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カンロのニュース
*14:18JST カンロ Research Memo(8):持続可能な成長を実現するため「Kanro Vision 2030」を策定(2)
■成長戦略
3. 具体的な取り組み
カンロ<2216>はブランド価値の向上と市場シェア・利益の最大化に向け、総合的な戦略を展開する。その核心には、「ブランド基軸経営と顧客起点」があり、これにより主力ブランドのシェア拡大を目指す。同時に、デジタル媒体を活用した店頭起点の営業活動を強化し、消費者へのアプローチを効率的かつ効果的に行う予定だ。生産体制の整備も重要な柱の1つである。具体的には、2024年10月より松本工場のグミ棟を拡張し、これにより年間の全社グミ生産能力を14%増加させる予定である。さらに、人員の増強と自動化・省人化を推進し、生産効率を向上させる。これに加えて、さらなるグミ増産の可能性も検討している。コスト上昇への対応策としては、生産性の向上を図りコスト増を吸収し、原材料価格やエネルギー・物流費の上昇に対応する。これには、SKU(在庫保有単位)の絞り込みも含まれる。また、適正な利益を確保するために価格改定や内容量の変更も実施する。
(1) コア事業
コア事業においては、若い消費者層であるZ世代と密接に連携し、新しいキャンディの開発を進めた。この取り組みは「Z世代飴の原体験共創プロジェクト」と名付けられ、2022年8月にスタートした。社内の座談会や現役高校生との議論を重ね、高校生を製品開発の中心に据えて、新しいキャンディ「透明なハートで生きたい」を創り上げた。このキャンディは、特に10代のユーザーが自己反映し、感情的な安らぎを得られるようデザインされている。2023年5月には、この新製品をコンビニや駅の売店で販売開始した。さらに、同社はファンとの交流を重視し、2023年7月には複合型オウンドメディア「KanroPOCKeT」を通じてファンミーティングを開催した。ここでは、ファンからのフィードバックを収集、将来のマーケティング戦略に反映し、デジタルマーケティングの手法を洗練させていく計画だ。このような取り組みを通じて、同社は顧客との接点を強化し、市場での存在感を高める戦略を展開する予定である。2024年12月期は、自社独自の機能価値開発と技術を駆使して、付加価値の高い美味しさを追求する商品開発に注力する計画である。特に、Z世代をターゲットに、彼らが重視する情緒的価値を反映した商品の開発をさらに強化する方針である。
(2) グローバル事業
同社はグローバル事業の一環として、中国市場でのビジネス拡大を目指している。中国の著名なキャンディメーカー、深セン市金多多食品有限公司(以下、Amos)との総販売店契約を結び、中国市場において「金のミルク」や「色えんぴつキャンディ」などの日本の人気商品を展開している。日本国内ではAmosの「4D グミ」を取り扱い、両国間での商品展開を図っている。中国市場においては、ヘルシー志向の高まりと糖尿病患者の増加に着目し、ノンシュガータイプの新ブランド「0糖1刻」を立ち上げ、アリババグループのECサイト「Tmall」での販売も行っている。加えて、中国でのブランド認知度向上のために「微博(Weibo=ウェイボー)」「紅小書(RED=レッド)」のようなSNSを利用したマーケティング活動を行っている。直近では、2023年11月に中国最大規模の上海での展示会に出展するなど中国におけるカンロの認知拡大を図っているが、ALPS(アルプス)処理水放出問題等により苦戦している。また、米国を含む各国規制への対応も課題だ。2024年は、ターゲット国への輸出環境の整備や海外展開ブランド戦略の策定・検証、OEM生産を含めた海外生産拠点の確保やパートナー候補とのJ/V設立など多面的なアプローチに挑戦している。加えて同社の社員として培った価値観と、国別の考え方やルールを融合させて事業を創出、けん引する“グローバル人材”の確保・育成にも注力していく。
(3) デジタルコマース・ヒトツブ事業
直営店「ヒトツブカンロ」を中心に、限定生産のプレミアム商品を提供し、個々の顧客との関係を深めている。この店舗では、特に工夫されたパッケージデザインと高品質な商品を販売している。加えて、既存ブランドの活用を通じて、デジタルプラットフォーム「KanroPOCKeT」で顧客が自由に商品を選べる定期便サービスやeギフトサービスを開始した。このサービスで、顧客は住所を知らない相手にも簡単にギフトを送ることができるようになった。一方で、「アメージングカンロ」シリーズを通じて、キャンディの新しい楽しさや魅力を提案している。このシリーズは、ユニークな体験を提供する商品を開発し、2023年には新商品「シークラゲグミ」を発売した。2024年4月には「ヒトツブカンロ 原宿店」「KanroPOCKeT ラボ」の新店舗を東京都渋谷区原宿にオープンする予定だ。なお、4月から「ヒトツブカンロ」商品についても価格改定を実施する。
(4) フューチャーデザイン事業
同社のフューチャーデザイン事業は、「サステナブル」と「Well-being」を重要なキーワードとして掲げ、持続可能な社会と個人の健康・幸福を促進する製品と取り組みに注力している。具体的には、同社の直営店「ヒトツブカンロ」から、環境に配慮した「ヒトツブカンロ earth」シリーズを展開している。このラインアップには、通常は販売されないキャンディの規格外品や、未利用の田んぼのお米から精製されたアルコールを使用した「地球をあるくウエットティッシュ」、さらにはサトウキビやトウモロコシなどの植物由来の生分解性素材を使用した「地球想いのハンドタオル」などが含まれている。2022年12月には、果実残渣を再利用した新しいタイプのグミ「リ ミカングミ」を発売した。この製品は、清見みかんの搾汁時に残る繊維質「清見パルプ」と果汁を使用しており、みかんの本来の風味を活かした製品である。2023年には、持続可能な取り組みとしてデザインファーム(株)ペーパーパレードと協力し、廃棄包材のアップサイクルに着手した。この取り組みでは、アップサイクルした雑貨を製作し、クラウドファンディングプロジェクトを通じて実施している。2024年12月期は、引き続き他社との協創により、新しい視点での商品・サービスを展開する計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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3. 具体的な取り組み
カンロ<2216>はブランド価値の向上と市場シェア・利益の最大化に向け、総合的な戦略を展開する。その核心には、「ブランド基軸経営と顧客起点」があり、これにより主力ブランドのシェア拡大を目指す。同時に、デジタル媒体を活用した店頭起点の営業活動を強化し、消費者へのアプローチを効率的かつ効果的に行う予定だ。生産体制の整備も重要な柱の1つである。具体的には、2024年10月より松本工場のグミ棟を拡張し、これにより年間の全社グミ生産能力を14%増加させる予定である。さらに、人員の増強と自動化・省人化を推進し、生産効率を向上させる。これに加えて、さらなるグミ増産の可能性も検討している。コスト上昇への対応策としては、生産性の向上を図りコスト増を吸収し、原材料価格やエネルギー・物流費の上昇に対応する。これには、SKU(在庫保有単位)の絞り込みも含まれる。また、適正な利益を確保するために価格改定や内容量の変更も実施する。
(1) コア事業
コア事業においては、若い消費者層であるZ世代と密接に連携し、新しいキャンディの開発を進めた。この取り組みは「Z世代飴の原体験共創プロジェクト」と名付けられ、2022年8月にスタートした。社内の座談会や現役高校生との議論を重ね、高校生を製品開発の中心に据えて、新しいキャンディ「透明なハートで生きたい」を創り上げた。このキャンディは、特に10代のユーザーが自己反映し、感情的な安らぎを得られるようデザインされている。2023年5月には、この新製品をコンビニや駅の売店で販売開始した。さらに、同社はファンとの交流を重視し、2023年7月には複合型オウンドメディア「KanroPOCKeT」を通じてファンミーティングを開催した。ここでは、ファンからのフィードバックを収集、将来のマーケティング戦略に反映し、デジタルマーケティングの手法を洗練させていく計画だ。このような取り組みを通じて、同社は顧客との接点を強化し、市場での存在感を高める戦略を展開する予定である。2024年12月期は、自社独自の機能価値開発と技術を駆使して、付加価値の高い美味しさを追求する商品開発に注力する計画である。特に、Z世代をターゲットに、彼らが重視する情緒的価値を反映した商品の開発をさらに強化する方針である。
(2) グローバル事業
同社はグローバル事業の一環として、中国市場でのビジネス拡大を目指している。中国の著名なキャンディメーカー、深セン市金多多食品有限公司(以下、Amos)との総販売店契約を結び、中国市場において「金のミルク」や「色えんぴつキャンディ」などの日本の人気商品を展開している。日本国内ではAmosの「4D グミ」を取り扱い、両国間での商品展開を図っている。中国市場においては、ヘルシー志向の高まりと糖尿病患者の増加に着目し、ノンシュガータイプの新ブランド「0糖1刻」を立ち上げ、アリババグループのECサイト「Tmall」での販売も行っている。加えて、中国でのブランド認知度向上のために「微博(Weibo=ウェイボー)」「紅小書(RED=レッド)」のようなSNSを利用したマーケティング活動を行っている。直近では、2023年11月に中国最大規模の上海での展示会に出展するなど中国におけるカンロの認知拡大を図っているが、ALPS(アルプス)処理水放出問題等により苦戦している。また、米国を含む各国規制への対応も課題だ。2024年は、ターゲット国への輸出環境の整備や海外展開ブランド戦略の策定・検証、OEM生産を含めた海外生産拠点の確保やパートナー候補とのJ/V設立など多面的なアプローチに挑戦している。加えて同社の社員として培った価値観と、国別の考え方やルールを融合させて事業を創出、けん引する“グローバル人材”の確保・育成にも注力していく。
(3) デジタルコマース・ヒトツブ事業
直営店「ヒトツブカンロ」を中心に、限定生産のプレミアム商品を提供し、個々の顧客との関係を深めている。この店舗では、特に工夫されたパッケージデザインと高品質な商品を販売している。加えて、既存ブランドの活用を通じて、デジタルプラットフォーム「KanroPOCKeT」で顧客が自由に商品を選べる定期便サービスやeギフトサービスを開始した。このサービスで、顧客は住所を知らない相手にも簡単にギフトを送ることができるようになった。一方で、「アメージングカンロ」シリーズを通じて、キャンディの新しい楽しさや魅力を提案している。このシリーズは、ユニークな体験を提供する商品を開発し、2023年には新商品「シークラゲグミ」を発売した。2024年4月には「ヒトツブカンロ 原宿店」「KanroPOCKeT ラボ」の新店舗を東京都渋谷区原宿にオープンする予定だ。なお、4月から「ヒトツブカンロ」商品についても価格改定を実施する。
(4) フューチャーデザイン事業
同社のフューチャーデザイン事業は、「サステナブル」と「Well-being」を重要なキーワードとして掲げ、持続可能な社会と個人の健康・幸福を促進する製品と取り組みに注力している。具体的には、同社の直営店「ヒトツブカンロ」から、環境に配慮した「ヒトツブカンロ earth」シリーズを展開している。このラインアップには、通常は販売されないキャンディの規格外品や、未利用の田んぼのお米から精製されたアルコールを使用した「地球をあるくウエットティッシュ」、さらにはサトウキビやトウモロコシなどの植物由来の生分解性素材を使用した「地球想いのハンドタオル」などが含まれている。2022年12月には、果実残渣を再利用した新しいタイプのグミ「リ ミカングミ」を発売した。この製品は、清見みかんの搾汁時に残る繊維質「清見パルプ」と果汁を使用しており、みかんの本来の風味を活かした製品である。2023年には、持続可能な取り組みとしてデザインファーム(株)ペーパーパレードと協力し、廃棄包材のアップサイクルに着手した。この取り組みでは、アップサイクルした雑貨を製作し、クラウドファンディングプロジェクトを通じて実施している。2024年12月期は、引き続き他社との協創により、新しい視点での商品・サービスを展開する計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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