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DDグループのニュース
*13:49JST DDグループ Research Memo(9):中期経営計画のもと、ブランド強化や事業領域の拡大等でLTV最大化を目指す
■今後の成長戦略
1. 中期経営計画の方向性
DDグループ<3073>は、2023年4月に2024年2月期を初年度とする3ヶ年の新中期経営計画を公表した。コロナ禍をきっかけとした消費者行動やニーズをはじめとする環境変化を捉え、中長期的なパラダイムシフトを意識した戦略を掲げた。また、「お客様歓喜~付加価値のある顧客価値の実現~」というグループ指針の下、経営ビジョンを「消費者が求める『フードサービス企業』」から、「創造的であり革新的であるブランドを創造する『ブランドカンパニー』へ」と変更し、ブランド強化ポートフォリオの再構築や事業領域の拡大などを通じて、重点施策である(1) グループ経営力の強化、(2) LTVの最大化を推進する戦略を描いている。
2. 重点施策のポイント
(1) グループ経営力の強化
具体的なテーマとして、1) コア事業の強化、2) 展開チャネルの拡張、3) 事業領域の拡大、4) 財務基盤の強化を挙げており、グループ連携を含めて、様々な施策に取り組む計画である。これまでとの大きな違いは、ショッピングセンターやフードコートへの出店、各自治体との連携、オンライン(EC)への展開といった新たな販売チャネルの開拓や、「ホテル・不動産事業」の販売商品の拡充、IPコンテンツの強化といった外食以外の領域において、M&Aやパートナーとの連携を含めた取り組みを推進する点にある。
(2) LTVの最大化
コア事業(外食領域)でのさらなるブランド強化を推進し、圧倒的な顧客接点(アクセスポイント)を追求したうえで、外食領域以外(サービス領域)でのブランド展開により、世代ごと、ライフステージごとに顧客接点を持つブランドポートフォリオの構築を目指す考えである。すなわち、1) 「ブランド(業態)」(事業領域の強化)×2)「チャネル(エリア)」(展開領域の拡大)×3) 「ライフスタイル(ステージ)」(拡張領域の推進)の3軸により顧客接点を増やし、LTVの最大化を図る「ブランドカンパニー」を目指すとともに、社会課題の解決を通じたブランド価値の創出にも取り組む価値創造モデルと言える。
3. 計数目標
(1) 財務目標
最終年度(2026年2月期)の財務目標として、連結売上高400億円(年平均成長率7.5%)、連結営業利益28億円(営業利益率7.0%)、ROE20%以上を掲げている。特徴的なのは、投資の選択と集中による財務体質の強化を図りつつ、利益率15%以上の事業セグメント創出(例えば、空間活用ノウハウやIPコンテンツを生かしたサービス領域等)やストックビジネスの拡充(例えば、貸コンテナやシェアハウスなど不動産ビジネスなど)により、収益構造の変革に取り組む点であり、これまでの外食を中心とする利益率10%未満のビジネスモデルやフロービジネスからの脱却を目指す。
(2) キャッシュ・アローケションの考え方
3年間の営業CFは合計約80億円を見込むとともに、手元資金(運転資金を除く)約100億円と合わせると約180億円の原資を想定している。そこから持続的な成長に向けた投資や、経営体質強化のための有利子負債の弁済にバランスよく配分するほか、中期経営計画の実現とともに株主還元も並行して検討する考えである。
(3) 非財務目標
女性管理職比率は現状水準(24.2%)を維持する計画である。また、気候変動対応については、引き続きCO2排出削減に取り組むとともに、2024年2月期中に「CO2排出削減方針」を策定し、具体的な目標設定や活動計画などの開示も検討中である。
4. 中長期的な注目点
外食業界は市場の伸びが期待できないうえ、競争の激化や消費者嗜好の変化などに直面し、将来に向けた変革をどう進めるかが重要なテーマになってきたが、そこにコロナ禍の影響が重なり、まさに転換期を迎えている。したがって、この難局を乗り切るとともに、先を見据えた戦略をいち早く進めることが、今後の持続的成長に向けて最大のアドバンテージになる。中長期的な視点からは、同社ならではの独自性の高いイノベーションを生み出し、環境変化をいかにプラスに転じるかが、同社の将来を見据えるうえで重要なポイントになると考えている。特に「利益率15%以上の事業セグメントの創出」に向けた具体的な動きが気になる点である。その意味で、他社保有IPコンテンツの活用ノウハウを有するエスエルディーや、湘南エリアで独自のホテル・不動産サービスを展開する湘南レーベルといった、特徴的な連結子会社との連携を含めた、新たな空間価値、付加価値の創出に期待したい。また、新中期経営計画で掲げられた3軸のうち、新たなドライバーとなり得る「チャネル(エリア)」(展開領域の拡大)と「ライフスタイル(ステージ)」(拡張領域の推進)については、地方創生を目的とした各自治体や共創パートナーといった外部リソースとの連携がカギを握ると考えられる。具体的な進展や成果が形となれば、これまでとは違ったドライバーとしてスケールするポテンシャルを十分秘めており、そういった視点から今後の動向をフォローしていきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 中期経営計画の方向性
DDグループ<3073>は、2023年4月に2024年2月期を初年度とする3ヶ年の新中期経営計画を公表した。コロナ禍をきっかけとした消費者行動やニーズをはじめとする環境変化を捉え、中長期的なパラダイムシフトを意識した戦略を掲げた。また、「お客様歓喜~付加価値のある顧客価値の実現~」というグループ指針の下、経営ビジョンを「消費者が求める『フードサービス企業』」から、「創造的であり革新的であるブランドを創造する『ブランドカンパニー』へ」と変更し、ブランド強化ポートフォリオの再構築や事業領域の拡大などを通じて、重点施策である(1) グループ経営力の強化、(2) LTVの最大化を推進する戦略を描いている。
2. 重点施策のポイント
(1) グループ経営力の強化
具体的なテーマとして、1) コア事業の強化、2) 展開チャネルの拡張、3) 事業領域の拡大、4) 財務基盤の強化を挙げており、グループ連携を含めて、様々な施策に取り組む計画である。これまでとの大きな違いは、ショッピングセンターやフードコートへの出店、各自治体との連携、オンライン(EC)への展開といった新たな販売チャネルの開拓や、「ホテル・不動産事業」の販売商品の拡充、IPコンテンツの強化といった外食以外の領域において、M&Aやパートナーとの連携を含めた取り組みを推進する点にある。
(2) LTVの最大化
コア事業(外食領域)でのさらなるブランド強化を推進し、圧倒的な顧客接点(アクセスポイント)を追求したうえで、外食領域以外(サービス領域)でのブランド展開により、世代ごと、ライフステージごとに顧客接点を持つブランドポートフォリオの構築を目指す考えである。すなわち、1) 「ブランド(業態)」(事業領域の強化)×2)「チャネル(エリア)」(展開領域の拡大)×3) 「ライフスタイル(ステージ)」(拡張領域の推進)の3軸により顧客接点を増やし、LTVの最大化を図る「ブランドカンパニー」を目指すとともに、社会課題の解決を通じたブランド価値の創出にも取り組む価値創造モデルと言える。
3. 計数目標
(1) 財務目標
最終年度(2026年2月期)の財務目標として、連結売上高400億円(年平均成長率7.5%)、連結営業利益28億円(営業利益率7.0%)、ROE20%以上を掲げている。特徴的なのは、投資の選択と集中による財務体質の強化を図りつつ、利益率15%以上の事業セグメント創出(例えば、空間活用ノウハウやIPコンテンツを生かしたサービス領域等)やストックビジネスの拡充(例えば、貸コンテナやシェアハウスなど不動産ビジネスなど)により、収益構造の変革に取り組む点であり、これまでの外食を中心とする利益率10%未満のビジネスモデルやフロービジネスからの脱却を目指す。
(2) キャッシュ・アローケションの考え方
3年間の営業CFは合計約80億円を見込むとともに、手元資金(運転資金を除く)約100億円と合わせると約180億円の原資を想定している。そこから持続的な成長に向けた投資や、経営体質強化のための有利子負債の弁済にバランスよく配分するほか、中期経営計画の実現とともに株主還元も並行して検討する考えである。
(3) 非財務目標
女性管理職比率は現状水準(24.2%)を維持する計画である。また、気候変動対応については、引き続きCO2排出削減に取り組むとともに、2024年2月期中に「CO2排出削減方針」を策定し、具体的な目標設定や活動計画などの開示も検討中である。
4. 中長期的な注目点
外食業界は市場の伸びが期待できないうえ、競争の激化や消費者嗜好の変化などに直面し、将来に向けた変革をどう進めるかが重要なテーマになってきたが、そこにコロナ禍の影響が重なり、まさに転換期を迎えている。したがって、この難局を乗り切るとともに、先を見据えた戦略をいち早く進めることが、今後の持続的成長に向けて最大のアドバンテージになる。中長期的な視点からは、同社ならではの独自性の高いイノベーションを生み出し、環境変化をいかにプラスに転じるかが、同社の将来を見据えるうえで重要なポイントになると考えている。特に「利益率15%以上の事業セグメントの創出」に向けた具体的な動きが気になる点である。その意味で、他社保有IPコンテンツの活用ノウハウを有するエスエルディーや、湘南エリアで独自のホテル・不動産サービスを展開する湘南レーベルといった、特徴的な連結子会社との連携を含めた、新たな空間価値、付加価値の創出に期待したい。また、新中期経営計画で掲げられた3軸のうち、新たなドライバーとなり得る「チャネル(エリア)」(展開領域の拡大)と「ライフスタイル(ステージ)」(拡張領域の推進)については、地方創生を目的とした各自治体や共創パートナーといった外部リソースとの連携がカギを握ると考えられる。具体的な進展や成果が形となれば、これまでとは違ったドライバーとしてスケールするポテンシャルを十分秘めており、そういった視点から今後の動向をフォローしていきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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