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テラのニュース
■要約
テラ<2191>は、がん免疫療法の1つである樹状細胞ワクチン療法を中心に、医療機関に対する技術・運用ノウハウの提供、及び再生医療・細胞医療に関する研究開発を行っている。2017年3月より公立大学法人 和歌山県立医科大学(以下、和歌山県立医科大学)附属病院で膵臓がんを適用対象とした樹状細胞ワクチンの医師主導治験が開始されており、連結子会社テラファーマ(株)(以下、テラファーマ)は2022年までに薬事承認申請を目指していく。
1. 樹状細胞ワクチンの医師主導治験が順調に進む
膵臓がんを対象としたWT1ペプチドパルス樹状細胞ワクチン「TLP0-001」の医師主導治験は、安全性を確認する第I相試験が和歌山県立医科大学附属病院で順調に進み、2018年後半からは第II/III相試験を複数の医療施設で実施していく予定となっている。予定症例数は185症例、主要評価項目は全生存期間となり、プラセボ群との比較において統計的有意差が認められることを検証する。テラファーマが2022年までに承認申請を行う計画で、治験開始から承認取得までの費用として約38億円を見込んでおり、このうち約15億円は2017年12月期に第三者割当増資等により調達している。残額については、製薬企業等とのアライアンス契約締結による資金獲得で賄うことをトッププライオリティとして進めている。また、同社では膵臓がん以外のがん種での治験開始も2018年内に目指している。1つはオーファンドラッグ(稀少疾病用医薬品)の対象となるがん種、もう1つは免疫チェックポイント阻害剤との併用療法による治験を想定している。製薬企業等とのアライアンス契約締結により得られる契約金やマイルストーン収入で治験を進めていくことができれば理想的だ。仮に、契約が締結されなければ株式市場から資金調達していくことになる。
2. 細胞加工受託サービスの提供準備を開始
同社は細胞医療事業における症例数回復を目的に、2018年より細胞加工受託サービスを開始する。従来、同社の契約医療機関のなかで細胞培養加工施設(以下、CPC)を保有していない医療機関は、樹状細胞ワクチンの培養についてCPCを保有する医療機関に委託する格好となっていた。ただ、実際には医療機関同士の連携が難しく、CPCを持たない医療機関については症例数も伸び悩んでいた。こうした課題を解決するため、同社が直接、樹状細胞ワクチンの製造を受託することで、CPCを保有しない医療機関の参入障壁を引き下げ、新規契約医療機関を増やして症例数を獲得する戦略だ。関西に自社CPCを開設し、現在、製造許可申請の準備を進めている段階で、製造許可が取得でき次第、サービスを開始することになる。2017年12月期末時点の契約医療機関数は34施設だが、全国には対象となる医療施設が400近くあり、今後、マーケティングを強化して契約施設数を拡大していく考えだ。
3.業績動向
2017年12月期の売上高は前期比46.9%減の957百万円、営業損失は245百万円(前期は621百万円の損失)となった。2017年9月に連結子会社であったバイオメディカ・ソリューション(株)(以下、BMS)の保有株式をすべて売却したことや、細胞医療事業の症例数減少により、売上高は大幅減となったものの、経営の構造改革の効果等により損失額は縮小した。
2018年12月期の売上高は前期比46.7%減の510百万円、営業損失は1,060百万円となる見通し。細胞医療事業の症例数減少や前期の子会社売却が減収要因となる。利益面では、治験の進捗に伴う研究開発費の増加や細胞加工受託サービスの立ち上げ準備費用などの増加により損失額が拡大する見込みとなっている。なお、症例数については2018年第2四半期(4月-6月)以降、前四半期比で増加基調に転換させていくことを目標にしている。
■Key Points
・医師主導治験は2018年夏以降に多施設での第II/III相試験に移行予定、2022年までの薬事承認申請目指す
・2018年内のアライアンス契約締結と治験対象がん種の拡充を目指していく
・細胞加工受託サービスの立ち上げにより、契約医療機関の増加と症例数の再成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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テラ<2191>は、がん免疫療法の1つである樹状細胞ワクチン療法を中心に、医療機関に対する技術・運用ノウハウの提供、及び再生医療・細胞医療に関する研究開発を行っている。2017年3月より公立大学法人 和歌山県立医科大学(以下、和歌山県立医科大学)附属病院で膵臓がんを適用対象とした樹状細胞ワクチンの医師主導治験が開始されており、連結子会社テラファーマ(株)(以下、テラファーマ)は2022年までに薬事承認申請を目指していく。
1. 樹状細胞ワクチンの医師主導治験が順調に進む
膵臓がんを対象としたWT1ペプチドパルス樹状細胞ワクチン「TLP0-001」の医師主導治験は、安全性を確認する第I相試験が和歌山県立医科大学附属病院で順調に進み、2018年後半からは第II/III相試験を複数の医療施設で実施していく予定となっている。予定症例数は185症例、主要評価項目は全生存期間となり、プラセボ群との比較において統計的有意差が認められることを検証する。テラファーマが2022年までに承認申請を行う計画で、治験開始から承認取得までの費用として約38億円を見込んでおり、このうち約15億円は2017年12月期に第三者割当増資等により調達している。残額については、製薬企業等とのアライアンス契約締結による資金獲得で賄うことをトッププライオリティとして進めている。また、同社では膵臓がん以外のがん種での治験開始も2018年内に目指している。1つはオーファンドラッグ(稀少疾病用医薬品)の対象となるがん種、もう1つは免疫チェックポイント阻害剤との併用療法による治験を想定している。製薬企業等とのアライアンス契約締結により得られる契約金やマイルストーン収入で治験を進めていくことができれば理想的だ。仮に、契約が締結されなければ株式市場から資金調達していくことになる。
2. 細胞加工受託サービスの提供準備を開始
同社は細胞医療事業における症例数回復を目的に、2018年より細胞加工受託サービスを開始する。従来、同社の契約医療機関のなかで細胞培養加工施設(以下、CPC)を保有していない医療機関は、樹状細胞ワクチンの培養についてCPCを保有する医療機関に委託する格好となっていた。ただ、実際には医療機関同士の連携が難しく、CPCを持たない医療機関については症例数も伸び悩んでいた。こうした課題を解決するため、同社が直接、樹状細胞ワクチンの製造を受託することで、CPCを保有しない医療機関の参入障壁を引き下げ、新規契約医療機関を増やして症例数を獲得する戦略だ。関西に自社CPCを開設し、現在、製造許可申請の準備を進めている段階で、製造許可が取得でき次第、サービスを開始することになる。2017年12月期末時点の契約医療機関数は34施設だが、全国には対象となる医療施設が400近くあり、今後、マーケティングを強化して契約施設数を拡大していく考えだ。
3.業績動向
2017年12月期の売上高は前期比46.9%減の957百万円、営業損失は245百万円(前期は621百万円の損失)となった。2017年9月に連結子会社であったバイオメディカ・ソリューション(株)(以下、BMS)の保有株式をすべて売却したことや、細胞医療事業の症例数減少により、売上高は大幅減となったものの、経営の構造改革の効果等により損失額は縮小した。
2018年12月期の売上高は前期比46.7%減の510百万円、営業損失は1,060百万円となる見通し。細胞医療事業の症例数減少や前期の子会社売却が減収要因となる。利益面では、治験の進捗に伴う研究開発費の増加や細胞加工受託サービスの立ち上げ準備費用などの増加により損失額が拡大する見込みとなっている。なお、症例数については2018年第2四半期(4月-6月)以降、前四半期比で増加基調に転換させていくことを目標にしている。
■Key Points
・医師主導治験は2018年夏以降に多施設での第II/III相試験に移行予定、2022年までの薬事承認申請目指す
・2018年内のアライアンス契約締結と治験対象がん種の拡充を目指していく
・細胞加工受託サービスの立ち上げにより、契約医療機関の増加と症例数の再成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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