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クロスマーケ Research Memo(7):D2C支援事業など中計に先駆けた施策を展開

配信元:フィスコ
投稿:2021/10/04 15:17
■業績動向

3. 2021年6月期のトピックス
2021年6月期において、6カ月の短い期間だったが、中期経営計画「DX Action 2024」に先駆けた施策を展開した。デジタルマーケティング事業では、(株)クロス・コミュニケーションがEC関連のビジネスの展開を開始した。中心となるのがD2C支援事業の「SPACESHIPS~D2C BREAKTHROUGH PARTNER~」で、従来のIT支援やリサーチ、CRMなどマーケティングソリューションのノウハウを、顧客のEC事業支援に直接活かす計画である。具体的には、独自のパネルアンケートやSNS画像解析AIを用い、コアターゲット群を抽出してペルソナを設定、明確なファンの姿を捉えることで、事業計画やMDプラン、販促施策の確実性を向上させる。また、経験豊富なデザイナーが、商品撮影からWEBサイトデザイン、広告デザイン、パッケージなどを手掛けることで、一貫性のあるブランドを確立する。D2C立ち上げ時はASPを活用し固定費を抑えてスタート、拡大時には物流やシステムなど外部連携を拡張することで運用効率を上げる。SNS運用などインタラクティブな多重コミュニケーションによってファンの増加を促進するなど的確なCRMも実施する。

こうしたD2C支援事業を成功に導くため、クロス・マーケティンググループ<3675>は事業譲受により自らD2Cに参入した。新しいアクセサリースタイルを提案する「ROOM」では、ファッションコーディネートに貢献するアクセサリーブランドを目指す。色の持つ力にフォーカスしたカラーレギンスブランドの「showgirl」は、スポーツやトレーニング、ショッピングなど様々なシーンでの利用を提案する。「PLAY LIST」はニューノーマルのオンスタイルを提案するメンズアパレルサービスで、異なる3つのフォルム「FLAT」、「PLAY」、「SLACK」を展開する。このように3つのブランドを運営することによって、D2C支援事業のノウハウを蓄積する考えである。さらにECモール事業にも参入して、支援先企業の集客にも貢献する計画である。同社のECモール「チャレモール」は、D&Mとドゥ・ハウスのノウハウで設立された新しいタイプのECモールで、許諾を得ることで購買者情報を広告主に渡すことができる上、成果報酬型のためテナントは固定家賃なしで出店することができるなど、従来のECモールより利用のハードルが低くなっている。

このほかデジタルマーケティング事業では、D&Mが(株)サイカの「XICA ADVA (サイカ アドヴァ)」の提供を開始した。国内大手企業を中心に160社以上が導入する、TVCMなど広告のPDCAをトータルサポートするサービスである。これによりD&MはTVCM枠の販売をスタートする一方、データサイエンスを使って広告効果の最大化を図る。データマーケティング事業では、クロス・マーケティングがLINEリサーチのオフィシャルパートナーに認定された。日本のSNSの中で最も利用者が多いと言われるLINEをバックに、回収が難しいと言われる若者を中心にフレッシュで代表制の高いモニターを組織できるというメリットがある。インサイト事業では、ビジュアル分析プラットフォーム「Tableau」に30年以上に及ぶ生活者の定点データを提供、生活者意識データと公的統計データの分析からインサイトの発見をより容易にすることができるようになる。


やや保守的な2022年6月期業績見通し
4. 2022年6月期の業績見通し
同社は、2022年6月期の見通しについては、売上高23,051百万円、営業利益1,903百万円、経常利益1,850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,101百万円と見込んでいる。2021年6月期が6カ月の変則決算のため、同社は増減率を表示していないが、2021年6月期業績に2020年12月期下期業績を加えた12カ月の業績と対比させた実質ベースだと、売上高で21.0%増、営業利益で4.1%増、経常利益で4.7%減、親会社株主に帰属する当期純利益で12.9%増という見込みになっている。なお、2022年6月期期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用している。

2022年6月期は中期経営計画「DX ACTION 2024」の初年度であり、中期経営計画の指針である「マーケティングDXパートナー」へ向けて様々な取り組みを進めていく第一歩と位置づけられている。これまで培ったグループ全体の資産である顧客データや800万人のパネルネットワーク、データアナリティクステクノロジー、マーケティングリサーチシステムを土台に、グループのCRMデータの統合・活用、パネルネットワークの共有化、DXによる新たなサービス、ビジネスモデルの構築などを進め、ビジネスモデルの進化と各事業の領域拡大を推進する方針である。こうした施策に加え(株)ドゥ・ハウスの連結効果(半期分)もあり、売上高は大幅増加が予想されている。利益面では、売上総利益率は2021年6月期(6カ月)と同水準を見込んでいるが、新型コロナウイルス感染症のリスクが依然残っていることから、海外売上高や連結全体の販管費に関してはやや保守的な前提になっていると思われる。新型コロナウイルス感染症は確かにリスクではあるが、現在の勢いを考えると、同社の利益は会社予想を上回って着地する可能性が高そうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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配信元: フィスコ
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