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―東京都は24年度までに約13万個を先行導入、全国各地で実証実験進む―
13日の東京株式市場は、日経平均株価の下げ幅が一時760円を超え、1月7日以来の2万7500円割れとなった。前日の米国市場で主要な指数が軒並み下落したことなどを受けた格好だが、一方で個別に材料がある銘柄を物色する動きも強まっている。
こうしたなか、近い将来の大きな市場が見込まれる分野として水道スマートメーターへの関心が高まりつつある。
東京都は4月27日、「水道スマートメータトライアルプロジェクト推進プラン」を策定した。都では、2024年度までに都内にある約750万個の 水道メーターのうち約13万個に「スマートメーター」を先行的に導入し、30年代までに全戸導入につなげる方針で、20年3月には先行導入のための「水道スマートメータトライアルプロジェクト実施プラン」を策定した。
今回策定された「推進プラン」は、プロジェクトにおける具体的な取り組み内容をまとめたもので、都におけるスマートメーターの設置がいよいよスタートすることになる。これに伴い、関連銘柄への関心も高まることになりそうだ。
●なぜ水道で導入が遅れたのか
電力やガスで導入が進むスマートメーターだが、水道ではその導入が遅れていた。電力では14年4月1日に施行された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)の改正で、スマートメーターの導入とこれを活用した料金メニューの導入などに関する計画を作成・公表することが規定されたが、水道に関してはこれまで、国によるスマートメーターの法的位置づけや導入促進のための政策は行われてこなかった。また、水道の事業主体が地方公共団体ということもマイナスに働き、そのためITを活用した電力網の最適制御による効率的なエネルギー利用を図る一環として整備が進んだ電力や、早くからマイコンメーターが導入され、その後通信機能などが付加されたガスなどに比べて出遅れていた。
しかし、19年10月に施行された改正水道法では、附帯決議に「水道の需給バランスの平準化を進める観点等から、水道スマートメーターを含む周辺機器の研究及び開発を促進するため、必要な措置を講ずること」とあり、水道スマートメーターの開発が促されるようになった。また、厚生労働省は18年度から「水道事業におけるIoT活用推進モデル事業」で、スマートメーターを活用した自動検針による業務の効率化などを支援している。
●多くの自治体で実証実験や導入検討
18年9月に日本で初めてIWA(国際水協会)世界水会議が東京で開催され、小池百合子都知事は基調講演で、25年までに都心や郊外など複数の地域にスマートメーター10万個を設置して実証実験を行い、30年代に全戸にスマートメーターを設置すると発表した。これが前述の「水道スマートメータトライアルプロジェクト」で、同様の実証実験は横浜市や名古屋市、神戸市など大都市のほか、福島県郡山市など地方中核都市まで複数の地域で行われ、多くの自治体で導入が検討されている。
この背景には、スマートメーターを使うと2ヵ月に1度の現地検針が不要となり、人件費を大幅に減らせるほか、水道管の消耗の度合いなどが細かく把握できるようになり、水道管を効率よく管理できるようになるといったメリットが注目されていることがある。その一方、最大のデメリットとされているのがコストの高さで、従来の機械式に比べて価格が10倍近くするものもあるという。
ただ、価格は普及が進むことで低下する可能性が高く、東京都では横浜市や大阪市と連携を進めている。また都では、今年に入り低価格のスマートメーターの開発に向けた企画コンペも開始した。こうした動きを受けて今後、水道スマートメーターを巡る動きが活発化しそうだ。
●愛時計、アズビルなどに注目
世界的な水道スマートメーターのメーカーには、米センサス社やバジャー・メーター社、デンマークのカムストルップ社などがあるが、日本における関連銘柄としてまず挙げられるのは、水道メーター大手の愛知時計電機 <7723> だろう。創業事業である時計製造で培った精密加工技術をベースにした電子式や電磁式の水道メーターを手掛けており、水道スマートメーターでは宮城県名取市などと導入に向けた実証実験を行っている。また現在、ガスで展開しているデータ配信サービス「アイチクラウド」の水道版の展開を計画しており、水道使用量データを活用したヘルスケアサポートなどの展開も視野に入れている。
アズビル <6845> は、子会社アズビル金門が電子式水道メーターを用いた水道メーター検針ソリューションを展開しており、20年には郡山市で無線通信技術LPWA(Low Power Wide Area:低消費電力広域通信)の一つである「LTE-M」を活用したスマート水道メーター自動検針の実証実験を行った。また、検針データの有効活用のためのクラウドサービスを展開し、データの利活用を提案する。
東光高岳 <6617> は、グループ会社の東光東芝メーターシステムズが、電力スマートメーターなどと並んで電子式水道メーター用ユニットを手掛けている。また、検針員が直接メーターを確認することが困難な場所で検針を可能にするハンディターミナルを使用した「無線検針システム」を展開しており、今後水道スマートメーターの展開も期待されている。
このほか、子会社の大崎データテックが水道メーターに無線検針機能を一体化させたハイブリッド水道メーターを手掛ける大崎電気工業 <6644> や、センサス社などと共同で神戸市や京都市で水道スマートメーターの導入に向けた実証実験や研究に取り組むミライト・テクノロジーズを傘下に持つミライト・ホールディングス <1417> にも注目。更に、前述の愛時計やアズビル金門などと並んでスマート水道推進協会に参加するオリジナル設計 <4642> [東証2]、前澤給装工業 <6485> 、前澤化成工業 <7925> なども関連銘柄に挙げられよう。
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