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橋本総業HD Research Memo(3):主要倉庫で売れ筋、各拠点で地域密着商材を在庫

配信元:フィスコ
投稿:2023/09/15 14:13
*14:13JST 橋本総業HD Research Memo(3):主要倉庫で売れ筋、各拠点で地域密着商材を在庫 ■事業概要

1. 取扱商品
橋本総業ホールディングス<7570>の取扱商品は、管類、継手類、バルブ類、化成品類、工具関連機材などの管材類をはじめ、便器・手洗器、洗面化粧台などの衛生陶器・金具類、給湯関連や厨房関連などの住宅設備機器類、各種エアコンや各種ポンプなどの空調機器・ポンプであり、水回りのパイプやガス関連の商品が多い。主要な仕入先メーカーは住宅建材の積水化学工業<4204>や衛生陶器のTOTO<5332>、建材・電材のパナソニックホールディングス<6752>、バルブのキッツ<6498>、エアコンのダイキン工業<6367>など、業界や日本を代表する大手有力メーカーが多い。なかでもTOTOからの仕入高は全仕入の約30%を占めており、メーカーにとっても同社は流通の要となっている。登録アイテム数は専門商材を中心に約250万点あり、主要倉庫では売れ筋を中心に常時約1万点以上の在庫を有しているが、各拠点でも地域密着商材在庫を1,000点ほど取りそろえ、一部は即日配送も行っている。なお、2023年3月期のセグメント別売上高構成比は、管材類28.9%、衛生陶器・金具類29.5%、住宅設備機器類18.2%、空調機器・ポンプ22.2%となっている。


管材5兆円市場の深掘りに加え、建材・電材も取り込む
2. 業界環境
同社は建築資材業界、なかでも管材業界に属する。建設業界の市場規模は、新築・リフォームを合わせ70.5兆円、GDPの約10%を占めると言われ、管材業界の市場規模についても管工機材・住設機器・空調機器合わせて約5兆円と大きい。そうした管材業界のなかで、同社は1次卸として、多様なメーカーと全国の2次卸や工事店を結ぶ流通の要となっている。国内ではインフレや少子高齢化といった課題があるものの、足元の住宅メーカーの受注やマンション販売が堅調であるほか、共働き世帯の増加に伴う保育施設や高齢化に伴う高齢者施設の増加、老朽化が課題となっている公共施設のリニューアルなど需要は拡大している。このため、中長期的な市場環境は収益性においても成長性においても堅実な市場と言える。以上のような業界環境のなかで、同社は管材から環境・設備機材へ、さらには建材や電材、土木、そして海外、サービスへと事業領域を拡大する考えである。


強固なバリューチェーンが強み
3. 同社の強み
近年、MRO※の販売で、MonotaRO<3064>アスクル<2678>、Amazon.comなどインターネット通販業態の成長が目覚しい。建築資材全般を幅広く品ぞろえしていることから既存流通への侵食が懸念されたが、既存流通への影響は「一人親方」と呼ばれる個人経営の職人など一部に留まっている。これは、インターネット通販業態が専門商材というよりMROを中心に究極のセルフ販売をしているのに対し、専門商社はプロである顧客に対し、深い品ぞろえや在庫、豊富な情報と的確な提案、効率的な発注から配送を提供していることが理由である。特に同社は、専門商材を深掘りした品ぞろえや充実したサービスなどの特長が支持され、ほとんど影響を受けていないようだ。

※MRO(Maintenance, Repair and Operations):間接資材。生産に直結する原材料・資材・部品など専門性の高い直接材以外を指し、建築資材業界以外でも広く使用される工具や消耗品などの経費購買品のこと。


同社は、取引先向けに商品情報や地域~マクロ情報、人材の研修・教育などのサービスを提供することで業界自体を育成するほか、設計段階から見積もりに参加するなど業界に深く関わってきた。この結果、同社の流通は高付加価値化され、仕入先との取り組みもより深いものとなり、メーカー、2次卸、ゼネコン、工事店と、川上から川下までが一体となった強固なバリューチェーンを構築した。これを同社は、仕入先、販売店・工事店及び同社による「四位一体」と呼んでいるが、インターネット通販やホームセンターが持ちえない強みとなっている。このほかにも、主要倉庫や各拠点で売れ筋を在庫していること、経営相談や後継者育成などのサポート、IT技術の活用など、同社独自の強みもある。特に、IT技術については積極的に活用しており、24時間365日注文や在庫検索ができる会員専用Webサイト「OPS(Online Partner System)」を運営している。またネットカタログ「e設備NET」では、建築現場で必要となるカタログや図面などをWeb上から取り出すことができる。販売店からのWeb受注は売上の2割を超え、口座数も毎月伸びているが、販売店の効率化のため、さらに比率を引き上げる方針だ。


在庫の積み増しと仕入・販売価格のコントロールにより収益性を維持/改善
4. 収益向上に向けた取り組み
水道用材料からスタートした同社は、管材類全般から住宅設備機器類などへ取扱商材を拡大することで取引メーカーを増やしてきた。1980年代以降は全国展開を目指すエリア戦略を背景にシェアを拡大し、全国をカバーする管工機材・住宅設備機器卸へと成長した。近年はM&Aを積極化しており、2016年4月に持株会社体制に移行した。狙いは、共同営業・共同仕入・共同配送などによってグループ会社間のシナジーを発揮するとともに、西日本エリアでの営業の深耕や、管材から電材や建材、海外、新たなサービス領域、インターネット取引など新たな事業への取り組みを強化することにある。また、ここ数年、競争が起こりにくい低単価品やトレンド商品などの在庫を積み増すなど在庫リスクを取るようになったことで、収益性の向上が顕著になってきた。一方、原材料価格が高騰し在庫リスクが取りづらい状況になった場合でも、コロナ禍の経験から仕入価格や販売価格をコントロールすることで収益性の維持/改善することができる収益体質を構築している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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配信元: フィスコ
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