横ばい強含みで推移、焦点は金融政策決定会合

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/13 20:03

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、週初に発表される7~9月期国内総生産(GDP)や、日銀の金融政策決定会合の内容に左右される展開が予想される。

 7~9月期GDPの市場予想の平均は、マイナス0.1~0.2%程度のマイナス成長との見方となっている。市場では既にマイナス成長はある程度織り込み済みで、関心は「その内容が、政府の経済対策発動や日銀の追加的な金融緩和実施につながるかどうかに集まっている」(市場関係者)との見方が出ていた。懸念材料としては、原油価格など国際商品市況の下落と、それに連動して弱含み推移となってきた欧米株式市場の動向がある。

 日経平均株価は横ばい強含みとなりそうで、来週の想定レンジは1万9400~1万9900円とする。

13日の動意株

 キトー<6409>=続急伸。
巻き上げ機(ホイスト)を主力とする工場用荷揚げ機械の大手メーカーだが、海外は景気回復が続く北米製造業向けの需要を囲い込み、昨年の米チェーン大手であるピアレス社買収による業容拡大効果が着実に発現している。国内は安倍政権の公共投資拡大政策に後押しされた建設土木の工事量増加が寄与しているほか、流通在庫調整が進んでいることも株価の見直しにつながっている。16年3月期営業利益は62%増の見通しでPER9倍台と株価指標面で割安感が強い。

 日本基礎技術<1914>=急伸。
同社は13日の午後1時、16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の214億1000万円から239億円(前期比7.6%増)へ、営業利益を3億8500万円から8億円(同8.8%増)へ、純利益を2億7000万円から5億円(同69.6%減)へ上方修正、これを好感する動き。工事採算性の向上などが寄与する。

 ジェイエスエス<6074>=急騰。
同社は12日の取引終了後、16年3月期の単体業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の79億9100万円から80億円(前期比4.0%増)へ、営業利益を3億7000万円から4億1000万円(同12.3%増)へ、純利益を1億8100万円から2億4000万円(同47.7%増)へ上方修正しており、これを好感する動きとなっている。在籍会員数が堅調に推移、2店舗を計画していた新規出店のうち、未開設1店舗分の初期コストが発生しなかったことや原油価格が低水準で推移したことによる光熱費の減少などが寄与している。

 モリテックス<7714>=急伸。
同社は12日の取引終了後、16年9月期の連結業績予想を発表。売上高は87億2300万円(前期比9.5%増)、営業利益は1億9500万円(同8.9倍)、純利益は1億7500万円(同2.9倍)と大幅な増益を見込んでおり、これを好感している。今期はグループ全体での製造効率化など機能的な経営を推進、新規市場開拓に向けての製品開発に経営資源を重点投入し、収益力を高めて行く方針。

 カドカワ<9468>=急騰。
同社は12日取引終了後、16年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表。前期変則決算のため比較はできないが最終損益は19億1400万円と黒字を確保、4~6月期の2億2000万円の損失を吸収して黒字化したことを好感する買いを集めた。電子書籍事業が伸び、広告費抑制などのコスト低減努力も寄与しており、通期予想の最終利益40億円の達成が射程に入った。

 アプライド<3020>=ストップ高。
同社は12日の取引終了後、16年3月期の連結業績見通しについて、売上高は従来予想の290億1000万円(前期比8.6%増)を据え置きつつ、営業利益を2億6500万円から5億円(同2倍)へ上方修正したことが買い材料視されている。BtoB営業強化やテクニカルサービス売り上げ堅調に加えて、商品とサービスを融合したシステムによる販売を推し進めたことが寄与したという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想