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ファーストコーポレーションのニュース
*15:11JST 1stコーポ Research Memo(1):2024年5月期は建設事業が好調も、不動産事業の減益が響き、増収減益
■要約
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化したゼネコンである。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。その後、2022年4月に東証の再編により東証プライム市場へ移行し、2023年10月には選択申請により東証スタンダード市場へ移行した。
「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是とし、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。主要事業エリアをマーケットの将来性が高い首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)とし、分譲マンション建設に特化した工事請負を主として事業を推進してきた。最近では、再開発事業、アクティブシニア向けマンション事業に注力しているほか、人生100年時代に対応した「ウェルビーイングシティ構想」に基づく自社分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」にも注力し、初の開発案件として京王相模原線多摩境駅に総戸数183戸に上る「CANVAS南大沢」を建設した。「ウェルビーイングシティ構想」とは、「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、様々な世代の人たちの生活の質を高めるサービスを提供する分譲マンションを開発する考えである。将来的にはこのコンセプトに基づく街づくりも計画している。
同社の急成長を支えているのが「造注方式」という事業モデルである。この方式は開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い、事業主に提案し、特命で工事を受注する事業モデルだ。主体的な企画提案ができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなるという特徴がある。この事業モデルを採用することにより、事業運営の効率化と安定した利益確保を可能にしている。
同社には、ゼネコンとして土地開発の専任部隊を有している強みがある。加えて、スピーディーな決裁プロセスが、競合他社に対する優位性を高めている。同社が主戦場としている首都圏は将来的にも市場開拓の余地が大きいことから、「造注方式」によって、中長期的な成長が見込まれると弊社は考えている。近年は、ニーズが強い東京圏郊外にも注力しており、2024年5月期には、新たに神奈川県相模原市緑区、東京都町田市などで分譲マンションの建設を開始した。また、神奈川県横浜市南区、神奈川県海老名市などでは、マンション建設のための事業用地の仕入れ・売却も行っている。
2024年5月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の28,485百万円、営業利益が同26.7%減の1,453百万円だった。主力の建設事業が順調に推移したことに加えて、不動産事業において共同事業※による分譲マンションの販売収入(以下、共同事業収入)も好調でトップラインの伸長に寄与した。利益面に関しては、販管費の伸びをコントロールしたものの、売上総利益が落ち込み営業利益を押し下げた。建設事業に関しては、資材価格の高止まりなどを理由に期初時点から減益を見込んでいたものの、増益予想だった不動産事業が一転して減益での着地となったことが響いた。用地売却の期ズレが発生したことにより不動産売上総利益が想定よりも減少し、連結ベースの営業減益幅が期初想定よりも拡大した。
※デベロッパーと共同事業協定書を締結して、販売事業主としてデベロッパー事業に参画すること。
2025年5月期の連結業績は、売上高で前期比21.1%増の34,500百万円、営業利益で同54.8%増の2,250百万と大幅な増収増益を見込んでいる。建設事業は各案件の工事進捗状況や、造注比率の低下などを理由に減収減益を見込んでいるものの、不動産事業が業績拡大をけん引する見通しだ。不動産事業に関しては、不動産売上高が同153.0%増、不動産売上総利益が同82.8%増と売上、利益ともに急伸を見込む。2024年5月期の期ズレ案件に加えて、売却確度の高い不動産を複数抱えていることによる。共同事業収入に関しても売上、利益の急伸を見込む。2024年6月から分譲を開始した群馬県前橋市の再開発案件などが業績拡大に寄与する見込みだ。全体の売上総利益率、営業利益率はそれぞれ11.2%、6.5%と前期から改善すると予想している。
■Key Points
・マンション建設特化型のゼネコンであり、「造注方式」が強み
・2024年5月期は建設事業が想定どおり、不動産事業の進捗は想定を下回る
・2025年5月期は大幅な増収増益を見込む。不動産事業がけん引役
・分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の分譲は堅調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<HN>
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化したゼネコンである。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。その後、2022年4月に東証の再編により東証プライム市場へ移行し、2023年10月には選択申請により東証スタンダード市場へ移行した。
「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是とし、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。主要事業エリアをマーケットの将来性が高い首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)とし、分譲マンション建設に特化した工事請負を主として事業を推進してきた。最近では、再開発事業、アクティブシニア向けマンション事業に注力しているほか、人生100年時代に対応した「ウェルビーイングシティ構想」に基づく自社分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」にも注力し、初の開発案件として京王相模原線多摩境駅に総戸数183戸に上る「CANVAS南大沢」を建設した。「ウェルビーイングシティ構想」とは、「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、様々な世代の人たちの生活の質を高めるサービスを提供する分譲マンションを開発する考えである。将来的にはこのコンセプトに基づく街づくりも計画している。
同社の急成長を支えているのが「造注方式」という事業モデルである。この方式は開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い、事業主に提案し、特命で工事を受注する事業モデルだ。主体的な企画提案ができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなるという特徴がある。この事業モデルを採用することにより、事業運営の効率化と安定した利益確保を可能にしている。
同社には、ゼネコンとして土地開発の専任部隊を有している強みがある。加えて、スピーディーな決裁プロセスが、競合他社に対する優位性を高めている。同社が主戦場としている首都圏は将来的にも市場開拓の余地が大きいことから、「造注方式」によって、中長期的な成長が見込まれると弊社は考えている。近年は、ニーズが強い東京圏郊外にも注力しており、2024年5月期には、新たに神奈川県相模原市緑区、東京都町田市などで分譲マンションの建設を開始した。また、神奈川県横浜市南区、神奈川県海老名市などでは、マンション建設のための事業用地の仕入れ・売却も行っている。
2024年5月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の28,485百万円、営業利益が同26.7%減の1,453百万円だった。主力の建設事業が順調に推移したことに加えて、不動産事業において共同事業※による分譲マンションの販売収入(以下、共同事業収入)も好調でトップラインの伸長に寄与した。利益面に関しては、販管費の伸びをコントロールしたものの、売上総利益が落ち込み営業利益を押し下げた。建設事業に関しては、資材価格の高止まりなどを理由に期初時点から減益を見込んでいたものの、増益予想だった不動産事業が一転して減益での着地となったことが響いた。用地売却の期ズレが発生したことにより不動産売上総利益が想定よりも減少し、連結ベースの営業減益幅が期初想定よりも拡大した。
※デベロッパーと共同事業協定書を締結して、販売事業主としてデベロッパー事業に参画すること。
2025年5月期の連結業績は、売上高で前期比21.1%増の34,500百万円、営業利益で同54.8%増の2,250百万と大幅な増収増益を見込んでいる。建設事業は各案件の工事進捗状況や、造注比率の低下などを理由に減収減益を見込んでいるものの、不動産事業が業績拡大をけん引する見通しだ。不動産事業に関しては、不動産売上高が同153.0%増、不動産売上総利益が同82.8%増と売上、利益ともに急伸を見込む。2024年5月期の期ズレ案件に加えて、売却確度の高い不動産を複数抱えていることによる。共同事業収入に関しても売上、利益の急伸を見込む。2024年6月から分譲を開始した群馬県前橋市の再開発案件などが業績拡大に寄与する見込みだ。全体の売上総利益率、営業利益率はそれぞれ11.2%、6.5%と前期から改善すると予想している。
■Key Points
・マンション建設特化型のゼネコンであり、「造注方式」が強み
・2024年5月期は建設事業が想定どおり、不動産事業の進捗は想定を下回る
・2025年5月期は大幅な増収増益を見込む。不動産事業がけん引役
・分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の分譲は堅調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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