波乱含みながら下値は限定的か、FOMC後の為替を注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/11 21:59

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想される利上げスタートを米株式市場や外国為替市場がどう受け止めるかに大きく左右されることになりそうだ。

 市場関係者は「既に織り込み済みとされている米利上げへの転換だが、これによって外国為替市場でドルが上昇するのか、“材料出尽し”との受け止めが優位となってドルが売られて円高が進行するのかによって、東京株式市場の方向感は大きく異なってくる」としている。

 ただ、日経平均株価は、今週既に大幅下落の洗礼を受けており、ここからさらに大幅下落の可能性は限定的との見方も多い。極端な円高進行とならない限り、下値は限定的となりそうだ。来週の日経平均株価の想定レンジは、1万8800~1万9600円とする。

11日の動意株

 小野薬品工業<4528>=大幅高。
きょうは外資系証券、国内大手証券からのポジティブな内容のリポートが好感されている。野村証券が小野薬のレーティングを「バイ」、目標株価2万4000円でカバレッジを再開としていることがわかった。同証券のアナリストは「がん免疫治療法の中心であるOpdivo(オプジーボ)の国内快進撃前夜」という見出しで始まるリポートをリリース、株価は新薬を評価する、海外開発状況や売り上げ動向が株価を押し上げるカタリスト、としている。きょうは野村証券だけではなく、外資系証券会社からもレーティング「オーバーウエイト」継続、目標株価を2万100円から2万4100円に引き上げていることが確認されている。

 日新電機<6641>=急騰。
東証信用残で信用倍率0.37倍の同社株はミニ踏み上げ相場の様相を呈し、1994年以来21年ぶりの4ケタ台に歩を進めている。16年3月期営業利益は23%増益の110億円を予想するが半導体向けなどにイオン注入装置が好調で、増額の可能性を内包する。また、米アップルがiPhoneの表示装置として有機ELパネルを採用する方針を打ち出しているほか、これに呼応して韓国LGも中小型有機液晶パネルの新工場建設に動き、数年間で1兆円超の巨額投資観測が浮上するなかで、有機EL関連にテーマ買いの動きが根強い。

 独立系のシステム開発一括受託会社のSRAホールディングス<3817>=大幅反発。
買い優勢で始まった株価は徐々に上げ幅を拡大する展開。同社は10日引け後に、11月度の主要子会社売上高(速報ベース)を開示した。主要子会社SRAの売上高が前年同月比20.1%増の14億4000万円となり、好感されているようだ。主要子会社AITは同16%増、海外子会社は15.9%と好調だった。

 TASAKI<7968>=大幅反発。
同社は10日の取引終了後、15年10月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の226億円から209億6000万円(前期比10.1%増)へ、営業利益を26億7000万円から25億5000万円(同75.3%増)へ、純利益を24億4000万円から33億4000万円(同2.9倍)へ修正した。素材卸の仕入れや販売時期を調整、新規出店の遅れなどで売上高と営業利益は下方修正となるが、回収可能性のある部分について繰延税金資産を計上し法人税等調整額10億4500万円を計上することで純利益は上方修正し上場来最高益となる見込み。

 アスラポート・ダイニング<3069>=一時ストップ高。
同社は10日、PQライセンシング社(ベルギー)とベーカリーレストラン「ル・パン・コティディアン(LPQ)」の日本での独占ストアライセンス権を取得したと発表。業績への寄与などが期待されているようだ。同社は今後、全国の主要都市でLPQブランドの店舗開発を推進していく方針。LPQブランドのベーカリーやサンドイッチ、スイーツ、サイドメニュー、ワイン、カフェ、グロサリー、雑貨などを取り扱う。

 メディア工房<3815>=急反発。
10日の取引終了後、スマートフォン向け新感覚!プチプチ系採掘アクションゲーム「PICK-XELL」を世界140カ国に向けて配信を開始したと発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。「PICK-XELL」は、画面の左右をプチプチとタップするだけのシンプル操作で、地中深くに穴を掘り進めることを目指すゲーム。ユーザーは「ジェム」と呼ばれるお宝をゲットしながら、穴掘りの邪魔をする「ドクロ」を回避し、各ステージのミッションクリアを目指すという。日本語、英語のほか、スペイン語、中国語(簡繁)など11言語に対応することで、世界140カ国で同日配信したとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想