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TOKAIホールディングスのニュース
*12:25JST TOKAI Research Memo(5):エネルギー事業は売上高1,000億円の大台に乗せる
■TOKAIホールディングス<3167>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前期比18.2%増の102,528百万円と過去最高を更新した一方で、営業利益(間接費用等配賦前営業利益となり、決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同17.3%減の7,384百万円となった。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加により6.5億円、その他費用の削減等で1.1億円の増益となったものの、仕入コストの増加(売価値上げ相殺後)で19.0億円、顧客獲得コストの増加で0.2億円、気温変動(平均気温で0.2度上昇)等による顧客当たり販売数量の減少などにより3.9億円の減益となった。
主力のLPガス事業の売上高は前期比12.4%増の82,921百万円となった。総販売量は前期比5%減となったが平均販売単価が同10%程度上昇したほか、2022年3月期に低調だった機器販売等が増加したことも増収要因となった。販売量の内訳を見ると、家庭用・業務用で前期比1%弱の減少となり、その他(卸売含む)が6%強落ち込んだ。特定顧客向けの販売契約が2022年3月で終了したためだが、利幅は薄いため利益への影響は軽微であった。平均販売単価は各用途ともに10%程度の上昇となった。
期末の顧客件数は前期末比で31千件の増加の746千件となった。増減の内訳は、新規契約獲得で36千件、M&A及びアライアンスによる獲得で20千件となり、中止・解約が25千件であった。また、既存エリア(静岡県及び首都圏)で16千件増、新規エリア(その他地域)で20千件増といずれのエリアにおいても顧客件数が増加した。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で交渉期間が長期化したこともあり、M&Aによる件数増加が計画を下回ったものの、これを除けば順調に顧客獲得が進んだと言える。また、中止・解約件数も前期の26千件から減少し、解約防止施策などの成果も表れた。
都市ガス事業の売上高は前期比50.8%増の19,607百万円と大幅増収となり、顧客件数は同5千件増の75千件となった。顧客増加分の大半は持分法適用関連会社であるT&Tエナジー(株)※の契約分となっている。増収要因の大部分は、原料費調整制度による販売単価の上昇によるもので、そのほか機器販売等も回復した。
※2019年に東京電力エナジーパートナー(株)と(株)TOKAIの合弁会社として設立。東海3県にて都市ガスと電気の小売事業等を展開している。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比5.0%増の53,945百万円、営業利益は同11.6%増の5,270百万円となり、売上高は3期ぶりに過去最高を更新した。
コンシューマー向け事業は売上高で24,402百万円と前期比横ばい水準に留まったが、営業利益は同0.7億円の増益となった。顧客獲得コストが4.9億円増加したものの、光コラボや「LIBMO」(格安SIMサービス)の顧客件数増加により5.6億円の増益要因となった。期末顧客件数の内訳を見ると、従来型ISP等は前期末比8千件減の407千件となったが、光コラボが同17千件増の363千件、「LIBMO」が同16千件増の71千件となった。光コラボについては提携先の大手携帯キャリア経由での顧客獲得が増加となったほか、従来の家電量販店経由での顧客獲得も進んだ。また、「LIBMO」についてもデジタルマーケティング施策が奏功したほか、2022年12月より(株)NTTドコモの格安モバイルサービスの1つに採用※されたことも増加要因となった。
※2022年12月21日から全国ドコモショップでエコノミーMVNOのサービスメニューの1つとして取り扱いを開始した。エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)の「OCNモバイルONE」、フリービット<3843>の「トーンモバイル」に続く3つ目のサービスとして「LIBMO」の取り扱いを開始した。
顧客件数が増加した一方で売上高が伸びていないのは、光コラボの1件当たり平均売上高が低下しているためだ。大手携帯キャリアとの提携契約分については光通信サービス部分の売上を除外して計上しており(売上総利益への影響はない)、平均売上高の押し下げ要因となっている。ただ、こうしたマイナス影響も一巡し、第2四半期以降は前年同期比で増収に転じており(第4四半期は前年同期比1.8%増)、2024年3月期は通期で増収に転じるものと期待される。
法人向け事業は売上高で前期比9.4%増の29,542百万円と好調に推移し、営業利益も増収効果により同4.8億円の増益となった。ストック型となるデータ通信サービスやクラウドサービスが順調に拡大したほか、受託開発案件も旺盛な需要を背景に増収となった。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比5.9%増の34,500百万円、営業利益は同5.7%増の6,184百万円となり、過去最高業績を更新した。地域密着型の番組制作や情報発信に注力したほか、大手動画配信事業者との提携による放送コンテンツの充実に取り組んだこと、高速光通信サービスの提供エリア拡大により放送+通信サービスのセット契約が増加したことなどにより増収増益となった。2022年10月に沖縄ケーブルネットワークを子会社化したことによる収益への影響額は、売上高で4億円弱、営業利益で約1億円の増額と見られる。
期末顧客件数は放送サービスで前期末比26千件増の914千件(うち、沖縄CATVで16千件)、通信サービスで同29千件増の373千件(同9千件)となった。放送サービス契約件数に対する通信サービス契約件数の比率は前期末の38.7%から40.8%と上昇傾向が続いており、複数契約加入により1世帯当たりの売上単価も上昇しているものと思われる。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前期比3.5%減の26,809百万円、営業利益は同17.6%減の2,043百万円となった。大型の設備工事や土木工事、店舗等の新築工事等が減少したことにより減収減益となった。子会社の業績については、日産工業が減収減益となった。前期に岐阜県内で発生した河川氾濫による修復工事の反動減が出た格好だ。そのほかの子会社の業績は堅調に推移したようだ。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前期比1.3%減の7,529百万円、営業利益は同64.0%増の533百万円となった。顧客件数が前期末比横ばいの165千件に留まったほか、世帯当たり消費量も巣ごもり需要の一巡により減少したことが減収要因となった。利益面では、顧客獲得コストが若干増加し、巣ごもり需要の一巡による顧客当たり平均消費量の減少があったものの、期中平均契約件数の増加により増益となった。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前期比7.4%増の4,876百万円と2期連続で増収となった。内訳を見ると、介護事業が利用者数の増加により同0.7%増の1,362百万円となったほか、婚礼催事事業も婚礼・宴会需要の回復により同56.5%増の1,012百万円と急回復した。造船事業は船舶修繕工事量の増加により同2.2%増の1,709百万円と堅調に推移した。内部調整額も含めた営業損失は6,497百万円(前期は6,518百万円の損失)と前期比横ばい水準となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前期比18.2%増の102,528百万円と過去最高を更新した一方で、営業利益(間接費用等配賦前営業利益となり、決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同17.3%減の7,384百万円となった。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加により6.5億円、その他費用の削減等で1.1億円の増益となったものの、仕入コストの増加(売価値上げ相殺後)で19.0億円、顧客獲得コストの増加で0.2億円、気温変動(平均気温で0.2度上昇)等による顧客当たり販売数量の減少などにより3.9億円の減益となった。
主力のLPガス事業の売上高は前期比12.4%増の82,921百万円となった。総販売量は前期比5%減となったが平均販売単価が同10%程度上昇したほか、2022年3月期に低調だった機器販売等が増加したことも増収要因となった。販売量の内訳を見ると、家庭用・業務用で前期比1%弱の減少となり、その他(卸売含む)が6%強落ち込んだ。特定顧客向けの販売契約が2022年3月で終了したためだが、利幅は薄いため利益への影響は軽微であった。平均販売単価は各用途ともに10%程度の上昇となった。
期末の顧客件数は前期末比で31千件の増加の746千件となった。増減の内訳は、新規契約獲得で36千件、M&A及びアライアンスによる獲得で20千件となり、中止・解約が25千件であった。また、既存エリア(静岡県及び首都圏)で16千件増、新規エリア(その他地域)で20千件増といずれのエリアにおいても顧客件数が増加した。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で交渉期間が長期化したこともあり、M&Aによる件数増加が計画を下回ったものの、これを除けば順調に顧客獲得が進んだと言える。また、中止・解約件数も前期の26千件から減少し、解約防止施策などの成果も表れた。
都市ガス事業の売上高は前期比50.8%増の19,607百万円と大幅増収となり、顧客件数は同5千件増の75千件となった。顧客増加分の大半は持分法適用関連会社であるT&Tエナジー(株)※の契約分となっている。増収要因の大部分は、原料費調整制度による販売単価の上昇によるもので、そのほか機器販売等も回復した。
※2019年に東京電力エナジーパートナー(株)と(株)TOKAIの合弁会社として設立。東海3県にて都市ガスと電気の小売事業等を展開している。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比5.0%増の53,945百万円、営業利益は同11.6%増の5,270百万円となり、売上高は3期ぶりに過去最高を更新した。
コンシューマー向け事業は売上高で24,402百万円と前期比横ばい水準に留まったが、営業利益は同0.7億円の増益となった。顧客獲得コストが4.9億円増加したものの、光コラボや「LIBMO」(格安SIMサービス)の顧客件数増加により5.6億円の増益要因となった。期末顧客件数の内訳を見ると、従来型ISP等は前期末比8千件減の407千件となったが、光コラボが同17千件増の363千件、「LIBMO」が同16千件増の71千件となった。光コラボについては提携先の大手携帯キャリア経由での顧客獲得が増加となったほか、従来の家電量販店経由での顧客獲得も進んだ。また、「LIBMO」についてもデジタルマーケティング施策が奏功したほか、2022年12月より(株)NTTドコモの格安モバイルサービスの1つに採用※されたことも増加要因となった。
※2022年12月21日から全国ドコモショップでエコノミーMVNOのサービスメニューの1つとして取り扱いを開始した。エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)の「OCNモバイルONE」、フリービット<3843>の「トーンモバイル」に続く3つ目のサービスとして「LIBMO」の取り扱いを開始した。
顧客件数が増加した一方で売上高が伸びていないのは、光コラボの1件当たり平均売上高が低下しているためだ。大手携帯キャリアとの提携契約分については光通信サービス部分の売上を除外して計上しており(売上総利益への影響はない)、平均売上高の押し下げ要因となっている。ただ、こうしたマイナス影響も一巡し、第2四半期以降は前年同期比で増収に転じており(第4四半期は前年同期比1.8%増)、2024年3月期は通期で増収に転じるものと期待される。
法人向け事業は売上高で前期比9.4%増の29,542百万円と好調に推移し、営業利益も増収効果により同4.8億円の増益となった。ストック型となるデータ通信サービスやクラウドサービスが順調に拡大したほか、受託開発案件も旺盛な需要を背景に増収となった。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比5.9%増の34,500百万円、営業利益は同5.7%増の6,184百万円となり、過去最高業績を更新した。地域密着型の番組制作や情報発信に注力したほか、大手動画配信事業者との提携による放送コンテンツの充実に取り組んだこと、高速光通信サービスの提供エリア拡大により放送+通信サービスのセット契約が増加したことなどにより増収増益となった。2022年10月に沖縄ケーブルネットワークを子会社化したことによる収益への影響額は、売上高で4億円弱、営業利益で約1億円の増額と見られる。
期末顧客件数は放送サービスで前期末比26千件増の914千件(うち、沖縄CATVで16千件)、通信サービスで同29千件増の373千件(同9千件)となった。放送サービス契約件数に対する通信サービス契約件数の比率は前期末の38.7%から40.8%と上昇傾向が続いており、複数契約加入により1世帯当たりの売上単価も上昇しているものと思われる。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前期比3.5%減の26,809百万円、営業利益は同17.6%減の2,043百万円となった。大型の設備工事や土木工事、店舗等の新築工事等が減少したことにより減収減益となった。子会社の業績については、日産工業が減収減益となった。前期に岐阜県内で発生した河川氾濫による修復工事の反動減が出た格好だ。そのほかの子会社の業績は堅調に推移したようだ。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前期比1.3%減の7,529百万円、営業利益は同64.0%増の533百万円となった。顧客件数が前期末比横ばいの165千件に留まったほか、世帯当たり消費量も巣ごもり需要の一巡により減少したことが減収要因となった。利益面では、顧客獲得コストが若干増加し、巣ごもり需要の一巡による顧客当たり平均消費量の減少があったものの、期中平均契約件数の増加により増益となった。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前期比7.4%増の4,876百万円と2期連続で増収となった。内訳を見ると、介護事業が利用者数の増加により同0.7%増の1,362百万円となったほか、婚礼催事事業も婚礼・宴会需要の回復により同56.5%増の1,012百万円と急回復した。造船事業は船舶修繕工事量の増加により同2.2%増の1,709百万円と堅調に推移した。内部調整額も含めた営業損失は6,497百万円(前期は6,518百万円の損失)と前期比横ばい水準となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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