急落の反動で買い戻し先行、裁定解消売りには警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/04 18:31

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、きょうの大幅反落に対する反動も予想され、買い戻し先行で日経平均株価は反発が予想される。12月の米利上げは既にかなり織り込まれているとの見方が多く、日本時間今夜発表される米11月の雇用統計に対する株価の反応は軽微にとどまりそうだ。

 ただ、日経平均株価が25日移動平均線(1万9578円=4日)を割り込んだことで、短期的ながらいったん調整トレンドとなる可能性もある。日経平均株価の想定レンジは1万9200~1万9800円とする。

 東京市場では、株価指数先物と現物の裁定取引に伴う現物株の裁定買い残が11月第4週時点で3兆5983億円と、6月第1週(3兆7640億円)以来の高水準に達しており、解消売りに対する警戒感が根強い。

 ただ、市場関係者からは「期待が大きく膨らんでいただけに、ECBショックの反応は大幅安となった。ただ、業績面などから見て、日経平均株価が2万円台にあっても割高感はない。ある程度時間は必要だが、ジリ高歩調の上昇は続きそうだ」との見方が出ていた。

4日の動意株

 アイスタイル<3660>=後場一段。
11月16日につけた年初来高値1703円を上回った。同社は3日、40代を主なターゲットとした新メディア「A-Beauty(エイビューティ)」をスタート。このメディアはコスメ・化粧品の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」の多種多様なデータベースからエイジング世代に必要なコンテンツをピックアップして提供するWebマガジンで、既存事業とのシナジーなどが期待されているようだ。

 トップカルチャー<7640>=反発。
同社はこの日午後1時、16年10月期の連結業績予想を発表。売上高は347億円(前期比4.5%増)、営業利益は8億7000万円(同6.6%増)、純利益は4億4000万円(同12.6%増)と増収増益を見込んでいる。大型店で実施している書籍販売と物販の融合について、成功事例を既存店に積極的に反映させ、既存店の集客力・販売力を強化。また、レンタル部門では品揃えの大幅な強化により来店客数の増加を図り、価格に依存しない競争力の強化を推進する方針。

 サイバーステップ<3810>=後場に入って急動意。
同社はきょう、ジェンコ(東京都港区)およびエクスアーツジャパン(東京都千代田区)と、新作スマートデバイス向けゲームアプリ「Dash!!スシニンジャ」の開発と運営サービスに関する契約を結んだと発表。12月中旬配信予定としており、期待材料となっているようだ。スシニンジャは、ジェンコが14年7月からWeb上で展開しているフル3DCGアニメーション。海外のアニメイベントでも上映されている。

 インフォテリア<3853>=ストップ高。
きょう付の日経産業新聞で「仮想通貨取引所運営のテックビューロ(大阪市)はソフトウエア開発のインフォテリアと組み、金融機関向けにデータ処理システムの販売を始める」と報じられており、これを好材料視した買いが株価を押し上げている。記事によると、テックビューロでは仮想通貨「ビットコイン」に使われている技術「ブロックチェーン」を活用。これに、異なるシステムをつなぐインフォテリアのデータ連携ソフトを活用することで、複数台のコンピューターでデータを共有して処理するようにしたという。

 セルシード<7776>=急伸。
同社は3日の取引終了後、食道再生上皮シートであるヒト(自己)口腔粘膜由来細胞シート(開発名はCLS2702C)の治験届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出したことを発表、これを好感する動き。これにより、同社は早期食道癌の内視鏡的粘膜下層剥離術後の食道狭窄を予防する再生医療等製品として、ヒト(自己)口腔粘膜由来細胞シートとそのシートを移植するための器具(開発名はCLS2702D)を開発する。

 リーバイ・ストラウス ジャパン<9836>=連日のストップ高。
米グーグルが11月26日、服に触れることでスマートフォンを遠隔操作できる「スマート生地」を日本の一部メディアに公開したことを受けて、来年中にもこれを用いた製品を米リーバイ・ストラウス(リーバイス)社が製品化する予定であることから、日本法人の同社にも買いが入っている。米グーグルの「スマート生地」は、製糸や染色、織物過程に日本の技術を利用していることから、テレビなどでも取り上げられている。米リーバイスでは、グーグルと共同で、ウエアラブル・テクノロジー開発プロジェクト「プロジェクト・ジャカード」を展開しており、現在製品化を進めている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想