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三機工業のニュース
■要約
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力や信用力である。
1. 2023年3月期第2四半期:工事工程の遅れで営業損失を計上するも受注高及び次期繰越高は高水準
2023年3月期第2四半期の業績は、売上高73,510百万円(前年同期比12.6%減)、営業損失1,260百万円(前年同期は1,025百万円の利益)、経常損失751百万円(同1,310百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失770百万円(同863百万円の利益)となった。売上高は、資機材納期遅延等の影響により受注先で、一部工事の工程見直しが生じたこと等から減収となった。営業損失については、減収の影響により、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの回復などに伴い増加した販管費をカバーできなかったことが主因である。その一方で、受注高は118,914百万円(前年同期比23.2%増)と好調であった。特に同社が得意とする産業空調の受注高は前年同期比97.5%増とほぼ倍増した。この結果、期末の次期繰越高は196,142百万円(前年同期末比27.3%増)と高水準を維持した。
2. 2023年3月期の業績見通し:営業利益は期初予想と変わらず前期比4.2%増を予想
2023年3月期については、現時点では受注高210,000百万円(前期比3.8%増)、売上高200,000百万円(同3.5%増)、営業利益9,500百万円(同4.2%増)、経常利益10,000百万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,900百万円(同6.3%増)と予想している。売上総利益率は15.8%(同0.2ポイント上昇)となり、販管費は前期比4.2%増を見込んでいる。同社は「依然としてコロナ禍の影響や原材料費の上昇など不透明要因はあるが、投資環境は活発であり、手持ち工事を着実に売り上げることで目標を達成する」としている。
3. 中期経営計画“Century 2025”はPhase3へ
同社は創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。2023年3月期から最終のPhase3に入った。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)をステークホルダーからもっと「選ばれる」会社と定めている。定量的な目標は、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としている。決して容易な目標ではないが、重要な点は、単に定量的な目標を達成することだけでなく、施工品質・生産性の向上、働き方改革、成長投資など目に見えないところで同社が質的にもどのように変わっていくか、であると弊社は考えている。今後の同社のさらなる変化に注目したい。
4. 株主還元にも前向き:2023年3月期の配当性向は56.7%、総還元性向は93.6%を予定
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当については、2021年3月期80円(特別配当を含む)、2022年3月期85円(同)を行ったが、2023年3月期は年間配当70円(普通配当)を予定している。自己株式については、2022年3月期に1,000千株を取得したのに続き、2023年3月期末までに1,500千株の取得を予定している。すでに2022年9月末までに80千株取得済みだ。加えて2022年8月15日に1,500千株の自己株式を消却した。この結果、2023年3月期の配当性向は56.7%、総還元性向は93.6%となる見通しである。単に業績の向上を目指すだけでなく、株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実行中
・2023年3月期は前期比4.2%の営業増益予想。中期経営計画は最終段階へ移行
・株主還元にも前向き。2023年3月期の総還元性向は93.6%となる見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力や信用力である。
1. 2023年3月期第2四半期:工事工程の遅れで営業損失を計上するも受注高及び次期繰越高は高水準
2023年3月期第2四半期の業績は、売上高73,510百万円(前年同期比12.6%減)、営業損失1,260百万円(前年同期は1,025百万円の利益)、経常損失751百万円(同1,310百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失770百万円(同863百万円の利益)となった。売上高は、資機材納期遅延等の影響により受注先で、一部工事の工程見直しが生じたこと等から減収となった。営業損失については、減収の影響により、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの回復などに伴い増加した販管費をカバーできなかったことが主因である。その一方で、受注高は118,914百万円(前年同期比23.2%増)と好調であった。特に同社が得意とする産業空調の受注高は前年同期比97.5%増とほぼ倍増した。この結果、期末の次期繰越高は196,142百万円(前年同期末比27.3%増)と高水準を維持した。
2. 2023年3月期の業績見通し:営業利益は期初予想と変わらず前期比4.2%増を予想
2023年3月期については、現時点では受注高210,000百万円(前期比3.8%増)、売上高200,000百万円(同3.5%増)、営業利益9,500百万円(同4.2%増)、経常利益10,000百万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,900百万円(同6.3%増)と予想している。売上総利益率は15.8%(同0.2ポイント上昇)となり、販管費は前期比4.2%増を見込んでいる。同社は「依然としてコロナ禍の影響や原材料費の上昇など不透明要因はあるが、投資環境は活発であり、手持ち工事を着実に売り上げることで目標を達成する」としている。
3. 中期経営計画“Century 2025”はPhase3へ
同社は創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。2023年3月期から最終のPhase3に入った。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)をステークホルダーからもっと「選ばれる」会社と定めている。定量的な目標は、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としている。決して容易な目標ではないが、重要な点は、単に定量的な目標を達成することだけでなく、施工品質・生産性の向上、働き方改革、成長投資など目に見えないところで同社が質的にもどのように変わっていくか、であると弊社は考えている。今後の同社のさらなる変化に注目したい。
4. 株主還元にも前向き:2023年3月期の配当性向は56.7%、総還元性向は93.6%を予定
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当については、2021年3月期80円(特別配当を含む)、2022年3月期85円(同)を行ったが、2023年3月期は年間配当70円(普通配当)を予定している。自己株式については、2022年3月期に1,000千株を取得したのに続き、2023年3月期末までに1,500千株の取得を予定している。すでに2022年9月末までに80千株取得済みだ。加えて2022年8月15日に1,500千株の自己株式を消却した。この結果、2023年3月期の配当性向は56.7%、総還元性向は93.6%となる見通しである。単に業績の向上を目指すだけでなく、株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実行中
・2023年3月期は前期比4.2%の営業増益予想。中期経営計画は最終段階へ移行
・株主還元にも前向き。2023年3月期の総還元性向は93.6%となる見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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