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アドソル日進のニュース
■強みと事業リスク
1. 強みと競合
第1に、サイバーコム<3852>の最大の強みは、長年培ってきた通信技術の知識や豊富な開発実績である。特に顧客の現場レベルから出てきたニーズをくみ取り、求められる要件プラスアルファの成果物を提供することで顧客から信頼を得ており、同社への信頼感は非常に厚く、リピート受注や顧客からの口コミ受注が多くある。近年では、ニーズの多い車載機器に使用されるソフトウェア開発の体制強化を図っており、先進技術への対応に余念がない。
第2に、富士ソフトグループの位置付けで、一般的な独立系ソフト会社に比べ不況期での経営の安定性があるのも大きな強みである。後述の過去業績を見ればわかるが、リーマンショック前の業績のピークである2008年から2010年、2011年にかけて売上高は30%程度減少したものの、営業利益は確保できている。通常30%もの売上減少が生じると営業損失に陥る企業が多い。しかし、同社の場合は富士ソフトグループ内で積み重ねた通信技術を活かしたソフトウェア開発事業を分担・連携することで、グループ内のシナジーを享受し、経営の安定性が醸成できている。なお、富士ソフトとの関係については、事業連携上で良好であり、同社が上場し経営の自由度もあるため、リスクとしての面はあまり問題とならない。グループ間の取引額も同社の全体売上高の数パーセント程度であり、特に過度の依存関係にはなっていない。
第3に、上場会社としての財務基盤の安定性がある。54.8%と高い自己資本比率(後述の「財務状況と経営指標」参照)と無借金経営で今後の成長投資に対して戦略的に対応が可能だ。そして売上原価の大半が労務費・外注費かつ変動費であり、固定比率が低いので好不況の変動に柔軟に対応できる企業体質である。社員で構成される労務費でも、例えば顧客の大手通信事業者の設備投資状況の変化に対応して、受注減少時には他分野案件にシフトしたり、要員の技術教育を行ったり柔軟に対応できている。
第4には、保有する通信技術やノウハウなどから、顧客ニーズに対応する自社プロダクトを開発・販売している点である。現在では、オフィス電話・コールセンターシステムの「Cyber Smart」シリーズ製品の販売に注力しており、導入実績は約70社・14,000ライセンスを達成(2018年12月末時点)している。「携帯えぇのう」、「産直はんじょう」などのユニークな農業系販売支援アプリも販売している。
また、同社の属する情報通信業においておおむね同規模の競合他社としては、アドソル日進<3837>、クロスキャット<2307>、クエスト<2332>などが挙げられる。
2. 事業リスク
主な事業リスクとしては、以下のものが挙げられる。
第1に、同社の主力事業であるソフトウェア開発の通信分野では、大手の通信事業者が主要顧客であるが、通信事業者の設備投資動向によって受注が大きく左右される点である。後述のセグメント別動向を見ると、2016年3月期以降は通信ソフトウェア開発が縮小していることがわかる。これは、移動通信システムが4Gから次世代の5Gへの端境期に当たり、ソフトウェア開発案件の需要が落ち込んでいるためである。2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどに向けて、今後5Gのシステムへの移行が進めば、再び需要は回復するものと思われる。同社では、その間、通信ソフトウェア開発の要員を他の需要が多く通信技術を活かした開発を行う分野へ一時的に転換させるなどして対応している。
第2に、全国的な人手不足を背景に、IT業界においてもSEの不足が大きな課題となっており、同社においてもリスクとして認識される。特に2018年から2019年にかけては、東京オリンピック・パラリンピック向けの警備システムなどセキュリティ分野におけるソフトウェア開発のニーズが高まることが予想されており、技術者の採用・確保については困難が伴うだろう。同社では、車載機器ソフトウェアなどのIoT、先端技術などに対応し、上流工程を担当できる技術者を中心に採用・育成・増強を進めている。2017年3月に横浜本社ビルを取得・移転し、作業環境を充実させるとともに、働き方改革にも取り組むなど、従業員満足度向上にも積極的に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
<HN>
1. 強みと競合
第1に、サイバーコム<3852>の最大の強みは、長年培ってきた通信技術の知識や豊富な開発実績である。特に顧客の現場レベルから出てきたニーズをくみ取り、求められる要件プラスアルファの成果物を提供することで顧客から信頼を得ており、同社への信頼感は非常に厚く、リピート受注や顧客からの口コミ受注が多くある。近年では、ニーズの多い車載機器に使用されるソフトウェア開発の体制強化を図っており、先進技術への対応に余念がない。
第2に、富士ソフトグループの位置付けで、一般的な独立系ソフト会社に比べ不況期での経営の安定性があるのも大きな強みである。後述の過去業績を見ればわかるが、リーマンショック前の業績のピークである2008年から2010年、2011年にかけて売上高は30%程度減少したものの、営業利益は確保できている。通常30%もの売上減少が生じると営業損失に陥る企業が多い。しかし、同社の場合は富士ソフトグループ内で積み重ねた通信技術を活かしたソフトウェア開発事業を分担・連携することで、グループ内のシナジーを享受し、経営の安定性が醸成できている。なお、富士ソフトとの関係については、事業連携上で良好であり、同社が上場し経営の自由度もあるため、リスクとしての面はあまり問題とならない。グループ間の取引額も同社の全体売上高の数パーセント程度であり、特に過度の依存関係にはなっていない。
第3に、上場会社としての財務基盤の安定性がある。54.8%と高い自己資本比率(後述の「財務状況と経営指標」参照)と無借金経営で今後の成長投資に対して戦略的に対応が可能だ。そして売上原価の大半が労務費・外注費かつ変動費であり、固定比率が低いので好不況の変動に柔軟に対応できる企業体質である。社員で構成される労務費でも、例えば顧客の大手通信事業者の設備投資状況の変化に対応して、受注減少時には他分野案件にシフトしたり、要員の技術教育を行ったり柔軟に対応できている。
第4には、保有する通信技術やノウハウなどから、顧客ニーズに対応する自社プロダクトを開発・販売している点である。現在では、オフィス電話・コールセンターシステムの「Cyber Smart」シリーズ製品の販売に注力しており、導入実績は約70社・14,000ライセンスを達成(2018年12月末時点)している。「携帯えぇのう」、「産直はんじょう」などのユニークな農業系販売支援アプリも販売している。
また、同社の属する情報通信業においておおむね同規模の競合他社としては、アドソル日進<3837>、クロスキャット<2307>、クエスト<2332>などが挙げられる。
2. 事業リスク
主な事業リスクとしては、以下のものが挙げられる。
第1に、同社の主力事業であるソフトウェア開発の通信分野では、大手の通信事業者が主要顧客であるが、通信事業者の設備投資動向によって受注が大きく左右される点である。後述のセグメント別動向を見ると、2016年3月期以降は通信ソフトウェア開発が縮小していることがわかる。これは、移動通信システムが4Gから次世代の5Gへの端境期に当たり、ソフトウェア開発案件の需要が落ち込んでいるためである。2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどに向けて、今後5Gのシステムへの移行が進めば、再び需要は回復するものと思われる。同社では、その間、通信ソフトウェア開発の要員を他の需要が多く通信技術を活かした開発を行う分野へ一時的に転換させるなどして対応している。
第2に、全国的な人手不足を背景に、IT業界においてもSEの不足が大きな課題となっており、同社においてもリスクとして認識される。特に2018年から2019年にかけては、東京オリンピック・パラリンピック向けの警備システムなどセキュリティ分野におけるソフトウェア開発のニーズが高まることが予想されており、技術者の採用・確保については困難が伴うだろう。同社では、車載機器ソフトウェアなどのIoT、先端技術などに対応し、上流工程を担当できる技術者を中心に採用・育成・増強を進めている。2017年3月に横浜本社ビルを取得・移転し、作業環境を充実させるとともに、働き方改革にも取り組むなど、従業員満足度向上にも積極的に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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