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ウイルプラスホールディングスのニュース
■ウイルプラスホールディングス<3538>の事業戦略
3. 加速するEV化への取り組み
日本政府は2021年4月に、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「脱炭素社会の実現」達成のために、2030年度のCO2排出量を2013年度比で26%削減から46%削減に引き上げることを発表した。また、6月に発表された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、遅くとも2030年代半ばまでに乗用車の新車販売のすべてを電動車化するための包括的な措置を講じている。具体的には、電動車(EV、PHV、FCV)の普及促進のためにサービスステーションに急速充電器等1万基、公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置し、遅くとも2030年までにガソリン車並みの利便性を実現することを目指す。
このような脱炭素化の潮流により、ガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止する動きが加速している。一例を挙げると英国及びフランスは、2040年までにEV以外の新車販売を禁止することを2017年に表明していた。英国はさらにこれを前倒しにし、ガソリン車・ディーゼル車を2030年に、ハイブリッド車を2035年に販売禁止することとした。その他、米国カリフォルニア州や中国でも同様の取り組みが進んでいる。これに対し日本は、遅くとも2030年半ばまでに乗用車の新車販売のすべてを電動車化することを検討している。また、小池東京都知事は国に先駆け、2030年までに都内でのガソリン車の新車販売禁止を宣言している。
脱炭素化で先頭を走る欧州では、各自動車メーカーのEV化が進むなど、業界変化が顕著で移行スピートも速い傾向にあるが、これは同社にとっては追い風と言える。同社が取扱うブランドのEVとしては、Jeep「Renegade 4Xe」(PHV)、FIAT「500e」、BMW「iX」「iX3」、MINI「ミニクーパーSE」、VOLVO「XC40 Recharge」(PHV)、PORSCHE「タイカン」などがあり豊富である。なお、ボルボは2030年にすべての新車のEV化を予定しているほか、ジャガー/ランドローバーは2025年にJAGUARをフルEVブランドにシフト、MINIは2030年代初期にフルEVのブランドにシフトするなど、完全EV化に向けて各社が意欲的な目標を掲げている。攻めの経営をする同社では、加速するEV化での先行者利得を追求する方針で、EV化に向けた設備投資を行っている。具体的には、全店舗に最新の充電器の設置を推進(全店舗の84%に設置済、加えて急速充電器を順次設置中)している。また、いち早くEVの試乗体験を提供するために、EVのデモカー導入も推進している。
EVの先にある新潮流が「CASE」であるが、このうちコネクテッド化による車輌整備が重要となる。これは、コネクテッド化によりSIMカードが搭載された車輌が普及※しているが、整備が複雑化するなかで正規ディーラーでのみ行える修理が増えており、正規ディーラーの重要性が高まっていることによる。一方、自動車の国内保有台数は増加傾向にあり、10年平均成長率は0.63%、輸入車のみでは2.31%となっている。これに加え、自動車の平均使用年数から車輌の入れ替わりのサイクルを見ると、SIMカード搭載車が登場した2018年を起点とした場合、2026年には総保有台数の約63%の車輌が入れ替わることになる。このような状況を同社は収益機会の拡大と捉え、メンテナンスパッケージ及び新車保証等で整備入庫率を上げ、車輌整備事業の基盤強化を目指す方針である。なお、欧州ではEVの整備作業は高電圧システムの取扱いとみなされており、高電圧システムが取り扱える資格取得が重要になる。これらを踏まえ同社では、販売だけでなく整備面でも人材育成に取り組む方針である。
※車輌へのSIMカード搭載により、スマートフォンを通して状態把握や遠隔操作が可能となる。EV車はアプリで充電器検索から利用料金支払いまで一本化できるようになることが予想されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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3. 加速するEV化への取り組み
日本政府は2021年4月に、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「脱炭素社会の実現」達成のために、2030年度のCO2排出量を2013年度比で26%削減から46%削減に引き上げることを発表した。また、6月に発表された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、遅くとも2030年代半ばまでに乗用車の新車販売のすべてを電動車化するための包括的な措置を講じている。具体的には、電動車(EV、PHV、FCV)の普及促進のためにサービスステーションに急速充電器等1万基、公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置し、遅くとも2030年までにガソリン車並みの利便性を実現することを目指す。
このような脱炭素化の潮流により、ガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止する動きが加速している。一例を挙げると英国及びフランスは、2040年までにEV以外の新車販売を禁止することを2017年に表明していた。英国はさらにこれを前倒しにし、ガソリン車・ディーゼル車を2030年に、ハイブリッド車を2035年に販売禁止することとした。その他、米国カリフォルニア州や中国でも同様の取り組みが進んでいる。これに対し日本は、遅くとも2030年半ばまでに乗用車の新車販売のすべてを電動車化することを検討している。また、小池東京都知事は国に先駆け、2030年までに都内でのガソリン車の新車販売禁止を宣言している。
脱炭素化で先頭を走る欧州では、各自動車メーカーのEV化が進むなど、業界変化が顕著で移行スピートも速い傾向にあるが、これは同社にとっては追い風と言える。同社が取扱うブランドのEVとしては、Jeep「Renegade 4Xe」(PHV)、FIAT「500e」、BMW「iX」「iX3」、MINI「ミニクーパーSE」、VOLVO「XC40 Recharge」(PHV)、PORSCHE「タイカン」などがあり豊富である。なお、ボルボは2030年にすべての新車のEV化を予定しているほか、ジャガー/ランドローバーは2025年にJAGUARをフルEVブランドにシフト、MINIは2030年代初期にフルEVのブランドにシフトするなど、完全EV化に向けて各社が意欲的な目標を掲げている。攻めの経営をする同社では、加速するEV化での先行者利得を追求する方針で、EV化に向けた設備投資を行っている。具体的には、全店舗に最新の充電器の設置を推進(全店舗の84%に設置済、加えて急速充電器を順次設置中)している。また、いち早くEVの試乗体験を提供するために、EVのデモカー導入も推進している。
EVの先にある新潮流が「CASE」であるが、このうちコネクテッド化による車輌整備が重要となる。これは、コネクテッド化によりSIMカードが搭載された車輌が普及※しているが、整備が複雑化するなかで正規ディーラーでのみ行える修理が増えており、正規ディーラーの重要性が高まっていることによる。一方、自動車の国内保有台数は増加傾向にあり、10年平均成長率は0.63%、輸入車のみでは2.31%となっている。これに加え、自動車の平均使用年数から車輌の入れ替わりのサイクルを見ると、SIMカード搭載車が登場した2018年を起点とした場合、2026年には総保有台数の約63%の車輌が入れ替わることになる。このような状況を同社は収益機会の拡大と捉え、メンテナンスパッケージ及び新車保証等で整備入庫率を上げ、車輌整備事業の基盤強化を目指す方針である。なお、欧州ではEVの整備作業は高電圧システムの取扱いとみなされており、高電圧システムが取り扱える資格取得が重要になる。これらを踏まえ同社では、販売だけでなく整備面でも人材育成に取り組む方針である。
※車輌へのSIMカード搭載により、スマートフォンを通して状態把握や遠隔操作が可能となる。EV車はアプリで充電器検索から利用料金支払いまで一本化できるようになることが予想されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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