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アーバネット Research Memo(1):2020年6月期上期は減収減益ながら計画を上回る進捗

配信元:フィスコ
投稿:2020/03/02 15:11
■要約

1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性にこだわり、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まりなども見られるが、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層に加え、潤沢な資金を確保したファンド・リートの需要拡大により業績は好調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業※へも参入した。長期目線での有望分野へ布石を打つことにより、持続的な成長に向けて、安定収益源の確保や事業ポートフォリオの拡充を図るところに狙いがある。2019年12月には公募増資等により約20億円の資金調達を実施し、財務基盤の強化も図っている。

※自社開発ホテルプロジェクト第1号「ホテルアジール東京蒲田」が進行中(2020年5月頃の竣工予定)。


2. 2020年6月期上期業績の概要
2020年6月期上期業績は、売上高が前年同期比28.0%減の8,256百万円、営業利益が同47.0%減の747百万円と減収減益となった。ただ、売上高、各段階利益ともに計画を上回る水準となっており、通期予想に対して順調に進捗していると評価できる。前年同期比で減収となったのは、「不動産開発販売」の減少によるものである。下期偏重の販売計画により、上期における販売戸数は6棟266戸(前年同期は8棟411戸)にとどまったが計画どおりである。利益面でも、減収による収益の下押しや開発コストの上昇等により営業減益となり、営業利益率も9.0%(前年同期は12.3%)に低下したが、下期には採算の良いプロジェクトの販売により大きく改善に向かう見通しである。また、用地取得が難しい環境のなかで、物件厳選等により慎重な姿勢を取りつつも、2021年6月期以降の販売分として1,214戸のパイプラインを積み上げている。

3. 2020年6月期の業績見通し
2020年6月期の通期業績について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比6.5%増の21,380百万円、営業利益を同10.8%増の2,380百万円、経常利益を同9.2%増の2,090百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。自社開発の投資用マンション等の販売戸数は通期合計で735戸(前期比64戸増)を計画。そのすべてが既に売買契約済である。また、利益面でも、増収効果に加えて、販売効率の高い1棟一括直接販売の寄与などにより増益を実現するとともに、営業利益率は11.1%(前期は10.7%)に改善する見通しとなっている。

4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した慎重な用地取得に取り組む方針であり、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指していく。また、国が掲げる観光立国を背景に、構造的な需給ギャップが見込まれるホテル開発のほか、新しい技術やコンセプトを導入した次世代型マンションの開発など、将来を見据えた活動にも取り組む。

■Key Points
・2020年6月期上期は減収減益ながら計画を上回る進捗
・公募増資等により約20億円の資金調達を実施し、財務基盤の強化を図るとともに、パイプラインの積み上げでも一定の成果を残す
・2020年6月期の通期業績は下期偏重により引き続き増収増益となる見通し
・ホテル開発事業の進捗のほか、新しい技術やコンセプトを導入した次世代型マンションの開発など、将来を見据えた動きにも注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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配信元: フィスコ
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