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ドトール・日レスホールディングスのニュース
―活気戻るオフィス街、インバウンド需要も追い風に復活の時―
「喫茶店」関連株が業績復活ロードを快走している。外食産業はコロナ禍明け後、人流の急回復や インバウンド需要の復活も追い風に、総じて業績回復を鮮明にしている。そのなかコーヒーチェーンは、コロナ禍で滞っていたオフィス街を中心とする都心部への出店について再攻勢の動きを強めており、ここからの回復余地の大きさも意識されるところだ。晩秋に香り立つ喫茶店関連株を点検した。
●強いられた出店戦略の変更
コロナ禍では、店舗の営業制限や休業、加えて勤務形態のテレワークへの移行などが強い逆風となり、喫茶店関連株も多分に漏れず苦汁をなめた。特に、テレワークの加速でサラリーマンが姿を消したオフィス街を主戦場とするコーヒーチェーンにとっては、もはやいかんともしがたい状況に陥り、出店戦略の変更を余儀なくされた企業も多い。
政府は昨年、ウィズコロナに向けて大きく舵を切り、同年10月には水際対策を大幅緩和。しかし、人流が回復しはじめたほぼ1年前に、コーヒーチェーン大手に取材すると、「テレワークを継続している企業は依然として多く、オフィス街においては特に厳しい状況だ。コロナ禍以前に戻ることは当分ないだろう」と分析していた。出店については、住宅街、商店街を中心に強化するとし、「違う立地、違う時間帯で顧客を取り込めるような施策に注力する」と、当時の厳しい環境下での視点を変えた戦略を語っていたことを思い出す。まさに“テレワーク後遺症”ともいうべき状況が続いていた。
●風向き急速に変わる
ただ、ここにきては、急速に風向きが変わってきた。オーバーツーリズムとまで言われるほどのインバウンド需要の回復に加え、勤務体制を“出社”へと戻す企業が大幅に増加するなか、都心部やオフィス街にも活気が戻っている。
日本フードサービス協会が先月27日に発表した「外食産業市場動向調査 2023年10月度結果報告」でも、喫茶業態について「オフィス街や観光地などで人流が回復している」とし、前年同月比で客数が5.9%、客単価8.8%、売り上げは15.3%とそれぞれ増加した。9月度の調査では、売り上げがコロナ禍前の19年度比で3.8%減だったものが、10月度では4.0%増とプラスに転じており回復傾向がうかがえるものとなった。
●ドトル日レスはリベンジ態勢
コーヒーチェーンでは、出店数で断トツの「スターバックス」を、ドトール・日レスホールディングス <3087> [東証P]をはじめとする国内勢が追う展開だ。
そのドトル日レスの24年2月期通期は、営業利益段階で前期比2.5倍となる72億8200万円を見込んでいる。上期(3~8月)は前年同期比2.8倍となる40億6100万円となり、通期計画に対する進捗率は55.8%と順調に推移している。ドトールコーヒーグループの小売事業及びフランチャイズ事業は、新型コロナウイルスの5類移行で人流が回復したことにより、ビジネス街や駅前立地を中心に売上高は上昇傾向が鮮明となったという。同社の営業最高益は17年2月期の105億1400万円だが、その後もコロナ禍前の20年2月期まで100億円を上回っていた。回復基調が更に鮮明となるなか、いずれ100億円奪回からの最高益更新もありそうだ。株価は、9月12日に2420円の年初来高値形成後に調整局面入りしたものの、10月16日の2000円割れを起点に切り返しに転じている。現在は2200円近辺でもみ合っており、ここからの展開に注目が集まる。
●コメダは連続の営業最高益更新へ
コメダホールディングス <3543> [東証P]は、看板メニューのシロノワールなどで人気のフルサービス型喫茶店「コメダ珈琲店」をFC(フランチャイズ)展開する。名古屋を発祥とするが、現在では全国に店舗網を拡大、店舗数もトップ集団を猛追しておりその勢いは止まらない。誰もがくつろげる「街のリビングルーム」がコンセプトで、常連の顧客獲得に向けてさまざまな施策を図っている。顧客層も幅広く、他のコーヒーチェーンとは一線を画している。24年2月期通期は、営業利益段階で前期比8.4%増の87億円を計画しており前期に続き最高益を更新する見通しだ。株価は足もと弱含むが、押し目買いも一法か。
●伊藤園は「タリーズコーヒー」が成長一途
伊藤園 <2593> [東証P]は緑茶ブランド「お~いお茶」シリーズなどを手掛け、茶葉製品の最大手だが、米シアトル発祥のスペシャルティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」の日本でのFC展開を行っており、店舗数も拡大している。伊藤園は前週末1日の取引終了後、24年4月期上期(5~10月)の決算を発表。営業利益は前年同期比50.4%増の170億4600万円と好調。ただし、第1四半期の好決算からサプライズ感に乏しいとの見方もあるなか、きょうの株価は反落している。通期では、前期比18.4%増の232億円を計画し、5期ぶりの営業最高益を更新する見通しだ。「お~いお茶」シリーズで機能性表示食品を展開するなど、新商品効果もあって主力の「リーフ・ドリンク関連事業」の収益が伸長した。また、「タリーズコーヒー」など「飲食関連事業」も新商品効果や出店が寄与し好調だった。タリーズコーヒーを中心に、成長を続ける同事業だけに今後の展開に期待が掛かる。
●サンエー、JUNGLIAも追い風に
また、沖縄の流通最大手サンエー <2659> [東証P]にも注目したい。飲食店事業では「珈琲待夢」や「タリーズコーヒー」など喫茶業態も展開する。24年2月期の業績予想は、営業利益段階で前期比26.4%増の141億4000万円を計画。上期(3~8月)の営業利益は、前年同期比50.3%増の84億4600万円となり、通期計画に対する進捗率は59.7%に達した。行動制限や感染対策が大幅に緩和されたことや、沖縄県への観光客増加が業績を後押ししている。先月27日には、マーケティング会社の刀(大阪市北区)が沖縄県北部に建設している大型テーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」について、25年にオープンすることが発表され大きな話題となっている。これにより沖縄の観光事業が更に活性化することが見込まれ、同県で幅広く事業を展開するサンエーにとっても大きな追い風となりそうだ。
●東和フードは高級喫茶「椿屋」で攻勢
首都圏に外食チェーンを展開する東和フードサービス <3329> [東証S]は、高級喫茶「椿屋」で攻勢を強めている。椿屋は、大正ロマンあふれる内装で、自家焙煎の豆を使いサイフォンで淹(い)れたこだわりのコーヒーを提供する。先月28日、24年4月期の業績予想について、売上高を115億円から122億円(前期比12.5%増)へ、営業利益を7億5000万円から8億6000万円(同39.9%増)へ上方修正し、あわせて未定としていた配当予想を中間・期末各9円の年18円(前期11円)と発表。予想を上回る外食需要の高まりと、インバウンド効果が業績を押し上げている。
●石光商事、サンマルクにも妙味
コーヒーチェーンがコロナ禍から大きく立ち直るなか、老舗のコーヒー輸入商社であり、業務用で高いシェアを持つ石光商事 <2750> [東証S]にも目を配っておきたい。先月10日には、24年3月期の営業利益を12億3800万円から12億5500万円(前期比4.7%減)に上方修正し、期末一括配当も26円から28円(前期24円)に増額している。
また、「サンマルクカフェ」や「倉式珈琲店」と多彩なブランドを展開するサンマルクホールディングス <3395> [東証P]は業績回復の道程を歩んでいる。先月13日に24年3月期の業績予想の修正を発表。売上高を590億円から630億円(前期比8.9%増)へ、営業利益を15億円から20億円(同8.3倍)へ上方修正した。各業態の既存店売り上げ拡大に向けた取り組みが奏功し、業績が回復傾向にあることが要因だという。
株探ニュース
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