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日本ケアサプライのニュース
■事業概要
2. 国内事業
国内の介護ベッド市場は、介護保険制度の仕組みと密接に関わっている。介護保険制度の枠内での利用かどうか、介護保険制度のなかでも、どこで(自宅、高齢者施設)使われるかによって、介護ベッドの購入主体(プラッツ<7813>から見た販売先)や流通ルートが変わってくる。そうした事情を反映して、同社は国内市場を販売先別に、「福祉用具流通市場」、「医療・高齢者施設市場」及び「家具流通市場」の3つに分けて管理している。
同社の市場別売上高の2021年6月期までの3年間の年平均成長率(CAGR)は、福祉用具流通市場が8.4%、医療・高齢者施設市場が10.9%、家具流通市場がマイナス6.7%、海外市場が0.7%であった。家具流通市場は、介護保険制度とは関係のない、一般の家具流通に関連する市場を指す。
福祉用具流通市場は、介護保険制度における介護用品レンタル事業や販売に関連する市場であり、主な販売先はレンタル卸業者と介護保険認定事業者となる。三菱商事<8058>系列の福祉用具レンタル卸の大手である日本ケアサプライ<2393>が最大の顧客となる。2021年6月期における同顧客への売上高依存度は2.3%であった。岐阜市に本社を置くトーカイ<9729>や豊田通商<8015>の子会社も主要取引先になる。他の介護ベッド大手は、グループ内に福祉用具レンタル卸を所有しており、非メーカー系卸と競合関係にある。
医療・高齢者施設市場は、介護保険制度における高齢者施設及び病院・医療施設の設備に関する市場であり、主な販売先は医療機器または施設設備の販売会社となる。
国内の販売体制は、在宅レンタル向け営業の在宅営業部と高齢者施設、病院向けの病院施設営業部に分かれる。高齢者施設(特養、老健、グループホーム、有料老人ホームなど)への営業について、従来はレンタル事業者・レンタル卸事業者向けの営業担当者が兼任という形で行っていた。2019年7月に、高齢者施設向け営業の専任部隊を組織し、なおかつ、病院向け営業部隊と統合した。在宅レンタル向け営業と高齢者施設向け営業は、取扱商品こそ介護ベッドという点で共通だが、販売手法が異なる。病院向けと高齢者施設向けは営業スキル、ノウハウを共有し活用できる余地が大きい。兼任から専任としたことで、営業力が高まることが期待される。
膨大な潜在需要がある中国では、横一列の競争に
3. 海外市場
海外市場は、中国を中心とした東アジアで市場開拓を進めている。販売子会社を置く中国には、病院施設数が25,239と日本の約3倍、病床数は700万床、約7倍と潜在市場規模は膨大だ。中国の介護ベッドは、ローカルメーカーが製造する手動式が主流であり、高機能・高価格の電動ベッドは、日系メーカー同士の競合となる。同社が日本の介護ベッド市場に参入した時、既に業界大手が存在していた。中国においては、ターゲットする市場セグメントで横一列の競争となる。
2018年の高齢者人口は、日本の3,508万人に対し、中国は1億5,591万人と4.4倍であった。同社の会社説明会資料※によると、2040年の推計値は日本の3,987万人に比べ、中国が3億4,382万人と8.6倍に拡大する。同社が注目する東南アジア4ヶ国(インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア)の高齢者人口の合計は、2018年の4,037万人から2040年に2.4倍の9,729万人へ増加すると推計されている。WHOの発表による国別中央年齢は、日本が45.9歳、中国が37.4歳、タイが36.9歳、ベトナムが29.8歳、インドネシアが27.8歳、マレーシアが27.4歳となる。中国とタイでは、高齢化が急速に進むことが予測される。
※United Nations 「World Population Prospect:The2019 Revision」
中国上海市にある連結子会社、富若慈(上海)貿易有限公司は、中国において販売活動を行っている。2021年6月期の海外市場売上高は、184百万円と小さく、売上高構成比も2.6%にとどまるが、大きな潜在需要が存在するため、中長期的な事業展開を目指す。中国よりも人件費の安いベトナムで、日本品質の高機能製品を生産しているため、他社と比べコスト競争力が強い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2. 国内事業
国内の介護ベッド市場は、介護保険制度の仕組みと密接に関わっている。介護保険制度の枠内での利用かどうか、介護保険制度のなかでも、どこで(自宅、高齢者施設)使われるかによって、介護ベッドの購入主体(プラッツ<7813>から見た販売先)や流通ルートが変わってくる。そうした事情を反映して、同社は国内市場を販売先別に、「福祉用具流通市場」、「医療・高齢者施設市場」及び「家具流通市場」の3つに分けて管理している。
同社の市場別売上高の2021年6月期までの3年間の年平均成長率(CAGR)は、福祉用具流通市場が8.4%、医療・高齢者施設市場が10.9%、家具流通市場がマイナス6.7%、海外市場が0.7%であった。家具流通市場は、介護保険制度とは関係のない、一般の家具流通に関連する市場を指す。
福祉用具流通市場は、介護保険制度における介護用品レンタル事業や販売に関連する市場であり、主な販売先はレンタル卸業者と介護保険認定事業者となる。三菱商事<8058>系列の福祉用具レンタル卸の大手である日本ケアサプライ<2393>が最大の顧客となる。2021年6月期における同顧客への売上高依存度は2.3%であった。岐阜市に本社を置くトーカイ<9729>や豊田通商<8015>の子会社も主要取引先になる。他の介護ベッド大手は、グループ内に福祉用具レンタル卸を所有しており、非メーカー系卸と競合関係にある。
医療・高齢者施設市場は、介護保険制度における高齢者施設及び病院・医療施設の設備に関する市場であり、主な販売先は医療機器または施設設備の販売会社となる。
国内の販売体制は、在宅レンタル向け営業の在宅営業部と高齢者施設、病院向けの病院施設営業部に分かれる。高齢者施設(特養、老健、グループホーム、有料老人ホームなど)への営業について、従来はレンタル事業者・レンタル卸事業者向けの営業担当者が兼任という形で行っていた。2019年7月に、高齢者施設向け営業の専任部隊を組織し、なおかつ、病院向け営業部隊と統合した。在宅レンタル向け営業と高齢者施設向け営業は、取扱商品こそ介護ベッドという点で共通だが、販売手法が異なる。病院向けと高齢者施設向けは営業スキル、ノウハウを共有し活用できる余地が大きい。兼任から専任としたことで、営業力が高まることが期待される。
膨大な潜在需要がある中国では、横一列の競争に
3. 海外市場
海外市場は、中国を中心とした東アジアで市場開拓を進めている。販売子会社を置く中国には、病院施設数が25,239と日本の約3倍、病床数は700万床、約7倍と潜在市場規模は膨大だ。中国の介護ベッドは、ローカルメーカーが製造する手動式が主流であり、高機能・高価格の電動ベッドは、日系メーカー同士の競合となる。同社が日本の介護ベッド市場に参入した時、既に業界大手が存在していた。中国においては、ターゲットする市場セグメントで横一列の競争となる。
2018年の高齢者人口は、日本の3,508万人に対し、中国は1億5,591万人と4.4倍であった。同社の会社説明会資料※によると、2040年の推計値は日本の3,987万人に比べ、中国が3億4,382万人と8.6倍に拡大する。同社が注目する東南アジア4ヶ国(インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア)の高齢者人口の合計は、2018年の4,037万人から2040年に2.4倍の9,729万人へ増加すると推計されている。WHOの発表による国別中央年齢は、日本が45.9歳、中国が37.4歳、タイが36.9歳、ベトナムが29.8歳、インドネシアが27.8歳、マレーシアが27.4歳となる。中国とタイでは、高齢化が急速に進むことが予測される。
※United Nations 「World Population Prospect:The2019 Revision」
中国上海市にある連結子会社、富若慈(上海)貿易有限公司は、中国において販売活動を行っている。2021年6月期の海外市場売上高は、184百万円と小さく、売上高構成比も2.6%にとどまるが、大きな潜在需要が存在するため、中長期的な事業展開を目指す。中国よりも人件費の安いベトナムで、日本品質の高機能製品を生産しているため、他社と比べコスト競争力が強い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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