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*15:05JST テノックス Research Memo(5):強みはラインアップ、施工品質、一貫体制、「折り込む力」
■事業概要
3. 強みとビジネスモデル
テノックス<1905>の強みは、既述のとおり豊富な施工ラインアップにある。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムに確認できる施工管理システム「VCCS」やテノコラム工法において材齢1日にて28日強度を予測する「促進養生システム」、さらに子会社が擁する工事技能者集団や各種機材による、安全確実な工事進行と高い施工品質も同社の強みである。特に「VCCS」については、全工法で使用する計画で、新基幹システムと連携することで施工計画や現場管理の精度向上につなげる方針である。ところで、建築・土木構造物の建設は、通常ゼネコン(元請け、総合建設業者)が下請けを取り仕切って進めている。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから発注を受けるが、基礎工事は最初にして最も重要な工程であるため、発注の前に設計業者(設計コンサルタント、設計事務所)から直接引き合いが来ることも多い。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに、ゼネコンが専業企業である同社に発注し、工事完了後に同社がゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社は、ビジネスモデル上はゼネコンの下請けだが、バリューチェーンという観点からは設計から施工、引渡まで一貫して関与する体制を構築しており、これも強みとなっている。また、こうしたバリューチェーンのなかで、設計業者に技術アピールや工法提案することで、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、ゼネコンから発注を受ける機会も増えているようだ。同社はこれを「折り込む力」と呼び、同社ビジネスモデル上の大きな強みとなっている。
引き続きM&Aや提携に積極的に対応
4. 事業領域の拡大
同社は近年、M&Aや提携などを通じて事業領域を拡大している。これにより、技術アピールや工法提案がより一層可能となり、受注確度の向上につながっていると考えられる。また、事業領域の拡大は、シェアの確保という点で、将来予想される人口減などによる建設市場規模の縮少への対策にもなっている。
こうした方針の下、同社は2020年10月、回転埋設工法であるHIT工法を開発するなど、長年関西地区を拠点に杭工事や地盤改良工事、杭引抜き工事などの基礎工事を手掛けてきた広島組と、土木建築用機械や工具の販売、修理、リースなどを行う亀竹産業(株)(2021年2月に広島組と合併)を完全子会社化した。広島組が持つ営業基盤と杭引抜き技術の取り込みが目的である。さらに、2020年12月には、日本ヒュームと業務及び資本提携契約を締結した。同社が持つ杭工事や地盤改良工事の技術と、日本ヒュームが持つコンクリート杭製造技術や施工技術を持ち寄ることでシナジーを発揮する考えだが、特に同社にとってはコンクリート杭工事の再強化につながる提携と言える。2021年1月には、日本コンクリート工業と業務及び資本提携契約を締結した。基礎工事分野での協力強化に加え、日本コンクリート工業が持つ二酸化炭素固定化技術を活用することでESG経営を推進することが目的である。2022年4月には、静岡県を基盤に基礎工事を展開する大三島物産を子会社化した。静岡県及び周辺地域のインフラや産業基盤の整備に向けて営業基盤を拡充することが目的である。ほかにも、後継者問題や建設市場規模の縮小予測などを背景にM&A案件が増えているようで、引き続きM&Aや提携に積極的に対応する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
3. 強みとビジネスモデル
テノックス<1905>の強みは、既述のとおり豊富な施工ラインアップにある。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムに確認できる施工管理システム「VCCS」やテノコラム工法において材齢1日にて28日強度を予測する「促進養生システム」、さらに子会社が擁する工事技能者集団や各種機材による、安全確実な工事進行と高い施工品質も同社の強みである。特に「VCCS」については、全工法で使用する計画で、新基幹システムと連携することで施工計画や現場管理の精度向上につなげる方針である。ところで、建築・土木構造物の建設は、通常ゼネコン(元請け、総合建設業者)が下請けを取り仕切って進めている。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから発注を受けるが、基礎工事は最初にして最も重要な工程であるため、発注の前に設計業者(設計コンサルタント、設計事務所)から直接引き合いが来ることも多い。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに、ゼネコンが専業企業である同社に発注し、工事完了後に同社がゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社は、ビジネスモデル上はゼネコンの下請けだが、バリューチェーンという観点からは設計から施工、引渡まで一貫して関与する体制を構築しており、これも強みとなっている。また、こうしたバリューチェーンのなかで、設計業者に技術アピールや工法提案することで、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、ゼネコンから発注を受ける機会も増えているようだ。同社はこれを「折り込む力」と呼び、同社ビジネスモデル上の大きな強みとなっている。
引き続きM&Aや提携に積極的に対応
4. 事業領域の拡大
同社は近年、M&Aや提携などを通じて事業領域を拡大している。これにより、技術アピールや工法提案がより一層可能となり、受注確度の向上につながっていると考えられる。また、事業領域の拡大は、シェアの確保という点で、将来予想される人口減などによる建設市場規模の縮少への対策にもなっている。
こうした方針の下、同社は2020年10月、回転埋設工法であるHIT工法を開発するなど、長年関西地区を拠点に杭工事や地盤改良工事、杭引抜き工事などの基礎工事を手掛けてきた広島組と、土木建築用機械や工具の販売、修理、リースなどを行う亀竹産業(株)(2021年2月に広島組と合併)を完全子会社化した。広島組が持つ営業基盤と杭引抜き技術の取り込みが目的である。さらに、2020年12月には、日本ヒュームと業務及び資本提携契約を締結した。同社が持つ杭工事や地盤改良工事の技術と、日本ヒュームが持つコンクリート杭製造技術や施工技術を持ち寄ることでシナジーを発揮する考えだが、特に同社にとってはコンクリート杭工事の再強化につながる提携と言える。2021年1月には、日本コンクリート工業と業務及び資本提携契約を締結した。基礎工事分野での協力強化に加え、日本コンクリート工業が持つ二酸化炭素固定化技術を活用することでESG経営を推進することが目的である。2022年4月には、静岡県を基盤に基礎工事を展開する大三島物産を子会社化した。静岡県及び周辺地域のインフラや産業基盤の整備に向けて営業基盤を拡充することが目的である。ほかにも、後継者問題や建設市場規模の縮小予測などを背景にM&A案件が増えているようで、引き続きM&Aや提携に積極的に対応する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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