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紀文食品のニュース
*14:07JST 紀文食品 Research Memo(7):2023年3月期第3四半期は国内食品事業の需要増と価格改定効果等より大幅増収
■業績動向
1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
紀文食品<2933>の2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高81,770百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益1,584百万円(同51.1%減)、経常利益1,660百万円(同42.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益514百万円(同73.9%減)となった。なお、主力の水産練り製品や惣菜の需要が冬季に高まること、12月に正月商品の売上が集中することから、業績は第3四半期に偏重する傾向がある。
世界経済は、様々な価格の上昇に伴うインフレが消費へのリスクとして内在し、地政学リスクも依然として続いている。一方で日本経済は、コロナ禍からの行動制限が解除されたことに伴い回復に向けた動きが顕著に見られるものの、原材料・エネルギー価格の高騰に起因する商品やサービスの価格上昇が止まらず、本格的な経済回復への道筋は不透明な状況が続いている。このような環境の下で同社は、中期経営計画で掲げる「成長の加速」「経営効率の改善」「経営基盤の整備」の3つの経営方針に基づき、「持続的成長サイクルの確立」を目指した取り組みを推進した。
売上高は全セグメントで増収となった一方、国内食品事業での原材料・エネルギーコスト増が想定を超え、価格改定効果で補えず、売上総利益率は前年同期比3.0ポイント低下した。販管費は、運送費が高止まりするなかでも想定どおりで、販管費率は同0.6ポイント改善した。しかしながら、売上総利益率の低下が影響し、営業利益は減益となった。海外子会社の決算月のずれに起因する為替差益により経常利益の減益率は営業利益に対して小さいものの、子会社の業績好調により税金費用を保守的に見積もったため、親会社株主に帰属する四半期純利益の減益率は拡大した。なお、棚卸資産が同35%増と伸長したが、原材料・エネルギー価格上昇及び米国の漁獲規制への対応が要因であり、数量ベースでは健全である。計画比では、国内食品事業の需要増と価格改定効果による押し上げなどにより売上高は順調に推移したが、想定を超える原材料・エネルギーコスト増などにより、各利益は未達であったようだ。
2. セグメント別業績動向
(1) 国内食品事業
売上高は58,440百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント損失は191百万円(前年同期は1,791百万円の利益)となった。売上面では、価格改定後もおでんや鍋の種物として水産練り製品、正月商品が好調に推移した。水産練り製品は、特にカニカマやちくわ、はんぺんなど主力商品のほか、次世代の需要層に向け同社独自製法を用いたキャラクター蒲鉾「すみっコぐらしかまぼこ」や「ハローキティ ポムポムプリンかまぼこ」の販売が好調に推移した。また、SNSを活用したプロモーションや正月商戦に向けた特設Webサイトでの情報発信も奏功した。一方、内食需要の特需的な動きが鈍化した惣菜市場の環境変化により、中華惣菜や麺状商品は減収となった。正月商品は、蒲鉾や伊達巻などの主力商品に加え、準備の時短・簡便につながるセット商品が好調に推移した。商事部門では、取り扱い商材が好調に推移し売上が伸長した。利益面では、原材料や資材、エネルギーなどのコスト上昇が想定以上の高水準で継続しており、一部の通常商品及び正月商品の価格改定を実施したものの、コスト上昇分は吸収しきれなかった。
(2) 海外食品事業
売上高は9,990百万円(前年同期比43.3%増)、セグメント利益は1,117百万円(同43.4%増)となった。売上面では、中国市場でのコロナ禍による経済活動の停滞が継続する一方、欧米や東南アジアではカニカマを中心とした水産練り製品に加え、農畜産品や惣菜など仕入商材の販売が拡大した。米国では「Healthy Noodle(糖質0g麺)」の販売が引き続き順調に推移した。利益面では、高採算の自社製品をはじめとする売上増に加え、コンテナ不足によるフレート代の高騰が解消に向かったことが寄与した。
(3) 食品関連事業
売上高は13,339百万円(前年同期比1.7%増)、セグメント利益は775百万円(同9.4%増)となった。売上面では、主力の物流事業で、行動規制の終了に伴い特に12月商戦での外食・百貨店・駅ビル向けの物量の回復が顕著であった。利益面では、物流センターでの電力費が依然として想定以上に増加しているものの、料金改定、配送効率及び業務効率の向上に向けた取り組みが奏功した。
2023年3月期の各利益予想を下方修正したものの、2024年3月期は収益回復の見込み
3. 今後の業績見通し
(1) 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績については、2023年2月に修正し、売上高105,228百万円(前期比6.1%増)、営業利益2,219百万円(同41.7%減)、経常利益1,865百万円(同45.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益689百万円(同63.7%減)とした。
期初計画では、海外食品事業及び食品関連事業の増収のほか、2022年2月に実施した国内食品事業の価格改定効果により、売上高を104,052百万円(前期比4.9%増)と見込んでいたが、これらの進捗が堅調であることに加え、国内食品事業の需要が増加していることから1,176百万円上方修正した。一方、利益面では原材料・エネルギー価格上昇及び販管費の増加を想定するも、継続的な生産効率や業務効率の向上によりこれらをカバーすることで、営業利益を3,831百万円(同0.6%増)と見込んでいた。しかしながら、国内食品事業で想定を超える原材料・エネルギーコスト増が大きく影響していることに加え、海外食品事業で2022年末に向け米国内流通企業の在庫調整、中国の公衆衛生政策に起因する市場混乱の影響を受けることから、各利益を下方修正した。修正後の通期予想に対する進捗率は、売上高で77.7%、営業利益で71.4%とおおむね順調であること、原材料・エネルギー価格上昇の影響を除いては総じて堅調に進捗していることから、修正予想を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
(2) 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績について、国内食品事業では生産効率・業務効率の向上や価格改定効果、また原材料価格高騰はピークアウト、キャラクター蒲鉾などの好調商品の販促強化なども見込まれることから、収益改善が期待できる。また、海外食品事業では各エリアの市場動向に適した販促活動による需要の取り込み、食品関連事業では物流増加が見込まれることから、全体でも収益回復すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NS>
1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
紀文食品<2933>の2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高81,770百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益1,584百万円(同51.1%減)、経常利益1,660百万円(同42.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益514百万円(同73.9%減)となった。なお、主力の水産練り製品や惣菜の需要が冬季に高まること、12月に正月商品の売上が集中することから、業績は第3四半期に偏重する傾向がある。
世界経済は、様々な価格の上昇に伴うインフレが消費へのリスクとして内在し、地政学リスクも依然として続いている。一方で日本経済は、コロナ禍からの行動制限が解除されたことに伴い回復に向けた動きが顕著に見られるものの、原材料・エネルギー価格の高騰に起因する商品やサービスの価格上昇が止まらず、本格的な経済回復への道筋は不透明な状況が続いている。このような環境の下で同社は、中期経営計画で掲げる「成長の加速」「経営効率の改善」「経営基盤の整備」の3つの経営方針に基づき、「持続的成長サイクルの確立」を目指した取り組みを推進した。
売上高は全セグメントで増収となった一方、国内食品事業での原材料・エネルギーコスト増が想定を超え、価格改定効果で補えず、売上総利益率は前年同期比3.0ポイント低下した。販管費は、運送費が高止まりするなかでも想定どおりで、販管費率は同0.6ポイント改善した。しかしながら、売上総利益率の低下が影響し、営業利益は減益となった。海外子会社の決算月のずれに起因する為替差益により経常利益の減益率は営業利益に対して小さいものの、子会社の業績好調により税金費用を保守的に見積もったため、親会社株主に帰属する四半期純利益の減益率は拡大した。なお、棚卸資産が同35%増と伸長したが、原材料・エネルギー価格上昇及び米国の漁獲規制への対応が要因であり、数量ベースでは健全である。計画比では、国内食品事業の需要増と価格改定効果による押し上げなどにより売上高は順調に推移したが、想定を超える原材料・エネルギーコスト増などにより、各利益は未達であったようだ。
2. セグメント別業績動向
(1) 国内食品事業
売上高は58,440百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント損失は191百万円(前年同期は1,791百万円の利益)となった。売上面では、価格改定後もおでんや鍋の種物として水産練り製品、正月商品が好調に推移した。水産練り製品は、特にカニカマやちくわ、はんぺんなど主力商品のほか、次世代の需要層に向け同社独自製法を用いたキャラクター蒲鉾「すみっコぐらしかまぼこ」や「ハローキティ ポムポムプリンかまぼこ」の販売が好調に推移した。また、SNSを活用したプロモーションや正月商戦に向けた特設Webサイトでの情報発信も奏功した。一方、内食需要の特需的な動きが鈍化した惣菜市場の環境変化により、中華惣菜や麺状商品は減収となった。正月商品は、蒲鉾や伊達巻などの主力商品に加え、準備の時短・簡便につながるセット商品が好調に推移した。商事部門では、取り扱い商材が好調に推移し売上が伸長した。利益面では、原材料や資材、エネルギーなどのコスト上昇が想定以上の高水準で継続しており、一部の通常商品及び正月商品の価格改定を実施したものの、コスト上昇分は吸収しきれなかった。
(2) 海外食品事業
売上高は9,990百万円(前年同期比43.3%増)、セグメント利益は1,117百万円(同43.4%増)となった。売上面では、中国市場でのコロナ禍による経済活動の停滞が継続する一方、欧米や東南アジアではカニカマを中心とした水産練り製品に加え、農畜産品や惣菜など仕入商材の販売が拡大した。米国では「Healthy Noodle(糖質0g麺)」の販売が引き続き順調に推移した。利益面では、高採算の自社製品をはじめとする売上増に加え、コンテナ不足によるフレート代の高騰が解消に向かったことが寄与した。
(3) 食品関連事業
売上高は13,339百万円(前年同期比1.7%増)、セグメント利益は775百万円(同9.4%増)となった。売上面では、主力の物流事業で、行動規制の終了に伴い特に12月商戦での外食・百貨店・駅ビル向けの物量の回復が顕著であった。利益面では、物流センターでの電力費が依然として想定以上に増加しているものの、料金改定、配送効率及び業務効率の向上に向けた取り組みが奏功した。
2023年3月期の各利益予想を下方修正したものの、2024年3月期は収益回復の見込み
3. 今後の業績見通し
(1) 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績については、2023年2月に修正し、売上高105,228百万円(前期比6.1%増)、営業利益2,219百万円(同41.7%減)、経常利益1,865百万円(同45.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益689百万円(同63.7%減)とした。
期初計画では、海外食品事業及び食品関連事業の増収のほか、2022年2月に実施した国内食品事業の価格改定効果により、売上高を104,052百万円(前期比4.9%増)と見込んでいたが、これらの進捗が堅調であることに加え、国内食品事業の需要が増加していることから1,176百万円上方修正した。一方、利益面では原材料・エネルギー価格上昇及び販管費の増加を想定するも、継続的な生産効率や業務効率の向上によりこれらをカバーすることで、営業利益を3,831百万円(同0.6%増)と見込んでいた。しかしながら、国内食品事業で想定を超える原材料・エネルギーコスト増が大きく影響していることに加え、海外食品事業で2022年末に向け米国内流通企業の在庫調整、中国の公衆衛生政策に起因する市場混乱の影響を受けることから、各利益を下方修正した。修正後の通期予想に対する進捗率は、売上高で77.7%、営業利益で71.4%とおおむね順調であること、原材料・エネルギー価格上昇の影響を除いては総じて堅調に進捗していることから、修正予想を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
(2) 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績について、国内食品事業では生産効率・業務効率の向上や価格改定効果、また原材料価格高騰はピークアウト、キャラクター蒲鉾などの好調商品の販促強化なども見込まれることから、収益改善が期待できる。また、海外食品事業では各エリアの市場動向に適した販促活動による需要の取り込み、食品関連事業では物流増加が見込まれることから、全体でも収益回復すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NS>
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