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ソフトクリエイトホールディングスのニュース
*13:52JST SI Research Memo(2):1995年設立の独立系ソフトウェア開発会社(1)
■事業概要
システムインテグレータ<3826>は1995年設立の独立系ソフトウェア開発会社で、自社開発したソフトウェアのパッケージ販売及び保守サービスのほか、クラウドサービス(SaaS)を提供している。新製品に関しては基本的にSaaSモデルでの事業展開を志向している。現在の主力製品には、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」のほかWeb-ERPパッケージ「GRANDIT」などがある。また、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力とするE-Commerce事業を、事業分割によって新設したDGコマースに承継させたうえで、同子会社の株式の60.0%を2024年1月1日付で(株)DGフィナンシャルテクノロジー※に譲渡した。DGコマースは今後、同社の持分法適用関連会社となる。これにより、事業セグメントとしては2025年2月期よりObject Browser事業、ERP事業、AI事業の3つの事業と、新規事業が含まれるその他として区分開示することになる。
※DGフィナンシャルテクノロジーはデジタルガレージ<4819>の子会社で、決済情報処理サービスや収納代行サービス、送金サービス事業などを展開している。
直近5期間の事業セグメント別売上構成比の推移を見ると、ERP事業が全体の6割強を占め、残りをObject Browser事業、E-Commerce事業が2分する格好で推移してきたが、2025年2月期からはE-Commerce事業がなくなるため、ERP事業とObject Browser事業の構成比がそれぞれ上昇する見込みとなっている。また、2018年以降に複数の新規事業を開発、育成に取り組んできたが、いずれの事業も収益化するまでには至っておらず、今後の経営課題となっている。
1. Object Browser事業
Object Browser事業では、エンジニアの生産性向上に寄与するデータベース開発支援ツール「SI Object Browser」やデータベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」(以下、「Object Browser」シリーズ)のほか、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」を開発、ライセンス販売またはSaaSとして提供している。
売上構成比は「Object Browser」シリーズが約4割、「OBPM Neo」が約6割である。「Object Browser」シリーズは1997年の発売以来、約2万社、50万ライセンスの導入実績があり、Oracle製品を筆頭に主要データベースのほぼ全てに対応していることからデファクトスタンダードとなっている。高いブランド力を持つため販売費用もほとんどかからず、売上総利益率は80%超と高収益製品となっている。競合製品として無料ソフトが出ているが、機能面での差があるため直接的な影響は受けていない。従来はパッケージ販売(ライセンス販売+保守サービス)のみだったが、2021年2月よりSaaS型での販売※も開始している。売上高の30%超は保守サポートなどのストック収入で占められており、売上高も比較的安定して推移している。
※契約期間は1年、2年、3年の年間契約(保守料含む)。バージョンアップは無償。for Oracleのみ。
一方、「OBPM Neo」※1は開発プロジェクトの進捗状況を統合管理(スケジュール、コスト、要員、品質、採算などの管理)することで不採算プロジェクトの発生を未然に抑止するなど、開発部門の生産性向上を支援するツールである。2008年にオンプレミス版「OBPM」の開発・販売を開始し、2021年3月にSaaS版の「OBPM Neo」にリニューアルした。国内で唯一、PMBOK※2に準拠していたことから中堅規模のIT企業を中心に導入が進み、2024年2月未時点の累計導入実績は約260社となっている。大手IT企業はプロジェクト管理ツールを内製化しているが、最近では「OBPM Neo」の認知度向上や品質の高さが評価され、部門内で導入を検討する企業も増えている。一方、中小企業はExcelなどの市販ソフトや無料ソフトを使用しているケースが多い。既存顧客のうち4割弱がオンプレミス版を継続しているが、SaaS版の機能を拡充しながら移行していくことになる。売上総利益率は70%程度の水準と見られる。また、2022年7月より顧客のプロジェクトの状況をオンラインで監視し、問題の早期発見・改善につなげる「リモートPMOサービス」※3を開始している。
※1 月額利用料(税抜)は10ライセンスで10.5万円、20ライセンスで15.75万円、30ライセンスで18.9万円、40ライセンスで23.1万円、50ライセンスで26.25万円。50ライセンス超は別途相談。契約期間は1年。各種システムと連携するためのオプションサービス有り。
※2 PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの。1987年にアメリカの非営利団体PMIが「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というガイドブックで発表してから徐々に知られるようになり、現在はプロジェクトマネジメントの世界標準として世界各国に浸透している。
※3 月額料金(税抜)はサポートするプロジェクト数により、30万円、55万円、95万円の3プランを用意している。
2. E-Commerce事業
E-Commerce事業では、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を1996年にリリースし、主力製品として開発・販売を続けてきた。「SI Web Shopping」の特徴は、流通金額が数百億円規模となる大規模ECサイトで必要とされる大量トランザクション処理に対応可能なスケーラビリティと、高いセキュリティ機能を有していること、また顧客の要求に応じたカスタマイズ案件として開発を行ってきた。1996年の発売以降累計で1,100社以上のECサイトを構築し(アクティブ稼働数は1割弱)、大規模ECサイトにおけるシェアは大手3社※の一角を占めていたが、ここ数年は競争激化により伸び悩む状況が続いていた。こうしたなか、同事業を成長させるためのリソース(営業・顧客基盤)を持つDGフィナンシャルテクノロジーから事業譲渡の提案を受け、協議したうえで同事業を分社化し、新設したDGコマースの株式の60.0%を売却した。
※ECサイト構築パッケージ業界でのポジションは、BtoCの大規模事業者向けに限定すれば同社と、ソフトクリエイトホールディングス<3371>の子会社である(株)ecbeing(構築実績で1,600社超)、Eストアー<4304>の子会社である(株)コマース21(同300社超)の3社でほぼ寡占状態となっていた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
システムインテグレータ<3826>は1995年設立の独立系ソフトウェア開発会社で、自社開発したソフトウェアのパッケージ販売及び保守サービスのほか、クラウドサービス(SaaS)を提供している。新製品に関しては基本的にSaaSモデルでの事業展開を志向している。現在の主力製品には、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」のほかWeb-ERPパッケージ「GRANDIT」などがある。また、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力とするE-Commerce事業を、事業分割によって新設したDGコマースに承継させたうえで、同子会社の株式の60.0%を2024年1月1日付で(株)DGフィナンシャルテクノロジー※に譲渡した。DGコマースは今後、同社の持分法適用関連会社となる。これにより、事業セグメントとしては2025年2月期よりObject Browser事業、ERP事業、AI事業の3つの事業と、新規事業が含まれるその他として区分開示することになる。
※DGフィナンシャルテクノロジーはデジタルガレージ<4819>の子会社で、決済情報処理サービスや収納代行サービス、送金サービス事業などを展開している。
直近5期間の事業セグメント別売上構成比の推移を見ると、ERP事業が全体の6割強を占め、残りをObject Browser事業、E-Commerce事業が2分する格好で推移してきたが、2025年2月期からはE-Commerce事業がなくなるため、ERP事業とObject Browser事業の構成比がそれぞれ上昇する見込みとなっている。また、2018年以降に複数の新規事業を開発、育成に取り組んできたが、いずれの事業も収益化するまでには至っておらず、今後の経営課題となっている。
1. Object Browser事業
Object Browser事業では、エンジニアの生産性向上に寄与するデータベース開発支援ツール「SI Object Browser」やデータベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」(以下、「Object Browser」シリーズ)のほか、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」を開発、ライセンス販売またはSaaSとして提供している。
売上構成比は「Object Browser」シリーズが約4割、「OBPM Neo」が約6割である。「Object Browser」シリーズは1997年の発売以来、約2万社、50万ライセンスの導入実績があり、Oracle製品を筆頭に主要データベースのほぼ全てに対応していることからデファクトスタンダードとなっている。高いブランド力を持つため販売費用もほとんどかからず、売上総利益率は80%超と高収益製品となっている。競合製品として無料ソフトが出ているが、機能面での差があるため直接的な影響は受けていない。従来はパッケージ販売(ライセンス販売+保守サービス)のみだったが、2021年2月よりSaaS型での販売※も開始している。売上高の30%超は保守サポートなどのストック収入で占められており、売上高も比較的安定して推移している。
※契約期間は1年、2年、3年の年間契約(保守料含む)。バージョンアップは無償。for Oracleのみ。
一方、「OBPM Neo」※1は開発プロジェクトの進捗状況を統合管理(スケジュール、コスト、要員、品質、採算などの管理)することで不採算プロジェクトの発生を未然に抑止するなど、開発部門の生産性向上を支援するツールである。2008年にオンプレミス版「OBPM」の開発・販売を開始し、2021年3月にSaaS版の「OBPM Neo」にリニューアルした。国内で唯一、PMBOK※2に準拠していたことから中堅規模のIT企業を中心に導入が進み、2024年2月未時点の累計導入実績は約260社となっている。大手IT企業はプロジェクト管理ツールを内製化しているが、最近では「OBPM Neo」の認知度向上や品質の高さが評価され、部門内で導入を検討する企業も増えている。一方、中小企業はExcelなどの市販ソフトや無料ソフトを使用しているケースが多い。既存顧客のうち4割弱がオンプレミス版を継続しているが、SaaS版の機能を拡充しながら移行していくことになる。売上総利益率は70%程度の水準と見られる。また、2022年7月より顧客のプロジェクトの状況をオンラインで監視し、問題の早期発見・改善につなげる「リモートPMOサービス」※3を開始している。
※1 月額利用料(税抜)は10ライセンスで10.5万円、20ライセンスで15.75万円、30ライセンスで18.9万円、40ライセンスで23.1万円、50ライセンスで26.25万円。50ライセンス超は別途相談。契約期間は1年。各種システムと連携するためのオプションサービス有り。
※2 PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの。1987年にアメリカの非営利団体PMIが「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というガイドブックで発表してから徐々に知られるようになり、現在はプロジェクトマネジメントの世界標準として世界各国に浸透している。
※3 月額料金(税抜)はサポートするプロジェクト数により、30万円、55万円、95万円の3プランを用意している。
2. E-Commerce事業
E-Commerce事業では、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を1996年にリリースし、主力製品として開発・販売を続けてきた。「SI Web Shopping」の特徴は、流通金額が数百億円規模となる大規模ECサイトで必要とされる大量トランザクション処理に対応可能なスケーラビリティと、高いセキュリティ機能を有していること、また顧客の要求に応じたカスタマイズ案件として開発を行ってきた。1996年の発売以降累計で1,100社以上のECサイトを構築し(アクティブ稼働数は1割弱)、大規模ECサイトにおけるシェアは大手3社※の一角を占めていたが、ここ数年は競争激化により伸び悩む状況が続いていた。こうしたなか、同事業を成長させるためのリソース(営業・顧客基盤)を持つDGフィナンシャルテクノロジーから事業譲渡の提案を受け、協議したうえで同事業を分社化し、新設したDGコマースの株式の60.0%を売却した。
※ECサイト構築パッケージ業界でのポジションは、BtoCの大規模事業者向けに限定すれば同社と、ソフトクリエイトホールディングス<3371>の子会社である(株)ecbeing(構築実績で1,600社超)、Eストアー<4304>の子会社である(株)コマース21(同300社超)の3社でほぼ寡占状態となっていた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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