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*19:24JST クリアル Research Memo(4):主力の「CREAL」は1万円から投資可能、不動産投資の民主化を実現(2)
■クリアル<2998>の事業内容と特長
これらのESG不動産への投資実績は、同社のSDGsを重要視した経営方針を明示していると言える。ESG企業としてこのようなコンセプトで主力サービスを展開し、良好な運用実績とともに個人を含む幅広い投資家の支持を得て成功している資産運用支援企業は希少であると弊社ではみている。同社及び「CREAL」の特長の1つであり、大きな魅力となっている。
また、投資家保護の観点から、出資持分を優先部分と同社の出資による劣後部分に分けている。「CREAL」の投資家は優先部分に出資し、同社が出資する劣後部分(5%)よりも優先的に配当等を受け取る仕組みを構築することで、想定どおりに収益が生じなかった場合のリスクを同社が劣後出資額を上限として負担する。同社が劣後出資で顧客投資家とともに投資することは、優先部分への配当及び元本償還等の確実性を高め、顧客投資家の安心感を醸成し、同社への信頼を高める大きな要素となっている。
「CREAL」の動きとして特筆すべき点は、SBIホールディングスとの資本業務提携に基づき、(株)SBI証券からの送客が2024年3月期から本格化し、「CREAL」の急成長の原動力となっていることである。また、不動産売却においてもSBIマネープラザ(株)の顧客への物件紹介が活発になってきた。
(2) 「CREAL PRO」
1億円からの資産運用で、機関投資家・超富裕層といった、プロ向けの大型不動産への投資を対象とした資産運用サービスである。ESG不動産、レジデンス、ホテルといった不動産へ投資できるよう構成されており、フィービジネス主体であることから、売上の大部分がそのまま売上総利益となる。
「CREAL PRO」では、主に同社が情報を入手した投資物件を基に、仲介業務や私募ファンドを組成・運用する業務が中心となる。基本的には外部出資者のために運用を行うサービスであるが、一部同社グループが保有し開発や運営を手掛けるサービスも含まれている(バリューアップ後には「CREAL」への掲載や外部売却を行う)。
「CREAL PRO」の業務の流れは以下のとおりである。
1)物件供給を行う業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営会社、仲介会社等から収集した投資物件情報のスクリーニングを行い、投資適格物件の選定を行う。
2)同社が選定した投資適格物件についてファンドの組成もしくは仲介業務を行い、当該ファンドへの出資に興味を持つ投資家、及び当該物件の購入意欲がある投資家の探索を行う。
3)投資家による当該ファンドへの出資が行われファンドが成立した場合、もしくは投資物件を購入した場合には、同社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)もしくは仲介手数料を受領する。
4)ファンド運用期間中、同社は物件の運用管理による管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領する。
5)ファンド運用終了時に不動産の売却により得られた売却代金を基にして、投資家最終配当及び元本償還を行う。同社は不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに物件を売却して利益が生じた場合には、当該売却利益またはその一部(プロフィット・シェア)を受領する。
さらに「CREAL PRO」では、「CREAL」との連携によるシナジーを意識したサービスを展開している。具体的には、「CREAL」では運用している小〜中規模物件のポートフォリオを物件ごとに外部売却しているが、それらを50〜100億円程度の規模に束ね、「CREAL PRO」の顧客である機関投資家等へバルクセールを行い、さらに当該物件管理について「CREAL PRO」としてアセットマネジメント業務を受託する。このスキームは2021年7月のドイツ大手保険機関アリアンツグループ傘下のアリアンツ・リアル・エステートや、2022年4月の株式上場と同時に発表された香港大手不動産投資会社Gaw Capitalとの取引実績ですでに具現化している。Gaw Capitalとは、「CREAL」で運用中及び運用予定の東京23区所在のマンション13棟(竣工予定物件を含む)について、同社が組成するファンドとの売買契約を締結した。
(3) 「CREAL PB」
個人投資家向けの資産運用サービスで、長期運用(5年以上)のための実物不動産が対象となっている。独自開発のAIを活用し、不動産市場から効率的に優良物件(主に首都圏の中古区分レジデンス)を発掘するところに大きな特長がある。また、投資用区分レジデンス以外にも、1棟レジデンス、太陽光など、豊富な資産運用商品を提供する。「CREAL PB」の売上総利益は売上高×利益率で算出される。
具体的には、同社が投資用不動産を仕入れ、個人投資家に販売することで売却益を獲得するスキームとなっている。さらに不動産販売後、投資家にとって必要な各種管理業務サービスも提供することで、個人投資家の利便性を高めつつ、売却益のみならず集金代行手数料や契約事務手数料等の賃貸管理収入を継続して受領できる仕組みを構築している。
「CREAL PB」では、不動産投資に関わる一連のプロセス各所でのAIの活用とDXの推進を通じ、投資リターン向上に加え、インターフェース機能の充実など、顧客にとっての投資への魅力や利便性が高まるような取り組みを進めるとともに、業務改善やコスト削減にも注力している。
注目すべきシステムの1つは、投資案件の物件評価・仕入システム「CREAL buyer」である。物件評価・仕入を効率的に行うために独自開発したAIが、不動産に関わる膨大な量のデータを常時学習しており、ロケーションやエリア、面積・築年数・スペックに応じた適正な賃料や価格査定を実現している。割安な価格や賃料が設定されているハイパフォーマンスな物件をインターネット上で常に選別し、そのような物件がある際には仕入れの提案を担当者に通知することで、スピーディーな仕入交渉が可能となる。
このほかにも、不動産投資運用の効率化を推進するシステムとして「CREAL concierge」を開発し、これまで書面や対面でのやりとりに大きく依存していた不動産投資運用プロセスのDXを推進している。「CREAL concierge」によって、同社の顧客である不動産オーナーは、物件の賃貸状況や収支状況をオンラインでいつでも確認できるため、資産運用の利便性を高められている。2023年12月には、一般的な電子契約プラットフォームでは対応していない不動産特有の書面(重要事項説明書、建物図面、重要事項調査報告書など)の電子化にも対応し、顧客利便性の向上と同時に印紙・印刷・郵送といったオペレーションコストの削減に成功した。また、最新の販売中の不動産を表示する機能も有しているため、物件の買い増しを促進する役割も果たしている。
(4) 「その他」
その他の主たるサービスである物件管理業務効率化にあたっては「CREAL manager」を開発し、区分中古レジデンス不動産における賃貸管理業務を効率的に遂行できる仕組みを構築している。「CREAL manager」により書面やExcelなどで分散管理していた情報の一元化が促進され、契約管理及び入出金管理をはじめ、オーナー向けの明細の作成や希望者への郵送が自動化されるなど、顧客と同社の双方に大きなメリットを発揮する効率的な作業環境の形成を実現している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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これらのESG不動産への投資実績は、同社のSDGsを重要視した経営方針を明示していると言える。ESG企業としてこのようなコンセプトで主力サービスを展開し、良好な運用実績とともに個人を含む幅広い投資家の支持を得て成功している資産運用支援企業は希少であると弊社ではみている。同社及び「CREAL」の特長の1つであり、大きな魅力となっている。
また、投資家保護の観点から、出資持分を優先部分と同社の出資による劣後部分に分けている。「CREAL」の投資家は優先部分に出資し、同社が出資する劣後部分(5%)よりも優先的に配当等を受け取る仕組みを構築することで、想定どおりに収益が生じなかった場合のリスクを同社が劣後出資額を上限として負担する。同社が劣後出資で顧客投資家とともに投資することは、優先部分への配当及び元本償還等の確実性を高め、顧客投資家の安心感を醸成し、同社への信頼を高める大きな要素となっている。
「CREAL」の動きとして特筆すべき点は、SBIホールディングスとの資本業務提携に基づき、(株)SBI証券からの送客が2024年3月期から本格化し、「CREAL」の急成長の原動力となっていることである。また、不動産売却においてもSBIマネープラザ(株)の顧客への物件紹介が活発になってきた。
(2) 「CREAL PRO」
1億円からの資産運用で、機関投資家・超富裕層といった、プロ向けの大型不動産への投資を対象とした資産運用サービスである。ESG不動産、レジデンス、ホテルといった不動産へ投資できるよう構成されており、フィービジネス主体であることから、売上の大部分がそのまま売上総利益となる。
「CREAL PRO」では、主に同社が情報を入手した投資物件を基に、仲介業務や私募ファンドを組成・運用する業務が中心となる。基本的には外部出資者のために運用を行うサービスであるが、一部同社グループが保有し開発や運営を手掛けるサービスも含まれている(バリューアップ後には「CREAL」への掲載や外部売却を行う)。
「CREAL PRO」の業務の流れは以下のとおりである。
1)物件供給を行う業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営会社、仲介会社等から収集した投資物件情報のスクリーニングを行い、投資適格物件の選定を行う。
2)同社が選定した投資適格物件についてファンドの組成もしくは仲介業務を行い、当該ファンドへの出資に興味を持つ投資家、及び当該物件の購入意欲がある投資家の探索を行う。
3)投資家による当該ファンドへの出資が行われファンドが成立した場合、もしくは投資物件を購入した場合には、同社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)もしくは仲介手数料を受領する。
4)ファンド運用期間中、同社は物件の運用管理による管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領する。
5)ファンド運用終了時に不動産の売却により得られた売却代金を基にして、投資家最終配当及び元本償還を行う。同社は不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに物件を売却して利益が生じた場合には、当該売却利益またはその一部(プロフィット・シェア)を受領する。
さらに「CREAL PRO」では、「CREAL」との連携によるシナジーを意識したサービスを展開している。具体的には、「CREAL」では運用している小〜中規模物件のポートフォリオを物件ごとに外部売却しているが、それらを50〜100億円程度の規模に束ね、「CREAL PRO」の顧客である機関投資家等へバルクセールを行い、さらに当該物件管理について「CREAL PRO」としてアセットマネジメント業務を受託する。このスキームは2021年7月のドイツ大手保険機関アリアンツグループ傘下のアリアンツ・リアル・エステートや、2022年4月の株式上場と同時に発表された香港大手不動産投資会社Gaw Capitalとの取引実績ですでに具現化している。Gaw Capitalとは、「CREAL」で運用中及び運用予定の東京23区所在のマンション13棟(竣工予定物件を含む)について、同社が組成するファンドとの売買契約を締結した。
(3) 「CREAL PB」
個人投資家向けの資産運用サービスで、長期運用(5年以上)のための実物不動産が対象となっている。独自開発のAIを活用し、不動産市場から効率的に優良物件(主に首都圏の中古区分レジデンス)を発掘するところに大きな特長がある。また、投資用区分レジデンス以外にも、1棟レジデンス、太陽光など、豊富な資産運用商品を提供する。「CREAL PB」の売上総利益は売上高×利益率で算出される。
具体的には、同社が投資用不動産を仕入れ、個人投資家に販売することで売却益を獲得するスキームとなっている。さらに不動産販売後、投資家にとって必要な各種管理業務サービスも提供することで、個人投資家の利便性を高めつつ、売却益のみならず集金代行手数料や契約事務手数料等の賃貸管理収入を継続して受領できる仕組みを構築している。
「CREAL PB」では、不動産投資に関わる一連のプロセス各所でのAIの活用とDXの推進を通じ、投資リターン向上に加え、インターフェース機能の充実など、顧客にとっての投資への魅力や利便性が高まるような取り組みを進めるとともに、業務改善やコスト削減にも注力している。
注目すべきシステムの1つは、投資案件の物件評価・仕入システム「CREAL buyer」である。物件評価・仕入を効率的に行うために独自開発したAIが、不動産に関わる膨大な量のデータを常時学習しており、ロケーションやエリア、面積・築年数・スペックに応じた適正な賃料や価格査定を実現している。割安な価格や賃料が設定されているハイパフォーマンスな物件をインターネット上で常に選別し、そのような物件がある際には仕入れの提案を担当者に通知することで、スピーディーな仕入交渉が可能となる。
このほかにも、不動産投資運用の効率化を推進するシステムとして「CREAL concierge」を開発し、これまで書面や対面でのやりとりに大きく依存していた不動産投資運用プロセスのDXを推進している。「CREAL concierge」によって、同社の顧客である不動産オーナーは、物件の賃貸状況や収支状況をオンラインでいつでも確認できるため、資産運用の利便性を高められている。2023年12月には、一般的な電子契約プラットフォームでは対応していない不動産特有の書面(重要事項説明書、建物図面、重要事項調査報告書など)の電子化にも対応し、顧客利便性の向上と同時に印紙・印刷・郵送といったオペレーションコストの削減に成功した。また、最新の販売中の不動産を表示する機能も有しているため、物件の買い増しを促進する役割も果たしている。
(4) 「その他」
その他の主たるサービスである物件管理業務効率化にあたっては「CREAL manager」を開発し、区分中古レジデンス不動産における賃貸管理業務を効率的に遂行できる仕組みを構築している。「CREAL manager」により書面やExcelなどで分散管理していた情報の一元化が促進され、契約管理及び入出金管理をはじめ、オーナー向けの明細の作成や希望者への郵送が自動化されるなど、顧客と同社の双方に大きなメリットを発揮する効率的な作業環境の形成を実現している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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