346円
イメージ ワンのニュース
■イメージ ワン<2667>の事業内容
3. 量的拡大局面を迎えつつあるGEOソリューション事業
GEOソリューション事業(衛星画像事業)は、2006年9月期の売上高が20億円(全社売上の59.1%)に迫る主力事業であったが、2014年に往時における主力事業の1つであった宇宙衛星画像販売の大幅縮小に踏み切り、2018年9月期における全社売上比率は6.9%にとどまっている。しかしながら、一連の事業構造改革を経て、GEOソリューション事業のメインプロダクトは、継続課金型事業モデルのPix4D製ソフトウェアと売り切りモデルながら高収益のMalvern Panalytical可視・赤外分光放射計に絞り込まれた。この結果、セグメント利益率(全社コスト反映前)は、2016年9月期−2017年9月期は20%台で推移、販売促進強化等で費用先行となった2018年9月期においても、8.5%の収益性を確保している。
Pix4D製ソフトウェアは、特定のハードウェアに依存することなく、UAV(小型無人航空機、いわゆるドローンを含む)や地上で撮影した画像データから3次元形状の復元やオルソモザイク画像(写真に含まれるずれやひずみを修正した画像をモザイク状につなぎ合わせたもの)の生成、画像データに基づく各種計測(体積、面積、長さ)が直感的な操作により行えるものである。用途としては、航空写真測量や農業分野、環境監視・保全対策、被災状況の把握などに利用されているが、国土交通省が推進する「i-Construction (ICTの全面的な活用で建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み)」においてもUAV活用が注目されており、同関連市場は有望視できるだろう。
Pix4D製ソフトウェアは、当該分野で世界シェア60%程度を押さえるNo.1プロダクトでありながら、日本におけるシェアは40%程度にとどまっているもようである。同社は、日本国内に2名しか存在しないPix4D公認トレーナー資格保有者を抱える正規代理店として優位なサポート力を武器に販売展開しているわけだが、国内UAV運用が加速傾向にあるなかで、2017年12月に国内販売価格をグローバル販売価格に適合させる戦略的価格引下げを実施、全国で20拠点を超える新たな代理店網の組成も行い、シェア拡大を図っている。
なお、同社は2012年8月にmicrodrones(ドイツ)とUAVの販売代理店契約を、同年11月にはPix4D(スイス)とUAV撮影画像処理ソフトウェアの販売代理店・ライセンス契約を締結している。日本でドローンへの関心が一気に高まったのは2014年後半から2015年前半であり、同社のシーズ/ニーズに対する感度の高さと迅速な経営判断力を示す好例と言えるだろう。
Malvern Panalytical可視・赤外分光放射計(対象物の反射率、放射輝度、放射照度を計測)は、売上貢献こそ小さいものの、1996年1月に旧ASD.Inc(米国)と締結した独占代理店契約に基づく、高収益のオンリーワン・プロダクトである。NASA(米航空宇宙局)やUSGS(米地質調査所)の標準器として使用されるほど信頼性が高い製品がラインナップされており、農業、環境調査、建設、土木、植生調査、海洋調査、資源探査、化学分析、原材料検査、品質・製品識別など様々な分野で利用されている。
4. 関連会社で展開を加速するWebサービス事業
同社は、2016年11月に(株)光通信の子会社EPARKとの合弁でイメージワンゼロットを設立し、美容整形分野等の自由診療(保険非適用診療、自費診療)分野の予約・検索サイトの運営事業を立ち上げたが、2018年5月にエンパワープレミアム(光通信とRIZAPグループの合弁会社、歯科分野における自由診療向けの予約・検索Webサービス事業を展開)がイメージワンゼロットを吸収合併、Webサービス事業については、連結子会社ではなく関連会社(同社が筆頭株主)となったエンパワープレミアムを通じて推進することになった。エンパワープレミアムは今後の事業方針として、1)インプラントや矯正などの歯科分野における自由診療向けの予約・検索Webサービス事業の更なる充実、2)自由診療に注力する歯科クリニック向けの顧客管理システムの構築と販売を強化、を挙げ、最終的に総合的なWebサービス事業を目指すと言う。
厚生労働省の2014年医療施設調査による診療科目別の全国施設数を見ると、美容外科が1,251件(診療所1,128件、病院123件)、歯科は69,992件(診療所68,886件、病院1,106件)、矯正歯科だけでも23,767件(診療所23,625件、病院142件)に達しており、市場規模の違いは明確である。実際の事業状況を見ても、かねてイメージワンゼロットが運営していた美容医療施設情報サイト「CLINIKE」は高い市場カバー率を誇りながらも、掲載医院数は400件超にとどまっていた。一方、エンパワープレミアムが運営する美容診療・自由診療比較サイト「kiki DENTAL」の掲載医院数は前回調査時点(2018年6月14日)の9,032件から今回調査時点(2018年12月6日)では、56,184件にまで一気に増加している。
同社としても、医療画像システム関連商品に関わる技術及び営業のノウハウを、エンパワープレミアムの顧客管理システムの構築、販売等のサポートに生かしていく方針のもと、まずは「歯科クリニック向けCRMソフトウェア(Customer Relationship Management:様々な顧客情報を一括管理し、営業戦略に活用する経営手法のこと)」の販売を公表している。まったく新しい顧客層に対するタッチポイントが獲得できたメリットは大きいと言え、わずか2年足らずでイメージワンゼロットの発展的解消に踏み切ったことは、同社らしい迅速かつ柔軟な経営判断と言え、英断であったと評価する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
<MH>
3. 量的拡大局面を迎えつつあるGEOソリューション事業
GEOソリューション事業(衛星画像事業)は、2006年9月期の売上高が20億円(全社売上の59.1%)に迫る主力事業であったが、2014年に往時における主力事業の1つであった宇宙衛星画像販売の大幅縮小に踏み切り、2018年9月期における全社売上比率は6.9%にとどまっている。しかしながら、一連の事業構造改革を経て、GEOソリューション事業のメインプロダクトは、継続課金型事業モデルのPix4D製ソフトウェアと売り切りモデルながら高収益のMalvern Panalytical可視・赤外分光放射計に絞り込まれた。この結果、セグメント利益率(全社コスト反映前)は、2016年9月期−2017年9月期は20%台で推移、販売促進強化等で費用先行となった2018年9月期においても、8.5%の収益性を確保している。
Pix4D製ソフトウェアは、特定のハードウェアに依存することなく、UAV(小型無人航空機、いわゆるドローンを含む)や地上で撮影した画像データから3次元形状の復元やオルソモザイク画像(写真に含まれるずれやひずみを修正した画像をモザイク状につなぎ合わせたもの)の生成、画像データに基づく各種計測(体積、面積、長さ)が直感的な操作により行えるものである。用途としては、航空写真測量や農業分野、環境監視・保全対策、被災状況の把握などに利用されているが、国土交通省が推進する「i-Construction (ICTの全面的な活用で建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み)」においてもUAV活用が注目されており、同関連市場は有望視できるだろう。
Pix4D製ソフトウェアは、当該分野で世界シェア60%程度を押さえるNo.1プロダクトでありながら、日本におけるシェアは40%程度にとどまっているもようである。同社は、日本国内に2名しか存在しないPix4D公認トレーナー資格保有者を抱える正規代理店として優位なサポート力を武器に販売展開しているわけだが、国内UAV運用が加速傾向にあるなかで、2017年12月に国内販売価格をグローバル販売価格に適合させる戦略的価格引下げを実施、全国で20拠点を超える新たな代理店網の組成も行い、シェア拡大を図っている。
なお、同社は2012年8月にmicrodrones(ドイツ)とUAVの販売代理店契約を、同年11月にはPix4D(スイス)とUAV撮影画像処理ソフトウェアの販売代理店・ライセンス契約を締結している。日本でドローンへの関心が一気に高まったのは2014年後半から2015年前半であり、同社のシーズ/ニーズに対する感度の高さと迅速な経営判断力を示す好例と言えるだろう。
Malvern Panalytical可視・赤外分光放射計(対象物の反射率、放射輝度、放射照度を計測)は、売上貢献こそ小さいものの、1996年1月に旧ASD.Inc(米国)と締結した独占代理店契約に基づく、高収益のオンリーワン・プロダクトである。NASA(米航空宇宙局)やUSGS(米地質調査所)の標準器として使用されるほど信頼性が高い製品がラインナップされており、農業、環境調査、建設、土木、植生調査、海洋調査、資源探査、化学分析、原材料検査、品質・製品識別など様々な分野で利用されている。
4. 関連会社で展開を加速するWebサービス事業
同社は、2016年11月に(株)光通信の子会社EPARKとの合弁でイメージワンゼロットを設立し、美容整形分野等の自由診療(保険非適用診療、自費診療)分野の予約・検索サイトの運営事業を立ち上げたが、2018年5月にエンパワープレミアム(光通信とRIZAPグループの合弁会社、歯科分野における自由診療向けの予約・検索Webサービス事業を展開)がイメージワンゼロットを吸収合併、Webサービス事業については、連結子会社ではなく関連会社(同社が筆頭株主)となったエンパワープレミアムを通じて推進することになった。エンパワープレミアムは今後の事業方針として、1)インプラントや矯正などの歯科分野における自由診療向けの予約・検索Webサービス事業の更なる充実、2)自由診療に注力する歯科クリニック向けの顧客管理システムの構築と販売を強化、を挙げ、最終的に総合的なWebサービス事業を目指すと言う。
厚生労働省の2014年医療施設調査による診療科目別の全国施設数を見ると、美容外科が1,251件(診療所1,128件、病院123件)、歯科は69,992件(診療所68,886件、病院1,106件)、矯正歯科だけでも23,767件(診療所23,625件、病院142件)に達しており、市場規模の違いは明確である。実際の事業状況を見ても、かねてイメージワンゼロットが運営していた美容医療施設情報サイト「CLINIKE」は高い市場カバー率を誇りながらも、掲載医院数は400件超にとどまっていた。一方、エンパワープレミアムが運営する美容診療・自由診療比較サイト「kiki DENTAL」の掲載医院数は前回調査時点(2018年6月14日)の9,032件から今回調査時点(2018年12月6日)では、56,184件にまで一気に増加している。
同社としても、医療画像システム関連商品に関わる技術及び営業のノウハウを、エンパワープレミアムの顧客管理システムの構築、販売等のサポートに生かしていく方針のもと、まずは「歯科クリニック向けCRMソフトウェア(Customer Relationship Management:様々な顧客情報を一括管理し、営業戦略に活用する経営手法のこと)」の販売を公表している。まったく新しい顧客層に対するタッチポイントが獲得できたメリットは大きいと言え、わずか2年足らずでイメージワンゼロットの発展的解消に踏み切ったことは、同社らしい迅速かつ柔軟な経営判断と言え、英断であったと評価する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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