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高千穂交易 Research Memo(9):2025年3月期に経常利益20億円、ROE8%以上を目指す(2)

配信元:フィスコ
投稿:2023/07/12 14:59
*14:59JST 高千穂交易 Research Memo(9):2025年3月期に経常利益20億円、ROE8%以上を目指す(2) ■中期経営計画の概要と進捗

2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 資本戦略の進捗
KPIとして株主価値(ROE>資本コスト)向上のために、「ROE3期平均8%超」を定めた。

利益成長並びに株主還元の強化により、2023年3月期のROEは7.7%(前期比+1.7pt)に改善した。またMSPサービス等の高収益事業へ注力し、運転資本の削減、成長投資を通じて資本収益性の向上に向けた取り組みを加速させている。資本収益性を意識した経営を進めた結果、2023年3月末でプライム市場の上場維持基準(流通株式時価総額等)にすべて適合となった。

(2) 「ロイヤルカスタマー戦略」の進捗
高千穂交易<2676>の提供する付加価値に満足する顧客を創出し、関係強化を目指す戦略である。中期経営計画の数値目標として、ロイヤルカスタマー※130社超、全顧客平均売上高20%増を掲げている。

※ロイヤルカスタマーとは1社当りの年間売上高30百万円以上の顧客を指す。


2023年3月期の結果としては、ロイヤルカスタマーの社数は+1社(計109社)となった。システムセグメントの大型案件が前期から減少したことが影響したが、セグメント・サブセグメント間のクロスセルは増加し、全顧客のうち、クロスセル実績のある顧客数は+8社となった。また、全社売上高の増加に加え、ロイヤルカスタマーの平均売上高が10%上昇したため、全顧客平均売上高は11%上昇した。

具体的な取り組みの進捗としては、事業部間の顧客紹介、技術の勉強会を実施し、エレクトロニクスとメカトロニクスの技術を融合した独自のソリューションで受注を複数獲得した。ロイヤルカスタマーのニーズを具現化するユニット製品を企画開発し、特許を申請した。

(3) 「サービスビジネスの成長」の進捗
事業戦略の一環として、サービスビジネスの成長を掲げてきたが、その1つとしてクラウドサービスの売上高を2025年3月期に2,300百万円にすることを目標としている。初年度である2023年3月期には856百万円となり、2024年3月期には1,200百万円を計画している。最終目標を達成するために、主に以下の施策を実行する計画だ。

1) MSPサービス(対象製品:クラウド型無線LAN)のライセンス数を主に代理店販売により積み上げる。
2) 「TKエコシステム」(詳細は後述)で、全クラウドの契約数を上昇させる。
3) その他クラウドサービスをMSPサービス化で伸ばす。
4) システムセグメントの豊富な顧客基盤へ販売を強化する。

a) MSPサービス:市場拡大+シェアアップで拡大を目指す
同社が提供するMSPサービスの対象となるクラウド型無線LAN機器市場において、同社によればシェアは9%と推定されている。さらに今後、無線LAN機器は、ハイブリッドワークによるオフィス改装、Wi-Fi6による高速化需要で、クラウド型への置き換えが一段と進むと予想され、同社では市場規模は2025年3月期には180,000台になると推定している。このようななかで、同社は市場シェアを現在の9%から15%へアップすることを目指しており、2025年3月期末のライセンス数を27,000、同期間のMSPサービスの売上高1,200百万円を目指している。

さらに、下記c)「その他クラウドサービスをMSPサービス化」で述べるように対象機器をクラウド型無線LAN機器以外に広げることで、さらなるライセンス数の拡大を目指す。

b) 「TKエコシステム※」の開発
TKエコシステムのビジョンを「スマートオフィス」の提供に設定し、全社プロジェクトとして開発を進め、2024年3月期の実績化を目指す。

※フィジカルセキュリティとネットワークを一元管理する同社独自のBtoB向けプラットフォーム


c) その他クラウドサービスをMSPサービス化
統合型セキュリティソリューション「Verkada」等の製品についても、クラウド上で保守運用管理ができる仕組みを開発し、MSPサービス化を目指す。

d) システムセグメントの顧客へクラウドサービスを拡販
同社が提供する店舗分析ツール、手荷物検査サービス等のクラウドサービスの販売を強化する。

(4) 人材育成・人材投資の状況
事業戦略の一環として同社は、人材育成・人材投資を目的として、下記のような施策を実行してきた。

a) 従業員持株会の加入状況
2022年4月より従業員持株会の奨励金を50%に拡充したことに加えて、「従業員持株会を活用した資産形成」をテーマとした社内説明会で勧誘を進めたことなどにより、従業員持株会への加入率は2021年4月の53.9%から2023年3月末には79.6%へ上昇した。また拠出額も同期間に3.1倍となった。

b) 従業員への還元:「プライム市場上場維持基準への適合祝い金」の支給
当初の計画より2年前倒しで基準を達成したことに対し、一人ひとりの頑張りに感謝し、さらにモチベーションを高め、中期経営計画を達成することを目指し、従業員に対して祝い金を支給した。中期経営計画のインセンティブの設計を見直し、ROE等の予算達成に応じて、 1年ごとに支給する予定である。

c) 採用・ベースアップ・リスキリング
リファラル採用制度による入社が増加した。若手社員のベースアップを実施(大卒初任給は約3%増)。また動画教材サービスの受講率は90%に達した。ネットワークエンジニア育成プログラムを中心に受講者が多く、リスキリングの定着が進んでいる。

(5) 「新規事業・ビジネスモデル」創出への戦略投資
中期経営計画3年間のロードマップは以下のようになっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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配信元: フィスコ
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