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超高齢社会の救世主、「介護テック」関連株は政策支援で活躍本番へ <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2023/12/27 19:30

―介護業界の人手不足は急務の課題、テクノロジー活用で介護報酬加算へ―

 政府は20日、2024年度の介護報酬の改定で介護職員の処遇改善分の0.98%を含めて1.59%引き上げる方針を決めた。定期改定では3回連続の増額で、前回の21年度改定(0.7%増)を上回るプラスとなったのは、深刻化する人手不足や他産業への人材流出に歯止めをかける狙いがある。ただ、介護職員を増やすためには賃上げに加えて、介護作業の身体的負担を軽減することが不可欠であり、さまざまなテクノロジーを利活用する 「介護テック」関連株に改めて注目したい。

●目前に迫る2025年問題

 24年度の介護報酬改定に関する審議報告では、良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくりとして、処遇改善に加えて生産性向上につながる先進的な取り組みを推進するとしている。その一つとして、介護ロボットや情報通信技術(ICT)などを活用する介護施設に報酬を加算する仕組みを新設する方針。生産性向上ガイドラインに基づいた業務改善を継続的に行うとともに、効果に関するデータの提出を評価するという。

 介護分野に人工知能(AI)などのテクノロジー導入が求められているのは、1947~49年生まれの「団塊の世代」が75歳(後期高齢者)を迎える25年(いわゆる2025年問題)に、医療・介護費を中心とした社会保障費が一段と増加すると見込まれていることが挙げられる。厚生労働省が8月に公表した「介護保険事業状況報告(年報)」によると、22年3月末時点の要介護・要支援認定者数は690万人(21年3月末時点では682万人)に増加。高齢者の支援や日常生活におけるリスクを軽減する技術だけでなく、介護職員の負担を緩和するソリューションが求められており、今後さまざまな介護の現場で「介護テック」の導入が加速しそうだ。

●超高齢社会を支える動き続々

 CAC Holdings <4725> [東証P]傘下のシーエーシーは18日、画像認識AIを活用して介護施設と医療機関における転倒・転落と離床の予防と再発防止を支援する見守りシステム「まもあい」を開発し、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)版の提供を開始した。このシステムでは、カメラで撮影した画像から人の各種部位(キーポイント)の位置情報を取得して姿勢の推定を行い、施設などでの高齢者や患者の転倒・転落や離床に関わる姿勢を検知することができ、見守り業務の改善や安心・安全な現場の実現につながるという。

 CYBERDYNE <7779> [東証G]は、身体機能を改善・補助・拡張・再生することができるロボットスーツ「HAL」の開発・製造・販売を行っている。5日には内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」において、「超高齢社会における世代を超えた人々が直面する社会課題の解決に向けたHCPS(Human-Cyber-Physical Space:「人」+「サイバー・フィジカル空間」)融合人協調ロボティクスの社会実装技術開発」に採択されたと発表している。

 トライト <9164> [東証G]は、医療・介護・保育分野を中心とする人材サービスとデジタルソリューションなどを提供している。5日には医療福祉業界の人手不足に対する取り組みとして、人材紹介事業で培ったノウハウ、知見をデジタル上に反映し、使いやすく、採用しやすいダイレクト・リクルーティングサービスの提供を目指すと発表。また、新たな展開として、マッチング機能へのAIの活用、応募者対応の自動化、対応職種の拡大など、よりよい就労機会の提供に向けて更なる機能向上を図る構えだ。

 NTTデータグループ <9613> [東証P]傘下のNTTデータは4日から、アマゾン・ドット・コムのAIスピーカーを活用した高齢者との新たなコミュニケーションサービス「ボイスタ!」の提供を開始した。このサービスは、利用者向け独自コンテンツや家族とのコミュニケーション機能、事業者や地方自治体向けの管理機能を持ち、分かりやすい情報配信・情報収集の仕組みを提供するもので、利用者や家族の満足度向上、事業者や地方自治体の業務効率化を実現することができるという。

 エクサウィザーズ <4259> [東証G]は11月、スターコンサルティンググループ(東京都千代田区)との協業で、チャットGPTとLINEを活用した介護領域特化の経営サポートサービス「CareWiz タヨルト powered by ChatGPT API」の提供を開始したことを明らかにした。介護特化の経営・運営支援サービス「CareWiz」の提供を通じて蓄積したエクサWizのAI×介護領域におけるサービス開発力と、スターコンサルティンググループが持つ500以上の介護事業者へのコンサルティングから見出された現状診断、事業者の特徴ごとの課題と解決策の知見を掛け合わせることで、誰でも簡単で最適な介護情報収集体験を提供し、介護経営者・管理者の負担を軽減するとしている。

●エコナビスタなどにも注目

 このほかでは、グループ会社がスマート介護プラットフォーム「SCOP」を手掛けるクシム <2345> [東証S]、センサーによる高齢者見守り支援システム「いまイルモ」を展開するソルクシーズ <4284> [東証S]、移乗サポートロボット「ハグ」を取り扱うFUJI <6134> [東証P]、油圧電子制御と四節リンク機構を組み合わせた膝継手を製品化しているナブテスコ <6268> [東証P]、ロボットスーツを販売・レンタルするユーピーアール <7065> [東証S]、福祉業務支援ソフトや介護事業者支援システムを提供する都築電気 <8157> [東証P]、コミュニケーションロボット「パルロ」を介護施設などに販売する富士ソフト <9749> [東証P]などが関連銘柄として挙げられる。

 また、エコナビスタ <5585> [東証G]からも目が離せない。同社は睡眠データ解析に強みを持ち、この技術をベースにしたSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)型の高齢者施設見守りシステム「ライフリズムナビ+Dr.」を多くの施設に提供している。このシステムは、介護記録システムなどとのデータ連携のほか、ソフトウェアをクラウドで提供していることから24時間365日、正確に素早く施設利用者の状態を把握・共有することができ、カスタマーサクセスチームではケアの質向上や業務効率化ニーズに関するサポートも行っている。


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株探ニュース
配信元: 株探
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