単なるIT系資格のみならず、金融、産業・流通、医療などの業務系資格を積極的に取得するよう推進している。2020年3月末現在、IT系資格と業務系資格の保有者数は延べ1,540人(内訳はIT系資格保有者数:1,276人、業務系資格保有者数:264人)に達した。5年前に比べると、延べ資格所有者は26.2%伸び、1人当たりの平均資格保有数は同2.53から3.06へと増加した。

業務系資格取得を積極的に推進することにより、同社のエンジニアが顧客と同じ視点からシステムソリューションサービスを提供できるため、結果として顧客満足度の向上、強固な信頼関係構築の原動力となっている。

(2) 新入社員研修
新入社員教育にも力を入れており、入社後3ヶ月を集合研修に充てている。内容は、最新の技術修得研修、マネジメント研修、ヒューマンスキル研修、管理職研修、セキュリティ研修、メンタルヘルス研修などで人財育成プログラムを充実させている。また、新人教育期間中に、OracleのデータベースとJavaプログラミングに関する2つのベンダ資格にチャレンジさせる。2020年春に入社した新卒39名は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で3ヶ月間のオンライン在宅学習となったにもかかわらず、全員が所定のベンダ試験に合格した。これも学校法人を設立母体としていることから、社員教育のノウハウもあって可能になっている。新入社員に相当な努力があったと思われるが、会社側も従来の集合研修の代わりにWeb会議ツールの「Zoom」を使用したオンライン研修を行うことなどでサポートをした。

採用にあたっては、文系/理系、学部卒/院卒を問わない。教育制度が充実しているため、「論理的思考能力」と「学ぶ意欲」「IT業界、SEへの熱意」を重視し、制度を積極的に利用して成長したいという向上心のある人物を採用するようにしている。なお、2021年春の新卒採用については、新型コロナウイルス感染症拡大のためWeb面接に切り替え、来春卒業予定者20名ほどに内定を出している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)


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配信元: フィスコ
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