朝日工業社のニュース
【QAあり】朝日工業社、2Qは売上総利益以下の各段階利益が大幅な増益 通期業績予想を上方修正、創業以来最高の営業利益を見込む
Agenda
髙須康有氏(以下、高須):代表取締役社長の髙須康有です。本日はお忙しい中、弊社の2025年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。
スライドに記載した順に、6つの項目についてご説明します。
朝日工業社とは
まず、弊社の概要をご紹介します。弊社は「空気・水・熱」の技術で、「快適環境・最適空間」を創造する、メーカー機能を持つ環境エンジニアリングカンパニーです。
企業情報
生産工場や研究施設、オフィスビルなど、さまざまな建物の空調・衛生などの設備の設計・施工を手がける設備工事事業と、半導体や液晶装置メーカー向けの精密環境制御機器の開発設計・製造・販売を手がける機器製造販売事業の2つの事業を展開しています。
設備工事事業は、人が生活しやすく、また作業をしやすい環境を作るだけでなく、半導体や医薬品の製造に欠かせないクリーンルームなど、高度な技術が要求される施工を含む空気調和設備工事と健康的で快適な生活に欠かせない水を用途に応じて使用できるようにする衛生設備工事や、生産設備に必要な気体、流体を供給するプラント配管設備工事を行っています。
機器製造販売事業では、半導体やフラットパネルディスプレイ、また電子分野などの先端産業のお客さまが工場内に設置する精密環境制御機器の開発・製造・販売を行っており、中国、韓国、台湾、アメリカ、ドイツなど海外にも納入実績があります。
海外では、台湾とマレーシアに現地法人を設立して、設備工事事業を展開しています。
2025年3月期第2四半期(中間期)決算概要
2025年3月期第2四半期の決算概要についてご説明します。まず実績についてです。
受注高は、2024年3月期の受注が上期に集中していたことにより、前年同期から42パーセント減の371億8,900万円となりました。
同様の理由で、次期繰越高は前年同期から18.7パーセント減の849億7,600万円となりました。
売上高は前年同期から3.6パーセント減の405億200万円となったものの、引き続き高水準に推移しています。
売上総利益以下の各段階利益については、売上総利益率の改善により、売上総利益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益、いずれも大幅な増益となりました。
なお、受注高については、前年同期から減少しているものの、計画的、戦略的な受注活動による結果であり、通期の計画どおりに進捗しています。
今後も引き続き国内の製造業をはじめとして、設備投資が継続されると見込んでおり、弊社にとって中長期的に豊富な受注機会が続くものと考えています。
セグメント別受注高・売上高・営業利益
セグメント別の受注高、売上高、営業利益についてご報告します。
設備工事事業については、受注高は前年同期から48.3パーセント減の326億1,300万円、売上高は前年同期から6.9パーセント減の377億8,800万円となりました。営業利益は、売上総利益の改善により、前年同期から19.6パーセント増の29億5,900万円となり、大幅な増益となりました。
機器製造販売事業については、受注高は前年同期から331パーセント増の45億7,600万円、売上高は前年同期から95パーセント増の27億1,400万円となり、営業利益は1億6,100万円の損失となったものの、前年同期と比較すると、赤字幅は縮小しました。
四半期業績の推移
四半期業績の推移については、スライドに記載のとおりです。
セグメント別実績 受注高
セグメントの用途別主要製品別の受注実績です。
設備工事事業の受注は、ビジネス環境施設は増加したものの、その他は減少しました。
機器製造販売事業の受注は、半導体製造装置向け製品における納入先の生産調整等の影響が続いているものの、復調の傾向が見られており、FPD製造装置向け製品は市場の回復を受けて大幅に増加しました。また、ドライヤ製品の受注増により、ドライヤ関連他の受注も大幅に増加したことから、全体として大幅に増加しました。
受注高全体としては、設備工事事業の受注が上期に集中した前年同期と比べ減少しているものの、国内の製造業の設備投資意欲は依然として高く、引き続き多くの計画が予定されており、受注機会は豊富にある状況が続いています。
セグメント別実績 売上高
セグメントの用途別主要製品別の売上実績です。
設備工事事業の売上は、ビジネス環境施設、生活・文化環境施設および生産環境施設は減少したものの、交通・通信環境施設、健康・医療環境施設および流通環境施設は増加しています。
用途別内訳の比率は、引き続き、生産環境施設が多くを占めています。機器製造販売事業の売上については、半導体関連は減少したものの、FPD製造装置向け製品は大幅に増加しました。
なお、ドライヤ関連他の受注は大幅に増加しているものの、納期時期の影響により、来期以降売上に計上予定です。
売上高全体としては、受注高と同様、設備工事事業における計画的、戦略的な受注活動により減少しているものの、国内の設備投資意欲は依然として高く、引き続き、多くの計画が予定されており、受注機会は豊富にある状況が続いているため、今後も売上高は高水準を維持できると考えています。
次期繰越高
設備工事事業の建物の用途別の次期繰越高です。
交通・通信環境施設、健康・医療環境施設、流通環境施設は増加したものの、ビジネス環境施設、生活・文化環境施設および生産環境施設は減少しました。それにより、次期繰越高全体としては減少したものの、依然として高い水準を維持しています。
貸借対照表
貸借対照表は、スライドに記載のとおりです。
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書は、スライドに記載のとおりです。
2025年3月期の予想について
2025年3月期の業績予想についてご説明します。
受注は、通期のバランスを見ながら、計画的、戦略的に進めています。
売上高は、前期末からの繰越高が引き続き高水準であり、機器製造販売事業が回復傾向にあることなどにより、前年から若干の増加を見込んでいます。
各段階利益は、全体的な工事採算の改善により、大幅な上方修正を行いました。特に近年では、今までにも数多く施工を手がけてきた大型半導体工場や大型データセンター、研究所などの施設の施工が増加しており、計画的に受注を積み上げています。
引き続き、期末に向けて事業目標、ひいては、それを超える業績の達成を目指し、全社一丸となって努力していきます。
セグメント別見通し
セグメント別の見通しについてです。
設備工事事業は、計画的、戦略的な受注活動に基づく数値を設定しているものの、売上高は手持ち工事の順調な進捗を見込み、おおむね横ばいと見込んでいます。
機器製造販売事業は、生成AIを活用したサービスが本格化し、データセンターや車載AIの需要拡大により、半導体およびFPD市場が活発化することで、弊社にもプラスの影響が見込まれています。
また、ドライヤ技術を使った高機能フィルム、製造装置向け製品などの販売に注力した結果、大型受注の獲得にもつながり、受注高、売上高ともに増加を計画しています。
長期業績推移(過去10年間)
過去10年間の業績推移です。
売上高は、2019年3月期と2020年3月期は、オリンピック需要もあり、大幅に増加しました。2021年3月期と2022年3月期は、オリンピック需要の反動やコロナ禍の影響を受けて、売上高はやや落ち込んだものの、2023年3月期以降は順調に右肩上がりで推移しています。
営業利益は、2021年3月期、2022年3月期は当初、低調となる見通しであったものの、徹底したコスト削減や施工の効率化などに全社を挙げて取り組んだ結果、最終的には当初見通しを大幅に上回ることができました。
2023年3月期、2024年3月期も順調に推移し、2025年3月期は、創業以来最高の営業利益を見込んでいます。
資本コストを意識した経営の推進
資本政策についてご説明します。
弊社は資本コストを意識した経営により、グループ全体の企業価値の向上と持続的な成長を目指し、資本効率の追求と財務健全性の維持、向上とのバランスの最適化を図ることを資本政策の基本方針としています。
2024年3月期のROEは10パーセントを超え、さらに2025年3月期は、政策保有株式の売却が進むことから、ROEは12パーセントを超える見込みであり、弊社が認識している株主資本コストを上回る高水準で推移しています。
政策保有株式についても、純資産に占める割合を20パーセント以下にできるよう、縮減を進めており、資本効率の向上を図っています。
株主還元
株主還元についてご説明します。
1株当たり年間40円の配当を安定的に継続しつつ、連結配当性向40パーセント以上を目標としています。
2022年および2024年の2度、株式分割を実施し、投資単価を引き下げ、投資家層の拡大や株式の流動性向上を図りました。
2025年4月3日に、弊社創立100周年を過去最高益で迎える見込みであることを記念して、30円の特別配当および20円の記念配当の実施を予定しており、普通配当50円を加え、年間配当金は100円、連結配当性向は51.5パーセントとなります。
こうした株主還元策の継続により、株主満足度の向上に努め、さらなる企業価値の向上を図っていきます。
株価・売買代金
弊社の株価および売買代金についてご説明します。
弊社は、プライム市場への上場を選択した当初、1日平均売買代金が上場維持基準を満たしていませんでした。しかし、その後IR活動の強化やコーポレートガバナンスの強化、柔軟な施策の実施といった各施策に真摯に取り組んだ結果、計画期間よりも1年早く上場維持基準に適合することができました。
その後も継続して各施策を実施した結果、特に2024年以降は売買代金が大きく増加しており、現在は、安定的に上場維持基準に適合しています。また、それに伴って株価も大きく上昇し、2024年1月から10月の平均株価は、移行基準日よりも74.2パーセント程度上昇しています。
なお、直近の株価は1,900円前後で推移しています。引き続き、みなさまのご期待に添えるように株価を意識した経営を推進していきますので、よろしくお願いします。
第18次中期経営計画の概要
2024年3月期から2026年3月期にかけて取り組んでいる、第18次中期経営計画の進捗状況についてです。
本中期経営計画は「人間、社会、地球環境の、持続可能な発展」に資する事業活動を推進するものです。
これを可能とするためには、なによりも収益力の強化と生産性の向上が不可欠です。また、新たな価値の創造に向けたイノベーションが重要となることから、その実現に向けて「事業戦略」「人材戦略」「イノベーション戦略」の3つの戦略と、それらの戦略を支える「サステナビリティ基盤」および「DX基盤」の強化に取り組むことを、本中期経営計画の基本方針としています。
第18次中期経営計画 主要計数目標の進捗
第18次中期経営計画の主要計画における主要計画目標の進捗状況についてご説明します。
2024年3月期の連結受注高は、目標817億円に対して実績が975億8,600万円、連結売上高は、目標887億円に対して実績が916億7,600万円となり、いずれも目標を上回ることができました。
連結営業利益は、工事採算の改善努力により目標29億円に対して実績が45億6,800万円、連結当期純利益は、目標25億円に対して実績が37億1,200万円となり、大幅に目標を上回ることができました。
それに伴い、ROEも10パーセントを達成しました。
2025年3月期も、さらなる採算改善に努め、利益面を大幅に上方修正して創業以来最高益を見込んでいます。引き続き全社一丸となって、目標の達成に向けて取り組んでいきます。
【人材戦略】人的資本への投資
第18次中期経営計画の3つの戦略のうち「人材戦略」について、取り組みの一例をご紹介します。
弊社は、競争力の源泉である人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営の実践に取り組んでいます。
2018年4月から取り組んでいる働き方改革「Asahi Sun社員プロジェクト」では、2024年度から建設業にも適用が開始された時間外労働の上限規制に対応するため、法定労働時間の年間計画および月次実績を管理するほか、第18次中期経営計画の重点項目と併せて異なるテーマごとに設置した5つのワーキンググループが、働き方改革の実現に向けた活動を推進しています。
加えて、人材の確保にも注力しています。厳しい採用環境が続く中、2025年度入社の新卒内定者数は54名を数え、前期実績を大きく超える人員を迎える予定です。
今後も、新卒採用だけでなく、中途採用も含めて競争力の源泉となる人材確保に取り組んでいきます。
サステナビリティにつながる取り組み
弊社の技術および取り組みについてご紹介します。
まず、サステナビリティにつながる弊社の取り組み事例です。1つ目は、三生医薬さまにおける「排気熱」を利用した事例です。
三生医薬さまには、過去に弊社が提案して施工した燃焼による脱臭装置が設置されており、その装置から生じる「排気熱」を有効活用するための継続的な取り組みです。
これまで、デシカント空調に使用されている吸着剤の再生には、別の熱源から発生させた熱を利用していました。今回、その脱臭装置から発生する「排気の熱」を優先して利用することで、大幅な省エネを実現しました。
2つ目は、東海エリア最大級のマルチテナント型物流施設ロジポート名古屋での「地中熱」導入事例です。ロジポート名古屋では、地中に埋設したチューブの中に外気を通して外気を冷やしたり温めたりして送り込み、空調設備に利用しています。
地中は、年間を通じて温度が安定しているため、このクールヒートチューブを導入することで、冷暖房の負荷を軽減して省エネを実現しました。
技術・ソリューション提案の推進事例紹介
技術・ソリューション提案の推進事例についてご紹介します。
弊社は、創業以来、お客さまとともに、お客さまが抱えている課題の解決に取り組み、最適で安全な技術の開発と提案を蓄積してきました。その一例として、森永乳業さまの神戸工場における空調方式の最適化評価技術の活用事例をご紹介します。
本件は、お客さまから大型倉庫の空調設備について省エネ化のご相談をいただいたことから始まりました。弊社の有する空調方式の最適化評価技術を活用して温度、湿度、空気齢の各種シミュレーションおよび結果の解析を実施しました。
空気齢とは、窓や吸気口から入ってきた空気が一定地点に到達するまでにかかる時間を示します。各種シミュレーションによって、倉庫内の空気を見える化を行い、吹出口のサイズを調整することで、空気齢が改善されて空気の滞留が少なくなりました。
これにより、吹出風量を50パーセント削減しても問題ないことがわかり、換気にかかる消費電力のおよそ70パーセントを低減できることが判明しました。お客さまには、吹出口のサイズ変更による空気齢の改善効果のご報告を行い、今後は省エネ化に向けて、さらに具体的な対応策をご提案する予定です。
朝日工業社は2025年4月3日(木)に創立100周年を迎えます
弊社にとって大きな節目となる創立100周年についてご報告します。
弊社は2025年4月3日に、創立100周年を迎えます。
投資家のみなさまをはじめとする、あらゆるステークホルダーのみなさまに支えられ、100年という歴史を築くことができますことに、心より御礼申し上げます。
創立100周年記念事業の一環として、国内外の全役職員を対象に社内広報にてデザインを募り「創立100周年記念ロゴマーク」を決定しました。
本ロゴマークは、弊社の頭文字を取った既存のシンボルマークである「A」マークのブルーと、流れるようなデザインに合わせて、さわやかでクリーンなグリーンをあしらい、「この先の100年も社会にとって価値ある企業であり続け、挑戦する」といった願いを込めたデザインとなっています。
2025年1月には「創立100周年記念サイト」を公開予定です。
先ほど資本政策のスライドでもご説明のとおり、創立100周年を記念しまして、20円の記念配当の実施も予定しています。
今後も、お客さまのニーズに応え、環境課題、社会課題の解決に挑戦し続けていきますので、引き続き、ご支援賜りますようお願い申し上げます。
最後に、Appendixとして、弊社の強みやSDGs基本方針、事業内容に関する資料を添付していますので、後ほどご確認ください。
質疑応答:売上高と利益率の改善について
司会者:「売上高は前年同期比で若干下回りましたが、売上総利益率は2024年3月期中間の12.9パーセントから15.4パーセントと、2.5ポイント改善しました。その主な要因はどのようなものでしょうか?」というご質問です。
髙須:利益率の向上は、弊社にとって大変重要な目標と位置づけて進んできています。今回、良い結果が出たことを本当にうれしく思っています。
最近、資材価格や労務費が非常に高騰しており、以前からお客さまにもご理解いただきながら、組織的に対応を行っていました。追加の交渉等も功を奏したのではないかと思っています。
生産効率を上げるために、DX技術を積極的に使っています。工法改善の中で、プレハブ化やユニット化などを取り入れて現場の労務削減に積極的に取り組んできました。これにより効率が上がり、利益に貢献したのではないかとも思っています。
また、受注時の採算改善にも大きな効果があります。見積もりの段階でも、丁寧にお客さまにご説明して理解を求めて対応していただく地道な努力が成果に現れたのではないかと思っています。
今後も、引き続き生産性向上に向けて、取り組みを強化して、利益率改善に努めていきたいと思っています。
質疑応答:市場環境と取り組みの変化について
司会者:「前年度第2四半期をピークに、受注高は足踏み状態が続いています。その一方で、前年度第4四半期をボトムに、受注が徐々に上向いているとも見えます。市場環境と御社の取り組みに、どのような変化が起きているのでしょうか?」というご質問です。
髙須:市場環境については、投資計画も非常に豊富で、予定どおり進んでいます。受注環境は大変良いと思っています。今後も、このような傾向が続くと考えています。
前年度から見て大きな変化はありませんが、設備工事事業の中でも半導体工場、データセンター、医薬・化学系工場など、生産環境分野の投資が計画されています。今後も堅調に推移していくと考えています。
弊社としては、技術力を活かせる産業系空調を中心に注力し、効率的な施工体制が可能となるよう、内容を吟味しながら、受注を積み重ねていきたいと考えています。
質疑応答:第1四半期から第2四半期の売上総利益改善について
司会者:「四半期ベースで見ても、2025年3月期第1四半期から第2四半期で、売上総利益が2.8ポイントも改善していますが、どのような要因が寄与しているのでしょうか?」というご質問です。
髙須:第1四半期から第2四半期にかけて2.8ポイント改善できたということで、非常に成果が出たと喜んでいます。
資材価格の高騰および労務費関係の上昇に対し、社を挙げて組織的な価格交渉を行った成果が出てきているのではないかと思います。加えて、第2四半期に好採算の大型工事が完成したことにより、利益率が改善できたと思っています。
これからも、施工のためのDXツールの活用とバックオフィスを活用した施工体制の効率化を図り、利益向上に努めていきたいと思っています。
今後も、採算の改善を図ることが重要だと考えています。引き続き注力していきます。
質疑応答:機器製造販売事業のFPD・半導体関連受注増加について
司会者:「機器製造販売事業で、FPD関連の受注が大きく増加に転じていますが、何か特殊要因があるのでしょうか? また、半導体関連の受注も前年同期から回復に転じていますが、どのような受注が多いのでしょうか?」というご質問です。
髙須:FPD関連の受注が大きく増加していることは、非常に良かったと思っています。要因は、中国向けパネルメーカーの需要が好転したことが、受注増加に結び付いています。
半導体の受注も、前年同期から回復に転じています。特にOEM先の新機種の受注などがあり、そのような結果が出ています。
機器製造販売事業では、現在、ドライヤ製品に注力しています。その大型受注もあり、全体として大幅に増加しました。
質疑応答:ROE水準達成による資本政策の変更について
司会者:「中期経営計画に定めたROEの水準を達成していますが、資本政策に変更はありますか?」というご質問です。
髙須:資本政策は、中期経営計画方針から変更はありません。連結配当性向40パーセント以上を維持できるようがんばっていきます。引き続き、現在のROEの水準を維持できるよう努力していきます。
質疑応答:営業活動によるキャッシュフローマイナスの要因について
司会者:「業績が好調に推移しながら、営業活動によるキャッシュフローがマイナスになるのは、どのような要因によるものでしょうか?」というご質問です。
髙須:営業活動によるキャッシュフローがマイナスになった大きな要因として、取引先への支払い条件改善の影響が挙げられます。前年と比べると悪化したかたちですが、一過性の部分もあり、今後は改善を見込んでいます。
質疑応答:高機能フィルム製造装置向けドライヤ技術について
司会者:「高機能フィルム製造装置向けに、ドライヤ技術を使った製品の売上が伸びているようですが、どのように使われているのでしょうか? 高機能フィルム製造装置以外には使われないのでしょうか?」というご質問です。
髙須:ドライヤ技術を使った製品の売上が伸びることを期待し、現在注力しています。
高機能フィルムでは、印刷や塗工機などの分野でドライヤ技術が用いられています。
特に光学液晶ディスプレイ向けの偏光板など、光学フィルム用の表面保護フィルムにおいて、弊社のドライヤ技術が必要であると、お客さまから評価をいただいています。
最近では、電気自動車用のバッテリーの生産において、ドライヤ技術は非常に重要な役割を担っています。今後は需要が増えると考えられるため、大いに売り込んでいきたいと思っています。
質疑応答:長期ビジョン実現の具体的な方向性について
司会者:「御社は長期ビジョンで、社会に対して新たな価値を創造する『オンリーワン』の存在を目指す、とのことですが、具体的な方向性は見えているのでしょうか? また、『空気・水・熱』の技術で『快適環境・最適空間』を創造する、メーカー機能を持つ環境エンジニアリングカンパニーの延長線にあるものでしょうか?」というご質問です。
髙須:社会やお客さまのニーズを的確に捉えた独自の技術サービスを行っていくことが重要だと考えています。そのような中、「空気・水・熱」の技術は、弊社がオンリーワン・カンパニーを目指す上で非常に重要な基盤であると考えています。
弊社はアグリ分野にも非常に注力しており、アグリ関係の研究を30年近く続けてきています。植物の生育に必要な環境の整備には、やはり「空気・水・熱」の技術が不可欠です。
現在、千葉大学さまとコメ型経口ワクチン「ムコライス」の共同研究を行っています。この研究がうまく実れば、さまざまな感染症の医薬品原材料として提供できる可能性を秘めており、他社にはないかたちの技術を持つことができます。
まさに弊社にとって、オンリーワン・カンパニーとしての具体的な方向性の1つだと思っています。この分野についても、地道に研究を続けていきます。
質疑応答:設備工事業界の活況の継続について
司会者:「設備工事業界は活況だと思いますが、この環境や採算性の改善はどれくらい続くと考えていますか? また、環境が悪い方向に振れるリスクに対して、どのような備えをしているでしょうか?」というご質問です。
髙須:設備工事業界は活況で非常にありがたい状況です。
今後も数年程度はさまざまな投資計画があり、需要は堅調に推移する見込みです。
環境が変わった場合も、設備工事事業は、生産環境施設や健康・医療環境施設、交通・通信環境施設など、分野ごとの仕事にもさまざま取り組んでいるため、例えば半導体関連の動きが変わってきた場合には、ほかの分野で補強していくことにより、対応が可能と考えています。
また、大事なお客さまの施設を維持するという意味では、既存建物のリニューアルや設備の更新等にも注力していきたいと思っています。
以上をもちまして、2025年3月期第2四半期決算説明会を終了します。長時間にわたりご清聴いただき、ありがとうございました。
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