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セントケア・ホールディングのニュース
*14:03JST フレアス Research Memo(3):主力のマッサージ直営事業は堅調
■事業概要
1. 在宅での療養・看取りの市場ニーズが拡大
フレアス<7062>では、在宅での療養から看取りまでを事業ドメインとして、訪問マッサージ、看多機、ホスピス、訪問介護、訪問看護を行っている。人口動態の観点では、高齢者の人口がピークを迎え、高齢者単独世帯が増加するなか、多死社会が到来し、看取り難民が約40万人存在すると言われている。医療機関における病床数は減少が見込まれ、特別養護老人ホーム等の介護施設の待機者数は年々増加傾向にあり、政府による地域包括ケアシステムの構築の推進活動とあいまって、在宅療養の重要性がますます高まっている。
ニーズの拡大とともに参入するプレーヤーも成長企業が多い。訪問マッサージ業界では同社がNo.1で業界をリードしているが、「KEiROW」ブランドで展開するHITOWAライフパートナー(株)が続く。看多機では、介護大手の(株)ニチイ学館、SOMPOホールディングス<8630>、(株)ツクイなどが展開する。なお、看多機の最大手はセントケア・ホールディングス<2374>である。ホスピス業界では、アンビスホールディングス<7071>、サンウェルズ<9229>、日本ホスピスホールディングス<7061>、(株)シーユーシー・ホスピスなどが参入し規模を拡大している。
2. マッサージ直営事業
マッサージ直営事業は、主として医療保険制度の適用対象となる保険適用マッサージサービスを提供する。保険適用マッサージサービスは、関連法規に基づき、あん摩マッサージ指圧師国家試験に合格し免許を与えられたあん摩マッサージ指圧師が行う医業類似行為である。いわゆるリラクゼーションを目的としたマッサージサービスとは異なり、寝たきり等の理由により歩行困難なため、通院ができず自宅や介護施設において療養生活を余儀なくされている高齢者等を対象とし、全国85拠点の直営事業所より利用者の自宅や介護施設を訪問して、マッサージサービスを提供する。疼痛緩和、麻痺した筋肉の改善、リンパ等の浮腫みの改善、関節拘縮の改善及び関節可動域の拡大等といった利用者ニーズを踏まえ、利用者の主治医の同意に基づきマッサージサービスを提供するのが一般的である。あん摩マッサージ指圧師が事業所から利用者の自宅等を訪問し、施術料等の支給を受けられる距離については制度上の制約があるため、同社では直営及びFC事業所を全国展開し広域をカバーする戦略ととってきており、業界No.1の地位にある。
2024年3月におけるマッサージ直営事業のKPIでは、累計利用者数が99,344人(前期から10,579人増加)、利用者1人当たりの月間利用回数が7.3回(前期は7.4回)、施術者1人当たりの1日の施術回数が10.3回(前期から0.5回増加)となっており、いずれの指標においても順調に推移し、利用者が増えるなかで生産性も上がっている。
マッサージ直営事業の売上高は堅調に推移してきたが、コロナ禍の2021年3月期には、介護施設内でのサービス提供が制約されるケースが増えたことなどにより業績が落ち込んだ。2022年3月期からはゆるやかな回復傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が第5類に引き下げられた2024年3月期には、閉鎖していた介護施設の再開が進み、売上高は3,525百万円、セグメント利益は999百万円とコロナ禍以前の水準に回復した。
3. マッサージFC事業
マッサージFC事業では、同社とFC加盟店オーナーとのFC加盟契約に基づき、加盟店が保険適用マッサージサービスを行っている。同社はFC加盟店が新規に開業するにあたって、開業希望エリアのマーケットを調査し、具体的な開業場所に関する助言を提供するとともに、事業運営に関わる法規制や取引慣行についての説明を行うなど、種々の開業支援を提供する。また、開業後においても、FC加盟店における事業運営上の課題点や経営方針、ケアマネジャーや主治医等との関係構築などに関する助言や、FC加盟店オーナーが雇用するあん摩マッサージ指圧師に対する施術研修などを継続的に提供する。
マッサージFC事業の加盟店数は、2021年3月期に一気に200店以上増加し、その後も着実に積み増してきた。2024年3月期は29拠点純増の328店となり、直営店の3.8倍の規模となった。増加の要因としては、同事業がテレビ番組で紹介されたことによる認知度の向上や法人への営業活動の強化などが挙げられる。
マッサージFC事業の売上高及びセグメント利益は、2021年3月期からコロナ禍にもかかわらず順調に拡大してきた。これまでの加盟店数の増加による成長に加え、今度は本部支援の強化による利用者数の増加も成長の余地となる。
4. 施設系介護サービス事業
施設系介護サービス事業では、看多機8拠点及びホスピス3拠点の運営を行っている(2024年3月期末)。看多機は、医療依存度の高い方や退院直後で状態が不安定な方、在宅での看取り支援を希望する方などに対して、住み慣れた自宅での療養を支えるサービスである。訪問看護、訪問介護、デイサービス、ショートステイの4つのサービスを1つの事業所で提供する点に特徴がある。ホスピスは、正式には「医療特化型療養施設」という名称であり、末期がんや人工呼吸器に頼らざるを得ない人、神経変性疾患などの特定疾患を持つ人など慢性期・終末期医療を受けている人を対象に、看護師・介護士が24時間365日安心・安全なケアを提供する施設型サービスである。住宅型有料老人ホームまたはサービス付き高齢者住宅に訪問看護事業所・訪問介護事業所を併設しており、これまでの3拠点は20床から28床と小規模体制できめ細かなケアを特徴とする。いずれの事業も、医療保険制度並びに介護保険制度を利用して事業を展開している。
施設系介護サービス事業のKPIでは、稼働率を月次でモニタリングしている。ホスピスの稼働率は、新店開設時に低下するものの翌月には回復し、90%以上の高稼働を記録している。これは、立地選定の確かさに加え、20床から28床と小規模体制できめ細かなケアを提供できていること、マッサージの会社ならではの鍼灸マッサージによる緩和治療を取り入れていることなどが影響したものと考えられる。看多機の稼働率は70%台であり、ホスピスほどではないが、損益を確保できる水準で推移している。ホスピス同様に新店開設月に稼働率の低下が見られるが翌月には回復している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<HN>
1. 在宅での療養・看取りの市場ニーズが拡大
フレアス<7062>では、在宅での療養から看取りまでを事業ドメインとして、訪問マッサージ、看多機、ホスピス、訪問介護、訪問看護を行っている。人口動態の観点では、高齢者の人口がピークを迎え、高齢者単独世帯が増加するなか、多死社会が到来し、看取り難民が約40万人存在すると言われている。医療機関における病床数は減少が見込まれ、特別養護老人ホーム等の介護施設の待機者数は年々増加傾向にあり、政府による地域包括ケアシステムの構築の推進活動とあいまって、在宅療養の重要性がますます高まっている。
ニーズの拡大とともに参入するプレーヤーも成長企業が多い。訪問マッサージ業界では同社がNo.1で業界をリードしているが、「KEiROW」ブランドで展開するHITOWAライフパートナー(株)が続く。看多機では、介護大手の(株)ニチイ学館、SOMPOホールディングス<8630>、(株)ツクイなどが展開する。なお、看多機の最大手はセントケア・ホールディングス<2374>である。ホスピス業界では、アンビスホールディングス<7071>、サンウェルズ<9229>、日本ホスピスホールディングス<7061>、(株)シーユーシー・ホスピスなどが参入し規模を拡大している。
2. マッサージ直営事業
マッサージ直営事業は、主として医療保険制度の適用対象となる保険適用マッサージサービスを提供する。保険適用マッサージサービスは、関連法規に基づき、あん摩マッサージ指圧師国家試験に合格し免許を与えられたあん摩マッサージ指圧師が行う医業類似行為である。いわゆるリラクゼーションを目的としたマッサージサービスとは異なり、寝たきり等の理由により歩行困難なため、通院ができず自宅や介護施設において療養生活を余儀なくされている高齢者等を対象とし、全国85拠点の直営事業所より利用者の自宅や介護施設を訪問して、マッサージサービスを提供する。疼痛緩和、麻痺した筋肉の改善、リンパ等の浮腫みの改善、関節拘縮の改善及び関節可動域の拡大等といった利用者ニーズを踏まえ、利用者の主治医の同意に基づきマッサージサービスを提供するのが一般的である。あん摩マッサージ指圧師が事業所から利用者の自宅等を訪問し、施術料等の支給を受けられる距離については制度上の制約があるため、同社では直営及びFC事業所を全国展開し広域をカバーする戦略ととってきており、業界No.1の地位にある。
2024年3月におけるマッサージ直営事業のKPIでは、累計利用者数が99,344人(前期から10,579人増加)、利用者1人当たりの月間利用回数が7.3回(前期は7.4回)、施術者1人当たりの1日の施術回数が10.3回(前期から0.5回増加)となっており、いずれの指標においても順調に推移し、利用者が増えるなかで生産性も上がっている。
マッサージ直営事業の売上高は堅調に推移してきたが、コロナ禍の2021年3月期には、介護施設内でのサービス提供が制約されるケースが増えたことなどにより業績が落ち込んだ。2022年3月期からはゆるやかな回復傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が第5類に引き下げられた2024年3月期には、閉鎖していた介護施設の再開が進み、売上高は3,525百万円、セグメント利益は999百万円とコロナ禍以前の水準に回復した。
3. マッサージFC事業
マッサージFC事業では、同社とFC加盟店オーナーとのFC加盟契約に基づき、加盟店が保険適用マッサージサービスを行っている。同社はFC加盟店が新規に開業するにあたって、開業希望エリアのマーケットを調査し、具体的な開業場所に関する助言を提供するとともに、事業運営に関わる法規制や取引慣行についての説明を行うなど、種々の開業支援を提供する。また、開業後においても、FC加盟店における事業運営上の課題点や経営方針、ケアマネジャーや主治医等との関係構築などに関する助言や、FC加盟店オーナーが雇用するあん摩マッサージ指圧師に対する施術研修などを継続的に提供する。
マッサージFC事業の加盟店数は、2021年3月期に一気に200店以上増加し、その後も着実に積み増してきた。2024年3月期は29拠点純増の328店となり、直営店の3.8倍の規模となった。増加の要因としては、同事業がテレビ番組で紹介されたことによる認知度の向上や法人への営業活動の強化などが挙げられる。
マッサージFC事業の売上高及びセグメント利益は、2021年3月期からコロナ禍にもかかわらず順調に拡大してきた。これまでの加盟店数の増加による成長に加え、今度は本部支援の強化による利用者数の増加も成長の余地となる。
4. 施設系介護サービス事業
施設系介護サービス事業では、看多機8拠点及びホスピス3拠点の運営を行っている(2024年3月期末)。看多機は、医療依存度の高い方や退院直後で状態が不安定な方、在宅での看取り支援を希望する方などに対して、住み慣れた自宅での療養を支えるサービスである。訪問看護、訪問介護、デイサービス、ショートステイの4つのサービスを1つの事業所で提供する点に特徴がある。ホスピスは、正式には「医療特化型療養施設」という名称であり、末期がんや人工呼吸器に頼らざるを得ない人、神経変性疾患などの特定疾患を持つ人など慢性期・終末期医療を受けている人を対象に、看護師・介護士が24時間365日安心・安全なケアを提供する施設型サービスである。住宅型有料老人ホームまたはサービス付き高齢者住宅に訪問看護事業所・訪問介護事業所を併設しており、これまでの3拠点は20床から28床と小規模体制できめ細かなケアを特徴とする。いずれの事業も、医療保険制度並びに介護保険制度を利用して事業を展開している。
施設系介護サービス事業のKPIでは、稼働率を月次でモニタリングしている。ホスピスの稼働率は、新店開設時に低下するものの翌月には回復し、90%以上の高稼働を記録している。これは、立地選定の確かさに加え、20床から28床と小規模体制できめ細かなケアを提供できていること、マッサージの会社ならではの鍼灸マッサージによる緩和治療を取り入れていることなどが影響したものと考えられる。看多機の稼働率は70%台であり、ホスピスほどではないが、損益を確保できる水準で推移している。ホスピス同様に新店開設月に稼働率の低下が見られるが翌月には回復している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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