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農業総合研究所のニュース
■事業内容
農業総合研究所<3541>は「農家の直売所」事業の単一セグメントのため、セグメント別の業績は開示していないが、スーパー等との契約に応じて「委託販売システム」「買取委託販売」「卸販売」の3つの領域からなる。2019年8月期の売上高は、委託販売システムが1,557百万円、買取委託販売が1,094百万円、卸販売が59百万円、その他135百万円、子会社256百万円であった。
1. 委託販売システム
登録生産者から農産物を集荷し、スーパー等の直売所コーナーで委託販売を行う流通経路を提供するもの。同社もスーパー等も買取りをしないため、在庫リスクは登録生産者にある。在庫リスクを持つ代わりに、登録生産者は販売する農産物・スーパー等の販売先・販売価格を自身で決定できる。好きなものを好きな量だけ、好きな場所で好きな値段で売れることになる。これは、スーパー等からバーコード情報(インストアコード等)が提供されることで登録生産者とバーコード情報を紐付けし、同社の集荷場で販売先のバーコードを発券するシステムを構築したことにより実現した。登録生産者は、集荷場で出荷したいスーパー等別に自分専用のバーコードを発券し、袋詰めした農産物に貼り付けし、出荷する。集荷場が遠方で出荷できない登録生産者には、タブレット端末とバーコード発券機を貸与し、自宅でバーコードを発券し、直接スーパー等へ配送することで委託販売を実施できる仕組みを構築している。
スーパー等で生活者が農産物を購入することで、登録生産者は販売代金を、スーパー等及び同社は販売手数料を得ることができる。同社はスーパー等から日々販売データを提供してもらい、登録生産者にメールで販売状況を連絡している。登録生産者は、在庫リスクは負うが、原則、農産物市場を経由して販売するよりも多くの販売代金を得ることができる。スーパー等は、買い付けをしないため在庫リスクを抱えることがなく、直売所コーナーで販売した分の販売手数料を得る。また、登録生産者との間に同社が介在することで、生産者ごとに代金を支払う必要がなく、支払の手間を省くことができる。
同社は、同社が運営する集荷場からスーパー等の各店舗までの物流費を負担しているが、登録生産者から出荷額に応じた物流費見合いの手数料を得ている。その他の手数料として、バーコード発券に伴う手数料、スーパー等での販売額に応じた手数料を得ている。タブレット端末を利用している登録生産者からは、自分で配送することから出荷額に応じた手数料は取らず、タブレット端末とバーコード発券機の販売収入を得ている。また、登録生産者からは、同社の集荷場に登録した時点で登録料を取り、その後、年に一度年会費を取っている。
集荷場業務を他社に委託している場合は、業務委託先が登録生産者等から農産物を集荷し、スーパー等へ運ぶ。同社は、販売額に応じた手数料から集荷場業務に対する委託費を業務委託先に支払っている。
委託販売システムは手数料が主な収益であり、手数料が売上高に計上されるので、買取委託販売や卸販売よりも利益率の高いビジネスモデルになっている。つまり、流通総額のうち、同社手数料部分を売上高に計上し、原則売上原価の計上はしていない。
同社グループのビジョンである「持続可能な農産業」を実現するには、生産者が経営意識を持つことが必要不可欠と考え、生産者が主体となって販売できる同事業を積極的に進めている。
生産者は同社が設置している集荷場に農産物を出荷し、集荷場に集められた農産物は、物流センターを通じて全国の店舗に配送される。農産物は各店舗の直売所コーナーに陳列され、生活者が購入する。
「農家の直売所」は、JAのような市場流通と道の駅のような直売流通の良いところを取り入れた仕組みで、生産者とスーパー等を直接つなぐことを特徴としている。
手数料と情報の流れだが、スーパー等で生活者が農産物を購入することによって、登録生産者は販売代金を、スーパー等及び同社は販売手数料を得ることができる。また、スーパー等から日々販売データを受け取ることにより、登録生産者に自社開発アプリ及びメールにて販売状況を連絡している。同社は、出荷額に応じた物流費見合いの手数料とバーコード発券に伴う手数料、及びスーパー等での販売額に応じた手数料を受け取る流れとなっている。
2. 買取委託販売
天候不順等で、農産物の供給量が安定していない場合や、スーパー等からフェア実施等で一定の供給量の要望があった場合に、同社が登録生産者等から農産物を買取ることで供給量を確保し、スーパー等に委託販売を行う。最近では、大型・中型生産者との取引拡大に伴い、同生産者からの買取ニーズに応えることで増加傾向にある。同社が在庫リスクを負うため、登録生産者等からの買取価格は、登録生産者等が市場に出荷する価格と同等かそれ以上となり、販売価格は同社が決める。スーパー等と生活者が享受するメリットは委託販売システムと同じである。ただ、生活者の需要を見越した値付けにより、少ないロス率を特徴としている。
同社は、決定した販売価格からスーパー等の販売手数料を差し引いた金額を売上高に計上するが、登録生産者等からの仕入高を売上原価に計上するため、利益率は委託販売システムより低くなる。
3. 卸販売
農産物を登録生産者等から買取り、スーパー等へ販売を行う通常の仕入販売である。買取委託販売同様、仕入高と販売高がそれぞれ売上原価と売上高に計上される。しかしながら、スーパー等が在庫リスクを負うので、同社のスーパー等への販売価格は、スーパー等が市場から買取りしている価格と同等かそれ以下となり、利益率は他の2つの取引と比較すると低めとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 福田 徹)
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農業総合研究所<3541>は「農家の直売所」事業の単一セグメントのため、セグメント別の業績は開示していないが、スーパー等との契約に応じて「委託販売システム」「買取委託販売」「卸販売」の3つの領域からなる。2019年8月期の売上高は、委託販売システムが1,557百万円、買取委託販売が1,094百万円、卸販売が59百万円、その他135百万円、子会社256百万円であった。
1. 委託販売システム
登録生産者から農産物を集荷し、スーパー等の直売所コーナーで委託販売を行う流通経路を提供するもの。同社もスーパー等も買取りをしないため、在庫リスクは登録生産者にある。在庫リスクを持つ代わりに、登録生産者は販売する農産物・スーパー等の販売先・販売価格を自身で決定できる。好きなものを好きな量だけ、好きな場所で好きな値段で売れることになる。これは、スーパー等からバーコード情報(インストアコード等)が提供されることで登録生産者とバーコード情報を紐付けし、同社の集荷場で販売先のバーコードを発券するシステムを構築したことにより実現した。登録生産者は、集荷場で出荷したいスーパー等別に自分専用のバーコードを発券し、袋詰めした農産物に貼り付けし、出荷する。集荷場が遠方で出荷できない登録生産者には、タブレット端末とバーコード発券機を貸与し、自宅でバーコードを発券し、直接スーパー等へ配送することで委託販売を実施できる仕組みを構築している。
スーパー等で生活者が農産物を購入することで、登録生産者は販売代金を、スーパー等及び同社は販売手数料を得ることができる。同社はスーパー等から日々販売データを提供してもらい、登録生産者にメールで販売状況を連絡している。登録生産者は、在庫リスクは負うが、原則、農産物市場を経由して販売するよりも多くの販売代金を得ることができる。スーパー等は、買い付けをしないため在庫リスクを抱えることがなく、直売所コーナーで販売した分の販売手数料を得る。また、登録生産者との間に同社が介在することで、生産者ごとに代金を支払う必要がなく、支払の手間を省くことができる。
同社は、同社が運営する集荷場からスーパー等の各店舗までの物流費を負担しているが、登録生産者から出荷額に応じた物流費見合いの手数料を得ている。その他の手数料として、バーコード発券に伴う手数料、スーパー等での販売額に応じた手数料を得ている。タブレット端末を利用している登録生産者からは、自分で配送することから出荷額に応じた手数料は取らず、タブレット端末とバーコード発券機の販売収入を得ている。また、登録生産者からは、同社の集荷場に登録した時点で登録料を取り、その後、年に一度年会費を取っている。
集荷場業務を他社に委託している場合は、業務委託先が登録生産者等から農産物を集荷し、スーパー等へ運ぶ。同社は、販売額に応じた手数料から集荷場業務に対する委託費を業務委託先に支払っている。
委託販売システムは手数料が主な収益であり、手数料が売上高に計上されるので、買取委託販売や卸販売よりも利益率の高いビジネスモデルになっている。つまり、流通総額のうち、同社手数料部分を売上高に計上し、原則売上原価の計上はしていない。
同社グループのビジョンである「持続可能な農産業」を実現するには、生産者が経営意識を持つことが必要不可欠と考え、生産者が主体となって販売できる同事業を積極的に進めている。
生産者は同社が設置している集荷場に農産物を出荷し、集荷場に集められた農産物は、物流センターを通じて全国の店舗に配送される。農産物は各店舗の直売所コーナーに陳列され、生活者が購入する。
「農家の直売所」は、JAのような市場流通と道の駅のような直売流通の良いところを取り入れた仕組みで、生産者とスーパー等を直接つなぐことを特徴としている。
手数料と情報の流れだが、スーパー等で生活者が農産物を購入することによって、登録生産者は販売代金を、スーパー等及び同社は販売手数料を得ることができる。また、スーパー等から日々販売データを受け取ることにより、登録生産者に自社開発アプリ及びメールにて販売状況を連絡している。同社は、出荷額に応じた物流費見合いの手数料とバーコード発券に伴う手数料、及びスーパー等での販売額に応じた手数料を受け取る流れとなっている。
2. 買取委託販売
天候不順等で、農産物の供給量が安定していない場合や、スーパー等からフェア実施等で一定の供給量の要望があった場合に、同社が登録生産者等から農産物を買取ることで供給量を確保し、スーパー等に委託販売を行う。最近では、大型・中型生産者との取引拡大に伴い、同生産者からの買取ニーズに応えることで増加傾向にある。同社が在庫リスクを負うため、登録生産者等からの買取価格は、登録生産者等が市場に出荷する価格と同等かそれ以上となり、販売価格は同社が決める。スーパー等と生活者が享受するメリットは委託販売システムと同じである。ただ、生活者の需要を見越した値付けにより、少ないロス率を特徴としている。
同社は、決定した販売価格からスーパー等の販売手数料を差し引いた金額を売上高に計上するが、登録生産者等からの仕入高を売上原価に計上するため、利益率は委託販売システムより低くなる。
3. 卸販売
農産物を登録生産者等から買取り、スーパー等へ販売を行う通常の仕入販売である。買取委託販売同様、仕入高と販売高がそれぞれ売上原価と売上高に計上される。しかしながら、スーパー等が在庫リスクを負うので、同社のスーパー等への販売価格は、スーパー等が市場から買取りしている価格と同等かそれ以下となり、利益率は他の2つの取引と比較すると低めとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 福田 徹)
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