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エー・ディー・ワークスのニュース
■業績動向
1. 2020年3月期第2四半期累計業績の概要
エー・ディー・ワークス<3250>の2020年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比4.6%増の11,934百万円、EBITDA(償却等前営業利益)が同51.8%減の844百万円、経常利益が同61.9%減の563百万円、税引前利益が同22.0%減の563百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同36.6%減の390百万円と増収減益となった。
売上高は収益不動産販売事業、ストック型フィービジネス事業ともに増収となった。地域別では国内が各種大型物件の販売や不動産小口化商品「ARISTO青山」(9億円)を完売したこと、2019年4月より建設工事会社の澄川工務店を子会社化したこと等により、前年同期比25.2%増の9,423百万円と好調に推移した。一方、海外売上は米国での販売がスケジュールの関係で第2四半期にずれ込んだ影響で、同35.3%減の2,510百万円と減少した。
利益が減益となっているのは、前年同期が東京国税局から受けた過年度分消費税に係る更生通知を踏まえた過年度消費税相当額の特別損失の計上(757百万円)をリカバーするため、高収益物件を前倒しで販売した反動によるものであり、通期計画に対する進捗率は売上高で45.9%、各利益では60%を超えるなど順調に推移しており、会社計画の範囲内での進捗となっている。
また、2019年3月期第2四半期末をピークに減少傾向が続いていた収益不動産残高について見ると、期中平均残高では前年同期比7.3%減と減少したものの、2020年3月期第2四半期にオフィスビルや商業ビル等の比較的規模の大きい物件の仕入れにも注力したことで、2020年3月期第2四半期末の残高では前年同期末比0.5%増の23,243百万円と過去最高を更新している。地域別では国内が前期末比7.7%増の17,982百万円、海外が同16.2%増の5,261百万円となっており、海外比率が22.6%に上昇している。
2020年3月期第2四半期末の収益不動産残高は1年ぶりに過去最高を更新
2. 事業セグメント別動向
(1) 収益不動産販売事業
収益不動産販売事業の売上高は前年同期比2.5%増の10,270百万円、EBITDAは同44.7%減の992百万円、営業利益は同44.8%減の990百万円となった。前述したように前年同期に利益率の高い物件を前倒しで販売する施策をとったことで前年同期の利益が押し上げられ、その比較で2020年3月期第2四半期では減益要因となっている。昨年実施した同施策を除けば増益だったことになる。
地域別の販売棟数を見ると、国内が16棟(前年同期は15棟)、米国が6棟(同12棟)となった。米国の減少は販売スケジュールによるもので、2020年3月期第1四半期の販売実績がゼロだったが、第2四半期以降はスケジュールの問題も解消している。
一方、仕入れについて見ると国内で13棟(同18棟)、米国で10棟(同11棟)となり、仕入高は前年同期比36.8%増の9,583百万円となった。国内では都心での中古マンションの価格が高止まりする一方で、在庫水準が積み上がるなど市況の過熱感が続いており、中古マンションを積極的に仕入れていく環境にはなく、仕入棟数の減少につながった。仕入高が伸びているのは収益不動産残高全体の積み上げを図るため、2020年3月期第2四半期にオフィスビルや商業ビル等の比較的規模の大きい物件の仕入れにも注力したことによる。
(2) ストック型フィービジネス事業
ストック型フィービジネス事業の売上高は前年同期比14.1%増の1,858百万円、EBITDAは同16.5%減の455百万円、営業利益は同18.0%減の393百万円となった。売上高は澄川工務店の子会社化が主な増収要因となっており、国内のPM受託管理戸数も前年同期比2.2%増の4,810戸と堅調に推移した。
一方、保有する収益不動産から得られる賃料収入は、収益不動産の期中平均残高減少に伴い、前年同期比13.6%減の577百万円、EBITDAベースの賃料収益も同11.4%減の358百万円と減収減益となった。ただ、四半期ベースで見ると2020年3月期第2四半期に収益不動産残高が積み上がったことにより前四半期比で増収増益に転じており、下期以降の回復が見えてきている。
4回目となるライツ・オファリングによる資金調達を実施、今後も成長に向けた新たな資金調達を模索
3. 財務状況と経営指標
2020年3月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,895百万円増加の33,520百万円となった。主な増加要因を見ると、販売用・仕掛販売用不動産で2,017百万円、現金及び預金で485百万円それぞれ増加したほか、澄川工務店ののれん80百万円を計上した。
負債合計は前期末比1,505百万円増加の20,183百万円となった。未払法人税等が257百万円減少した一方で、収益不動産の取得資金を目的として有利子負債が1,630百万円増加した。また、純資産は前期末比1,389百万円増加の13,337百万円となった。配当金支出121百万円があったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益390百万円の計上や、新株予約権の行使に伴い資本金及び資本剰余金が1,419百万円増加したこと等による。
経営指標を見ると、自己資本の増加により経営の安全性を示す自己資本比率が前期末の39.0%から39.8%に上昇し、逆に有利子負債比率が126.6%から125.6%に低下するなど、財務体質の改善が若干ながら進んだ。財務の健全性を維持するうえで有利子負債の水準に関しては、有利子負債比率で200%を上限の目安と考えているため、有利子負債については今後の事業投資に向けて積み増していく可能性はある。
なお、第6次中期経営計画の達成に向けた必要資金の調達を目的に、ノンコミットメント型ライツ・オファリング(行使価額ノンディスカウント型)による第22回新株予約権を7月に発行し(行使期間2019年8月23日まで)、新たに1,401百万円を資金調達している。今後も事業拡大に向けて、収益不動産の取得や新規事業への投資等を進めていく方針であり、必要に応じて最適な資金調達を検討していくものと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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