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GMOグローバルサイン・ホールディングスのニュース
■GMOグローバルサイン・ホールディングス<3788>の中長期の成長戦略
1. 市場動向
電子契約サービスの市場規模は年々拡大しており、マクロマーケットとして好調である。日本国内における電子署名の採用企業は大企業が中心であるものの、中小企業での導入・検討も進んでおり、コロナ禍により中小企業のデジタル化をトップダウンで進める企業が増えたことも経営環境の追い風になっている。グローバルで見た場合の電子署名の市場環境も同様に良好である。
同社の電子認証・印鑑事業にシングルサインオンサービス「トラストログイン byGMO」があるが、これに関連するエンドマーケットであるテレワーク市場も安定成長推移が想定される。テレワークは社員間のコミュニケーションの支障や社員のメンタルヘルスなどの課題をもたらすとの見方があり、急拡大の継続は見込みづらいものの、経費節減効果や三密が回避できるといったメリットから、成長は長期的に続くと弊社では予想している。
また、情報セキュリティ市場についても、今後安定的かつ高い成長が期待できると弊社では見ている。足元では、SaaS型セキュリティソフトウェアを中心に顕著に伸びている。コロナ禍以降、テレワークの普及に伴って後押しされた点もあるが、政府のデジタル化推進を背景に企業側でもDXを進め、オンプレミスのIT環境はクラウド環境への移行が加速するだろう。また、EU一般データ保護規則(GDPR)や個人情報保護法といった情報ガバナンスやコンプライアンス対応強化の潮流が強まるなか、サイバー攻撃への対策としてセキュリティ関連サービス自体の需要も増大する見通しが強いと弊社では考える。
加えて、DX市場も今後大きな成長が見込まれており、特に製造業や金融業、情報通信業でのDX推進が今後活発になるとされている。これらの領域は国内の大手ITベンダーが注力しており、政府もデジタル庁設置などの取り組み強化を打ち出した。また、コロナ禍をきっかけとしたDX普及は海外でも同様の傾向にある。DX投資については、非接触・テレワークへの投資が必要との認識を企業は持っており、今後も長期的な成長が見られると弊社では予想する。
ドラッグストアやスーパーでは電子商取引(EC)の投資を進めることで売上を拡大している企業もある一方で、観光や宿泊、旅行業を含むサービス業や、鉄道・航空など人の移動を伴う業種はDX投資の勢いが削がれている面もあるので、業種間のDX格差を埋めるのが今後の課題となるだろう。製造業では、デジタル技術でサプライチェーンを最適化するための投資が加速する可能性がある。いずれにせよ、同社にとっては、エンドマーケットの中長期的な拡大が見込まれるなかで好調な業績を狙いやすい環境にあると推察される。
2. 電子認証・印鑑事業の動向・成長戦略
「電子印鑑GMOサイン」の導入企業数は185,832社(2021年12月期第1四半期末時点)と国内トップのシェアを誇っており、2021年5月には電子契約サービスを提供する公式アプリをApp storeとGoogle playにて提供開始している。今後は民間企業のみならず、官公庁などのハンコ文化が今まで色濃かったセクターにデジタル認証プロジェクトとして食い込んでいく方針だ。具体的な自治体としては東京都、福岡市、福井市、米子市など日本全国広範をカバーしているものの、公共機関や政府案件の獲得による売上拡大が課題である。
顧客基盤については、GMOインターネットグループの顧客基盤を利用してグループ内でのシナジーを強化するとともに、プロモーションも加速させていく。グループ全体の顧客網を活用したクロスセルを通じ、よりトップラインの成長ペースが早まると弊社では見ている。
また、グローバル展開施策については、ブラジルの事業会社をグループ化しており、まずは南米事業を加速(SSLシェアは68%)させ、M&A戦略次第によってはさらなるグローバル展開を見込んでいるようだ。海外展開については、競争はあるものの、足元では新規の顧客を競合他社が各々獲得している状況で激しい「奪い合い」は見られず、ブルーオーシャンの色合いが濃い。こうした状況を背景に、今後も海外での売上は順調に増加する可能性が強いと弊社では考える。
3. クラウドインフラ事業の成長戦略
クラウドインフラ事業の今後の事業の方針としては、「Clowdcrew」のプラットフォームを活用しつつ、ストック売上の拡大とプロモーション加速により顧客基盤を強化する戦略である。
4. DX事業の成長戦略
同社のWebソリューションO2Oに関しては、ホンダモーターサイクルジャパンへの導入実績もあり、「GMOおみせアプリ」の2021年12月期第1四半期時点の導入店舗数は7,844件になっている。民間企業のみならず地方自治体への営業も行っていることから、同事業の成長戦略は民間・官公庁の区別なく顧客基盤を開拓していくことにあるだろう。今後は機能拡充、DX需要の取り込み、LINEやGMOインターネットグループ内での協業強化を行うなどの施策を打ち出している。
5. 今後の市場戦略
今後の市場展開としては、「電子印鑑GMOサイン」をはじめとする電子契約サービスについては導入企業数及び契約送信数は引き続き好調に推移していることから、今後のさらなる成長に向け投資を拡大する考えである。また、コロナ禍によるテレワークの推進により引き続き拡大が見込まれるクラウド市場においては、マネージドクラウドサービスの販売も継続して増加する見込みである。
上記の経営環境を鑑み、同社は経営資源を電子契約サービス、クラウドサービスやO2Oサービス、IDaaSなどの成長市場へ振り向けることでさらなる成長を企図している。DX市場の拡大も見込まれるなかで企業のデジタル化のニーズをどの程度取り込めるかが、トップライン拡大のポイントになると弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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1. 市場動向
電子契約サービスの市場規模は年々拡大しており、マクロマーケットとして好調である。日本国内における電子署名の採用企業は大企業が中心であるものの、中小企業での導入・検討も進んでおり、コロナ禍により中小企業のデジタル化をトップダウンで進める企業が増えたことも経営環境の追い風になっている。グローバルで見た場合の電子署名の市場環境も同様に良好である。
同社の電子認証・印鑑事業にシングルサインオンサービス「トラストログイン byGMO」があるが、これに関連するエンドマーケットであるテレワーク市場も安定成長推移が想定される。テレワークは社員間のコミュニケーションの支障や社員のメンタルヘルスなどの課題をもたらすとの見方があり、急拡大の継続は見込みづらいものの、経費節減効果や三密が回避できるといったメリットから、成長は長期的に続くと弊社では予想している。
また、情報セキュリティ市場についても、今後安定的かつ高い成長が期待できると弊社では見ている。足元では、SaaS型セキュリティソフトウェアを中心に顕著に伸びている。コロナ禍以降、テレワークの普及に伴って後押しされた点もあるが、政府のデジタル化推進を背景に企業側でもDXを進め、オンプレミスのIT環境はクラウド環境への移行が加速するだろう。また、EU一般データ保護規則(GDPR)や個人情報保護法といった情報ガバナンスやコンプライアンス対応強化の潮流が強まるなか、サイバー攻撃への対策としてセキュリティ関連サービス自体の需要も増大する見通しが強いと弊社では考える。
加えて、DX市場も今後大きな成長が見込まれており、特に製造業や金融業、情報通信業でのDX推進が今後活発になるとされている。これらの領域は国内の大手ITベンダーが注力しており、政府もデジタル庁設置などの取り組み強化を打ち出した。また、コロナ禍をきっかけとしたDX普及は海外でも同様の傾向にある。DX投資については、非接触・テレワークへの投資が必要との認識を企業は持っており、今後も長期的な成長が見られると弊社では予想する。
ドラッグストアやスーパーでは電子商取引(EC)の投資を進めることで売上を拡大している企業もある一方で、観光や宿泊、旅行業を含むサービス業や、鉄道・航空など人の移動を伴う業種はDX投資の勢いが削がれている面もあるので、業種間のDX格差を埋めるのが今後の課題となるだろう。製造業では、デジタル技術でサプライチェーンを最適化するための投資が加速する可能性がある。いずれにせよ、同社にとっては、エンドマーケットの中長期的な拡大が見込まれるなかで好調な業績を狙いやすい環境にあると推察される。
2. 電子認証・印鑑事業の動向・成長戦略
「電子印鑑GMOサイン」の導入企業数は185,832社(2021年12月期第1四半期末時点)と国内トップのシェアを誇っており、2021年5月には電子契約サービスを提供する公式アプリをApp storeとGoogle playにて提供開始している。今後は民間企業のみならず、官公庁などのハンコ文化が今まで色濃かったセクターにデジタル認証プロジェクトとして食い込んでいく方針だ。具体的な自治体としては東京都、福岡市、福井市、米子市など日本全国広範をカバーしているものの、公共機関や政府案件の獲得による売上拡大が課題である。
顧客基盤については、GMOインターネットグループの顧客基盤を利用してグループ内でのシナジーを強化するとともに、プロモーションも加速させていく。グループ全体の顧客網を活用したクロスセルを通じ、よりトップラインの成長ペースが早まると弊社では見ている。
また、グローバル展開施策については、ブラジルの事業会社をグループ化しており、まずは南米事業を加速(SSLシェアは68%)させ、M&A戦略次第によってはさらなるグローバル展開を見込んでいるようだ。海外展開については、競争はあるものの、足元では新規の顧客を競合他社が各々獲得している状況で激しい「奪い合い」は見られず、ブルーオーシャンの色合いが濃い。こうした状況を背景に、今後も海外での売上は順調に増加する可能性が強いと弊社では考える。
3. クラウドインフラ事業の成長戦略
クラウドインフラ事業の今後の事業の方針としては、「Clowdcrew」のプラットフォームを活用しつつ、ストック売上の拡大とプロモーション加速により顧客基盤を強化する戦略である。
4. DX事業の成長戦略
同社のWebソリューションO2Oに関しては、ホンダモーターサイクルジャパンへの導入実績もあり、「GMOおみせアプリ」の2021年12月期第1四半期時点の導入店舗数は7,844件になっている。民間企業のみならず地方自治体への営業も行っていることから、同事業の成長戦略は民間・官公庁の区別なく顧客基盤を開拓していくことにあるだろう。今後は機能拡充、DX需要の取り込み、LINEやGMOインターネットグループ内での協業強化を行うなどの施策を打ち出している。
5. 今後の市場戦略
今後の市場展開としては、「電子印鑑GMOサイン」をはじめとする電子契約サービスについては導入企業数及び契約送信数は引き続き好調に推移していることから、今後のさらなる成長に向け投資を拡大する考えである。また、コロナ禍によるテレワークの推進により引き続き拡大が見込まれるクラウド市場においては、マネージドクラウドサービスの販売も継続して増加する見込みである。
上記の経営環境を鑑み、同社は経営資源を電子契約サービス、クラウドサービスやO2Oサービス、IDaaSなどの成長市場へ振り向けることでさらなる成長を企図している。DX市場の拡大も見込まれるなかで企業のデジタル化のニーズをどの程度取り込めるかが、トップライン拡大のポイントになると弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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