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デリカフーズホールディングスのニュース
*16:11JST デリカフHD Research Memo(7):中期経営計画の売上目標は1年前倒しで達成(2)
■今後の見通し
(2) 青果物流通インフラの構築
a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出
デリカフーズホールディングス<3392>は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てていた。候補地としては、需要増加が見込まれる関東・関西エリアに加えて、直営事業所の空白地帯だった中国エリアに開設する予定であった。このうち、中国エリアについては2023年4月に広島に物流センターを開設し稼働を開始した(設備投資額2.5億円)。協力企業の営業所の一部を間借りして開設したもので、当面は広島近郊の新規顧客開拓や中国エリアの契約産地の開拓に取り組む方針だ。また、関西から九州への幹線便の中継ポイントとしても活用する。現地でのカット野菜の需要に対しては、近郊の協力パートナーから仕入れて対応する予定だが、規模が大きくなれば自社工場を開設して供給していくことも視野に入れている。当面の売上目標は年間9億円となる。
大阪FSセンターは、2024年3月末の竣工を目指している。茨木市内に敷地面積1,398坪の土地を賃借し、延べ床面積1,650坪(3階建て)と同社グループのなかで最大規模のFSセンターとなる。工場ではカット野菜や加熱野菜の製造ラインを導入し、関西エリアでの旺盛な需要に対応していく。売上高は10年後を目途に72億円を目標としている。現在、大阪には高槻センターと茨木工場(カット野菜工場+物流センター)の2拠点があり、年間50億円の売上規模となっているが、このうち賃貸している高槻センターを閉鎖し、40億円分をFSセンターに移管する予定となっている。残り30億円分を新規顧客の獲得により埋める計画だが、すでに大手外食チェーンの関西エリアでの受注見込みが立っており、カット野菜工場も順調に立ち上がるものと見られる。大阪FSセンターは全行程を4℃以下で管理するスーパーコールドチェーン仕様となっているため、全国エリアで取引のある大手外食チェーンとの取引においては消費期限を延長することが可能となり、仕入率の改善効果も期待できる※。なお、総工費は約41億円で、うち13億円を補助金で賄う予定である。
※全国展開するチェーンとの取引では、各エリアで商品の消費期限が異なる場合、最も短い消費期限に合わせて出荷するルールとなっていた。例えば関東や中京、九州のFSセンターでは、消費期限が長く取れる商品であっても、大阪にはFSセンターがなく、短い消費期限に合わせてそのほかのエリアでも出荷せざるを得なかった。
残った関東エリアの拠点開設については適した候補物件が出てこなかったため、2025年3月期以降に先送りすることとなった。条件としては東京FSセンターの半径5~6km以内で井戸水が使用できる場所となるが、売り物件が出てこなければ賃借することも選択肢として考えている。
b) 幹線物流網の強化
同社は全国に安定した供給網を構築するため、自社物流による幹線便の延伸に取り組んできた。当初は東京~名古屋~大阪ルートからスタートし、現在は仙台~東京~福岡までのルートを構築した。今後はさらに北へのルートを伸ばし、北海道から九州までをネットワーク化することで、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化する考えだ。配送の内製化率については現状で約35%水準となっている。
売上規模の拡大に対応するため、保有車両台数については2023年3月期の110台から2024年3月期は40台増車する予定となっている。トラックの生産が滞っており、注文すると1年半待ちとなるのが一般的な状況のなか、同社は供給不足になる前に発注していたため、2024年3月期に増車することが可能になったと言う。物流業界ではトラック及びドライバー不足が深刻化しているほか、2024年問題※も控えており、同社にとっては自社物流を一定割合で構築している強みを生かし、受託物流サービス事業を拡大する予定にしている。
※2024年4月より働き方改革関連法により、自動車運転業務の時間外労働時間が年間960時間の上限規制が適用されることになり、主に長距離輸送の物流会社にとってはドライバーの確保が重要となってくる。荷主企業にとっては運賃の値上がりによる物流コストの上昇が懸念されている。同社は物流の内製化を一定割合まで進めたことで、物流コスト上昇の影響を軽減できるほか、逆に受託物流サービスを行うことによって、コスト増分を吸収できる可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
(2) 青果物流通インフラの構築
a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出
デリカフーズホールディングス<3392>は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てていた。候補地としては、需要増加が見込まれる関東・関西エリアに加えて、直営事業所の空白地帯だった中国エリアに開設する予定であった。このうち、中国エリアについては2023年4月に広島に物流センターを開設し稼働を開始した(設備投資額2.5億円)。協力企業の営業所の一部を間借りして開設したもので、当面は広島近郊の新規顧客開拓や中国エリアの契約産地の開拓に取り組む方針だ。また、関西から九州への幹線便の中継ポイントとしても活用する。現地でのカット野菜の需要に対しては、近郊の協力パートナーから仕入れて対応する予定だが、規模が大きくなれば自社工場を開設して供給していくことも視野に入れている。当面の売上目標は年間9億円となる。
大阪FSセンターは、2024年3月末の竣工を目指している。茨木市内に敷地面積1,398坪の土地を賃借し、延べ床面積1,650坪(3階建て)と同社グループのなかで最大規模のFSセンターとなる。工場ではカット野菜や加熱野菜の製造ラインを導入し、関西エリアでの旺盛な需要に対応していく。売上高は10年後を目途に72億円を目標としている。現在、大阪には高槻センターと茨木工場(カット野菜工場+物流センター)の2拠点があり、年間50億円の売上規模となっているが、このうち賃貸している高槻センターを閉鎖し、40億円分をFSセンターに移管する予定となっている。残り30億円分を新規顧客の獲得により埋める計画だが、すでに大手外食チェーンの関西エリアでの受注見込みが立っており、カット野菜工場も順調に立ち上がるものと見られる。大阪FSセンターは全行程を4℃以下で管理するスーパーコールドチェーン仕様となっているため、全国エリアで取引のある大手外食チェーンとの取引においては消費期限を延長することが可能となり、仕入率の改善効果も期待できる※。なお、総工費は約41億円で、うち13億円を補助金で賄う予定である。
※全国展開するチェーンとの取引では、各エリアで商品の消費期限が異なる場合、最も短い消費期限に合わせて出荷するルールとなっていた。例えば関東や中京、九州のFSセンターでは、消費期限が長く取れる商品であっても、大阪にはFSセンターがなく、短い消費期限に合わせてそのほかのエリアでも出荷せざるを得なかった。
残った関東エリアの拠点開設については適した候補物件が出てこなかったため、2025年3月期以降に先送りすることとなった。条件としては東京FSセンターの半径5~6km以内で井戸水が使用できる場所となるが、売り物件が出てこなければ賃借することも選択肢として考えている。
b) 幹線物流網の強化
同社は全国に安定した供給網を構築するため、自社物流による幹線便の延伸に取り組んできた。当初は東京~名古屋~大阪ルートからスタートし、現在は仙台~東京~福岡までのルートを構築した。今後はさらに北へのルートを伸ばし、北海道から九州までをネットワーク化することで、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化する考えだ。配送の内製化率については現状で約35%水準となっている。
売上規模の拡大に対応するため、保有車両台数については2023年3月期の110台から2024年3月期は40台増車する予定となっている。トラックの生産が滞っており、注文すると1年半待ちとなるのが一般的な状況のなか、同社は供給不足になる前に発注していたため、2024年3月期に増車することが可能になったと言う。物流業界ではトラック及びドライバー不足が深刻化しているほか、2024年問題※も控えており、同社にとっては自社物流を一定割合で構築している強みを生かし、受託物流サービス事業を拡大する予定にしている。
※2024年4月より働き方改革関連法により、自動車運転業務の時間外労働時間が年間960時間の上限規制が適用されることになり、主に長距離輸送の物流会社にとってはドライバーの確保が重要となってくる。荷主企業にとっては運賃の値上がりによる物流コストの上昇が懸念されている。同社は物流の内製化を一定割合まで進めたことで、物流コスト上昇の影響を軽減できるほか、逆に受託物流サービスを行うことによって、コスト増分を吸収できる可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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