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*15:48JST RSテクノ Research Memo(8):ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業を両輪に成長が続く見通し(2)
■RS Technologies<3445>の今後の見通し
(2) プライムウェーハ事業
プライムウェーハ事業では、山東GRITEK※の徳州工場におけるプライムウェーハ月産能力が2022年12月期末時点で8インチ13万枚、6インチ15万枚、5インチ5万枚となっているが、今後は8インチの月産能力を拡大し2024年内に18万枚まで段階的に引き上げる予定だ。設備投資額は2023年度に20億円、2024年度に4億円を計画している。現在、8インチの市場シェアは中国内で約1割に満たない程度であり、シェア拡大により2024年12月期以降は一段の売上増が見込まれる。将来的にはコスト競争力を生かして中国以外の市場へ展開することも視野に入れており、8インチプライムウェーハの月産能力は2025年以降も拡大する可能性が十分にあると弊社では見ている。
※GRITEKが80%、徳州市政府が20%を出資している(2023年6月末時点)。
一方、12インチプライムウェーハを手掛けるSGRSでは北京の研究開発棟に設置した月産1万枚規模のテストラインで、製品として販売できるレベルの品質基準をクリアしている。現在は2023年10月に竣工した徳州新工場に設備機器の搬入を進めている段階にあり、当初は月産5万枚の製造ラインを構築して2024年内に試験運転を開始、量産化技術を確立する方針だ。設備投資額としては2023年度に240億円、2024年度に20億円を計画しており、このうちGRITEKが出資比率(19.99%)相応分の資金を負担する。
販売戦略としては、中国半導体メーカーをターゲットにボリュームゾーンである回路線幅28~40nm品の品質基準を確保し、販売を拡大する。生産能力の拡大については、新規投資だけでなくM&A等により低コストで製造設備を取得することで既存サプライヤーに対する価格競争力で優位に立ち、まずは中国市場でのトップシェアを目指す。次のステップとしてグローバル市場でのボリュームゾーンである14~20nm品の品質基準をクリアし、価格競争力を生かして大手半導体メーカー向けに販売する戦略だ。ウェーハ再生事業の主要顧客先からは、品質基準の確保と安定供給体制さえ確立できれば価格メリットからプライムウェーハも購入したいとの意向を受けているため、体制が整いさえすればシェアを拡大する可能性は十分にあると弊社では見ている。同社は将来的に12インチプライムウェーハで30%の市場シェア獲得を目標に掲げている。
現状中国向けの12インチプライムウェーハは海外メーカーが販売している。中国ローカル企業は多額の設備投資を実施してきたが、品質基準をクリアできず量産化には至っていない。シリコンインゴットを均質な純度・品質(酸素濃度や抵抗値等)で引き上げ、高い歩留まりを達成するのに苦戦していると見られる。同社は大手シリコンウェーハメーカー出身のエンジニアを招聘して現地スタッフにノウハウを伝授している。品質面では他の中国ローカル企業に対して同等以上の水準になっており、製造の後工程となる研磨・洗浄工程についても再生ウェーハの技術を活用できるため問題ない。このため2024年内に量産化技術を確立する可能性は高いと弊社では見ている。なお、目標とする月産30万枚の能力を構築するには1千億円規模の投資が必要となるため、中国競合他社のM&A等も選択肢の1つとして考えている。現在、量産化技術の確立に苦戦している企業から設備を安価に取得できれば投資コストを圧縮でき、収益化の時期も早まることになる。同社では数年後にそういった状況になる可能性があると見ているようで、投資資金については合弁先のGRINMや徳州市政府系ファンドと共同で負担していくものと思われる。
(3) 第3の収益柱として半導体製造装置用消耗部材を育成
同社は、ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業に続く第3の収益柱を育成するため、子会社のDG Technologiesで展開している半導体製造装置用消耗部材に注力する方針だ。具体的には、ドライエッチング装置でシリコンウェーハを固定するための石英リングやシリコン電極などの消耗部材の売上拡大を目指す。
同消耗部材の年間市場規模は約1,500億円と同社では推計しており、当面の売上目標としてシェア10%(約150億円)を目指す。売上高は栗原新工場稼働によって、2021年12月期の30億円台から2022年12月期は40億円台に伸張したものと思われる。営業利益率は仕入コスト増の影響等もあって1ケタ台前半の水準にとどまっているが、新工場稼働による量産効果並びに神栖工場の生産性改善に取り組むことで、将来的にはウェーハ再生事業と同等の30%台まで引き上げることを目標にしている。
競合は国内、台湾、韓国、米国などに複数社あるが、品質や技術力では同等以上の水準にあると見られる。多品種少量生産となるため生産効率の低い点が課題で、自動化設備の導入や人員配置の最適化、生産管理の強化等によって生産性向上に取り組んでいる。また、材料となるシリコンをグループ会社のGRITEKやその他の販売ネットワークを通じて安く調達することでコスト低減を図っている。営業面ではウェーハ再生事業の顧客に対してクロスセルを実施するとともに、大手ドライエッチング装置メーカー向けに純正品として納入することで販売シェアを拡大する戦略で、長期目標として世界シェアで約3割、売上高450億円を目指す。石英ガラスの競合であるテクノクオーツ<5217>の事業規模は、2023年3月期の売上高で200億円、営業利益率で20%の水準となっており、DG Technologiesも売上規模が拡大すれば営業利益率で20%前後の水準まで引き上げることは可能と弊社では見ている。
(4) 長期的な成長戦略
長期的な成長戦略としては、既存事業における販売地域拡大と事業領域の拡大により、半導体業界全体を上回る成長を目指す。販売地域の拡大については、中国で生産している8インチプライムウェーハの中国以外の地域への販売が挙げられる。また、SGRSによる12インチプライムウェーハ及び再生ウェーハ事業についても順調に進めば、2030年前後には連結対象子会社に組み込まれ、事業規模の一段の拡大に貢献するものと予想される。そのほか、商社機能として日本、アジア、中国で販売している半導体・電子部品、消耗部材についても欧米向けに販売する予定だ。一方、事業領域の拡大についてはM&Aを活用していくことになる。対象としては半導体ウェーハ周辺領域で既存事業とのシナジーが見込める企業で、半導体事業も対象となり得る。また、2023年10月にはVRFBの電解液製造事業に参入すべく子会社のLEシステムを新設しており、今後の展開が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
(2) プライムウェーハ事業
プライムウェーハ事業では、山東GRITEK※の徳州工場におけるプライムウェーハ月産能力が2022年12月期末時点で8インチ13万枚、6インチ15万枚、5インチ5万枚となっているが、今後は8インチの月産能力を拡大し2024年内に18万枚まで段階的に引き上げる予定だ。設備投資額は2023年度に20億円、2024年度に4億円を計画している。現在、8インチの市場シェアは中国内で約1割に満たない程度であり、シェア拡大により2024年12月期以降は一段の売上増が見込まれる。将来的にはコスト競争力を生かして中国以外の市場へ展開することも視野に入れており、8インチプライムウェーハの月産能力は2025年以降も拡大する可能性が十分にあると弊社では見ている。
※GRITEKが80%、徳州市政府が20%を出資している(2023年6月末時点)。
一方、12インチプライムウェーハを手掛けるSGRSでは北京の研究開発棟に設置した月産1万枚規模のテストラインで、製品として販売できるレベルの品質基準をクリアしている。現在は2023年10月に竣工した徳州新工場に設備機器の搬入を進めている段階にあり、当初は月産5万枚の製造ラインを構築して2024年内に試験運転を開始、量産化技術を確立する方針だ。設備投資額としては2023年度に240億円、2024年度に20億円を計画しており、このうちGRITEKが出資比率(19.99%)相応分の資金を負担する。
販売戦略としては、中国半導体メーカーをターゲットにボリュームゾーンである回路線幅28~40nm品の品質基準を確保し、販売を拡大する。生産能力の拡大については、新規投資だけでなくM&A等により低コストで製造設備を取得することで既存サプライヤーに対する価格競争力で優位に立ち、まずは中国市場でのトップシェアを目指す。次のステップとしてグローバル市場でのボリュームゾーンである14~20nm品の品質基準をクリアし、価格競争力を生かして大手半導体メーカー向けに販売する戦略だ。ウェーハ再生事業の主要顧客先からは、品質基準の確保と安定供給体制さえ確立できれば価格メリットからプライムウェーハも購入したいとの意向を受けているため、体制が整いさえすればシェアを拡大する可能性は十分にあると弊社では見ている。同社は将来的に12インチプライムウェーハで30%の市場シェア獲得を目標に掲げている。
現状中国向けの12インチプライムウェーハは海外メーカーが販売している。中国ローカル企業は多額の設備投資を実施してきたが、品質基準をクリアできず量産化には至っていない。シリコンインゴットを均質な純度・品質(酸素濃度や抵抗値等)で引き上げ、高い歩留まりを達成するのに苦戦していると見られる。同社は大手シリコンウェーハメーカー出身のエンジニアを招聘して現地スタッフにノウハウを伝授している。品質面では他の中国ローカル企業に対して同等以上の水準になっており、製造の後工程となる研磨・洗浄工程についても再生ウェーハの技術を活用できるため問題ない。このため2024年内に量産化技術を確立する可能性は高いと弊社では見ている。なお、目標とする月産30万枚の能力を構築するには1千億円規模の投資が必要となるため、中国競合他社のM&A等も選択肢の1つとして考えている。現在、量産化技術の確立に苦戦している企業から設備を安価に取得できれば投資コストを圧縮でき、収益化の時期も早まることになる。同社では数年後にそういった状況になる可能性があると見ているようで、投資資金については合弁先のGRINMや徳州市政府系ファンドと共同で負担していくものと思われる。
(3) 第3の収益柱として半導体製造装置用消耗部材を育成
同社は、ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業に続く第3の収益柱を育成するため、子会社のDG Technologiesで展開している半導体製造装置用消耗部材に注力する方針だ。具体的には、ドライエッチング装置でシリコンウェーハを固定するための石英リングやシリコン電極などの消耗部材の売上拡大を目指す。
同消耗部材の年間市場規模は約1,500億円と同社では推計しており、当面の売上目標としてシェア10%(約150億円)を目指す。売上高は栗原新工場稼働によって、2021年12月期の30億円台から2022年12月期は40億円台に伸張したものと思われる。営業利益率は仕入コスト増の影響等もあって1ケタ台前半の水準にとどまっているが、新工場稼働による量産効果並びに神栖工場の生産性改善に取り組むことで、将来的にはウェーハ再生事業と同等の30%台まで引き上げることを目標にしている。
競合は国内、台湾、韓国、米国などに複数社あるが、品質や技術力では同等以上の水準にあると見られる。多品種少量生産となるため生産効率の低い点が課題で、自動化設備の導入や人員配置の最適化、生産管理の強化等によって生産性向上に取り組んでいる。また、材料となるシリコンをグループ会社のGRITEKやその他の販売ネットワークを通じて安く調達することでコスト低減を図っている。営業面ではウェーハ再生事業の顧客に対してクロスセルを実施するとともに、大手ドライエッチング装置メーカー向けに純正品として納入することで販売シェアを拡大する戦略で、長期目標として世界シェアで約3割、売上高450億円を目指す。石英ガラスの競合であるテクノクオーツ<5217>の事業規模は、2023年3月期の売上高で200億円、営業利益率で20%の水準となっており、DG Technologiesも売上規模が拡大すれば営業利益率で20%前後の水準まで引き上げることは可能と弊社では見ている。
(4) 長期的な成長戦略
長期的な成長戦略としては、既存事業における販売地域拡大と事業領域の拡大により、半導体業界全体を上回る成長を目指す。販売地域の拡大については、中国で生産している8インチプライムウェーハの中国以外の地域への販売が挙げられる。また、SGRSによる12インチプライムウェーハ及び再生ウェーハ事業についても順調に進めば、2030年前後には連結対象子会社に組み込まれ、事業規模の一段の拡大に貢献するものと予想される。そのほか、商社機能として日本、アジア、中国で販売している半導体・電子部品、消耗部材についても欧米向けに販売する予定だ。一方、事業領域の拡大についてはM&Aを活用していくことになる。対象としては半導体ウェーハ周辺領域で既存事業とのシナジーが見込める企業で、半導体事業も対象となり得る。また、2023年10月にはVRFBの電解液製造事業に参入すべく子会社のLEシステムを新設しており、今後の展開が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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