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クオールホールディングスのニュース
■要約
クオールホールディングス<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。マンツーマン薬局と異業種連携による新業態薬局での店舗展開に特徴がある。調剤以外の分野では、CMR(契約MR)の派遣を中心とするCSO※事業に加えて、薬剤師等の医療系人材紹介派遣事業や医薬品製造販売事業を展開している。
※CSOとはContract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略で、CMR(契約MR(Medical Representative、医薬情報担当者))の派遣業務となる。
1. 2021年3月期業績はコロナの影響もあり減収減益となるも下期から増益に転じる
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.2%減の161,832百万円、営業利益で同4.8%減の7,364百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による医療機関への受診控えや処方期間の長期化による処方箋応需枚数の減少が響いて保険薬局事業が減収減益となったことが主因だ。会社計画(売上高165,500百万円、営業利益6,500百万円)に対して、売上高は未達となったものの、営業利益は大きく上回って着地した。売上高については保険薬局事業での処方箋応需枚数の減少に伴う技術料収入が減少したこと、医療関連事業で下期にCSO事業や紹介派遣事業の需要が落ち込んだことにより減収となったことが未達要因となった。一方、利益面では下期に、コスト適正化プロジェクトによるコスト削減や保険薬局事業の収益性が大きく改善したことが上振れ要因となった。店舗への自動化設備導入効果等により薬剤師の最適配置が進み、店舗当たりの生産性が向上した。なお、2021年3月期末の出店数は前期末比6店舗増の811店舗と小幅な増加にとどまった。新規出店及びM&Aで34店舗を出店したが、退店・事業譲渡が28店舗と例年よりもやや増加したことが要因だ。
2. 2022年3月期業績は増収、2ケタ増益に転じる見通し
2022年3月期の業績は売上高で前期比8.1%増の175,000百万円、営業利益で同22.2%増の9,000百万円と増収増益に転じる見通しだ。保険薬局事業では薬価改定の影響があるものの、既存店の処方箋応需枚数が前期比で1ケタ台後半から2ケタ台前半の伸びを見込んでいるほか、技術料単価の上昇やM&Aを含む新規出店効果による増収を見込んでいる。新規出店やM&Aについては従来と変わりなく年間50~70店舗前後を目指していく方針だ。また、前期下期に失速したCSO事業や医療系人材紹介派遣事業も足元で需要が回復してきている。特に、薬剤師派遣については、新型コロナウイルスワクチン集団接種会場等へも積極的に参画しており収益増に貢献する見通しだ。
3. 中期売上目標3,000億円の達成に向け、成長戦略を着実に実行していく方針
中長期成長戦略は、従来から一貫しており変更はない。保険薬局事業では「戦略的出店による規模の拡大」と「薬局の価値創出」に取り組むことで安定成長を目指す。出店はM&Aも含めて年間50~70店舗ペースで東名阪エリアを中心に進めていく。また、今後重要性が高まる地域のかかりつけ薬局としての機能強化を図ることで価値を高め、シェア拡大を図っていく。医薬関連事業ではCSO事業における「専門性の深化」に取り組むことでシェア拡大と収益性の向上に取り組んでいく。また、藤永製薬(株)で展開する医薬品製造販売事業は、「グループシナジーの最大化」を図ると同時に、今後は製造品目数の増加やM&A、大手製薬企業との連携等によって事業規模をさらに拡大していく方針だ。これらの取り組みにより、中期目標である売上高3,000億円、営業利益250億円の達成を目指していく。なお、2022年3月期は重点施策として「在宅調剤」と「DXの推進」の2点を挙げている。「在宅調剤」は今後の超高齢社会の進展によって需要拡大が見込まれており、老人ホーム等の施設を中心に顧客開拓を進め、売上の拡大を目指す。「DXの推進」では、IT活用による業務効率の一層の向上を図るだけでなく、患者のQOL向上につながる新規サービスの開発を進めていく方針となっており、今後の展開が注目される。
■Key Points
・2021年3月期はコロナ禍の影響で減収減益となるも、コスト削減や生産性向上により利益は会社計画を上回る
・2022年3月期業績は全ての事業が増収増益となり、全体では2割超の増益に転じる見通し
・「在宅調剤の強化」と「DXの推進」を重点施策として取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
クオールホールディングス<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。マンツーマン薬局と異業種連携による新業態薬局での店舗展開に特徴がある。調剤以外の分野では、CMR(契約MR)の派遣を中心とするCSO※事業に加えて、薬剤師等の医療系人材紹介派遣事業や医薬品製造販売事業を展開している。
※CSOとはContract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略で、CMR(契約MR(Medical Representative、医薬情報担当者))の派遣業務となる。
1. 2021年3月期業績はコロナの影響もあり減収減益となるも下期から増益に転じる
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.2%減の161,832百万円、営業利益で同4.8%減の7,364百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による医療機関への受診控えや処方期間の長期化による処方箋応需枚数の減少が響いて保険薬局事業が減収減益となったことが主因だ。会社計画(売上高165,500百万円、営業利益6,500百万円)に対して、売上高は未達となったものの、営業利益は大きく上回って着地した。売上高については保険薬局事業での処方箋応需枚数の減少に伴う技術料収入が減少したこと、医療関連事業で下期にCSO事業や紹介派遣事業の需要が落ち込んだことにより減収となったことが未達要因となった。一方、利益面では下期に、コスト適正化プロジェクトによるコスト削減や保険薬局事業の収益性が大きく改善したことが上振れ要因となった。店舗への自動化設備導入効果等により薬剤師の最適配置が進み、店舗当たりの生産性が向上した。なお、2021年3月期末の出店数は前期末比6店舗増の811店舗と小幅な増加にとどまった。新規出店及びM&Aで34店舗を出店したが、退店・事業譲渡が28店舗と例年よりもやや増加したことが要因だ。
2. 2022年3月期業績は増収、2ケタ増益に転じる見通し
2022年3月期の業績は売上高で前期比8.1%増の175,000百万円、営業利益で同22.2%増の9,000百万円と増収増益に転じる見通しだ。保険薬局事業では薬価改定の影響があるものの、既存店の処方箋応需枚数が前期比で1ケタ台後半から2ケタ台前半の伸びを見込んでいるほか、技術料単価の上昇やM&Aを含む新規出店効果による増収を見込んでいる。新規出店やM&Aについては従来と変わりなく年間50~70店舗前後を目指していく方針だ。また、前期下期に失速したCSO事業や医療系人材紹介派遣事業も足元で需要が回復してきている。特に、薬剤師派遣については、新型コロナウイルスワクチン集団接種会場等へも積極的に参画しており収益増に貢献する見通しだ。
3. 中期売上目標3,000億円の達成に向け、成長戦略を着実に実行していく方針
中長期成長戦略は、従来から一貫しており変更はない。保険薬局事業では「戦略的出店による規模の拡大」と「薬局の価値創出」に取り組むことで安定成長を目指す。出店はM&Aも含めて年間50~70店舗ペースで東名阪エリアを中心に進めていく。また、今後重要性が高まる地域のかかりつけ薬局としての機能強化を図ることで価値を高め、シェア拡大を図っていく。医薬関連事業ではCSO事業における「専門性の深化」に取り組むことでシェア拡大と収益性の向上に取り組んでいく。また、藤永製薬(株)で展開する医薬品製造販売事業は、「グループシナジーの最大化」を図ると同時に、今後は製造品目数の増加やM&A、大手製薬企業との連携等によって事業規模をさらに拡大していく方針だ。これらの取り組みにより、中期目標である売上高3,000億円、営業利益250億円の達成を目指していく。なお、2022年3月期は重点施策として「在宅調剤」と「DXの推進」の2点を挙げている。「在宅調剤」は今後の超高齢社会の進展によって需要拡大が見込まれており、老人ホーム等の施設を中心に顧客開拓を進め、売上の拡大を目指す。「DXの推進」では、IT活用による業務効率の一層の向上を図るだけでなく、患者のQOL向上につながる新規サービスの開発を進めていく方針となっており、今後の展開が注目される。
■Key Points
・2021年3月期はコロナ禍の影響で減収減益となるも、コスト削減や生産性向上により利益は会社計画を上回る
・2022年3月期業績は全ての事業が増収増益となり、全体では2割超の増益に転じる見通し
・「在宅調剤の強化」と「DXの推進」を重点施策として取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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