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ピックルスコーポレーションのニュース
―健康意識の高まりプラス危機意識の顕在化で一時品薄状態に、ここから攻める有望銘柄は―
新型コロナウイルスの猛威が、再び世界を震撼させている。国内においても、東京都では感染者が連日の100人超えとなり、「第2波」への緊張感が高まっている。こうしたなか新型コロナの感染拡大は、国民の健康志向を更に刺激することになり、感染症に対して免疫力を高めるとされるヨーグルトをはじめとする発酵食品や、健康にまつわるさまざまな食物への関心を急速に高めている。そして、特筆すべきはこうした食品にかかわる企業の業績が、コロナ禍においても好調であることだ。まさにコロナに“免疫力発揮”の状況で、関連銘柄には投資家の熱い視線が注がれている。
●ヨーグルトが1番人気
発酵食品などへの注目がにわかに集まったのは、今年の春先だった。国内で新型コロナの感染が広がり始めたころ、もともと芽生えていた健康志向の高まりに危機意識が加わり、購買意欲を刺激。発酵に絡む食品の一部が一時品薄状態とも伝わった。感染症に対しては免疫力を高めることが有効だというイメージが先行し、発酵食品への消費行動を促した格好だった。
インターネット調査「日本トレンドリサーチ」を運営するNEXER(東京都豊島区)が、感染不安が急激に高まった3月に「免疫力を高める食事に関するアンケート」(インターネットによる調査、集計対象人数1224人)を実施しており、ここからも新型コロナの感染を背景にした消費行動が見えてくる。このなか、36.8%が「免疫力を高めると言われている食材を食事に取り入れている」と回答。次に「取り入れている」という回答者に「どういう食材を取り入れているか」を聞くと、ヨーグルトが75.6%、納豆74.9%、みそ57.2%となった。また、「その他」(10.4%)と回答した中では、キムチやチーズなど発酵食品を積極的に取り入れているといった意見が多く見られたという。
ここ感染拡大により経済活動が停滞したことで、日本経済に大きな影を落としているが、発酵食品を手掛ける企業の業績は堅調だ。もちろん、まったく影響がないわけではないが、健康意識の加速が業績をカバーしている。
●明治HD、切り口多彩で妙味
食品から薬品まで幅広く手掛ける明治ホールディングス <2269> は、「明治ブルガリアヨーグルト」「明治プロビオヨーグルトLG21」、「明治プロビオヨーグルトR―1」など多くの商品を展開しており業績も好調だ。5月22日取引終了後に発表した20年3月期の連結経常利益は前の期比3.6%増の1033億2400万円で着地。続く21年3月期の同利益も前期比7.4%増の1110億円に伸び、8期連続で過去最高益を更新する見通しにある。今期は健康や栄養に対する意識が高まるなか、プロバイオティクスやヨーグルトなどの販売が回復する。また、医薬品部門は国内で薬価改定が重しになるものの、海外子会社の収益拡大や経費削減効果で吸収し、2ケタ増益を見込むという。会社側では、ヨーグルトについて「今年に入ってからの健康志向の高まりと、外出自粛などもあったため巣ごもり需要も加わり、非常に好調だった。現在でもその傾向は継続している。メーカーとしては、こうした需要の高まりを少しでも継続できるように、健康価値に加えてユーザー拡大を目指し、アレンジが効くようなレシピ提案などを行うことでニーズを捉えていきたい」(広報)と話す。また、明治HDは6月26日、傘下のMeiji Seika ファルマ及びKMバイオロジクスが、英アストラゼネカが日本に導入予定の新型コロナワクチンの国内安定供給に向けた協議を開始したと発表。株価は年初来高値圏でもみ合うが、切り口多彩なだけに注目の場面が続きそうだ。
●森永乳、雪印メグもヨーグルトで商機
乳業大手の森永乳業 <2264> の業績も堅調だ。同社は、大腸まで届く「ビフィズス菌BB536」を配合した多くのヨーグルト製品を手掛けている。5月14日に20年3月期通期の連結決算を発表。営業利益は前の期比13.6%増の253億5900万円となり、4期連続で最高益を更新した。冷夏の影響で飲料やアイスクリームが苦戦した半面、ヨーグルトが伸長。牛乳やデザートの低採算品の見直しを進め、利益率が改善したことも寄与した。21年3月期通期の連結業績予想については、営業利益が前期に比べ2.5%増の260億円を見込む。新型コロナによる経済活動停滞の影響については、9月末まで織り込み算出したという。
また、雪印メグミルク <2270> は「ガセリ菌SP株」と「ビフィズス菌SP株」を使用したさまざまなヨーグルト製品を展開している。同社は、5月13日に発表した20年3月期の連結経常利益は前の期比3.5%増の196億8000万円になり、従来予想の190億円を上回って一転増益で着地。21年3月期も前期比4.2%増の205億円に伸びる見通しだ。
●頭角現わすフジッコ
フジッコ <2908> にも目を配っておきたい。同社は煮豆と昆布そして総菜が3本柱だがヨーグルト分野でも頭角を現している。長寿として知られるコーカサス地方から持ち帰った自家製のヨーグルトから、同社が分離・純粋培養した「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC株)」を使用した「カスピ海ヨーグルト」で攻勢を掛けている。今期は「大豆で作ったヨーグルト」で新たな大豆発酵食品市場の創造を図るとともに、豆製品の拡販で成長を目指す。また、通販チャネルは機能性表示食品のサプリメント「善玉菌のチカラ」の再成長を目指すとしている。21年3月期は経常利益が前期比3.3%増の50億円と増益を見込んでいる。
●ピックルス、キムチ好調の波に乗る
発酵食品といえば前述のヨーグルトのほか、みそや納豆などが浮かぶが、キムチも 乳酸菌によってつくられる発酵食品のひとつだ。ピックルスコーポレーション <2925> は、漬物大手でキムチや浅漬けなど「ご飯がススム」シリーズが主力だが、第1四半期はキムチが好調で2ケタ増収増益と業績好調だ。内食需要や健康志向の高まり、乳酸菌を含む食品としてキムチの需要が増えたことを受け、「ご飯がススムキムチ」などキムチ製品を中心に販売が大きく伸びている。株価は、きょう2945円まで買われ年初来高値を更新しており、昨年12月に付けた高値3260円を視界に捉えている。商いもジワリ増勢傾向で、3000円大台替えからの活躍にも期待したい。
●ホクトはキノコ人気が追い風
ここ急速な健康意識の高まりは、発酵食品に限らず健康につながるさまざまな食品への訴求を後押ししている。「キノコ」も免疫力を高めるとのイメージが消費行動に結びついたことで、店頭では一時品薄とも伝わった。こうしたなか、キノコ生産量でトップクラスのホクト <1379> にも活躍期待が募る。同社の5月の月次売上高は、前年同月比13.0%増となり、内食志向の高まりを追い風に3ヵ月連続で前年実績を上回っている。また、21年3月期連結営業利益予想は前期比10.6%増の43億4000万円と2ケタ増益を見込んでいる。同社は、健康・美容・スポーツを3本柱とした「菌活」を提唱しており、夏本番に向けて食物繊維が豊富なキノコを食事に加えることで、コロナの夏の体調管理に一役買いそうだ。株価は年初来高値圏でもみ合うが、キノコ人気を背景に一段高の可能性も秘めている。
●夏本番控えニーズ継続
感染拡大の収束が不透明な状況のなか発酵食品の人気は続くが、食品の新型コロナに対する感染予防の効果については現在のところ未知数だ。消費者庁は「新型コロナウイルスに対する予防効果に根拠のある食品はない」とし、予防効果を標ぼうする健康食品に対し注意を喚起している。とはいえ、これは新型コロナの感染が続くなか、高まる健康意識を悪用した業者が増加していることを踏まえ消費者へ注意喚起を促したもの。発酵食品は腸内環境を整える効果があり、免疫力の向上につながる可能性が高いことは周知の通りだ。
コロナ禍での夏本番が目前に迫っている。気温の急激な上昇により夏バテや熱中症など体調を崩しやすい季節なだけに、いっそうの体調管理が求められている。“感染第2波”がささやかれるなか、緊張感をもってコロナの夏を迎えたい。免疫効果への期待だけではなく、栄養価も高い発酵食品への消費者のニーズは今後も続きそうだ。
株探ニュース
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