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きちりホールディングスのニュース
■事業概要
2. きちりホールディングス<3082>の強み
同社の強みは立地条件に合わせて収益性の高い業態を開発する企画開発力を持つことと、人材の採用力、育成力に優れていることに加えて、先進的なITシステムを店舗運営に積極的に活用する先進性を持っている点が挙げられる。
(1) 業態開発力
同社は主力の「KICHIRI」を2002年に出店以降、現在までブランド・コンテンツ活用型店舗も含めて27業態を開発しており、出店エリアは都市型から郊外型、店舗コンセプトについても非日常型から日常型と多彩な業態開発を行っていることが特徴となっている。
直近はコロナ禍で苦戦を強いられているものの、コロナ前までは「いしがまやハンバーグ」やダイニングバー業態の「ajito」「igu&Peace」、グローサラント業態の「Merca」など収益性の高い業態開発に相次いで成功してきた。社内で業態開発に関わる人材が育ってきたことが背景にある。直近は新規業態の開発、出店は難しい状況となっているが、一方で、新たに開始したデリバリー事業やテイクアウト商品のメニュー開発などで、こうした開発力が生かされているものと考えられる。
(2) エリア展開
同社では、関東エリアで54店舗の出店を行っているが、今後200店舗まで出店余地があると見ている。その根拠としては、関西エリア(京阪神+奈良県)で乗降客数2万人以上の駅数が312駅(2018年時点)に対して、出店店舗数が37店舗となっており、関東エリア(首都圏+茨城県)では同条件の駅数が903駅(同)と約3倍あるためだ。単純に3倍すれば約110店舗だが、1駅に複数店舗出店できる新宿等のターミナル駅が首都圏には多いため、居酒屋業態やレストラン業態など複数業態を開発、出店していくことで200店舗は可能な水準との見方だ。とはいえ、現状のコロナ禍において新規出店は慎重にならざるを得ず、市場環境が平常時に戻った段階で出店も再開していくものと予想される。従来は年間10店舗ペースでの新規出店を目標としてきた。なお、新業態の店舗を多店舗展開していくときの判断材料としては、従業員1人当たり月額50万円の利益が出せるかどうかをボーダーラインとして設定している。
(3) 人材採用力と育成力
同社の強みの1つとして人材採用力と育成力が挙げられる。新卒採用者数で見ると、2020年春は60~70名と正社員(2020年6月末336名)の2割以上の採用を行ったが、新人社員については当初、主に店舗に配属されるため、1店舗当たり新人社員1人の配属で、アルバイト数名分を賄うことが可能となる。
同業他社と比較して同社が順調に新卒社員を採用できている理由としては、独自の教育制度やキャリアプランに加えて、飲食事業やPFS事業(ブランド・コンテンツ活用型、クラウドサービス展開型)等の多彩な事業ポートフォリオを展開していることが要因と考えられる。また、アルバイトスタッフ(パートナー)に対しても、学生を対象とした就活支援制度や退職者に対するパートナー卒業式を毎年開催するなど、自由闊達な雰囲気と同時に、関わる人すべてを大切にする「おもてなし」スピリットが浸透している企業としての認知度が学生の間で広がっていることも一因と考えられる。
人材育成力に関しては、「きちりMBA」制度や立候補制度など同社独自の制度を導入している。「きちりMBA」の講師は社内スタッフで構成されており、全従業員が受講可能となる。「理念研修」から「ビジネススキル」「おもてなし」といった日々の現場で必要となるスキルを身に付けることができるほか、「マネジメント」や「リーダーシップ」など幹部候補生向けのプログラムなども用意されており、これらを受講することで社員一人ひとりのスキルアップが図られている。
(4) ITの導入を積極推進
PFS事業のうち、クラウドサービス展開型については2016年以降、ITベンチャー企業等との戦略的業務提携を積極的に進めているほか、2018年以降は子会社のオープンクラウドでサービスを開発、提供を開始している。具体的な取り組みとしては、2016年3月にiPadを活用したSaaS型POSレジシステム「ユビレジ」を展開する(株)ユビレジと資本業務提携を行い、「ユビレジ」をサービスメニューに加えたほか、同年9月にはFinTechベンチャーの(株)BearTailと業務提携を発表。BearTailが提供している「Dr.経費精算」※の導入、提供を開始した。
※「Dr.経費精算」…スマートフォンで領収書を撮影し、スマートフォンアプリまたはWebブラウザからアップロードするだけで自動データ化され、入力オペレータが同データの入力代行を行うサービスとなる。従来と比べて経費精算にかかる手間が大幅に削減できるといったメリットがある。
2018年7月には動画プラットフォーム事業を手掛けるピーシーフェーズ(株)と資本業務提携を締結し、動画コンテンツを用いたクラウド人材育成サービス「shouin(しょういん)」の共同開発及び販売を行うことを発表したほか、同年10月には子会社のオープンクラウドで開発したWeb面接プラットフォームサービス「ApplyNow」の提供を開始し、2019年11月には従業員のソフト管理サービス「らくしふ」を提供する(株)クロスビットと業務提携し、「らくしふ」の開発・販売で協力していくこととした。
同社ではこうしたITの積極的な活用による生産性向上に向けた取り組みが評価され、2020年3月に農林水産省が開催した「第28回優良外食産業表彰 生産性向上部門」において、「農林水産大臣賞」を受賞している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<KS>
2. きちりホールディングス<3082>の強み
同社の強みは立地条件に合わせて収益性の高い業態を開発する企画開発力を持つことと、人材の採用力、育成力に優れていることに加えて、先進的なITシステムを店舗運営に積極的に活用する先進性を持っている点が挙げられる。
(1) 業態開発力
同社は主力の「KICHIRI」を2002年に出店以降、現在までブランド・コンテンツ活用型店舗も含めて27業態を開発しており、出店エリアは都市型から郊外型、店舗コンセプトについても非日常型から日常型と多彩な業態開発を行っていることが特徴となっている。
直近はコロナ禍で苦戦を強いられているものの、コロナ前までは「いしがまやハンバーグ」やダイニングバー業態の「ajito」「igu&Peace」、グローサラント業態の「Merca」など収益性の高い業態開発に相次いで成功してきた。社内で業態開発に関わる人材が育ってきたことが背景にある。直近は新規業態の開発、出店は難しい状況となっているが、一方で、新たに開始したデリバリー事業やテイクアウト商品のメニュー開発などで、こうした開発力が生かされているものと考えられる。
(2) エリア展開
同社では、関東エリアで54店舗の出店を行っているが、今後200店舗まで出店余地があると見ている。その根拠としては、関西エリア(京阪神+奈良県)で乗降客数2万人以上の駅数が312駅(2018年時点)に対して、出店店舗数が37店舗となっており、関東エリア(首都圏+茨城県)では同条件の駅数が903駅(同)と約3倍あるためだ。単純に3倍すれば約110店舗だが、1駅に複数店舗出店できる新宿等のターミナル駅が首都圏には多いため、居酒屋業態やレストラン業態など複数業態を開発、出店していくことで200店舗は可能な水準との見方だ。とはいえ、現状のコロナ禍において新規出店は慎重にならざるを得ず、市場環境が平常時に戻った段階で出店も再開していくものと予想される。従来は年間10店舗ペースでの新規出店を目標としてきた。なお、新業態の店舗を多店舗展開していくときの判断材料としては、従業員1人当たり月額50万円の利益が出せるかどうかをボーダーラインとして設定している。
(3) 人材採用力と育成力
同社の強みの1つとして人材採用力と育成力が挙げられる。新卒採用者数で見ると、2020年春は60~70名と正社員(2020年6月末336名)の2割以上の採用を行ったが、新人社員については当初、主に店舗に配属されるため、1店舗当たり新人社員1人の配属で、アルバイト数名分を賄うことが可能となる。
同業他社と比較して同社が順調に新卒社員を採用できている理由としては、独自の教育制度やキャリアプランに加えて、飲食事業やPFS事業(ブランド・コンテンツ活用型、クラウドサービス展開型)等の多彩な事業ポートフォリオを展開していることが要因と考えられる。また、アルバイトスタッフ(パートナー)に対しても、学生を対象とした就活支援制度や退職者に対するパートナー卒業式を毎年開催するなど、自由闊達な雰囲気と同時に、関わる人すべてを大切にする「おもてなし」スピリットが浸透している企業としての認知度が学生の間で広がっていることも一因と考えられる。
人材育成力に関しては、「きちりMBA」制度や立候補制度など同社独自の制度を導入している。「きちりMBA」の講師は社内スタッフで構成されており、全従業員が受講可能となる。「理念研修」から「ビジネススキル」「おもてなし」といった日々の現場で必要となるスキルを身に付けることができるほか、「マネジメント」や「リーダーシップ」など幹部候補生向けのプログラムなども用意されており、これらを受講することで社員一人ひとりのスキルアップが図られている。
(4) ITの導入を積極推進
PFS事業のうち、クラウドサービス展開型については2016年以降、ITベンチャー企業等との戦略的業務提携を積極的に進めているほか、2018年以降は子会社のオープンクラウドでサービスを開発、提供を開始している。具体的な取り組みとしては、2016年3月にiPadを活用したSaaS型POSレジシステム「ユビレジ」を展開する(株)ユビレジと資本業務提携を行い、「ユビレジ」をサービスメニューに加えたほか、同年9月にはFinTechベンチャーの(株)BearTailと業務提携を発表。BearTailが提供している「Dr.経費精算」※の導入、提供を開始した。
※「Dr.経費精算」…スマートフォンで領収書を撮影し、スマートフォンアプリまたはWebブラウザからアップロードするだけで自動データ化され、入力オペレータが同データの入力代行を行うサービスとなる。従来と比べて経費精算にかかる手間が大幅に削減できるといったメリットがある。
2018年7月には動画プラットフォーム事業を手掛けるピーシーフェーズ(株)と資本業務提携を締結し、動画コンテンツを用いたクラウド人材育成サービス「shouin(しょういん)」の共同開発及び販売を行うことを発表したほか、同年10月には子会社のオープンクラウドで開発したWeb面接プラットフォームサービス「ApplyNow」の提供を開始し、2019年11月には従業員のソフト管理サービス「らくしふ」を提供する(株)クロスビットと業務提携し、「らくしふ」の開発・販売で協力していくこととした。
同社ではこうしたITの積極的な活用による生産性向上に向けた取り組みが評価され、2020年3月に農林水産省が開催した「第28回優良外食産業表彰 生産性向上部門」において、「農林水産大臣賞」を受賞している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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